トランプ政権、全米気候評価報告書の担当科学者を排除

ホワイトハウスは、全米気候評価報告書(National Climate Assessment)の責任者である科学者を同職務から排除した。本件について、大統領としての残りの任期を使って気候科学及び政策を妨げ続けようとしていると、トランプ政権への批判が出ている。全米気候評価報告書を作成する「米国グローバル気候研究プログラム(U.S. Global Change Research Program)」のエグゼクティブ・ディレクターであるマイケル・クーパーバーグ氏(Michael Kuperberg)は11月6日、「組織の主導者ではなくなった」と告げられたという。政権に近い2人の情報筋によれば、国立海洋大気庁(National Oceanic and Atmospheric Administration: NOAA)のデイビッド・レゲイツ副次官補(David Legates)が、全米気候評価報告書の作成を引き継ぐ。同氏は、以前、気候変動を否定するグループと密接に協力していた。クーパーバーグ氏は、エネルギー省(Department of Energy)での前職に戻るという。 New York Times “Trump Administration Removes Scientist in Charge of Assessing Climate Change” (11/9/20)

BP社、水素事業強化で環境志向を打ち出し

BP社は、再生可能エネルギー大手のオーステッド社(Ørsted)と提携し、風力発電から水素を生産することに取り組む。これは、低炭素エネルギーへの移行において鍵となる役割をになうと考えられる部門で、BP社にとって初の大型プロジェクトとなる。天然ガスや石炭などの化石燃料ではなく、風力やソーラーなどの再生可能エネルギーを使って水素を生産することは、地球の炭素排出削減にとり、重要になると考えられているが、費用が割高となっている。11月10日の発表によれば、BP社は、オーステッド社の北海(North Sea)風力ファームにおける風力発電を使い、BP社がドイツ北西部に抱えるリンゲン(Lingen)製油所向けの水素を生産する。両社は、50メガワットの電解槽を建設する予定で、この電解槽は風力を電力として、炭素を排出せずに水を水素と酸素に分離する。 Wall Street Journal “BP Steps Up Green Drive With Hydrogen Deal” (11/10/20)

トランプ大統領、マーク・エスパー国防長官を解任

トランプ大統領は11月9日、ツイッターで、国防総省(Department of Defense)のマーク・エスパー長官(Mark Esper)を解任し、後任として国家テロリズム対策センター(National Counterterrorism Center)のディレクターを務めるクリストファー・ミラー氏(Christopher Miller)が長官代理となることを発表した。即時適用される。エスパー氏とトランプ大統領の間の緊張は高まりつつあり、情報筋によれば、エスパー氏は数週間前に辞表を用意していた。エスパー氏の解任は、トランプ大統領の怒りを買っているその他の国家安全保障高官が次に解任されるのではとの懸念をもたらしている。トランプ大統領と保守派の側近は最近、中央情報局(Central Intelligence Agency: CIA)のジーナ・ハスペル長官(Gina Haspel)や連邦捜査局(Federal Bureau of Investigation: FBI)のクリストファー・レイ長官(Christopher Wray)に対する不満や批判を募らせている。 CNN “Trump fires Secretary of Defense Mark Esper” (11/9/20)

バイデン次期大統領、トランプ政策を撤回する一連の大統領令を即時発令する計画

ジョー・バイデン次期大統領は、2021年1月20日に大統領に就任直後から、一連の大統領令を早急に発令する計画で、このことは、米国の政策がシフトしたこと、そしてバイデン大統領としての任務はそれまでとは大きく異なる優先事項によって導かれることを示唆する。バイデン氏の側近及び同氏の誓約によれば、大統領に就任後は、パリ気候協定に復帰し、トランプ大統領による世界保健機関(World Health Organization: WHO)からの脱退を撤回する。また、情報筋によれば、イスラム教徒が多数を占めるほぼ全ての国からの渡航禁止を廃止し、幼少の頃に違法に米国に連れてこられた「ドリーマー」が米国内に滞在し続けられるようにする計画である。政権の移行には常に急激な変化が伴うが、既成の基準や制度を削減することを模索したトランプ大統領から、既成の秩序の復活を誓うバイデン大統領へのシフトは、米国史上最も衝撃的な移行の一つとなるとみられている。 Washington Post “Biden plans immediate flurry of executive orders to reverse Trump policies” (11/7/20)

DARPA、脊髄損傷治療に関する取り組みに資金提供

脊髄損傷(Spinal cord injury: SCI)は、国防総省(Department of Defense)にとり大きな懸念である。深刻なSCIを抱える33万7,000人の米国民のうち、約4万4,000人が退役兵で、毎年1万1,000件の新たな損傷事例が生じている。SCIの修復及び治療技術に関する研究努力が行われているものの、大きな課題は残っている。このため、国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Project Agency: DARPA)の「ブリッジング・ギャップ・プラス(Bridging the Gap Plus: BG+)」プログラムは、損傷の安定化、再生治療、機能修復を統合することでSCIの治療に対する新たな手法の開発を狙いとしている。DARPAは11月9日、カリフォルニア大学デイビス校(University of California-Davis)、ジョンズホプキンス大学(Johns Hopkins University)、ピッツバーグ大学(University of Pittsburgh)の3大学に対し助成を行うことを発表した。各大学の学際チームは、埋め込み可能で適応性のある機器(SCIの初期段階に損傷の影響を軽減し、後期の慢性段階で機能回復の可能性を持つ)のシステム開発に取り組むことになる。 Defense Advanced Research Project Agency “DARPA Awards Contracts for Work on Spinal Cord Injury Treatment” (11/9/20)

クリーンエネルギー業界、バイデン氏の勝利を歓迎、早期の行動に期待を示す

次期大統領に選出されたジョー・バイデン氏は、来たる政権の初日からの優先事項4件を発表した。それらは、①新型コロナウィルス感染症のパンデミック対策、②低迷する経済の回復、③人種的平等を拡大する環境作り、④気候変動の実存脅威への対策、の4点である。バイデン氏の当確以来、これらの議題から恩恵を受ける可能性が最も高いクリーンエネルギー業界団体は、一連の称賛を表明し、その形成に役割を担うことを模索している。上院の多数党がどちらになるのかはまだ分からない中、民主党が、バイデン氏のより野心的な議題(2035年までにエネルギー部門の脱炭素化を推進するための2兆ドルなど)に対する共和党の反対を克服することができるのかどうかは不明である。しかし、「バイデン政権が共和党の支持を得ずにできることは多くある」と、ウッド・マッキンゼー社(Wood Mackenzie)の専門家は指摘する。 Green Tech Media “Clean Energy Industries Cheer Biden’s Victory, Lay Out Hopes for Early Action” (11/9/20)

エネルギー省のスマート製造研究所、製造課題に取り組む新規プロジェクト募集を発表

エネルギー省(Department of Energy)の「クリーンエネルギー・スマート製造イノベーション研究所(Clean Energy Smart Manufacturing Innovation Institute: CESMII)」は、エネルギー集約型製造プロセスを改良し、米国の製造業部門の強化を目的として、最高400万ドルの資金を提供することを発表した。センサー、データ、プラットフォーム、制御といったスマート製造(smart manufacturing: SM)技術の強化は、米国製造業部門の競争力強化につながると期待されている。SM技術の導入を加速させるため、CESMIIは、SMソリューションを実際の製造プロセス及び運用上の課題に適用し、エネルギー生産性や性能、品質、効率性の向上を実現する研究開発プロジェクトを募集している。 Department of Energy “DOE Smart Manufacturing Institute Announces New Project Call to Address Manufacturing Challenges” (11/9/20)

アイダホ国立研究所の次期所長にジョン・ワグナー氏指名

エネルギー省(Department of Energy)傘下のアイダホ国立研究所(Idaho National Laboratory: INL)を管理運営するバテル・エネルギー・アライアンス社(Battelle Energy Alliance: BEA)の取締役会(Board of Managers)は11月5日、ジョン・ワグナー氏(John Wagner)がINLの次期所長に就任すると発表した。ワグナー氏は、2020年12月11日付けで所長に就任する。同氏は2016年からINLに所属しており、2017年からは、原子力科学技術担当準所長(Associate Laboratory Director for Nuclear Science and Technology)を務めていた。同氏は、2020年8月に退任を発表したマーク・ピータース前所長(Mark Peters)の後任となる。 Idaho National Laboratory “JOHN WAGNER NAMED IDAHO NATIONAL LABORATORY DIRECTOR” (11/5/20)

トランプ政権、気候評価責任者に主流派の気候科学者を登用

連邦政府が4年毎に発表し、気候変動とその影響について最も決定的で包括的な連邦報告書とされる「全米気候評価報告書(National Climate Assessment)」の次の報告書(2022年発表)は、大気科学者のベッツィー・ウェザーヘッド氏(Betsy Weatherhead)が指揮することとなった。ウェザーヘッド氏は現在、気候変動による影響に関して企業や政府に諮問するジュピター・インテリジェンス社(Jupiter Intelligence)の上級科学者である。同氏は、学術機関と民間部門で気候科学者として数十年に及ぶ経験を持ち、人的要因による気候変動が生じており、物理、生態、経済にとり深刻な脅威となっているとの考えを受け入れている。ウェザーヘッド氏の任命は、最近発表された国立海洋大気庁(National Oceanic and Atmospheric Administration: NOAA)の上級ポストの任命(デイビッド・レゲイツ氏(David Legates)とライアン・マウア氏(Ryan Maue)で、両者とも気候変動の深刻さに異議を唱えている)と大きく対比する。また、地球温暖化における人間の役割を軽視するトランプ大統領の気候変動に関する見解とも対照的である。 Washington Post “Trump administration taps mainstream climate scientist to run key climate review” (11/4/20)

ARPA-E、クリーンエネルギー技術商業化成功は限定的

マサチューセッツ大学アマースト校(University of Massachusetts Amherst)のアンナ・ゴールドスタイン氏(Anna Goldstein)らが発表した報告書によれば、エネルギー高等研究局(Advanced Research Projects Agency-Energy: ARPA-E)は、エネルギーの脱炭素化につながる潜在的かつ画期的なソリューションの推進において成功をおさめているものの、ハイリスクのクリーンエネルギー技術の商業化においては限定的な成功をとどまっているという。そして、「それらのイノベーションを市場化へとつなげる投資を引き付けるには、更なる政府プログラムと市場インセンティブが必要である」と結論づけている。 Physics Today “ARPA–E can’t reach the promised land alone” (11/1/20)