ARPA-E長官、2020年度の総括を発表

エネルギー省(Department of Energy)傘下のエネルギー高等研究局(Advanced Research Projects Agency-Energy: ARPA-E)のレーン・ジェナトウスキー長官(Lane Genatowski)が、2020年度の総括をブログに投稿した。それによれば、ARPA-Eは2020年度に、「熱核融合エネルギーを実現するブレイクスルー(Breakthroughs Enabling THermonuclear-fusion Energy: BETHE)」「柔軟な炭素捕獲と貯留(FLExible Carbon Capture and Storage: FLECCS)」など11件のフォーカス・プログラム(Focused Program)を開始し、合計資金拠出額は最高3億4,250万ドルとなった。また、以前にARPA-Eが資金提供した技術の導入を支援するべく、「未開拓の可能性を秘めた有力エネルギー技術の重要な進展のシーディング(Seeding Critical Advances for Leading Energy technologies with Untapped Potential: SCALEUP)」を開始した。 Advanced Research Projects Agency-Energy “FY20 Recap with ARPA-E Director Lane Genatowski” (11/9/20)

GAO、「ワクチンと治療の開発は加速されたものの、緊急使用承認には更なる透明性が必要」と勧告

政府説明責任局(Government Accountability Office: GAO)は、「連邦努力によってワクチンと治療の開発は加速しているが、緊急使用承認には更なる透明性が必要(Federal Efforts Accelerate Vaccine and Therapeutic Development, but More Transparency Needed on Emergency Use Authorizations)」と題する報告書を発表した。連邦政府は、民間業界と協力し、「オペレーション・ワープ・スピード(Operation Warp Speed)」を通じて、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)のワクチン及び治療の開発努力を大幅に加速させるために、6件のワクチン候補に1,000万ドル以上を支出している。また、食品医薬品局(Food and Drug Administration: FDA)は、これまでに4件の緊急使用承認(emergency use authorization: EUA)によって、未承認の治療の使用を一時的に容認しているが、その合理性は常に明確ではないことが判明した。国民の信頼を得るため、GAOは、FDAが安全性と効果の審査で明らかになった点について、国民に開示するよう勧告している。 Government Accountability Office “COVID-19: Federal Efforts Accelerate Vaccine and Therapeutic Development, but More Transparency Needed on Emergency Use Authorizations” (11/17/20)

バイデン政権下でもAIと量子は引き続きR&D優先事項に

ジョー・バイデン大統領になっても、人工知能(AI)と量子情報科学は、米国の主要優先事項として残ると予測されているが、歳出と規制手法は、トランプ大統領とは異なるとみられている。ITイノベーション財団(Information Technology Innovation Foundation: ITIF)によれば、米国の研究開発(R&D)への投資は、歴史的水準や他国に比べると低い(住民一人当たりで換算した場合)。例えば、GDPに占める連邦R&D支出の割合は、1960~1980年は平均1.52%だったが、2018年までに0.71%に下落した。ITIFのロバート・アトキンソン社長(Robert D. Atkinson)は、「バイデン政権は、AI及び量子情報科学により投資を行うと期待されている。また、全体的なR&D支出も増えるとみられている」と考えている。バイデン陣営は大統領選挙中、連邦のR&D支出に加え、中国に対する競争力をを維持するための取り組みの一部として、4年間で3,000億ドルのイノベーション資金を提案している。アトキンス氏はまた、バイデン政権は規制面でも手法を変更すると見ており、例えば、AIアルゴリズムをビジネスで利用する際には、説明可能で透明性を持つことを義務付ける可能性もあるという。 Wall Street Journal “AI, Quantum R&D Funding to Remain a Priority Under Biden” (11/9/20)

世界におけるR&D拠出増加率、中国が圧倒的リード

経済協力開発機構(Organisation for Economic Cooperation and Development: OECD)は年に2回、科学技術指標の更新を発表しているが、最新の報告によると以下のようなトレンドがみられたという。①年間のR&D支出(公的、私的)の増加率は、中国が圧倒的な1位(1995~2018年の年間増加率は平均15%以上)で、2位の韓国の約2倍。②中国のR&D支出は2018年に4,630億ドルに達し、1位の米国を890億ドル下回る。米国のR&D支出が世界のそれに占める割合は、現在30%未満。③R&D集約度(GDPに占めるR&Dの割合)で見ると、イスラエルと韓国が高く(4.5%以上)、米国は10位(2.8%)。 American Association for the Advancement of Science “A Snapshot of U.S. R&D Competitiveness: 2020 Update” (10/22/20)

ジョンズ・ホプキンス大学、ほころびつつある米中技術関係の影響を評価

悪化しつつある米中関係は、それまで比較的オープンだった技術進展の世界的交流に影響を及ぼしつつあるが、その影響を分析する論文が「念には念を入れて:米中間の技術的結び付きの評価(Measure Twice, Cut Once: Assessing Some China-US Technology Connections)」にまとめられている。これらの研究及びファインディングは、通信や人工知能、半導体、STEM教育、大学間の交流、バイオテクノロジー、民間及び商業宇宙に関して洞察と勧告を提供することを目的として、ジョンズ・ホプキンス大学(Johns Hopkins University)の応用物理学研究所(Applied Physics Laboratory: APL)によって招集された独立系専門家グループによって行われた。サイトには、6本の論文が掲載されている。 Johns Hopkins Applied Physics Laboratory “Johns Hopkins APL Assesses Impact of Fraying US–China Tech Ties” (10/20/20)

「燃料とエンジンの共同最適化(Co-Optima)」を通じ、国立研究所との共同活動に助成

「燃料とエンジンの共同最適化(Co-Optimization of Fuels & Engines: Co-Optima)」イニシアチブは、新規の高性能燃料(先端燃焼手法と組み合わせることにより、エンジン効率を高め、排出を削減できる)の開発に焦点を当てたものであるが、今般、エネルギー省傘下の国立研究所が持つリソースを活用し、新たな液体燃料及びブレンドストックを進展させる上で鍵となる技術的課題を克服するプロポーザルを募集している。プロポーザルは、具体的な技術的課題と障害に対処し、効率性の高い先端的エンジンと連動して新たな新型燃料を市場化へと進めるものである必要がある。選出されたプロジェクトに対して、12~18か月間に25万ドルが拠出される予定である。エネルギー省は、Co-Optimaを通じて合計4件のプロジェクトに資金を提供する計画である。 Department of Energy “Co-Optimization of Fuels & Engines Call for White Papers – Directed Funding Opportunity for Collaboration with National Laboratories” (11/13/20)

エネルギー省、新規のバイオ画像機器及び手法に1,500万ドルを提供

エネルギー省(Department of Energy)は11月16日、生体細胞の代謝プロセスを視覚化するための新規及び改良版の機器・手法の開発を目的としたバイオ画像研究に最高1,500万ドルを提供すると発表した。本研究には、①新規の革新的機器もしくは大幅に改良された機器の開発、②改良された観測技法の実証、の2分野がある。研究は、植物バイオマスをバイオ燃料やバイオ製品などに転換する際に伴う複雑な細胞プロセスの理解を深めることを主な狙いとしており、エネルギー省は2021年度から、年間最高500万ドルで3年間の資金提供を計画している。 Department of Energy “DOE to Provide $15 Million for New Bioimaging Instrumentation and Approaches” (11/16/20)

エネルギー省、米国製建造物のプライズを発表

エネルギー省(Department of Energy)は11月16日、米国製建造物プライズ(American-Made Buildings Prize)として、「建造物最適化技術のための外面改良機会(Envelope Retrofit Opportunities for Building Optimization Technologies: EROBOT)」コンペに最高500万ドルを提供すると発表した。E-ROBOTプライズは、建造物の外面の改良を目的として先端ロボティクス能力及び制御の開発を奨励することで、建築建設業界に新たな機会を開くものである。先端ロボティクスは、居住者の快適性と生産性を犠牲にすることなく、手頃な費用で効率性の高い新規建造物及び改築を実現する革新的な先端建造物建設(Advanced Building Construction: ABC)の技術及び手法の一つである。E-ROBOTプライズは、2つの連続するコンペで構成されており、参加者に最高400万ドルの賞金と、コネクター(Connector:国立研究所やアクセラレーター、大学など、コンペ参加者のイノベーション・プロセスを支援する事業体)への表彰アワードとして100万ドルが用意されている。 Department of Energy “Department of Energy Announces American-Made Buildings Prize” (11/16/20)

元グーグル幹部のスタンフォード大学教授、次期エネルギー長官の有力候補の一人

現在は、スタンフォード大学(Stanford University)の工学教授で、元グーグル社(Google)幹部、かつてはオバマ政権下でエネルギー省(Department of Energy)エネルギー高等研究局(Advanced Research Projects Agency-Energy: ARPA-E)の初代長官を務めたアルン・マジュマダール氏(Arun Majumdar)が11月10日、バイデン政権移行チームのエネルギー省担当者として指名された。情報筋によれば、同氏は、次期エネルギー長官となる可能性が高い。ある有識者は、「バイデン氏が、政治的能力を備えた技術専門家をエネルギー長官に据えようと考えている場合、マジュマダール氏は最有力候補となるだろう」と述べる。次期エネルギー長官の候補者には、この他に、エリザベス・シャーウッド-ランダル氏(Elizabeth Sherwood-Randall)の名前が挙がっており、元エネルギー副長官で核兵器に精通している点が強みと考えられている。 Bloomberg “Ex-Google Official From Stanford Seen as Top Energy Pick” (11/11/20)

バイデン氏に近いチーム、気候計画を始動

オバマ政権時の関係者、気候専門家、バイデン次期大統領の政権移行アドバイザーなどは11月11日、次期政権が気候変動に対して政府全体の政策をどのように講じることができるかを示す政策ガイド「気候21プロジェクト(Climate 21 Project)」を公表した。ガイドは、バイデン政権が、大統領府国家経済会議(National Economic Council: NEC)と同等の国家気候会議(National Climate Council)を新たに設置し、大統領執務室から気候政策を調整及び促進することを提案している。気候21プロジェクトは、オバマ政権時の環境品質評議会(Council on Environmental Quality: CEQ)の元高官と、キャップ・アンド・トレード法案の作成を支援した環境政策専門家が共同執筆したもので、その運営委員会(steering committee)には、オバマ政権時の高官や側近が名を連ねている。 EE News “Biden-linked team rolls out climate plan” (11/11/20)