GAO、電力グリッドの対応力に関する報告書を公表

政府説明責任局(Government Accountability Office: GAO)は今般、「電力グリッドの対応力:気候変動は広範囲な影響を及ぼすと考えられ、DOEとFERCは行動を起こすべき(Electricity Grid Resilience: Climate Change Is Expected to Have Far-reaching Effects and DOE and FERC Should Take Actions)」と題する報告書を公表した。報告書によれば、気候変動は、発電、送電、配電から電力需要に至るまでのあらゆる側面で影響を及ぼすと考えられ、一例として、より頻繁な干ばつや降雨パターンの変化によって一部の地域で水力発電が減少する可能性や、増加する山火事によって送電線が損害を受ける可能性などが挙げられている。GAOは、①エネルギー省(Department of Energy)が電力グリッドの対応力を強化するため、戦略を策定し、省内で調整努力を行うこと、②連邦エネルギー規制委員会(Federal Energy Regulatory Commission: FERC)が気候リスクを評価し、対応力を推進する方法について計画することを勧告している。 Government Accountability Office “Electricity Grid Resilience: Climate Change Is Expected to Have Far-reaching Effects and DOE and FERC Should Take Actions” (3/10/21)

MIT出版局、「ダイレクト・トゥー・オープン」を立ち上げ

マサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology: MIT)の出版局(MIT Press)は、「ダイレクト・トゥー・オープン(Direct to Open: D2O)」の立ち上げを発表した。D2Oは、この種のものとしては初となる、モノグラフ(特定の問題に関する研究を記した本や論文のこと)の持続可能なオープン・アクセスの枠組みであり、従来は個人や図書館が単一の電子ブックを購入するのみであった市場ベースの購入モデルから、協調的で図書館の支援を受けたオープン・アクセス・モデルへと移行させるものである。D2Oは、機関や団体が、知識へのアクセスを支えるための集合的な行動を育成する機会を提供する。D2Oは2022年から開始され、MIT出版局による全ての新しい学術的モノグラフ及び編集済みのコレクションが、MITプレスダイレクトEブック・プラットフォームでオープンに利用できるようになる。 Massachusetts Institute of Technology “The MIT Press launches Direct to Open” (3/10/21)

DARPA、軍人の業務を補佐するバーチャル・パートナーの開発に取り組む

現在の軍人には、複雑かつ様々なタスクを実行することが期待されており、高度な機械やプラットフォームとのやり取りは増大しつつある。人工知能(AI)が組み込まれたアシスタントは、ユーザーを補佐できる可能性があるが、現在のバーチャル・アシスタントは、高度な個々のサポートやリアルタイムの知識共有を提供するよう設計されていない。国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Project Agency: DARPA)は、ユーザーが複雑かつ物理的なタスクを実行することを支援できるAIアシスタントのための手法/技法/技術の開発を模索するため、「知覚によって実行されるタスク・ガイダンス(Perceptually-enabled Task Guidance: PTG)」プログラムを開発した。PTGは、①相互接続している一連の問題(知識移転、知覚的な訓練、知覚的な注意、ユーザー・モデリング)に対処する基礎研究と、②それらの基礎研究の成果を軍事関連の使用シナリオに当てはめた総合的実証、の2つの主要研究分野に分けられている。 Defense Advanced Research Project Agency “Developing Virtual Partners to Assist Military Personnel” (3/3/21)

バイデン政権、連邦石油リースプログラムの見直しを開始へ

内務省(Department of Interior: DOI)は3月9日、連邦政府による石油・天然ガスのリース・プログラムの見直しを3月25日に開始すると発表した。これは、バイデン政権が、連邦用地・水域における新たなリースを恒久的に停止するかどうかを判断する主要なステップとなる。見直しは、連邦用地・水域における石油・天然ガスのリースに関する公共フォーラムと共に開始され、業界や環境保護派、司法団体、労働者、その他の代表が参加し、オンラインのコメント期間が開始される。これらのインプットは、初夏に発表予定の暫定報告への情報提供として利用される。 Reuters “Biden administration to launch review of future of federal oil leasing program” (3/9/21)

上院、バイデン大統領が指名したEPA長官を承認

上院は3月10日、バイデン大統領が環境保護庁(Environmental Protection Agency: EPA)長官に任命したマイケル・レーガン氏(Michael S. Regan)を承認した。EPA長官としてバイデン政権による大型の気候・規制政策の一部を牽引していく。EPAでキャリアをスタートした同氏は、環境・再生可能エネルギー提唱機関で働いた後、ノースカロライナ州の環境品質省(Department of Environmental Quality)長官を務めた。レーガン氏は、黒人として初めてEPA長官となる。また、44歳の同氏は、バイデン政権内で最年少の閣僚の一人で、年長で経験豊富な人材が既に政権内の環境分野に登用されている中でのEPA長官となる。特に、EPA元長官で大統領府の気候政策局のトップに任命されたジーナ・マッカーシー氏(Gina McCarthy)との間で職務権限が重複する可能性がある点に共和党は批判を強めている。 New York Times “Senate Confirms Biden’s Pick to Lead E.P.A.” (3/10/21)

エネルギー省、米国製造事業者及び産業労働者の支援に5,250万ドルを発表

エネルギー省(Department of Energy)は3月8日、米国の製造事業者及び廃水処理施設の効率性強化、資金節約、炭素排出軽減を支援するDOEの産業評価センター(Industrial Assessment Center: IAC)に最高5,250万ドルを提供すると発表した。IACは、大学を拠点とする訓練プログラムで、成長中のクリーンエネルギー経済分野に進む学生の人材作りにもつながっている。IACとして選出された大学は、工学を学ぶ大学生及び大学院生に、産業プロセス、エネルギー評価手順、エネルギー管理システムに関する課程及び直接的な経験を提供する。エネルギー省は、25~35大学の選出を予定しており、助成金額は5年間で150~225万ドルと想定されている。 Department of Energy “DOE Announces $52.5 Million to Support U.S. Manufacturers and Industrial Workers” (3/8/21)

DARPA、完全準同型暗号の利用の加速を目的として研究者を選出

個人特定情報や知的財産、知的洞察、その他の形態のセンシティブな情報を保護することは、かつてないほど重要になっている。完全準同型暗号(Fully Homomorphic Encryption: FHE)と呼ばれるデータ・セキュリティ手法は、データの保管および操作方法に新しいレベルの確実性を提供する。従来の暗号化は、暗号化されたデータを計算する際には復号されなくてはならないが、復号は、データを危険にさらし、悪質な技術者や事故によって漏洩される危険性がある。FHEを使うと、暗号化された情報を計算することが可能になり、ユーザーはセンシティブなデータを広く利用することと、リスクを排除することの間でバランスをとることができる。ただし、FHEには膨大なコンピュータ・パワーと時間を必要とする。こうした中、国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Project Agency: DARPA)は、数週間が必要とされるFHEの処理時間を数秒に短縮することを目的として、「バーチャル環境におけるデータ保護(Data Protection in Virtual Environments: DPRIVE)」プログラムを開始し、3月8日、FHEアクセラレータ・ハードウェア及びソフトウェアの開発に取り組む4チームを選出したと発表した。 Defense Advanced Research Project Agency “DARPA Selects Researchers to Accelerate Use of Fully Homomorphic Encryption” (3/8/21)

エネルギー省、21世紀の新興課題に対処するため、量子情報科学に3,000万ドルを発表

エネルギー省(Department of Energy)は3月9日、極小状態(人毛の直径の10万分の1以下)で状態がどのように機能するかを理解する一助となる量子情報科学(Quantum Information Science: QIS)研究に3,000万ドルを提供する計画を発表した。QISは、気候変動から国家安全保障に至るまでの21世紀の急務かつ複雑な課題の一部を解決につながる可能性がある。エネルギー省が発表した「量子情報科学と研究インフラ(Quantum Information Science and Research Infrastructure)」と題する資金提供公募は、量子構造及び現象を合成/構築/理解するための先端能力を開発することと、同省のナノスケール科学研究センター(Nanoscale Science Research Center: NSRC)(全国に5か所)へのアクセスを通じてより広範な科学コミュニティがこれらの能力を利用できるようにすることに焦点を当てている。 Department of Energy “DOE Announces $30 Million for Quantum Information Science to Tackle Emerging 21st Century Challenges” (3/9/21)

経済封鎖緩和により、今年の米国の電力使用は増加の見通し

エネルギー情報局(Energy Information Administration: EIA)が3月9日に発表した「短期エネルギー見通し(Short Term Energy Outlook)」によれば、2021年は新型コロナウィルス感染症対策で行われていた経済封鎖が緩和されるのに伴い、米国の電力消費は2.1%増加し、石炭及び再生可能エネルギーの双方で発電量が増加する見通しである。今後の電力需要は、新型コロナの影響を受けて11年ぶりの低水準となった2020年の3兆8,040億キロワット時(kWh)から、2021年は3兆8,830億kWh、2022年は3兆9,360億kWhに増加する見通しである。更に、天然ガスによる発電のシェアは、2020年の39%から2021年には36%に、2022年は35%に減少する一方、石炭のシェアは、2020年の20%から、2021年及び2022年の23%に増加するとしている。再生可能発電のシェアは、2020年の20%から2021年は21%、2022年は23%に増加すると予測されている。 Reuters “U.S. power use to rise in 2021 as governments ease lockdowns: EIA” (3/9/21)

中国、研究開発の主要な押し上げを発表するものの、野心的な気候目標は含まれず

中国の全国人民代表大会の年次大会で発表された第14次5か年計画によれば、中国は今後5年間にわたって毎年、研究開発(R&D)支出を年間7%以上増加することをターゲットとしている。7%という数値は、今年のターゲットとされているGDPの6%増を1ポイント上回ることから、GDPに対するR&D支出比は増加する見込みであると、中国にあるノッティンガム大学(University of Nottingham)寧波キャンパスの科学政策専門家は述べる。一方、環境保護派は、中国が、2030年までに温室効果ガスの排出を削減し、2060年までに炭素ニュートラリティを達成するというゴール(習近平・国家主席が2020年9月に設定した)に向けてどのように取り組むのか、5か年計画で詳述されることを期待していたが、脱炭素化を加速させる野心的な意図は含まれておらず、失望的な内容となっている。 Science “China announces major boost for R&D, but plan lacks ambitious climate targets” (3/5/21)