WHO委員会、ヒトゲノム編集の監督とガバナンスに世界的基準を勧告

世界保健機関(World Health Organization: WHO)の専門家諮問委員会は7月12日、2つの報告書を発表して、世界の科学コミュニティに向けて、ヒトゲノム編集の使用に関する勧告を提示し、「それらは、遺伝子編集研究の潜在的な恩恵に公平かつ世界的なアクセスがある形で、公衆衛生のためのツールとして使用されるべきである」と強調した。委員会にとり、遺伝性のヒトゲノム編集に関する2020年報告書が部分的な情報源となっており、この2020年報告書は、米国医学アカデミー(U.S. National Academy of Medicine)、米国科学アカデミー(U.S. National Academy of Science)、英国王立協会(U.K. Royal Society)の支援を受け、国際委員会が作成したものである。WHOの委員会報告は、国際協力は効果的なガバナンスの鍵であるとした上で、国際レジストリを設立し、ゲノム編集実験を追跡し、違法もしくは非倫理的な研究を内密に報告する手法を開発し、ヒトゲノム編集研究は国内の政策や監督、その他の措置がある領域でのみ実施されることを確実にするための新たなWHOポリシーの策定を要請している。 National Academies “WHO Panel Recommends Global Standards for Oversight and Governance of Human Genome Editing” (7/13/21)

カリフォルニア州、歴史的なクリーン輸送投資が含まれた予算を承認

カリフォルニア州議会とギャビン・ニューサム知事(Gavin Newsom)は、前代未聞となるレベルのクリーン輸送投資が含まれた歴史的な州予算を可決した。新たな資金により、重要なゼロ排出車両及びインフラ・プログラムに大幅な支援が提供され、公衆衛生や気候、雇用といった面で数十億ドルの恩恵がカリフォルニア州民へもたらされると期待されている。最終予算には、ゼロ排出車両及びインフラに35億ドル以上の予算が含まれ、その主な内訳は、①中型・大型車両の電気化に14億ドル、②中型・大型車のための充電インフラ整備に4億1,500万ドル、③公平さに焦点を当てたクリーン輸送プロジェクトに4億ドル、などとなっている。また、これ以外に、輸送インフラ計画(Transportation Infrastructure Plan)として54億ドルの予算が計上されている。 Clean Technica “California Budget Approves Historic Clean Transportation Investments” (7/14/21)

グランホルム・エネルギー長官、長時間エネルギー貯蔵の費用削減目標を新たに発表

エネルギー省(Department of Energy)のジェニファー・グランホルム長官(Jennifer M. Granholm)は7月14日、グリッド規模の長時間エネルギー貯蔵の費用を10年以内に90%削減するというエネルギー省の新たな目標を発表した。エネルギー省の「エネルギー地球ショット・イニシアチブ(Energy Earthshot Initiative)」の2つ目のターゲットとなる「長時間貯蔵ショット(Long Duration Storage Shot)」は、クリーンな電力をいつでもどこでも利用できるよう貯蔵し、より豊富で手頃な費用で信頼できるクリーン・エネルギー・ソリューションを支えるブレイクスルーを加速させるため、大胆な目標を設定している。長時間エネルギー貯蔵は、「一度にエネルギーを10時間以上貯蔵できるシステム」と定義され、低コストで信頼性が高い炭素フリーの電力グリッドを支えるものである。 Department of Energy “Secretary Granholm Announces New Goal to Cut Costs of Long Duration Energy Storage by 90 Percent” (7/14/21)

オースティン国防長官、合同AIセンター(JAIC)に5年間で15億ドルをコミット

国防総省(Department of Defense)のロイド・オースティン長官(Lloyd Austin)は7月13日、国防総省の合同人工知能センター(Joint Artificial Intelligence Center: JAIC)に向こう5年間で15億ドルをコミットすると述べた。JAICの最終的な予算を決めるのは議会であるが、近年の議会は国防総省のAIを実現する基盤としてJAICに適切な資金を提供することに前向きである。最近の予算要請は、年間約2億ドルのJAIC予算につながっており、長官の15億ドルが議会によって承認されれば、その額は年間約3億ドルに増加し得る。オースティン長官は、AIに関する国家安全保障委員会(National Security Commission on AI)会議で、「責任ある形で実施することで、AIにおけるリーダーシップは我々の未来の軍の技術的優位性を強化することができる」と述べた。長官によれば、現在国防総省内では600件以上のAIプロジェクトが進行しており、JAICは同省におけるAI推進の中心となっている。 Fedscoop “Austin commits to $1.5B for DOD’s Joint AI Center over next 5 years” (7/13/21)

大統領府、気候変動報告を担当する新ディレクターを任命

バイデン政権は、環境保護庁(Environmental Protection Agency: EPA)の科学者、アリソン・クリミンズ氏(Allison Crimmins)を、米政府が作成する次の「国家気候評価(National Climate Assessment)」の主導者として選出した。国家気候評価は、議会によって作成が義務付けられている報告書で、次回の発表は2023年末である。過去10年間EPAに務めたクリミンズ氏は、評価ディレクターとして、報告書を作成する米国地球変動研究プログラム(U.S. Global Change Research Program: USGCRP)に参加する13の連邦機関の研究及びファインディングを活用すると共に、外部専門家の意見も取り入れる活動を主導する責務を負う。同氏は、今回で5版目となる評価報告書について、「これまでで最高のものとし、多くの異なる対象者にとり、有益性及び利便性が高いものとすることにコミットしている」と述べた。クリミンズ氏は、USGCRPのマイケル・クーパーバーグ所長(Michael Kuperberg)(昨年11月にトランプ前政権によって追放され、最近同職に復職)と協力して取り組む。 Washington Post “White House appoints new director to steer key climate change report” (7/13/21)

エレクトリファイ・アメリカ社、EV充電器の数を倍増へ

エレクトリファイ・アメリカ社(Electrify America)(ディーゼル排出の虚偽問題でフォルクスワーゲン社(Volkswagen)が米政府との和解の一部として設立した事業体)は、米国及びカナダに設置する電気自動車(EV)用急速充電スタンドの数を2025年までに2倍にすると発表した。同社はこれまでに、2021年までに米国内に約800か所の充電スタンドと約3,500基の充電器を設置する計画を発表していた。実施されれば、1,800か所の急速充電スタンド(1万基の個別充電器)が設置・運用されることになる。そのうち約1,700スタンドは米国内に設置される。これは、親会社であるVWグループ(VW Group)が7月12日に発表した、北米、アジア、欧州で公共充電インフラを強化するという計画の一部である。 Tech Crunch “Electrify America to double number of EV chargers as wave of electric vehicles come to market” (7/14/21)

エネルギー省のサイバー応答局、予算管理の欠落により、数百万ドルを浪費

エネルギー省(Department of Energy)の監査官(Inspector General)の報告によれば、2018年にエネルギー省内に設立されたサイバーセキュリティ/エネルギーセキュリティ/緊急応答局(Office of Cybersecurity, Energy Security, and Emergency Response: CESER)内で、複数の疑わしい支出慣行が見られたが、トップ(初代局長)の異動が行われた後、それらの慣行は改善されたという。7月12日に発表された監査官報告によれば、監査官は、①CESERには、予算を監督するための正規職員と内部管理方針・手順がない、②国立研究所向けに充当された750万ドルがスタートアップ企業への資金拠出へ使用された、など4つの点で不正支出の申し立てを受理していた。監査官はこのうち2点について実証し、その他の2点については完全な実証はされていないが、「それらの資金が賢明に使用されたか疑問である」としている。 Nextgov “Energy’s Cyber Response Office Misspent Millions Due to Lack of Budget Management” (7/12/21)

GAO、連邦による顔認識技術の利用に関し調査

政府説明責任局(Government Accountability Office: GAO)は、下院の犯罪/テロリズム/国土安全保障小委員会(Subcommittee on Crime, Terrorism, and Homeland Security)での議会証言報告書「顔認識技術:連邦法規取締機関は、職員が利用するシステムについてより良い認識を持つべき(Facial Recognition Technology: Federal Law Enforcement Agencies Should Have Better Awareness of Systems Used By Employees)」を公表した。GAOが、法規取締官のいる42の連邦機関での顔認識技術の利用について調査したところ、20機関が「かかるシステムを所有、もしくは他者が所有するシステムを利用」、6機関が「2020年5月のジョージ・フロイド氏(George Floyd)の死後、市民的な混乱や暴動、デモの間、法規違反被疑者を特定するために同技術を利用」、3機関が「1月6日の米国議事堂攻撃の画像について同技術を利用」、そして、14機関が「非連邦システムを利用」と報告した。GAOは、関連する別の報告書の中で、13機関に対し、職員による非連邦システムの利用を追跡し、こうしたシステムのプライバシーや正確性について呈するリスクを評価するよう勧告している。 Government Accountability Office “Facial Recognition Technology: Federal Law Enforcement Agencies Should Have Better Awareness of Systems Used By Employees” (7/13/21)

スパコン「トップ500」:富岳が引き続き1位で米パールマッターが5位デビュー

6月28日、スパコンの世界ランキング「トップ500(Top500)」の第57版が発表された。多くのシステムが前回版と同様で、富岳が引き続き1位(リンパック性能で442ペタフロップス)となり、大幅なリードを維持した。また、上位10以内にランクした新参システムは、ローレンス・バークレー国立研究所(Lawrence Berkeley National Laboratory)に設置されたパールマッター・システム(Perlmutter system)(5位)(同65.69ペタフロップス)のみであった。トップ500にランクインしたシステム数で見ると、中国(186件)が最多となっている(ただしその数は半年前の214件から大幅に減少)。米中間の地政学的な緊張を受け、中国はトップ500で自身のシステムを誇示する意欲をそがれたようである。トップ500にランクインした米国のシステム数は、前回の113件から123件へと増加した。上位100システムで見ると、米国33、日本19,ドイツ11、中国3となっている。 HPC Wire “Top500: Fugaku Still on Top; Perlmutter Debuts at #5” (6/28/21)

「SBIR:連邦機関は不正や無駄などの防止を目的とした要件を実践する必要あり」とのGAO報告

政府説明責任局(Government Accountability Office: GAO)は今般「中小企業技術革新制度:連邦機関は不正や無駄、悪用を管理するための要件を全面的に実践する必要がある(Small Business Innovation Research (SBIR): Agencies Need to Fully Implement Requirements for Managing Fraud, Waste, and Abuse)」と題する報告書を発表した。2019年度に連邦機関は中小企業の研究開発及び技術の商業化活動に約40億ドルを助成し、中小企業庁(Small Business Administration: SBA)は、合計11の連邦機関が行う本プログラムの監督を行っている。SBAは、本プログラムの不正や無駄、悪用を防止するため、10件の要件を設定しているが、多くの連邦機関がこれらの要件を完全には実践していないことが判明したという。このためGAOは、連邦機関がSBAが定める10件の要件を全面的に実践するよう勧告している。 Government Accountability Office “Small Business Innovation Research: Agencies Need to Fully Implement Requirements for Managing Fraud, Waste, and Abuse” (6/30/21)