技術系企業、H-1Bビザのより円滑な状況を歓迎

バイデン政権によるH-1Bビザへのアプローチは、激動だったトランプ前政権の4年間に比べると、大手の技術系企業の人材採用プロセスに確実性をもたらしている。米国政策財団(National Foundation for American Policy)が政府のデータを分析した所によれば、バイデン政権初年度におけるH-1Bビザ申請書の却下率は4%と記録的低さとなっている。トランプ前政権の間、この却下率は2018年度に24%に急上昇し、2019年度は21%、2020年度は13%となっていた。H-1Bビザの付与数は年間8万5,000件に制限されているが、需要は供給を大幅に上回り、雇用主は30万件以上の登録を申請している(2022年度)。こうしたことから、米政府はまず抽選を行って応募者を絞り込み、その中から要件の審査を行う。前述の拒否率はこの段階の数値である。 Axios “Tech firms cheer smoother visa sailing” (1/12/22)

DARPA、グラント応募申請者にリスク・ルーブリック(評価基準)を採用へ

国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Project Agency: DARPA)にとり、科学的メリットが第一であることに変わりはないが、DARPAは今般、外国政府との結びつきがある科学者へ資金を提供することでもたらされる国家安全保障上の潜在的リスクについても考慮し始めた。DARPAの上級高官が以前に行った提案が、新たに開発された「リスク・ルーブリック(risk rubric)」に基づき、再検討されている。これは、プログラム・マネジャーが、提案されている研究の主要科学者が外国政府もしくは事業体から受益している研究支援に基づき、「極めて高い」から「低い」までリスク評価(全4点)をするもの。質問には、「応募者は、外国の人材リクルートプログラムに参加したことがあるか」「米政府が安全保障上の懸念を示す個人・企業・機関と協力したことがあるか」などが含まれる。米国の同盟国が実施する人材プログラムへの参加は、そうでない国のプログラムに比べ、リスク性は低くなる。DARPAがルーブリックに着手したのは約2年前であるが、初期版(昨年9月に発表)には研究者と外国人・事業体との個人的な関係の評価が含まれていたことなどから人種的分析につながる可能性があるとの懸念が表明され、進展していなかった。こうした言語を削除した新たなバージョンが昨年12月に発表されていた。 Science “DARPA adopts risk rubric to judge grant applicants” (1/10/22)

OSTP、科学的完全性に関するタスクフォースの報告書を発表

大統領府科学技術政策局(Office of Science and Technology Policy: OSTP)は1月11日、「科学的完全性に関するタスクフォース(Scientific Integrity Task Force)」が作成した報告書を発表した。報告書は、米政府内における科学的完全性の政策及び慣行を包括的に評価したもので、政府に対する国民の信頼を回復し、正確かつ証拠に基づく政策策定を確実にするというバイデン大統領の要請に応じたものである。報告書のファインディングとして、①科学的完全性の違反は連邦政府全体の科学活動の規模から見ると、その件数は少ないものの、連邦政府の意思決定及び国民の科学への信頼を大幅に損ねる可能性がある、②科学的完全性に関する現行の連邦政策は、従来の行政措置への対応として行われているが、科学の実施や管理、コミュニケーション、使用における不適切な影響をより良く抑止するために強化される必要がある、などが挙げられている。OSTPは今後数か月間、これらのファインディングに基づいて、科学的完全性に関する政策及び慣行の定期的な評価と継続的な改善を目的とした計画を策定する。 White House “White House Office of Science & Technology Policy Releases Scientific Integrity Task Force Report” (1/11/22)

チャン・ザッカーバーグ・バイオハブ、大学研究者による先見的な初期ステージ研究に8,600万ドルを発表

チャン・ザッカーバーグ・バイオハブ(Chan Zuckerberg Biohub)は、CZバイオハブ研究者(CZ Biohub Investigator)となる第二次コホートの科学者を発表した。この研究者プログラムは、スタンフォード大学(Stanford University)、カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UC San Francisco)、カリフォルニア大学バークレー校(UC Berkeley)の教員を対象としたもので、各研究者に5年間で100万ドルの資金(非制限)を提供するもの。バイオ医薬で最大の課題を解決する一助となるべく、ベイエリアの科学者が互いに関与し協調しながら創造的かつ革新的な研究に取り組むコミュニティを構築することを目的としている。今回、約700名の応募者の中から86名の受益者が選出された。その学問分野は、基礎生物科学、臨床バイオ医薬科学、物理学、化学、工学、コンピューター及びデータ科学、統計、公衆衛生など多岐にわたる。 Chan Zuckerberg Biohub “Chan Zuckerberg Biohub announces $86 million in new funding to Investigators at Stanford, UCSF, and UC Berkeley for visionary early-stage research” (1/11/22)

人口の視覚的監視に関するAI研究のトレンド

セキュリティ・新興技術センター(Center for Security and Emerging Technology: CSET)は今般、「人口の視覚的監視に関するAI研究のトレンド(Trends in AI Research for the Visual Surveillance of Populations)」と題する報告書を発表した。人工知能(AI)の進展を受け、AIを使った監視システムの能力に懸念が高まっている。本報告書は、計量書誌学的分析を用いて視覚的監視の研究(顔認識などのアルゴリズムの開発。これらは個人やグループを監視するために利用される可能性がある)における最近のトレンドをとらえようとするものである。報告書の執筆者は2015~2019年に出版された英語の論文のデータベースを使い分析を行った。そのファインディングとして、①視覚的監視に関連する論文が、コンピュータ・ビジョンに関する全ての研究に占める割合は10%以下である、②コンピュータ・ビジョンと視覚的監視の研究の双方の論文において、中国の組織に所属する研究者の論文は3分の1以上を占める、などが挙げられている。 Center for Security and Emerging Technology “Trends in AI Research for the Visual Surveillance of Populations” (January 2022)

CSET、影響力の高いAI研究への米国と中国の貢献の比較

セキュリティ・新興技術センター(Center for Security and Emerging Technology: CSET)は今般、「影響力の高いAI研究への米国と中国の貢献の比較(Comparing U.S. and Chinese Contributions to High-Impact AI Research)」と題する報告書を発表した。ここ十年間で、引用件数が多い人工知能(AI)の論文の執筆者が中国人研究者である割合は高まりつつある。しかし、中国国内外から中国人研究者による論文に疑問を唱える分析もある。本報告書は、引用件数を軸に両国の比較を試みたものであり、ファインディングとして、①中国人研究者によるAI論文が引用されるケースは高まっており、米国人研究者によるそれとの競争力が高まりつつある、②中国の優れた論文はしばしば中国外で引用されているものの、国際的な引用数では米国に後れを取っている、などが挙げられている。 Center for Security and Emerging Technology “Comparing U.S. and Chinese Contributions to High-Impact AI Research” (January 2022)

エネルギー省、廃棄された石油・天然ガス坑井の地熱の可能性評価に840万ドルを提供

エネルギー省(Department of Energy)は1月12日、廃棄された石油・天然ガス坑井から新たな地熱エネルギー及び熱を生産することに取り組む4つの組織に、最高840万ドルを提供する。この資金提供を通じて、エネルギー省は、停止状態もしくは非生産的な坑井の所有者及び事業者と協力し、これらの坑井を使って未開拓の地熱の可能性を評価する。石油坑井を地熱坑井へ変換することで、米国の地熱エネルギーの能力を拡大し、バイデン=ハリス政権の目標(2035年までに炭素フリーとする)達成を支援できる可能性がある。受益するのは、テキサス州のジオサーミックス社(Geothermix, LLC)(既存の石油・天然ガス坑井から廃熱を集め、商業規模の地熱発電に取り組む)やICEサーマル・ハーベスティング社(ICE Thermal Harvesting)(革新的な発電技術を用いて、カリフォルニア州にある既存の石油・天然ガス坑井から電力を生産する)など、4つの組織。 Department of Energy “DOE Awards $8.4 Million for Accessing Geothermal Potential from Abandoned Oil and Gas Wells” (1/12/22)

国防総省監査官、同省のAIプロジェクトの文書化の状況を批判

国防総省(Department of Defense)の監査官(inspector general)が作成した報告書によれば、国防総省は、代表的なプログラムである人工知能(AI)プロジェクトの活動を適切に文書化しておらず、将来的に問題が発生するリスクが高まっているという。監査官は、ビッグデータと機械学習の統合を加速させることを狙いとした主要プロジェクトの「プロジェクト・メイベン(Project Maven)」について、連邦法及び政策に沿った形で契約の監視が行われているかについて評価した。監査官の評価によれば、関連する全ての政府組織は、プロジェクト・メイベンの1件の共同契約及び4件の契約について、国防総省の「アルゴリズム的戦争のための機能横断型チーム(Algorithmic Warfare Cross-Functional Team)」が事前に設定した成果に到達できるよう、監視と管理を適切に行っている。しかし、機能横断型チームは、その手法を文書化しておらず、そのことはいずれ、プログラムの拡大や人事異動によって契約の監視と管理に問題が生じるリスクにつながる可能性があるという。更に、文書化されていないことは、プロジェクトの長期的な成功と成長に否定的な影響を及ぼす可能性がある。 Defense News “Inspector General criticizes documentation on Pentagon’s artificial intelligence project” (1/10/22)

フランス、軍事的利益を視野に入れ、国レベルの量子技術に大きく乗り出す

フランスは、複数の部門にわたる新規かつ最先端のコンピューティング・プラットフォームを構築して量子分野に参入し、この新興の技術分野での研究開発(R&D)活動を支援するために、今後数年間で数十億ユーロを投資する。フランスの高官は1月4日のイベントで、国家ハイブリッド量子コンピューティング・プラットフォームの立ち上げを発表した。これは、エマニュエル・マクロン仏大統領(Emmanuel Macron)が1年前に開始した国家量子技術戦略計画に基づくもの。同計画は、2021~2025年に量子技術の開発に18億ユーロ(20億ドル)を割り当てている。まずは7,000万ユーロ(最大1億7,000万ユーロ)を投じて、従来型のシステムと量子コンピュータを相互接続させる。これらのシステムはいずれ、国際的な研究機関やスタートアップ、業界パートナーにもアクセス可能となる。プラットフォームの管理はフランスの国立デジタル科学技術研究所(National Institute for Research in Digital Science and Technology: INRIA)が行い、パリにある軍事技術専門施設に設置される。 Defense News “Eying military gains, France goes big on national quantum technology” (1/5/22)

国土安全保障省、気候変動に焦点を当てた新たな職員訓練プログラムを開始

災害復旧から重要インフラ保護や移民問題に至るまで、国土安全保障省(Department of Homeland Security: DHS)の様々なミッションは、気候変動による新規かつ変化し続ける課題に直面している。こうした中、DHSのアレハンドロ・マヨルカス長官(Alejandro Mayorkas)は、職員がこれらの脅威を管理するための技能と知識を有していることを確実にするため、新たに「気候変動専門家プログラム(Climate Change Professionals Program)」を開始する。これは、近年の大学卒業生及び現行の連邦職員をリクルートし、気候変動への適応と対応力強化への焦点を増大させつつあるDHSの活動を支援することを狙いとしている。この訓練は、マヨルカス長官が昨年発足させたDHSの気候変動行動グループ(Climate Change Action Group)の下で行われている様々な新規活動の一つ。訓練は2年間のプログラムで、6月に開始予定。DHSは、10~12名の参加者を想定している。 Federal News Network “DHS launching new employee training program focused on climate change” (1/12/22)