バイデン大統領の気候目標到達には更なる行動が必要

ロジウム・グループ(Rhodium Group)が7月14日に発表した報告書「2022年の調査:不確実な世界における米国の温室効果ガス排出の見通し(Taking Stock 2022: US Greenhouse Gas Emissions Outlook in an Uncertain World)」によれば、米国は現在、地球温暖化の軽減を目的として、追加の政策行動を講じなければ、バイデン大統領の気候目標を達成することは難しいという。報告書は、米国は2030年までに、2005年と比べて24~35%の排出を削減できるとしている。バイデン大統領が目標としているのは50~52%の削減であり、それに比べると大幅に少ない。なお、報告書の予測には、現在提出されているものの、最終取りまとめに至っていない規則が含まれていない。 The Hill “Additional action needed to meet Biden’s climate goals: analysis” (7/14/22)

米エネルギー省、クワッドで初のエネルギー相会合に出席

米エネルギー省(Department of Energy)のジェニファー・グランホルム長官(Jennifer M. Granholm)は7月12日、日米豪印の4か国によるクワッド(Quad)のエネルギー会合に出席した。バイデン政権は、クワッドの安全保障ミッションを拡大し、気候変動を含む21世紀型の脅威に対処することに取り組んでいる。今回の会合は、クワッド4か国内でエネルギー安全保障強化に取り組む18年間の歴史の中で初のエネルギー相会議であり、クリーン・エネルギーへの移行を加速させるものである。会合で4か国の大臣は、バイデン政権発足時から展開されていた「クワッドクリーン・エネルギー・イノベーション及び導入(Quad Clean Energy Innovation and Deployment)」作業プログラムの進展について協議した。 Department of Energy ” DOE Participates in First-Ever Meeting of Quad Energy Ministers” (7/13/22)

バイデン政権、採鉱地を新たなクリーン・エネルギー・ハブへ変革するため、5億ドルのプログラムを開始

エネルギー省(Department of Energy)は6月29日、国内の現行もしくはかつての採鉱地でクリーン・エネルギー実証プロジェクトを実施することを目的として、超党派インフラ法(Bipartisan Infrastructure Law)から5億ドルの拠出を受けて実施されるプログラムについて、「情報の要請(Request For Information: RFI)」を発表した。エネルギー省のクリーン・エネルギー実証局(Office of Clean Energy Demonstrations)を通じて実施される「現行及びかつての採鉱地でのクリーン・エネルギー実証プログラム(Clean Energy Demonstrations on Current and Former Mine Land Program)」は、これらの採鉱地で行われる地熱エネルギーなどのクリーン・エネルギー・プロジェクトに資金を提供し、地域社会及びその経済への恩恵、良好賃金雇用の創出、炭素汚染の削減を目指す。エネルギー省は、プログラムの設計方法について、広範な関係者からのコメントを募集している。 Department of Energy “Biden Administration Launches $500 Million Program to Transform Mines Into New Clean Energy Hubs” (6/29/22)

米国、オランダ政府に対し、同国の企業による中国へのチップ製造設備の販売禁止を要望

情報筋によれば、米国政府は、オランダ政府に対し、同国のASMLホールディングNV(ASML Holding NV)が中国のチップ・メーカーへ、チップの大量生産を行う上で重要な主流技術を輸出することを禁止するよう働きかけている。これは、中国の台頭を抑止しようとする米国の活動の延長線上にある。米政府による禁止措置の提案は、先端システムの対中国売却に関する現行のモラトリアムを拡大するもので、チップ製造の世界的リーダーになろうとする中国の計画を阻止する試みである。もしオランダ政府が規制の強化に同意すれば、現在、中国への輸出が禁止されているチップ製造設備が大幅に拡大されることになり、中国のチップ・メーカーにとっては大きな痛手となる。オランダ政府は、ASMLによる中国のチップ・メーカーへの輸出の更なる規制についてまだ何ら同意していない。米政府高官は、日本に対しても同様技術を中国のチップ・メーカーへ輸出することを禁止するよう圧力をかけている。 Bloomberg “US Wants Dutch Supplier to Stop Selling Chipmaking Gear to China” (7/6/22)

全米学識者協会、「孔子学院は米国の政策を回避するために姿を変えている」と報告

全米学識者協会(National Association of Scholars: NAS)が発表した報告書「孔子学院のその後:米国高等教育機関への中国の持続的な影響(After Confucius Institutes: China’s Enduring Influence on American Higher Education)」によれば、中国政府が資金を拠出し、米国内の大学で展開していた孔子学院(Confucius Institute)は、州及び連邦政府の高官が、「孔子学院は、検閲やプロパガンダ、スパイの源となっている」と判断した後、急速に閉鎖している。米国内にある118件の孔子学院のうち、104件が、閉鎖、もしくは閉鎖の途上にあるという。しかし、少なくとも64の大学で、孔子学院に類似するプログラムが別の名称、もしくは孔子学院の共同スポンサーとなっていた中国事業体との密接な関係を維持している。NASの上級研究フェローで「孔子学院のその後」の共同執筆者であるラシェル・ピーターソン氏(Rachelle Peterson)は、「NASは5年前に発表した『中国へのアウトソース(Outsouced to China)』で、中国政府がどのように孔子学院を利用しているかを詳述した。しかし現在、孔子学院の相次ぐ閉鎖にもかかわらず、大学は新たな名称の下、極めて類似するプログラムに無邪気に署名している」と述べる。 National Association of Scholars “Press Release: Confucius Institutes Rebrand to Circumvent U.S. Policy, Report Finds” (6/21/22)

OECD、世界的な研究エコシステムにおける完全性と安全保障について報告

経済協力開発機構(Organisation for Economic Cooperation and Development: OECD)は2022年6月、OECD科学・技術・業界政策論文(OECD Science, Technology and Industry Policy Paper)として、「世界的な研究エコシステムにおける完全性と安全保障(Integrity and Security in the Global Research Ecosystem)」を発表した。研究の完全性と安全保障に関する責務は、国際的な研究エコシステムの当事者(国家政府、研究資金拠出機関、研究機関、大学、学術協会、政府間組織など)間に分散されている。本論文は、国及び経済の安全保障を保護しつつ、質問の自由を保護し、国際的な研究協力を推進し、開放性と非差別を確実にする政策イニシアチブと行動について概説している。論文には、海外の干渉を防止するために講じられている措置や、リスク管理、将来の科学への信頼を確実にする助けとなる事例が含まれており、各国が、より広範な研究完全性の枠組みの一環として研究の安全保障を強化する上で、効果的な政策を立案するための勧告を提示している。 Organisation for Economic Cooperation and Development “Integrity and security in the global research ecosystem” (June 2022)

NSTC、連邦ビッグデータ研究開発戦略的計画の更新に関する情報の要請

国家科学技術会議(National Science and Technology Council: NSTC)は、2016年連邦ビッグデータ研究開発戦略的計画(2016 Federal Big Data Research and Development Strategic Plan)」の潜在的な更新について一般からのコメントを募集している。具体的には、①連邦資金を受けた研究で引き続き優先的とされる分野、②新たなリスクまたは機会となる分野、③データ・イノベーション・エコシステムのその他の部門との共同作業を活用し、イノベーションの加速や包含的かつ公平なアクセスの向上、ビッグデータ研究開発の参加の拡大につなげるための選択肢、を特定するための情報を模索している。コメントの提出締め切りは7月29日。 Federal Register “Request for Information on the Federal Big Data Research and Development Strategic Plan Update” (7/10/22)

GAO、「国防産業基盤に関し国防総省はリスク軽減手法を強化するための措置を講ずべき」と報告

政府説明責任局(Government Accountability Office: GAO)は今般、「国防産業基盤:国防総省はリスク軽減手法を強化するための措置を講ずべき(Defense Industrial Base: DOD Should Take Actions to Strengthen Its Risk Mitigation Approach)」と題する報告書を発表した。現在20万社以上が国防総省(Department of Defense)に兵器供給品や部品の提供、製造を行っている。こうした国防産業基盤のリスクには、マテリアル不足、海外サプライヤーへの依存などが含まれる。報告書は、「国防総省の様々な局や軍事部門がこうしたリスクを監視し、それらを軽減することに取り組んでいるが、こうしたリスクを軽減するための頑強な戦略、もしくは省全体の進捗状況を追跡する戦略がない」と指摘した上で、頑強な戦略の策定など複数の勧告を提示している。 Government Accountability Office “Defense Industrial Base: DOD Should Take Actions to Strengthen Its Risk Mitigation Approach” (7/7/22)

バイデン政権、アラスカ州の原油プロジェクトへの支持を示唆

バイデン政権は、アラスカ州のノース・スロープにおける大型原油掘削プロジェクトの承認へ向けた主要なステップを取った。これに対して環境保護派は、「同プロジェクトを進展させることは、新規の石油リース権の販売を終了するというバイデン大統領の気候変動に関する約束を愚弄するものである」と憤りを示している。問題となっているのは、コノコフィリップス社(ConocoPhillips)のプロジェクトで、「ウィロー(Willow)」プロジェクトとして知られ、アラスカ州の国家石油備蓄(National Petroleum Reserve)内に所在する。当初、トランプ政権下で承認され、後にバイデン政権が支持したが、その後、連邦判事によって「環境評価で、気候変動及び野生生物への影響が十分に考慮されていない」として阻止された。これを受けて、バイデン政権が7月8日に新たな環境分析報告を発表した。本報告で、内務省(Department of the Interior)は、「数十億ドル規模の本計画により、ピーク時には一日当たり18万バレル以上の原油が生産され、原油の燃焼や現場での建設及び掘削活動などを通じて、ライフサイクルで少なくとも2億7,800万メトリックトンの二酸化炭素が排出される」とした。内務省は、新たな分析には複数の選択肢が盛り込まれているとした上で、45日間のパブコメ受付を行い、今年後半に最終判断を行う見通しである。これに対して反対派は、「分析を発表したこと自体、バイデン政権が本プロジェクトを支持していることを示唆する」としている。 New York Times “Biden Administration Signals Support for Controversial Alaska Oil Project” (7/8/22)

経済分析局、米国における海外直接投資に関する新データを発表

商務省(Department of Commerce)の経済分析局(Bureau of Economic Analysis)の発表によれば、米国企業の買収・設立・拡大を目的とした海外からの対米直接投資額は、2021年に3,336億ドル(予備値)に達した。この額は、2020年の1,414億ドル(改定値)から1,922億ドル増加し、2014-2020年の年間平均である2,897億ドルを上回った。海外からの対米直接投資の内訳は、従来同様、既存企業の買収がその大半(3,302億ドル)を占めた。業界別で見ると、新規の対米直接投資支出が最大だったのは製造業で1,213億ドル(36.4%)であった。実質的支配者(ultimate beneficial owner: UBO)を国別で見ると、最大の対米直接投資国は英国で、投資額は597億ドル、次いでオランダ(431億ドル)、フランス(353億ドル)となっている。記事ではこの他、「グリーンフィールド(新規)投資支出」、「新規に買収・設立・拡大された海外企業の雇用」について記述している。 Department of Commerce “BEA Releases New Data on Foreign Direct Investment in the United States” (7/7/22)