エネルギー省、電力グリッドの現代化を目的として、州政府や部族国家に7,700万ドルを投資

バイデン大統領の「米国への投資(Investing in America)」議題の一部として、エネルギー省(Department of Energy)は6月16日、「グリッドの対応力に関する州政府と部族向け公式グラント(Grid Resilience State and Tribal Formula Grants)」の第2次コホートとして、7つの州、3つの部族国家、ワシントンDC が7,700万ドル以上を受益すると発表した。同グラントは、超党派インフラ法(Bipartisan Infrastructure Law)の支援を受けて実施され、電力グリッドの現代化を通じて異常気象や自然災害の影響を削減しつつ、電力部門の信頼性を確実にすることに取り組むもの。人口の規模や土地、ディスラプティブな出来事の可能性と重大性、軽減努力に関する地域の歴史的な支出などの要素を含めた公式に基づき、今後5年間で23億ドルが、州政府や準州、連邦の認定を受けた部族に配分される。 Department of Energy “Biden-Harris Administration Invests $77 Million in States and Tribal Nations to Modernize America’s Electric Grid” (6/16/23)

米国科学者の外国人パートナーに全データの定期的提出を義務付けるNIHに抗議高まる

国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)が、外国の研究者グループに対して、「NIHのパートナーにそれぞれのラボのメモやその他の生データのコピーを少なくとも数カ月おきに提出すること」を義務付けた新たな要件について、米国の多くのバイオメディカル研究者及びその海外の共同研究者は、警戒的な反応を示している。例えば、蚊を媒介とする疾病の研究で、米国の大学を通じてNIHの資金を受益しているブラジル人研究者は、この新たな要件は「馬鹿げている」と述べる。米政府の資金を得て中国で行われていたウィルス学研究を巡る懸念が引き金となって実施された5月19日の方針変更(10月1日施行)は、NIHのグラントに外国のパートナーがいる場合、費用高となる新たなペーパーワークの負担を強いる可能性があると、科学者やバイオメディカル研究の提唱団体は言う。現行では、共同作業者は、論文で使用された結果のみを共有し、それらを下支えするデータは、それぞれの機関で保管している。NIHによれば、今回の変更は、以前に実施された厚生省(Department of Health and Human Services: HHS)による監査の結果である。監査報告は、NIHが非営利組織のエコヘルス・アライアンス(EcoHealth Alliance)へアワードを提供した件で、「その監督には問題がある」と指摘していた(エコヘルス・アライアンスは、武漢ウイルス研究所(Wuhan Institute of Virology)によるウィルス研究に資金の再配分を行っていた)。 Science “NIH mandate that foreign partners of U.S. scientists regularly submit all data stirs outcry” (6/13/23)

NSF、第1回地域イノベーション・エンジン・コンペで34件のセミファイナリストを選出

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)は、初となる「NSF地域イノベーション・エンジン(NSF Regional Innovation Engines: NSF Engines)」コンペで、34件のセミファイナリストを選出した。選出されたセミファイナリストの活動分野は、CHIPS・科学法(CHIPS and Science Act)で強調されたほぼ全ての主要技術分野及び社会的・経済的課題に広がっている。NSFエンジンは、米国内の大学、非営利組織、企業、その他の組織が主導する。セミファイナリストは、先端農業、先端製造及びビル建設、先端マテリアル、先端モビリティ、航空宇宙、バイオ経済、ブルー経済/循環経済、気候と対応力、医療と福祉、物流とサプライチェーンなど14の分野に分類されている。NSFは、セミファイナリストの一覧を公表することで、多様な組織どうしの提携、イノベーション、地域成長を、透明性のある形で奨励する。NSFエンジンの受益機関は、10年間で最大1億6,000万ドルを受益する可能性がある。NSFは、今秋に最終的なNSFエンジンのリストを発表する見通しで、各機関は、最初の2年間に約1,500万ドルを受益する。 National Science Foundation “NSF selects 34 semifinalists for the inaugural NSF Regional Innovation Engines competition” (6/14/23)

バイデン政権、輸送インフラの次世代イノベーションを強調する新たな行動の発表とARPA-Iの初サミット開催

バイデン政権は6月13日、新たに形成されたインフラ高等研究局(Advanced Research Projects Agency-Infrastructure: ARPA-I)を通じて米国の輸送インフラのイノベーションを加速させる一連の措置を発表した。ARPA-Iは、超党派インフラ法(Bipartisan Infrastructure Law)によって承認されたもので、運輸省(Department of Transportation)内に設置された。ARPAモデルを基に創出された新たなARPA-Iは、米国の将来の輸送が、全ての人にとって安全でセキュアで効率的で対応力のあるものとなることを確実にすることに取り組む。同日に発表された措置には次のようなものが含まれる。①ARPA-Iは、運輸省のプログラム担当官と協力し、超党派インフラ法の拠出で実施されるインフラ研究開発(R&D)の加速に取り組む、②ARPA-Iは全国のコミュニティとパートナーを組み、研究者やアントレプレナー、企業、輸送提唱者などと共に、全国傾聴ツアーを実施する、③ARPA-Iが模索すべき「可能性が高い分野」について一般市民や専門家から意見を募集する「情報の要請(Request for Information: RFI)」を発表、④ARPA-Iは、運輸省による「交差点安全性チャレンジ(Intersection Safety Challenge)」について発表。 White House “FACT SHEET: Biden-⁠Harris Administration Announces New Actions, Hosts Inaugural ARPA-I Summit to Highlight the Next Generation of Transportation Infrastructure Innovation for Americans” (6/13/23)

エネルギー省、米国の産業部門全般での排出削減に1億3,500万ドル

エネルギー省(Department of Energy)は6月15日、産業部門の炭素汚染を削減し、主要な変革的/革新的技術を進展させることで米国を2050年までに正味ゼロ排出経済へと進行させることを目的とした合計40件のプロジェクトに1億3,500万ドルを提供すると発表した。エネルギー省の産業効率及び脱炭素化局(Industrial Efficiency and Decarbonization Office)を中心に資金提供された40件のプロジェクトの拠点は21州に及び、36の異なる大学、国立研究所、企業が主導する。その内訳は次の通り。①化学の脱炭素化(Decarbonizing Chemicals)(9件、3,830万ドル)、②鉄鋼の脱炭素化(Decarbonizing Iron and Steel)(10件、3,190万ドル)、③飲食品の脱炭素化(Decarbonizing Food and Beverage Products)(3件、1,140万ドル)、④セメントとコンクリートの脱炭素化(Decarbonizing Cement and Concrete)(5件、1,640万ドル)、⑤紙・森林製品の脱炭素化(Decarbonizing Paper and Forest Products)(6件、1,620万ドル)、⑥部門横断型脱炭素化技術(Cross-Sector Decarbonization Technologies)(7件、2,040万ドル)。 Department of Energy “Biden-Harris Administration Announces $135 Million to Reduce Emissions Across America’s Industrial Sector” (6/15/23)

防衛に焦点を当てたバイオテクノロジーに対するVC投資額は32億ドル

新型コロナのパンデミックによって露呈したバイオセキュリティ・リスクや、遺伝子編集、合成細胞作成などの新技術を受け、軍が新興の脅威に対抗する助けとなり得るバイオテクノロジー企業に投資するベンチャーキャピタル(VC)が急増している。ピッチブック社(PitchBook)の「バーティカル・スナップショット:国防技術(Vertical Snapshot: Defense Tech)」によれば、このようなバイオテクノロジー企業は、4月28日までの12か月間に32億ドルを調達した。同期間の間、ファイブ・アイズ(Five Eyes)と呼ばれる諜報同盟国(米、英、加、豪、ニュージーランド)に拠点を置く企業の中で、バイオテクノロジー企業は、再生可能エネルギー部門(40億ドル)、検知/接続性/セキュリティ部門(34億ドル)に次ぐ、最も人気の高い防衛技術部門であった。2022年の顕著なバイオテクノロジー取引案件には、合成生物企業のアルトス・ラボ社(Altos Labs)(初期ラウンドで30億ドル)、医薬品の新たな製造手法開発に取り組むレジリエンス社(Resilience)(シリーズDで6億2,500万ドル)が含まれる。 Pitch Book ” VCs inject $3.2B into defense-focused biotechnology” (5/30/23)

責任あるAI枠組みを選択するためのマトリックス

セキュリティ・新興技術センター(Center for Security and Emerging Technology: CSET)は今般、「責任あるAI枠組みを選択するためのマトリックス(A Matrix for Selecting Responsible AI Frameworks)」と題する報告書を発表した。現在、組織が責任ある人工知能(AI)システム(もしくは望まないリスクを最小限にし、恩恵をもたらすアウトカムを作り出すシステム)を実践するために使用できるツールの数は増大している。しかし、これらのツールの選択方法や適用方法は常に明確とは限らない。本報告書は、こうしたツールの一つであるプロセス・ベースの枠組みについて、組織のそれぞれの具体的なニーズに対応する形で、体系的に特性化する方法を提示している。AIのためのプロセス・ベースの枠組みは、組織がAIシステムの課題に対応し、恩恵を活用できるよう準備するための設計図となるものであるが、責任あるAIの実践の経験がない組織が枠組みを選択することは困難な場合がある。本報告書は、公にされている約40件のプロセス枠組みについて、その焦点先やそれらの枠組みを使用するチームに基づいて整理したマトリックスを提示している。 Center for Security and Emerging Technology “A Matrix for Selecting Responsible AI Frameworks” (June 2023)

近年におけるR&Dの対GDP比の増加は実験的開発の増加によるもの

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)の国立科学工学統計センター(National Center for Science and Engineering Statistics:NCSES)の発表によれば、米国の研究開発(R&D)が国内総生産(GDP)に占める割合は、2021年には3.40%となり、2019年以来初めて3%を上回った。前回、R&Dの対GDP比が最も高かったのは1964年であった。長期的なトレンドをみると、過去十年間でR&Dの対GDP比を3%以上に押し上げたのは実験的開発であることが読み取れる。例えば、1964年には実験的開発は国内R&D支出の65%であったが、2020年には66%となった。一方で、基礎研究が国内R&Dに占める割合は1964年の13%から2020年は16%に増加した。ただし、2010年から2020年の十年間に、R&Dの対GDP比は、2.70%から3.40%に増加した中、実験的開発がGDPに占める割合は1.67%から2.24%に増加している。同時に、実験的開発が国内R&D活動に占める割合は、62%から66%へ増加した。 National Institute of Standards and Technology “Recent Increase in R&D to GDP Ratio Driven by Increases in Experimental Development” (6/13/23)

GDP及びR&D全体に占める連邦拠出のR&Dの割合は減少

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)の国立科学工学統計センター(National Center for Science and Engineering Statistics:NCSES)の発表によれば、米国の研究開発(R&D)費が国内総生産(GDP)に占める割合は、2021年には3.40%となり、2019年以来初めて3%を上回った。ただし、前回の頂点であった1964年から近年の間には、国内R&Dの資金源に大きな変化が見られる。1964年には、連邦R&D支出はGDPの1.86%を占め、国内R&D全体の67%を示した。当時の企業部門による割合は、GDPのわずか0.86%、国内R&Dの31%であった。しかし、2020年には、企業部門が占める割合は、国内R&Dの73%で、GDPの2.47%であった。同期間に、連邦資金のR&Dが占める割合は国内R&Dの21%、GDPの0.7%に低下した。 National Center for Science and Engineering Statistics “Federally Funded R&D Declines as a Share of GDP and Total R&D” (6/13/23)

NCSES、「企業部門による基礎研究資金拠出は増額」と報告

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)の国立科学工学統計センター(National Center for Science and Engineering Statistics:NCSES)の発表によれば、企業部門が資金提供して実施された基礎研究の支出は、過去20年間に劇的に増加した。企業部門による基礎研究支出は、2000年の104億ドルから2021年には360億ドル(試算)に増額した(2012年の恒常ドル換算)。連邦政府による基礎研究実施への資金は、実質ベースで、2000年の311億ドルから2005年には406億ドルに増加したが、それ以来ほとんど変わっていない。また、資金拠出源の割合に関する長期的なトレンドは、資金源としての連邦政府の相対的な重要性が低下するというパターンと類似しており、1961‐70年は、平均すると、基礎研究活動の70%を連邦政府が充当し、企業部門の割合は20%未満であったが、2021年の試算では、連邦政府によるその割合は40%で、企業部門は36%となっている。 National Center for Science and Engineering Statistics “Business Sector Increases Funding for Basic Research” (6/13/23)