NSF、研究開発支出アウトカムを評価するため、3,000万ドルのプログラムを開始

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)は6月22日、「技術アウトカムの評価と予測(Assessing and Predicting Technology Outcomes: APTO)」プログラム(3,000万ドル)を開始することを発表した。研究開発(R&D)投資の効果を評価し、意思決定者が投資の最適化と長期的な米国競争力の進展を図る一助となるよう、モデルと情報を創出する研究プログラムに資金を提供するプログラムである。NSFのセスラマン・パンチャナサン長官(Sethuraman Panchanathan)は、「この新たなプログラムを通じて、米国が未来に向けた十分な速度と規模で、意図的に重要技術の開発を加速できるような具体的な投資を特定することを目指す」と述べる。APTOは、NSFの技術・イノベーション・パートナーシップ総局(Directorate for Technology, Innovation and Partnerships)による新たな投資プログラムで、データの同化と、過去と未来の技術アウトカム(能力や生産、使用など)を正確に描写するモデルの創出に資金を提供する。 National Science Foundation “NSF launches new $30 million program to assess outcomes of R&D spending” (6/22/23)

ネイチャー指標の年間表:中国が自然科学で1位に

最新のネイチャー指標年間表(Nature Index Annual Tables)は、「欧米諸国は勢いを失い、中国の勢いは継続」という自然科学における明白なトレンドを強調している。ただし、この十分に明白な傾向の下で、新興国の台頭と、ウクライナ戦争がロシアの研究活動に及ぼした潜在的な影響が示唆されている。これは、ネイチャー指標が選出した82の自然科学専門誌の論文への寄与度に基づく「シェア(Share)」によって、国、領土、機関を順序付けたもの。自然科学(物理科学、化学、地球及び環境科学、生物科学)における中国のシェア(調整済み。以下同)は、2021年から2022年の間に21%以上増加し、初めて米国を抜いた。一方、米国のシェアは同期間に7%減少した。英国とドイツも共に約9%減少しており、良質な論文の発信源におけるシフトを示唆している。勢いがある国は中国だけではない。インドのシェアは5%増加し、初めて上位10カ国に入った。更に、世界の科学及び政治における顕著なトレンドを反映するものとして、ロシアのシェアは17%減少した。これは上位20カ国の中で最大の下落幅である。 Nature “Nature Index Annual Tables 2023: China tops natural-science table” (6/15/23)

GAO、「NIHは海外の下請け機関がかかわるリスクの管理に追加の措置を講じることが可能」と報告

政府説明責任局(Government Accountability Office: GAO)は今般、「連邦研究:NIHは、海外の下請け機関がかかわるリスクの管理に追加の措置を講じることが可能(Federal Research: NIH Could Take Additional Actions to Manage Risks Involving Foreign Subrecipients)」と題する報告書を発表した。連邦機関は、グラントやその他の契約を通じて、海外の事業体(大学や研究所など)へ研究助成金を提供することができる。こうした共同作業は科学的進展につながる可能性があるが、その一方で、研究を搾取して米国に損害をもたらそうとする一部の国に対する懸念もある。GAOは、連邦機関が直接的または間接的に資金を提供した3つの中国研究機関について調査した。その多くの資金は、国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)から受益したものである。GAOは、「NIHによる監督は、常に海外の機関が助成金の規約と条件を順守していることを確実にするものとはなっていない」とした上で、NIHが監督を強化するよう勧告している。 Government Accountability Office “Federal Research: NIH Could Take Additional Actions to Manage Risks Involving Foreign Subrecipients” (6/14/23)

米国、韓国と台湾の半導体メーカーの中国での事業継続を容認へ

商務省(Department of Commerce)のアラン・エステベズ次官(産業・安全保障担当)(Alan Estevez)(undersecretary for industry and security)が先週、業界団体の会合で語ったところによれば、米政権は、中国で半導体及び半導体製造機器の販売を行う企業を制限することを目的とした米国の輸出管理政策で実施された免除措置を延長する意向であるという。複数の出席者が発言した。このことは、韓国と台湾の半導体メーカー大手が中国における現行の半導体製造事業を維持・拡大することを容認することを意味する。米政権は昨年10月、中国の半導体部門を制限する措置を実施したが、中国の工場建設に数十億ドルを投資している韓国のサムスン電子(Samsung Electronics)と台湾積体電路製造(Taiwan Semiconductor Manufacturing Co.: TSMC)を含む複数の企業に1年間の免除措置を認めていた。その免除措置は今年10月で失効する予定であったが、今回、免除措置を延長したことは、「中国をハイテク製品から隔離する試みは、高度に統合されているグローバル産業においては予想以上に困難である」という米国当局の認識を示すと業界の幹部は述べる。 Wall Street Journal “U.S. to Allow South Korean, Taiwan Chip Makers to Keep Operations in China” (6/12/23)

GAO、生成AIについて報告

政府説明責任局(Government Accountability Office: GAO)は今般、「科学技術スポットライト:生成AI(Science and Tech Spotlight: Generative AI)」と題する報告書を発表した。チャットGPT(ChatGPT)やバード(Bard)など、文章や画像、音声、ビデオ、その他のコンテンツを作成する生成AIシステムの技術について分析したものである。生成AIは急速に人気が高まっており、能力の強化によって、教育や政府、医薬、法律、その他の分野で利用される可能性がある。しかし、こうしたシステムは、偽の情報が信頼性の高いものに見える「幻覚・幻影」を生成することも可能で、意図的に誤った情報を作成することも可能である。その他の課題には、監督とプライバシーを巡る懸念もある。報告書は、生成AIがもたらす機会と課題を指摘した上で、政策上の意味合い及び疑問点として、①生成AIが責任のある形で使用されることを確実にする最善のAIガイドラインは何か、また生成AIは既存のガイダンスに従っているか? ②生成AIモデルを訓練するために使用される手法とマテリアルの評価などを目的として、どのような標準を使用または開発できるか?といった点を挙げている。 Government Accountability Office “Science & Tech Spotlight: Generative AI” (6/13/23)

NIHの作業部会、「採用数は少なくなったとしても、より良い給与が支払われるポスドクの必要性」を提案

「ポスドクは、若手キャリアの研究者にとって、もはや魅力的な選択肢ではないのでは」という懸念の増大を受け、国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)が形成した作業部会が、オンライン会合を実施した。そこで、「米国のバイオメディカル研究ラボのポスドクは、より良い給与の支払いが行われるべきである(たとえそれが採用するポスドク数の減少につながるとしても)」との予備的立場が表明された。作業部会が発表した「指針原則(guiding principles)」には、ポスドクの給与を引き上げること、福利厚生を強化すること、ポスドク期間に上限を設定することが盛り込まれた。作業部会の共同委員長でNIHの第一副長官代理(acting principal deputy director)を務めるタラ・シュウェッツ氏(Tara Schwetz)は、「我々が検討している変更の一部は、最終的にはポスドクの減少につながるかもしれない」との認識を示した。最終的な勧告は今年12月に発表される見通しである。 Science “NIH working group calls for fewer—but better paid—postdocs” (6/12/23)

バイデン政権、コミュニティの気候対応力強化を目的とした歴史的投資を発表

バイデン大統領は6月19日、カリフォルニア州沿岸で自然インフラの保護に取り組んでいるコミュニティを視察し、大胆な気候行動を実行することと米国の対応力強化の双方が急務であることを強調した。そして、変化する気候に適用しようと取り組むコミュニティを支援するための政権の新たな行動を概説した。大統領の「米国への投資(Investing in America)」議題を通じて、国立海洋大気庁(National Oceanic and Atmospheric Administration:NOAA)が間もなく、5億7,500万ドルの気候対応力地域チャレンジ(Climate Resilience Regional Challenge)を開始し、沿岸や五大湖周辺のコミュニティが異常気象やその他の気候危機の影響に対応できるように支援を行うことになる。また、超党派インフラ法(Bipartisan Infrastructure Law)の下、米国内のグリッド対応力の強化を目的として、今後5年間で23億ドルが、州や準州、部族、ワシントンDCに投資される。更に、効果的な気候対応力戦略は、地域ごとに調整され、コミュニティ主導で行われる必要があることから、気候変動の実際の影響の管理に日々取り組む州や地方自治体、部族、準州のリーダーを結集させ、「気候対応力のあるコミュニティ構築に関するホワイトハウス・サミット(White House Summit on Building Climate Resilient Communities)」を今年後半に開催する計画が発表された。 White House “FACT SHEET: Biden-⁠Harris Administration Makes Historic Investments to Build Community Climate Resilience” (6/19/23)

CSET、オートノマス・サイバー防衛関連報告書を発表

セキュリティ・新興技術センター(Center for Security and Emerging Technology: CSET)は今般、「オートノマス・サイバー防衛:ラボから運用へのロードマップ(Autonomous Cyber Defense: A Roadmap from Lab to Ops)」と題する報告書を発表した。サイバー攻撃による甚大な経済的及び社会的損害と、近年の人工知能(AI)に関する進展が見られる中、AIの応用を通じてサイバー防衛を強化することへの関心が高まりつつある。本報告書は、オートノマスのサイバー防衛手段を創出する上で有望な手法とされる「強化学習(reinforcement learning: RL)をベースとするAI」に焦点を当てている。RLをベースとするAI手法はまだ初歩的な段階で論文も少ないが、現在の問題は克服可能なものであり、効果的なAI手法は社会に大きな恩恵をもたらすことが期待されている。 Center for Security and Emerging Technology “Autonomous Cyber Defense A Roadmap from Lab to Ops” (June 2023)

バイデン大統領、マンディ・コーエン氏をCDC長官に任命

バイデン大統領は6月16日、疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention: CDC)の長官にマンディ・コーエン氏(Mandy Cohen)を任命する意向を明らかにした。コーエン氏は、内科医で、ノースカロライナ州の厚生長官(Secretary of North Carolina’s Department of Health and Human Services)(2017-2021年)として、州内の家族の健康と生活の向上につながる革新的で全国的に知られたプログラムを開発した。また、新型コロナ危機を通じてリーダーシップを発揮し、超党派の賞賛を得た。ノースカロライナ州に務める前は、メディケア及びメディケイド・サービス・センター(Centers for Medicare & Medicaid Services: CMS)で上級高官の役割を担い、医療保険制度改革法(Affordable Care Act)によるプログラムの実施を支援した。現在は、アレデード社(Aledade)のエグゼクティブ副社長(Executive Vice President)及びアレデード・ケア・ソリューションズ社(Aledade Care Solutions)(独立系の一次診療機関や医療センター、クリニックなどを支援する)の最高経営責任者である。 White House “President Biden Announces Intent to Appoint Dr. Mandy Cohen as Director of the Centers for Disease Control and Prevention” (6/16/23)

バイデン大統領、AIのリスク管理努力の一環として、AI専門家と会合

バイデン大統領は6月20日、人工知能(AI)が呈するリスクを管理する努力の一貫として、サンフランシスコでAIの専門家と会合した。非公開で行われた本会合に先立って行われた記者会見で、大統領は、「膨大な有望性とリスクを呈している技術について、世界を先導する有識者から意見を聞きたい」と述べた。会合には、カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事(Gavin Newsom)と、ホワイトハウスが評するところの「AIの潜在的なリスクと恩恵の双方を認識している専門家」が参加した。バイデン大統領は、「7月には、ハリス副大統領が、市民権のリーダーや消費者保護団体を招集し、AIの台頭について議論する」と発言した。バイデン政権は昨年、AIによる脅威を軽減するための枠組みを発表し、今年2月には大統領が、AIを含む新技術の設計と使用において、偏見を排除し、公平性を推進するよう連邦機関に指示する大統領令に署名した。 NBC News “Biden meets with AI experts in effort to manage its risks” (6/21/23)