正味ゼロ排出を達成するには、米国世帯における電気的改造が必要との報告

米国の世帯は、暖房や調理、運転を目的として10億点の化石燃料型機械を使用しており、これらの家電や自動車は国内のエネルギー関連排出の42%を占める。非営利組織の「リワイヤリング・アメリカ(Rewiring America)」が6月20日に発表した報告書「進展のペース:気候目標に到達するために必要な速度で全てを電気化する(Pace of Progress: Electrifying everything at the rate required to meet our climate goals)」によれば、バイデン大統領が掲げる「2050年までに正味ゼロ排出経済」を達成するには、米国民は今後3年間に、ヒートポンプや電磁調理器、その他の代替家電製品を、例年よりも1,400万点多く購入する必要がある。リワイヤリング・アメリカの研究担当ディレクターは、「この目標は野心的ではあるが、達成可能なものである」と述べている。 Grist “To reach net-zero emissions, American homes need an electric makeover” (6/22/23)

フォード社JV、EV用電池工場建設に政府融資92億ドルを獲得

フォード自動車(Ford Motor)が韓国の電池メーカー、SKオン社(SK On)社との間で進めているジョイント・ベンチャーは、テネシー州とケンタッキー州に建設される電気自動車(EV)用電池工場の資金調達として、エネルギー省(Department of Energy)から過去最高となる92億ドルの融資を獲得する見込みである。エネルギー省の融資プログラム局(Loan Program Office)は、昨年のインフレ低減法(Inflation Reduction Act)によって重要インフラプロジェクト向けの更なる資金を割り当てられ、クリーンエネルギー・プロジェクトへの支援を加速している。フォード自動車への融資は、融資プログラム局の約20年間の歴史において最大規模の投資である。フォード自動車がSKオン社と進めているジョイント・ベンチャーは、昨年最終決定したもので、「ブルーオーバルSK(BlueOval SK)」と呼称される。総額114億ドルの事業で、ケンタッキー州で2つの電池工場と、テネシー州で1つの電池工場が含まれる。 Wall Street Journal “Ford Venture Gets Record $9.2 Billion Government Loan for EV Batteries” (6/22/23)

インフレ低減法成立以来、約200件のクリーンエネルギー・プロジェクト発表

財務省(Department of Treasury)のワリー・アディエモ副長官(Wally Adeyemo)(Deputy Secretary)はカーネギー国際平和基金(Carnegie Endowment for International Peace)で講演し、「インフレ低減法(Inflation Reduction Act: IRA)の成立以降、約200件の新たなクリーンエネルギー・プロジェクトが発表された」と発言した。同副長官は、再生可能エネルギー及びその部品の国内サプライチェーンの開発を強調した。アディエモ副長官は、「電池に関して、我々は同盟国やパートナーと協力して必要な重要鉱物を入手する必要がある。IRAは、国内での製造雇用を支援するため、購入された電気自動車(EV)の最終組み立てが北米内で行われることを義務付けている。この手法は既に機能しており、約200件の新たなクリーンエネルギー・プロジェクトが発表され、その規模は830億ドルに上る」と述べた。 The Hill “Treasury Department says nearly 200 clean energy projects announced since IRA” (6/22/23)

エネルギー省、3つのトピック構造でエネルギーI-Corpsプログラムを選出

エネルギー省(Department of Energy)は6月20日、2023年度秋のエネルギーI-Coprsプログラム(FY23 Fall Energy I-Corps program)に選出された26件のプロジェクトを発表した。エネルギーI-Corpsは、2015年の開始以来、業界との関与と市場認識の文化に関する情報をラボにもたらす枠組みを用いて研究者を訓練することで大きな成功を実証している。今年は新たにカリキュラム後の機会が追加された。今回採用されたトピック1は、将来のエネルギーI-Corps訓練コホート(トピック2)への参加を増やすことを狙いとしたプログラム及びプロジェクトのプロポーザルを、国立研究所などから募集した。トピック1では10件の国立研究所による10件のプロジェクトが選出された。トピック2は、第17コホート(Cohort 17)として伝統的に提供されてきた体験型訓練の実施。11のチームが第17コホートを構成し、市場認識について理解し、技術の市場化経路について学ぶ集中的プログラムに参加する。トピック3は、新たに開始されるもので、技術商業化の可能性が高いトピック2の卒業生を支援する。技術商業化における次の実行可能なステップの費用をカバーすることを意図した資金が提供される。トピック3では5つのチームが選出された。 Department of Energy “DOE Energy I-Corps Program Makes Selections Using New 3-Topic Structure” (6/20/23)

インド=米国防衛加速エコシステム(INDUS-X)立ち上げ

国防総省(Department of Defense)とインドの防衛省(Indian Ministry of Defense)は6月21日、「インド=米国防衛加速エコシステム(India-U.S. Defense Acceleration Ecosystem: INDUS-X)」を開始した。本件は、米印ビジネス評議会(U.S.-India Business Council)が主催した会合で発表された。インドのモディ首相による米国公式訪問を背景として、また、両国関係に歴史的勢いがある現在に開始されたINDUS-Xは、両国間の防衛産業協力に活力を与え、技術と製造の新たなイノベーションを促進すると期待されている。会合には、米国とインドから、スタートアップや政府、企業、学術機関など30以上の組織の代表が参加し、両国間の防衛産業エコシステムにおける最先端技術協力の進展を目的とした広範な議論が実施された。 Department of Defense “Launch of the India-U.S. Defense Acceleration Ecosystem (INDUS-X)” (6/21/23)

米国、研究開発に関する国内総支出が7,000億ドルを上回る(2020年)

2020年に、米国の研究開発(R&D)に関する国内総支出は7,000億ドルを超えた。経済協力開発機構(Organisation for Economic Cooperation and Development: OECD)の統計によると、同年における米国の国内R&D支出額は7,300億ドルとなり、前年(6,780億ドル)から8%増加した。その他の上位国には、日本(1,720億ドル)、ドイツ(1,470億ドル)、韓国(1,110億ドル)、英国(900億ドル)、フランス(750億ドル)が含まれる。近年、国内R&Dの実施国として2位となっている中国の国内R&D総支出額は、2018年(入手可能な最新のデータ)に4,650億ドルとなっている。同年における米国の国内R&D支出額は6,180億ドル、3位の日本は1,720億ドルであった。 National Center for Science and Engineering Statistics “United States Exceeds $700 Billion in Gross Domestic Expenditures on R&D in 2020” (6/22/23)

NSF、研究セキュリティの分析慣行に関するガイドラインを発表

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)は最近、「研究セキュリティの分析に関するガイドライン(NSF Guidelines for Research Security Analytics)」を発表した。研究セキュリティは、「米国の研究活動を、国家もしくは経済安全保障に不利益をもたらす研究開発の不正から保護することで、研究の完全性の違反と外国政府の干渉に関連する」と定義される。これらのガイドラインは、NSFの研究セキュリティ・データ関連の慣行に関する内部方針の補完となるもので、透明性のある内部慣行へ向けたNSFの継続的な取り組みの一部であり、関係機関との直接的な関与及び広範なフィードバックに基づいて策定された。ガイドラインは、①最高研究戦略・方針責任官(Chief of Research Security Strategy and Policy: CRSSP)室の研究セキュリティの責務及びプロセス、②NSFのオフィス及び人員による監視と報告、③CRSSPによる研究セキュリティ関連の分析の容認できる慣行と禁止される慣行、などに分類されている。 National Science Foundation “NSF announces guidelines for agency research security analytics practice” (6/20/23)

DARPA、量子通信によって強化されたネットワーク・セキュリティの革命に挑戦

国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Project Agency: DARPA)の「量子拡張ネットワーク(Quantum-Augmented Network: QuANET)」プログラムは、「最良の伝統的通信と最良の量子通信を組み合わせ、スケーラブルで広範囲にセキュアなネットワーク・インフラを作り出すことは可能か?」という問いを追求しようとしている。最も先端な伝統的ネットワーク(インターネットなど)でさえ、進化し続ける継続的かつ集中的なサイバー攻撃を受けやすいという点はよく知られている。量子ネットワークは、量子の特性を使うことで、こうした脆弱性を軽減し、データを保護できる可能性があるが、現在の様々な量子の導入は一貫性に欠けている点が問題であり、結果として両システムが共に作用することができない。DARPAは、QuANETプログラムを通じて、量子手法と伝統的な手法をどのようにしてネットワークに統合すると、重要なネットワーク・インフラに量子物理学ベースのセキュリティ能力を提供できるかという点を模索する。 Defense Advanced Research Project Agency ” A Network Security Revolution Enhanced by Quantum Communication” (6/13/23)

DARPAのセーフ・ドキュメント、安全なコンピューティングのための安全なドキュメントを創出

現在、悪質な要素を含んだドキュメント(文書)は、政府や民間部門におけるデータ漏洩の主たる原因となっている。疑わしいファイルの危険性に関する警告は数多くあるが、それでも人々の業務はドキュメントに依存している。例え、そのドキュメントの直接の提供者は真正であることが証明できたとしても、その内容は信頼できない源から発されたものであったり、悪質なデータが含まれている可能性がある。こうした中、国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Project Agency: DARPA)の研究者は、「セーフ・ドキュメント(Safe Documents: SafeDocs)」プログラムを通じて、利用者が自信を持ってドキュメントを開き、自分が画面上に見ているドキュメントを信頼できるものとする新たな手法及びツールを開発した。SafeDocsプログラムの担当高官は、本プログラムのソリューションを、ドキュメントだけでなく、その他のファイル形式に拡大することを想定している。同氏は、「もし、SafeDocsのツールを使って全てのデータ形式を設計することができれば、我々は、精巧で悪質なデータ攻撃に対するシステムの脆弱性を大幅に削減することができるだろう」と説明する。 Defense Advanced Research Project Agency “DARPA’s SafeDocs Creates Safer Documents for Safer Computing” (6/14/23)

スタンフォード大学、責任あるAIイニシアチブ「RAISE-ヘルス」立ち上げ

人工知能(AI)の急速な進展と、医療と医薬における責任あるAIの使用の定義に関する急務のニーズに対応する形で、スタンフォード大学のメディカルスクール(Stanford Medicine)と「人間中心のAI研究所(Human-centered Artificial Intelligence: HAI)」は6月14日、「安全と公平な医療のために責任あるAI(Responsible AI for Safe and Equitable Health: RAISE-Health)」イニシアチブの立ち上げを発表した。このイニシアチブは、AIのイノベーションを取り巻く重要な倫理・安全問題に対処し、この複雑かつ進化的な分野を進んでいく際の示唆となることを模索している。最近の調査によれば、AIの使用に関する認識と懐疑はここ12か月間で急激に高まっており、過半数の米国民が、医療提供事業者が自分の医療ケアでAIを使用することを歓迎していない。RAISE‐ヘルスの目標は、AIの責任ある統合を通じて臨床ケアのアウトカムを強化すること、医療と医薬における最大の課題を解決する研究を加速させることなどである。 Stanford University Human-centered Artificial Intelligence “Stanford Medicine and Stanford HAI Announce RAISE-Health, a Responsible AI Initiative” (6/14/23)