NIHとFDA、オピオイド関連薬剤過剰摂取に対応する迅速薬物検知ツールの研究・開発・導入促進の必要性を強調

国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)と食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)は、医学学術誌「ニューイングランド医学ジャーナル(New England Journal of Medicine)」の論評において、フェンタニル試験紙を始めとする迅速薬物検知ツールの研究・開発・導入における格差に危急に対応する必要性を強調した。2021年には、15~54歳の米国人6万人超がオピオイド関連薬剤の過剰摂取により死亡しており、同年齢層では新型コロナウイルス感染症による死者数を上回るが、その多くは医療専門家による支援なしでの検出が困難である、非常に強力な合成オピオイドのフェンタニルによるものとされている。NIHは、フェンタニル試験紙を含む薬物試験・スクリーニングツールを開発する研究提案書を受け付けている他、FDAも、尿・毛髪からのフェンタニル検出のために研究室で行う検査を許可し、臨床現場で使用する人体試料検査用機器の製造者との協力機会を歓迎している。 National Institutes of Health “NIH and FDA leaders call for more research, lower barriers to improve and implement drug-checking tools amid overdose epidemic” (6/12/23)

NIST、米国50州とプエルトリコ所在のMEP米国ネットワークセンターに総額2,000万ドル超を助成

米国標準技術局(National Institute of Standards and Technology:NIST)ホリングス製造拡大パートナーシップ(Hollings Manufacturing Extension Partnership:MEP)プログラムは、米国50州及びプエルトリコに所在するMEP米国ネットワークセンター(MEP National Network Center)にそれぞれ約40万ドルを助成した。総額2,000万ドル超の助成は、米国内サプライチェーンの効率化及び回復力強化のためのプログラム開発に使用される。本助成は、2022年に成立したCHIPS・科学法の下で支給され、米国内サプライチェーンの回復力、人材開発、中小製造業者の先進技術アップグレードに重点を置いたサービスを提供するパイロットプログラムを支援する。また、同助成は、「米国サプライチェーン最適化・情報ネットワーク(national Supply Chain Optimization and Intelligence Network:SCOIN)」と呼ばれるデータベース作成も支援する。 National Institute of Standards and Technology “Biden-Harris Administration Awards $20 Million to Make Domestic Supply Chains More Resilient” (6/9/23)

国土安全保障省、科学技術局技術センター研究アジェンダを発表

国土安全保障省(Department of Homeland Security:DHS)は6月12日、科学技術局(Science and Technology Directorate:S&T)技術センターの研究アジェンダを発表した。本アジェンダは、S&T技術センターの研究ポートフォリオに合った複数年戦略枠組みを作成し、省庁間・国際・学術パートナー及び国民に対して投資優先事項を提示するものとなる。また、①先進センサー、②人工知能(AI)・自律システム、③バイオテクノロジー、④通信・サイバーレジリエンス、⑤データ・モデル作成・シミュレーション科学、⑥デジタルアイデンティティ・信用、⑦地球システム科学、⑧新興コンピューティングパラダイム、⑨新材料・高セキュリティ製造、⑩社会科学、というS&T研究の優先科学技術領域に関し、各領域の重点事項、投資、到達目標などを示している。 Department of Homeland Security “Research Agenda Prepares for the Future of Science and Technology” (6/12/23)

DARPA、ITMプログラムの下で信頼性ある意思決定アルゴリズムの基盤を作成する研究機関を採択

国防高等研究計画局(DARPA)は、「イン・ザ・モーメント(In the Moment:ITM)」プログラムの下で、医療トリアージなどといった困難な領域で使用する信頼性ある意思決定アルゴリズムの基盤を作成する研究機関を選出した。ITMプログラムは、信頼性ある人間と同じ主要特性を表現するアルゴリズム開発のための枠組みを作成するもので、①厳しい環境下にある小規模軍事部隊のトリアージ調査、②多数の死傷者発生事件でのトリアージ調査を通した意思決定過程の複雑性拡大、という2つのフェーズに分かれている。また、1)意思決定者特性化技法開発、2)アルゴリズムによる意思決定者開発、3)プログラム評価の作成・実施、4)政策・実践統合及びアウトリーチ、という4つの技術分野に分割されており、1)はレイソーンBBNテクノロジーズ社(Raytheon BBN Technologies)及びソーアテクノロジー社(Soar Technology, Inc.)、2)はキットウェア社(Kitware, Inc)及びパララックス先進研究所(Parallax Advanced Research)、3)はCACIインターナショナル社(CACI International Inc.)、4)はメリーランド大学情報・安全保障応用研究所(University of Maryland Applied Research Laboratory for Intelligence and Security)及び国防分析研究所(Institute for Defense Analyses)がそれぞれ主導する。 Defense Advanced Research Projects Agency “Developing Trustworthy AI to Inform Decisions When Every Moment Counts” (6/6/23)

DARPA、新たな波長可変光マテリアルの発見・開発を目指すプログラムを立ち上げ

国防高等研究計画局(DARPA)は、電磁スペクトルの可視・中長波赤外バンド内で新たな波長可変光マテリアルの発見・開発を目指す「波長可変光マテリアル発見促進(Accelerating discovery of Tunable Optical Materials:ATOM)」プログラムを立ち上げた。ATOMプログラムの最終目標は、物理的フィルタリングや機械的入力を必要とせずに、幅広い兵士のミッションを遂行する小型・軽量・低電力単レンズ光学装置の作成を複数のスペクトル域において可能とする、オンデマンド波長可変光固体マテリアル開発である。同プログラムは、赤外スペクトル及び可視スペクトル波長可変光マテリアルという2つの技術領域で構成され、高速波長調整を提供し、各光学特性において大規模可変性を提供すると共に、従来のファウンドリ生産過程に統合可能な波長可変光マテリアルを発見・開発する。なお、ATOMプログラム期間は24カ月で、①新しい波長可変光マテリアルの特定・特性化に重点を置く12カ月間の発見フェーズ、②新マテリアルの実験的実証に重点を置く12カ月間の任意実証フェーズ、の2つのフェーズに分かれる。 Defense Advanced Research Projects Agency “Beyond Liquid Crystal: DARPA Seeks Novel Tunable Optical Materials” (6/7/23)

DARPA、戦場における負傷関連心的外傷軽減・戦闘による死傷者数減少のための基礎研究プログラムを立ち上げ

国防高等研究計画局(DARPA)は、戦場における負傷に関連する心的外傷の軽減と、戦闘による死傷者数減少を目的として、安全且つ戦場での使用が可能な麻酔薬生産に向けた基礎研究に取り組む「戦場医療ケアのための麻酔薬(Anesthetics for Battlefield Care:ABC)」プログラムを立ち上げた。候補となる麻酔薬は、①投薬が容易、②迅速な効果、③大規模な監視・人命救助機器や訓練を受けた医療専門家が不要、などが要件となる。DARPAは、同プログラムの下での研究者に対し、血圧・心拍出量・呼吸ドライブに影響を与えることなく麻酔効果のみを標的とした、新たな生物学的メカニズム及び薬剤化合物・処方の特定を要請している。ABCプログラムマネージャーのマイケル・フィーゼル氏(Michael Feasel)は、負傷発生場所の近くで早期に救命介入を行うための支援を開発し、兵士・一般市民に関わらず、全ての患者の生存率向上を目指すとしている。本プログラムは、1)麻酔薬の新たな標的・メカニズムの発見と標的の立証に取り組む発見フェーズ、2)発見フェーズで特定した新薬製造に向けた化学薬品の研究、という2つのフェーズに分かれる。なお、DARPAとABC研究者は、成功及び同プログラムの下で開発された麻酔薬利用機会を最大化するために、独立検証及び妥当性確認パートナー、食品医薬品局(Food and Drug Administration)を含む規制当局などと協力することになる。 Defense Advanced Research Projects Agency “Improving Combat Casualty Outcomes Through Point-of-Need Care” (6/12/23)

エネルギー長官、デービッド・クレーン初代インフラ担当エネルギー次官就任承認を受けて声明を発表

エネルギー省(Department of Energy)のジェニファー・グランホルム長官(Jennifer M. Granholm)は6月7日、初代インフラ担当エネルギー次官候補に推薦されていたデービッド・クレーン氏(David Crane)の次官就任を連邦議会上院が賛成56票、反対43票で承認したことを受けて声明を発表した。グランホルム長官は、民間エネルギーセクタでクリーンエネルギー問題に対処する構想・野心・知識を培ったクレーン氏について、本役職に最適な人物とコメントしている。クレーン氏は、バイデン大統領が提唱する「米国への投資アジェンダ(Investing in America Agenda)」及び「インフラ投資・雇用法(通称:超党派インフラ法、Infrastructure Investment and Jobs Act:Bipartisan Infrastructure Law)」が目標とするクリーンエネルギー製造・能力の展開、米国内におけるエネルギー安全保障の強化、全米のコミュニティにおける高給職の創出、全米国民のコスト削減などに集中して取り組むことになる。クレーン氏は、過去にエネルギー省クリーンエネルギー実証局(Office of Clean Energy Demonstrations)ディレクターを務めた他、民間セクタでは、クライメイトリアルインパクトソリューションズ社(Climate Real Impact Solutions:CRIS)CEOを始め、複数のエネルギー関連企業幹部・取締役を務めた経歴を持つ。 Department of Energy “Statement by Energy Secretary Granholm on the U.S. Senate’s Bipartisan Confirmation of David Crane” (6/7/23)

エネルギー省、2022年夏開催の科学・エネルギー・安全保障AI研究ワークショップをまとめた報告書を発表

エネルギー省(Department of Energy)は、同省科学局(Office of Science)と国家核安全保障局(National Nuclear Security Administration:NNSA)による主導の下で2022年夏に開催したワークショップシリーズの成果物で、AIの科学利用拡大に関する科学局及びNNSAの総合的展望を提示した報告書「科学・エネルギー・安全保障目的で使用するAIに関する先進研究方向性(Advanced Research Directions on AI for Science, Energy, and Security)」を発表した。本報告書は、6つのAI能力を特定し、エネルギー省及びNNSAプログラム分野に変革をもたらす可能性について詳述した他、AIを利用した変革の実現に必要な分野横断的技術も提示した。また、AIがソリューション開発の進歩において重要な役割を果たす分野として、気候モデル、新たな量子マテリアルの探索、クリーンエネルギーのための新たな原子炉設計などを挙げた。 Lawrence Livermore National Laboratory “Visionary report unveils ambitious roadmap to harness the power of AI in scientific discovery” (6/12/23)

ITIF、IP権反対派の主張を分析・反証

科学技術政策シンクタンクの情報技術・イノベーション財団(Information Technology and Innovation Foundation:ITIF)は6月12日、知的財産(IP)権の弱体化を正当化しようとする批評家による主な主張9件を分析・反証した報告書「主導権の喪失:米国がロバストなIP権における世界的チャンピオンであることを再主張すべき理由(Losing the Lead: Why the United States Must Reassert Itself as a Global Champion for Robust IP Rights)」を発表した。ITIFは、IP権反対派が主張する、①情報は無料であるべき、②IPは中小企業を支援しない、③IPは消費者にとって有害、④IPは米国経済にとって有益でない、⑤IP監督の緩和は米国経済を支援、⑥IPは発展途上国にとって有害、⑦IPは発展途上国による技術獲得を困難にする、⑧IPは発展途上国におけるイノベーションを制限、⑨貿易協定においてIPを要件とすることは誤り、という9件を分析し、IP保護がなければイノベーターの収入が低下して、新たな研究・製品開発・コンテンツ作成への起業家からの投資が減少することや、IPの代替として提案されている利益供与や報償制度では米国のIP集約型産業及びその従業員を維持できないことなどを詳述している。また、政策決定者に対しては、米国は国際的なIP免除提案に反対し、国内ではIP権の向上に取り組むべきと提案している。 Information Technology and Innovation Foundation “New Report Refutes Nine Key Claims Justifying Progressives’ Assault on IP Rights in U.S. Policies and Trade Agreements” (6/12/23)

エネルギー省、使用済み原子力燃料貯蔵・廃棄施設受入コミュニティと協力する産学コンソーシアム13組に総額2,600万ドルを助成

エネルギー省(Department of Energy)は6月9日、使用済み原子力燃料の貯蔵・廃棄を行うコミュニティ主体のアプローチ「同意に基づく立地決定(Consent-Based Siting)」に関心を持つコミュニティと協力する大学・非営利機関・民間セクタパートナーグループに対し、2,600万ドルを助成することを発表した。エネルギー省は、産学コンソーシアムと共に、透明性及び地域からの支援を確保するためにこれらのコミュニティと協力する他、2035年までに100%クリーン電力網、2050年までに炭素排出量ネットゼロ経済という目標達成に向けて、重要な要素となる原子力発電のために使用された燃料の長期的処分に関する研究開発振興に取り組む。「同意に基づく立地決定」は、使用済み原子力燃料貯蔵・廃棄施設をコミュニティのニーズ及び懸念に重点を置いて決定し、公平性及び環境正義を中心とするアプローチで、参加するコミュニティは、①計画・能力構築、②立地調査・評価、③交渉・実行、という段階を経て、使用済み原子力燃料貯蔵・廃棄を管理する施設を受け入れるか否か、また受け入れる場合の方法などを決定する。エネルギー省は、12州とコロンビア地区に所在する地理的にも組織的にも多様な「同意に基づく立地決定」助成受給チーム13組を選出しており、これらのコンソーシアムは、それぞれ助成約200万ドルを受給して、コミュニティ及びステークホルダーによる協力を主導することになる。 Department of Energy “DOE Awards $26 Million to Support Consent-Based Siting for Spent Nuclear Fuel” (6/9/23)