国防総省AIトップ、ミサイル防衛構想に専念

ディフェンススクープ(DefenseScoop)は12月17日、国防総省(Department of Defense)の最高デジタル・人工知能(AI)責任者(Chief Digital and Artificial Intelligence Officer: CDAO)であるダグラス・マティ氏(Douglas Matty)が同職を退き、政府が推進するミサイル防衛構想「ゴールデン・ドーム(Golden Dome)」に専念すると報じた。陸軍将校として30年の経歴を活かし、今後は最優先課題の次世代ミサイル防衛システム展開を支援していくという。正式な後任が決定するまで、首席副CDAOのアンドリュー・メイプス氏(Andrew Mapes)が同局を率いる。CDAOは2022年に統合人工知能センター(Joint Artificial Intelligence Center: JAIC)、国防デジタルサービス(Defense Digital Service: DDS)、最高データ責任者室(Office of the Chief Data Officer)、軍用AIプログラムなど複数の技術組織を統合して発足したが、近年は幹部や技術者の流出が続き、現在は国防次官(研究・工学担当)のエミル・マイケル氏(Emil Michael)の指揮下で組織再建と人材確保を進めている。 DefenseScoop “The U.S. CHIPS Act Takes Another Hit SMART USA, a $285-million center devoted to digital twins, loses funding” (12/18/25) Pentagon AI chief departing to work on Golden Dome effort

商務省、CHIPS法によるチップ製造契約打ち切り

IEEEスペクトラム誌(IEEE Spectrum)は12月18日、商務省(Department of Commerce)がCHIPS・科学法(CHIPS and Science Act)に基づき運営する半導体製造用デジタルツイン研究センターの加盟121組織に対する、5年間で2億8,500万ドルの契約を終了すると報じた。政府による「便宜上」、いわゆる一方的な契約解除で、国立半導体技術推進センター(National Center for the Advancement of Semiconductor Technology: NATCAST)に続く資金停止となる。半導体研究コンソーシアム(Semiconductor Research Corporation: SRC)の子会社が運営するスマートUSA研究所(SMART USA Institute)は仮想製造技術によるコスト削減や11万人の人材育成を目標とし、トッド・ヤンキンSRC最高経営責任者(Todd Younkin)も成果目標は達成していたと指摘する。ゾーイ・ロフグレン下院議員(Zoe Lofgren、カリフォルニア州選出民主党)らもCHIPS法の実務を担う米国標準技術局(National Institute of Standards and Technology: NIST)への信頼が損なわれると強く批判している。 IEEE Spectrum “The U.S. CHIPS Act Takes Another Hit SMART USA, a $285-million center devoted to digital twins, loses funding” (12/18/25) https://spectrum.ieee.org/semiconductor-digital-twins-funding

中国、最先端チップ生産機械のプロトタイプを開発

ロイター通信(Reuters)は12月17日、中国が人工知能(AI)やスマートフォン、軍事技術に必要な最先端半導体チップを生産できる機械のプロトタイプを開発したと報じた。米国が製作を阻止しようとしていたこの試作機は、2025年初頭に完成し、現在試験中であるという。蘭半導体大手ASML社(ASML)の元技術者らが、同社の極紫外線(EUV)リソグラフィー技術を用い、逆行工学(リバースエンジアリング)によって再現させた。EUVビームを用いて人間の髪の毛の数千分の1の薄さの回路をシリコンウェハーに刻み込む技術で、回路が微細化するほどチップの性能が高まるという。これまで西側諸国によって独占されていた技術であるが、輸出規制の中でASML社製に加え、ニコン社(Nikon)やキャノン社(Canon)製の部品を利用したとみられる。中国は半導体自立に向け、華為技術社(Huawei)と緊密に連携し、現在、深圳市の工場フロアには露光機が占め尽くされているという。2028年の実用化を目指すも、2030年の達成が現実的と記事は伝えている。 Reuters “How China built its ‘Manhattan Project’ to rival the West in AI chips” (12/18/25) https://www.reuters.com/world/china/how-china-built-its-manhattan-project-rival-west-ai-chips-2025-12-17/

科学者、米国開催の会議を欠席 小規模会議に参加

ネイチャー誌(Nature)は12月16日、科学者らは小規模会議に参加することで国際的な研究コミュニティの場を確保していると報じた。トランプ政権による19カ国への入国制限や、SNSなどの履歴提供要求などにより、科学者らが米国で開催される主要な科学会議を欠席し、数多くの科学会議において参加者数が減少しているという。例えば、大統領のカナダ政策が影響し、環太平洋国際科学会議(Pacifichem)でカナダからの参加者が減少した。これらを背景に、人工知能(AI)会議「ニュール IPS(NeurIPS)」や米国地球物理学連合(American Geophysical Union: AGU)は、米国内での会議開催とともに、メキシコシティやコペンハーゲンにも会場を設置し、科学者らが同会議に参加できるようにした。スピンオフ・カンファレンスとして欧州での開催に協力した科学者は、「知的にホームレスとなっている人々のために貢献したかった」と同開催について所感を語っている。このほかにも、多様性に対する政策を理由に参加を断念する科学者らは、リモートでの会議開催を模索し、交流継続を図ろうとしていると記事は伝えている。 Nature “Scientists skip key US meetings — and seize on smaller alternatives” (12/16/25) https://www.nature.com/articles/d41586-025-04083-4

民主党下院議員、エネルギー省に書簡送付 OCED廃止を違法と非難

12月18日、下院科学委員会(House Science Committee)に所属する民主党議員らが、エネルギー省(Department of Energy)に対し、クリーンエネルギー実証局(Office of Clean Energy Demonstrations: OCED)を違法に廃止したと抗議する書簡を送付したと発表した。署名には、科学委員会のゾーイ・ロフグレン筆頭議員(Zoe Lofgren、カリフォルニア州選出民主党)を筆頭に同委員会の民主党議員らが名を連ね、OCEDの廃止はインフラ投資雇用法(Infrastructure Investment and Jobs Act: IIJA)に反すると主張している。議会が設立を決定した組織を行政が無断で解体することは、法の支配や憲法の権力分立の原則を逸脱するものであると非難した上で、速やかなOCEDの復活を求めており、この違法行為により、多額のプロジェクトがリスクに直面し、エネルギー技術の進展が停滞する危険性があると警告している。OCEDは、大規模なエネルギー実証プロジェクトにおいて、質の高い技術かつ管理の提供に向け必要な専門知識を育成することを目的としていた。 House.gov “Science Democrats Condemn Illegal Elimination of the Office of Clean Energy Demonstrations” (12/18/25) https://democrats-science.house.gov/news/press-releases/science-democrats-condemn-illegal-elimination-of-the-office-of-clean-energy-demonstrations

下院中国特別委、中国企業のリスト化を要求

下院中国共産党特別委員会(Select Committee on the CCP)は12月19日、国防総省(Department of Defense)に対し、中国人民解放軍(People’s Liberation Army: PLA)と関係を持つディープシーク社(Deepseek)、ゴーション・ハイテック社(Gotion High-Tech)、ユニツリー社(Unitree)、ウーシー社(WuXi)を含む企業13社を「中国軍事企業」としてリスト化するよう要求したと発表した。国の軍事資金で中国の軍事産業や情報機関を支援しないようにするためで、ジョン・ムーレナー委員長(John Moolenaar、ミシガン州選出共和党)ら議員は、テンセント社(Tencent)を1月にリストに追加した実績に触れ、同省の第 1260H条リストにこれらの企業を追加することで国の資産を保護するべきであると訴えた。エヌビディア社(Nvidia)製GPUを採用するディープシーク社は、PLAの調達記録に150件以上記載されており、ゴーション社は軍用バッテリー開発に関与、ユニツリー社はPLAにロボット技術を提供し、ウーシー社も軍事医学機関との連携が深いと指摘している。 Select Committee on the CCP “Moolenaar, Scott, Garbarino, and Crawford Lead Letter Asking Pentagon to List Deepseek, Gotion, Unitree, and Wuxi as Chinese Military Companies” (12/19/25) https://chinaselectcommittee.house.gov/media/press-releases/moolenaar-scott-garbarino-and-crawford-lead-letter-asking-pentagon-to-list-deepseek-gotion-unitree-and-wuxi-as-chinese-military-companies

下院中国特別委、エネルギー省が中国と共同軍事開発と報告

下院中国共産党特別委員会(Select Committee on the CCP)は12月17日、エネルギー省(Department of Energy)が中国と連携し、軍事研究及び技術的開発を行っていたと発表した。報告書によると2023年6月から2025年6月の間に発表された約4,350本の研究論文うち、約2,200件は中国の国防関連機関と共同で行われたもので、特に「国防7校(Seven Sons of National Defense)」や中国の主要核兵器研究開発機関とされる「中国工程物理研究院(Chinese Academy of Engineering Physics)」と連携していた。具体的にはオークリッジ国立研究所(Oak Ridge National Laboratory)とテネシー大学(University of Tennessee)の研究者が、中国電子科技集団有限公司(China Electronic Technology Group Corporation: CETC)と共同で電子導電性に関する論文を発表するなど、政府機関の科学者が中国の軍産複合体と直接協力し、国の安全保障に関わる技術を共同で開発している実態があるとし、研究の安全性を確保し、防衛関連技術の漏洩を防ぐための一層の警戒を促している。 Select Committee on the CCP “Investigation Reveals Energy Department Collaborated with China’s Military on Research” (12/17/25) https://chinaselectcommittee.house.gov/media/press-releases/investigation-reveals-energy-department-collaborated-with-china-s-military-on-research

空軍、AI実験機X-62に新型レーダー搭載へ

ディフェンス・ニュース(Defense News)は12月20日、空軍が自律飛行能力を持つ実験機X-62 VISTAに新型レーダーなどのミッションシステムを搭載し、人工知能(AI)技術の高度な試験能力を拡充すると報じた。戦闘機F-16Dを大幅に改造した同実験機に、レイセオン社(Raytheon)の先進的な火器管制レーダー「ファントムストライク(PhantomStrike)」を搭載する。カリフォルニア州エドワーズ空軍基地の空軍パイロットテスト学校(Air Force Test Pilot School)が改良試験を実施する予定で、複雑なシナリオにおけるAIシステムの統合やリアルタイム意思決定の評価が可能となると期待されている。これに先立ち、2023年9月にも空軍と国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Projects Agency: DARPA)が協力し、X-62を使用した史上初のAI対人間パイロットによる模擬空中戦を実施している。空軍は、収集したデータは有人戦闘機と連携して飛行する無人僚機「協調型戦闘機(Collaborative Combat Aircraft: CCA)」の開発計画に活用されると説明している。 DefenseNews “Radar, other upgrades planned for experimental US Air Force AI fighter” (12/20/25) https://www.defensenews.com/air/2025/12/19/radar-other-upgrades-planned-for-experimental-us-air-force-ai-fighter/

海軍、新型小型フリゲート艦FF(X)級を開発

ディフェンス・ニュース(DefenseNews)は12月20日、海軍が新型の小型フリゲート艦FF(X)級の開発を進めていると報じた。沿岸警備隊の最大級巡視船を設計するハンティントン・インガルス・インダストリーズ社(Huntington Ingalls Industries)の新型フリゲート艦を採用するとし、進水は2028年を予定しているという。FF(X)級は、水上戦闘任務やモジュール式ペイロード輸送、無人システム運用など様々な任務に対応可能な艦艇として位置づけられているが、海軍の小型水上戦闘艦の保有数は必要な隻数の3分の1にとどまる。特に紅海やカリブ海などにおける需要が高まっており、より高性能な外洋小型戦闘艦の入手が急務であるという。政府説明責任局(Government Accountability Office: GAO)も、2025年3月に造船所の20年に亘るパフォーマンス低下により艦艇の生産不足に加え、最大3年の納期遅延が生じていると指摘しており、海軍は、既存の実績ある設計採用により、コストとスケジュールのリスク軽減につなげるとしている。 DefenseNews “US Navy to develop new class of smaller, more ‘agile’ combatant ships” (12/20/25) https://www.defensenews.com/news/your-military/2025/12/19/us-navy-to-develop-new-class-of-smaller-more-agile-combatant-ships/

国立研究所、機密データを活用したAIのプロトタイプを開発

HPCワイヤー(HPCwire)は12月18日、サンディア国立研究所(Sandia National Laboratories: SNL)、ロスアラモス国立研究所(Los Alamos National Laboratory: LANL)、ローレンス・リバモア国立研究所(Lawrence Livermore National Laboratory: LLNL)が、機密データを共有せずに人工知能(AI)モデルを共同訓練する連合学習(Federated Learning)のプロトタイプ開発に成功したと報じた。各研究所はモデルの学習結果を表す「重み」のみを共有し、データの機密性を保護しつつ、協調的な訓練を実行した。具体的には、エヌビディア社(NVIDIA)のオープンソース・ソフトウェア「NVフレア(NVFlare)」とメタ社(Meta)の「トーチチタン(Torchtitan)」ライブラリを使用し、世界最速のスパコン「エルキャピタン(El Capitan)」を含むエヌビディア社とAMD社製GPUハードウェア上における拡張性実証に成功したという。記事は、商用AIでは困難だった機密データ活用を可能にするAI基盤の構築により、国家安全保障強化が加速されると伝えている。 HPCwire “Sandia, Los Alamos, and Livermore Complete Federated AI Pilot Across Classified Data” (12/18/25) Sandia, Los Alamos, and Livermore Complete Federated AI Pilot Across Classified Data