Category:レポート
「米国は世界クラスの研究大学を維持する努力を強化すべき」との報告
米国研究評議会(National Research Council: NRC)は、「研究大学と米国の未来:米国の繁栄と安全保障に重要な10の画期的行動(Research Universities and the Future of America: Ten Breakthrough Actions Vital to Our Nation’s Prosperity and Security)」を発表した。本報告書は議会の要請を受けて作成されたもので、企業経営者や大学学長、元上院議員、ノーベル賞受賞者などで構成される委員会が作成した。報告書は、「米国の研究大学は国の繁栄や安全保障の要であるが、現在、深刻な低下の危機にある。連邦政府や州政府、業界は今後10年間で、適切かつ安定した大学資金を確実する策を講じなければならない」としている。報告書はまた、「大学側も公的資金の信頼される担い手として、コストの抑制、生産性の強化、キャリアに向けた大学内外での教育的手段の改良のため、大胆な目標を達成する必要がある」としている。そして、米国の優れた研究大学を維持するために、国として今後5~10年間で講じるべき10件の戦略的行動を勧告している。 National Academies “For Future Prosperity, U.S. Should Strengthen Efforts To Maintain World-Class Research Universities” (6/14/12)
不当な貿易慣行は世界のエネルギーイノベーションを弱体化するとの報告
ITイノベーション財団(Information Technology and Innovation Foundation: ITIF)が6月14日に発表した報告書「グリーン重商主義:クリーン・エネルギー経済への脅威(Green Mercantilism: Threat to the Clean Energy Economy)」によれば、不当かつ時として違法な貿易慣行により、米国のクリーンエネルギー経済が脅かされているだけでなく、世界的にも低炭素経済への移行が大幅に遅くなる危険性があるという。報告書は、不当なグリーン重商主義の例として、①韓国は全てのソーラーパネルに対して販売前に認証取得を義務付け、更にその基準は米国製を中心とする薄膜型太陽光発電(PV)設計を実質的に排除する内容となっている、②中国は国内電気自動車業界を確立するため、外国企業による技術移転を義務付けている、などが挙げられている。報告書は、米国及び自由貿易主義国がグリーン重商主義への対策を積極的に講じるよう要請している。 Information Technology and Innovation Foundation “ITIF Report Warns Global Energy Innovation Undermined By Unfair Trade Practices” (6/14/12)
米国におけるソーラーパネルの需要が2倍増となる見込み
ソーラーエネルギー協会(Solar Energy Industries Association)とGTMリサーチ社(GTM Research)が6月13日に発表した報告書によれば、2012年に米国内で設置されるソーラーパネルは約3,300メガワットに達する見込みで、これは2011年のほぼ2倍となるという。その要因として、連邦・地方政府による支援政策と価格の下落が挙げられている。一方で、2013年に中国製ソーラーパネルに対する米国政府の関税が全面的に実施されるようになると、その成長にかげりが見えてくる可能性があると、報告書は指摘している。 Wall Street Journal “U.S. Solar-Panel Demand Expected to Double” (6/13/12)
オバマ政権、米国農業経済に関する報告書と20億ドル以上の投資計画を発表
大統領経済諮問委員会(Council of Economic Advisers: CEA)と大統領府地方評議会(White House Rural Council)、農務省(U.S. Department of Agriculture: USDA)は6月11日、米国農業経済における進展や、オバマ政権が農家経済強化や雇用・成長の支援を目的として講じてきた策を詳述した報告書「地方コミュニティの強化:成長する農家経済からの教訓(Strengthening Rural Communities: Lessons From A Growing Farm Economy)」を発表した。それによれば、①米国農業におけるイノベーションにより、米国農家は世界でも生産性が高い、②米国内の多くの業界が貿易赤字を記録する中、農業は貿易黒字を享受している、といった点がハイライトとして挙げられている。オバマ大統領はまた、中小企業庁(Small Business Administration: SBA)の中小企業投資会社(Small Business Investment Company: SBIC)プログラムを通じてこれまでに4億ドル以上の投資が行われたこと、そして更に約20億ドルが2016年度末までに投資される計画であることを発表した。 U.S. Department of Agriculture “Obama Administration Releases Report on America’s Agricultural Economy and Announces Commitment to Invest over $2 Billion in Rural Small Businesses” (6/11/12)
再生可能エネルギーへの世界投資が過去最高となる2,570億ドルを記録
国連環境計画(United Nations Environment Programme: UNEP)と「21世紀のための再生可能エネルギー政策ネットワーク(Renewable Energy Policy Network for the 21st Century: REN21)」がそれぞれ発表した報告書によれば、2011年の再生可能エネルギーへの世界投資は太陽光発電への投資が急増(風力エネルギーへの投資のほぼ2倍)したことを受け、前年比17%増で過去最高となる2,570億ドルに達したという。また、2011年の再生可能エネルギーはあらゆる最終用途部門(電力、暖房、冷房、輸送)で堅調に成長し、世界のエネルギー消費の16.7%を供給したという。一方、注目点として、太陽光発電においては、導入が増加したものの、供給が需要のペースを上回っていることなどから、製造業者の利益幅は減少している。太陽光発電業界で現在見られる「大きな成功、大手企業の倒産、国際的な貿易論争」は、急成長業界の特徴であり、かつての自動車業界の成長に似ていると分析されている。また、再生可能エネルギーの発展を牽引している要素として、世界各国における安定した再生可能エネルギー政策の存在が指摘されている。 Eurek Alert! “Global investment in renewable energy powers to record $257 billion” (6/11/12)
2011年度の連邦契約受注企業上位200社が発表される
ブルームバーグ・ガバメント(Bloomberg Government)は、2011年度の「連邦契約受注企業上位200社(BGOV200 Federal Industry Leaders)」ランキングを発表した。それによれば、1位はロッキード・マーティン社(Lockheed Martin Corp.)で、連邦契約受注額は429億ドルとなっている。これは、2位のボーイング社(Boeing Co. 受注額221億ドル)のほぼ2倍である。以下、ゼネラル・ダイナミクス社(General Dynamics Corp. 同190億ドル)、レイセオン社(Raytheon Co. 同144億ドル)、ノースロップ・グラマン社(Northrop Grumman Corp. 同128億ドル)が続いている。 Bloomberg Government “BGOV200 Federal Industry Leaders: Lockheed Martin at the Top” (6/7/12)
米国民はエネルギー問題を懸念しつつも、その対策には消極的
AP通信(Associated Press)とNORC公共研究センター(NORC Center for Public Affairs Research)が6月7日に発表した世論調査結果によれば、米国民の78%が、エネルギー問題を「極めて重要」「とても重要」と考え、また72%がガソリン価格について同様に考えていることが分かった。ただし、その解決策の責任となると、国民はエネルギー業界(回答者の65%)と政府(同58%)にあると考えており、個人(同57%)より多い。その一方で、回答者の3分の2が、エネルギー問題の大きな原因は、人々がエネルギーを大量に消費し、需要を減らす努力をしていないためであると回答している。 LIFEINC. “We worry about energy, but feel powerless to act” (6/7/12)
カウフマン財団、米国大学の改革案をまとめた報告書を発表
ユーイング・マリオン・カウフマン財団(Ewing Marion Kauffman Foundation)は6月7日、米国の大学が直面している課題を分析し、これに対する野心的な改革案をまとめた報告書「大学2.0:高等教育改革に向けた起業家的手法(College 2.0: An Entrepreneurial Approach to Reforming Higher Education)」を発表した。同報告書は、12月に行われたカウフマン財団修養会(30名の教育専門家が集まり、高等教育が直面している課題の分析やその解決策の提示に取り組んだ)の一部として作成されたものである。報告書は、具体的な大学改革策として、6分野(①イノベーションを阻む大学の組織的問題への対策、②認定評価の見直し、③州・連邦規制の合理化、④大学の生産性向上につながるインセンティブ、⑤大学の学習と就職に関する情報の提供、⑥革新的モデルの拡散を阻む障害の克服)を挙げている。 Ewing Marion Kauffman Foundation “U.S. Colleges and Universities Must Take Entrepreneurial Approach to Overcome Challenges, According to Kauffman Foundation Report” (6/7/12)
米国の都市は気候変動への取り組みで中南米都市に遅れ
マサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology: MIT)が最近発表した調査報告書「都市の気候と適応における進展及び課題(Progress and Challenges in Urban Climate Adaptation)」によれば、気候変動への準備策において、米国の主要都市は中南米の主要都市に遅れを取っているという。世界468都市を対象に調査を行った同報告書によれば、中南米の主要都市の95%が、気候変動による悪影響への対策を準備しつつあるのに対し、米国の主要都市で対策を準備しつつあるのは59%であった。最も準備が進んでいる都市は、気温や雨量で大幅な変化を既に受けている都市となっている。報告書の著者は、「米国では気候変動の原因に関する議論が多いが、その他の多くの国では気候変動を当然として受け止め、その適応へと進んでいる」と述べている。 USA Today “U.S. cities trail Latin America in climate change efforts” (6/6/12)
地球温暖化により、米国の原子力・火力発電量が2060年までに最高16%減少する可能性
ネイチャー・クライメット・チェンジ誌(Nature Climate Change)で6月4日発表された研究報告によれば、適切な冷却水の不足を受け、米国における熱電発電は2031年から2060年の間に4.4~16%減少する可能性があるという。熱電発電所は米国の電力混合の約90%を占め、国内の淡水供給の40%を利用している。報告書によれば、欧州における熱電発電も最高19%減少する可能性があるという。熱電発電の問題として挙げられているのは、下流地域における流れの減少と水温の上昇(特に上流における)である。こうした問題は、既にいくつかの問題に直面している米国内の原子力・石炭業界にとり、新たな問題となる。 Think Progress “Global Warming May Reduce U.S. Nuclear And Coal Power Output Up To 16 Percent By 2060” (6/4/12)