Category:レポート
世界の石油生産能力は急増し、価格崩壊のリスクがあるとの報告
ハーバード・ケネディ・スクール(Harvard Kennedy School)の研究者で元石油業界幹部のレオナルド・マウゲーリ氏(Leonardo Maugeri)が」発表した研究報告によれば、米国やその他複数の国で石油生産能力が急拡大し、世界の石油生産能力は2020年までにほぼ20%増加する可能性があるという。そしてこの急増により、石油価格の急落あるいは崩壊がもたらされる可能性があると分析している。「世界の石油生産高はピークに達した、あるいはピークが近い」との見方とは異なり、マウゲーリ氏は、「石油高価格や新技術の導入を受け、石油生産高は現在の1日当たり9,300万バレルから2020年までに1億1,000万バレルに達するであろう」と予測している。 Belfer Center for Science and International Affairs “New study by Harvard Kennedy School researcher forecasts sharp increase in world oil production capacity, and risk of price collapse” (6/25/12)
米国は教育とイノベーションの発展に注力すべきとのOECD報告
経済協力開発機構(Organisation for Economic Co-operation and Development: OECD)が「米国経済調査(Economic Survey of the United States)」を発表した。それによれば、米国は最先端のイノベーション力を失いつつあり、長期的な成長見通しや生活水準の維持に影響を及ぼしているという。調査報告書では、米国のイノベーション力を維持するために、①より多くの生徒に質の高い中等教育を提供し、STEM(科学、技術、工学、数学)の大学院生数を増やす、②連邦予算における研究開発費の削減は可能な限り限定的とする、③3つの主要科学機関の予算を10年間で倍増するという計画を実行することが望ましい、といった点を勧告している。報告書ではまた、米国民の所得不均衡の拡大も指摘されている。 Organisation for Economic Co-operation and Development “The United States needs to foster education and innovation to keep its cutting edge” (6/26/12)
IPはイノベーションを加速するとの報告
マサチューセッツ州ボストンで行われたバイオ国際会議(BIO International Convention)で6月19日、バイオテクノロジーにおける知的財産権の役割について分析した報告書「世界的にバイオテクノロジーは知的財産権からどのような恩恵を受けるか(Taking Stock: How Global Biotechnology Benefits from Intellectual Property Rights)」が発表された。「強力な知的財産権は業界の発展の支援となるか障害となるか」に関する議論がしばしば起きるが、本報告書によれば、知的財産権は研究開発の発展に貢献するという。世界各国を対象として調査が行われた本報告書によれば、インド、ブラジル、シンガポールなどの国では、過去10年間にわたり、特許件数の増加がバイオテクノロジーや製薬部門の成長と一致しているという。この他にも、技術移転と特許件数の増加や知的財産権の強化と経済発展にも相関性が見られるという。 Nature News Blog “Biotech report says IP spurs innovation” (6/20/12)
大学と非営利組織の経済効果が明らかに
バイオ産業機構(Biotechnology Industry Organization: BIO)は6月20日、報告書「1996年から2010年に大学・非営利組織の発明が米国にもたらした経済効果(The Economic Contributions of University/Nonprofit Inventions in the United States: 1996-2010)」を発表した。同報告書は、大学技術管理者協会(Association of University Technology Managers: AUTM)の15年にわたるデータを基に作成されたもので、大学・非営利組織が米国経済にもたらす多大な影響が明らかにされている。その一例として、①大学・非営利組織によるライセンシングで、年間最大300人の雇用を支えた、②米国の純産業生産高への効果は最大8,360億ドル、GDPへの効果は最大3,880億ドル(2005年ドル)である、などが挙げられている。 Association of University Technology Managers “AUTM Data Reveal Profound Economic Contribution of U.S. Universities and Nonprofits” (6/20/12)
オバマ経済刺激策の優先事項は雇用創出ではないとする批判報告書発表
下院エネルギー・商務委員会(Committee on Energy and Commerce)の監督調査小委員会(Subcommittee on Oversight and Investigations)は6月19日、「雇用はどこに? 再生可能エネルギーのための1603条グラント・プログラムにおける雇用創出の曖昧さ(Where are the Jobs? – The Elusiveness of Job Creation under the Section 1603 Grant Program for Renewable Energy)」と題する報告書を発表した。報告書は、「1603条プログラムによる雇用創出は後知恵であり、同プログラムによってもたらされた雇用の算出方法は概ね信頼できない」と批判している。具体的に報告書は、「同プログラムを通じて創出されたとされる雇用件数は、モデルに基づくものであり、実際の数値ではない」と指摘している。小委員会のクリフ・スターンズ委員長(Cliff Stearns、フロリダ州選出共和党)は、「オバマ政権は、1603条プログラムを雇用創出プログラムとして謳っているが、グラント採択プロセスにおいて雇用創出は判断要素となっていない。更に悪いことに、オバマ大統領は同プログラムに数十億ドルを追加することを求めている」と述べている。 Republicans House Energy & Commerce Committee “Committee Report Reveals Jobs Not a Priority for Obama Administration When Handing Out Billions in Stimulus Cash for Green Grants” (6/19/12)
バイオ企業のR&D支出、2011年に9%増
アーンスト&ヤング社(Ernst & Young)が6月19日に発表した年間バイオ産業報告書によれば、アムジェン社(Amgen Inc.)やセルジーン社(Celgene Corp.)などを中心に、バイオ企業の2011年の研究開発(R&D)支出が前年比9%増となり、2年連続の増加となったことが分かった。バイオ企業によるR&D支出は2009年に金融危機を受けて21%減となった後、2010年に2%増加した。報告書の執筆者は、「2009年には大幅な経費削減ムードだった企業は2010年に慎重ながらも楽観的となり、2011年には支出により意欲を示すようになった」との見方を示した。ただし中小企業においては、資本へのアクセスが引き続き厳しいことが指摘されている。 Bloomberg “Biotechs Increased R&D Spending 9% in 2011, Report Finds” (6/19/12)
バイオ科学産業、過去10年間で雇用を増加
バテル社(Battelle)とバイオ産業機構(Biotechnology Industry Organization: BIO)が6月19日に発表した報告書「バテル・BIO州別バイオ科学産業発展(Battelle/BIO State Bioscience Industry Development)」によれば、2001年から2010年の間に、米国全体の雇用は2.9%減少したのに対し、バイオ科学部門の雇用は6.4%(9万6,000人)増加したという。この他にもバイオ科学産業の成長を示す数値や傾向が見られる一方で、業界の成長を脅かす存在として、依然として厳しい資本市場状況が挙げられている。また、規制見直しプロセスが科学の急速な発展に追い付いていないことから、規制改革の必要性も指摘されている。 Biotechnology Industry Organization “Bioscience Industry Adds Jobs Over the Last Decade, Despite Economic Setbacks for the Nation” (6/19/12)
ランド研究所、報告書「国際的エネルギー安全保障の推進」を発表
ランド研究所(RAND Corporation)は、報告書「国際的エネルギー安全保障の推進(Promoting International Energy Security)第1号:空軍の潜在的役割に関する理解(Volume 1, Understanding Potential Air Force Roles)」を発表した。本報告書は空軍(US Air Force)の委託を受けて作成されたもので、4号で構成されている。今回発表された第1号では、世界の原油市場に関する分析や、同市場の発展がジェット燃料の卸売としての供給にどのように影響するか、そして空軍は燃料価格の高騰や供給混乱から自らを守るためにどのような防護策を講じられるかがまとめられている。報告書によれば、空軍及び国防総省(Department of Defense)には本件に関する経済的な影響力はなく、代替燃料も限定的であることなどから、燃料支出を抑制する唯一の効果的な策は消費の抑制であるとしている。 RAND Corporation “Promoting International Energy Security” (June 2012)
NIH委員会、生物医学研究研修生の増加抑制を要請
国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)長官諮問委員会(Advisory Committee to the Director: ACD)内の作業部会が6月14日に発表したところによれば、研修生の供給過多及び学術機関における職の不足により、米国内の生物医学研究システムに機能障害が生じつつあるという。同日に発表された報告書草案の要旨によれば、米国の生物医学博士号取得者の急増、外国人ポスドクの増加、大学教員の高齢化により、若手の生物医学研究者が大学での職を見つけることが困難になっていることや、生物医学研究者はその他の分野の科学者に比べて給与が低いことなどが明らかになっている。委員会では、こうした問題に対処するため、大学院生がNIH助成金を受益できる期間に上限を設定することや、ポスドク研究者の受益額を増やすこと、大学にスタッフ科学者(staff scientist)の活用を奨励することなどの策を講じるよう勧告している。 Science Insider “NIH Panel Urges Steps to Control Growth in Biomedical Research Trainees” (6/14/12)
水圧破砕よりも廃水地下注入のほうが地震誘発のリスクが高いとの調査結果
米国研究評議会(National Research Council: NRC)は、様々なエネルギー技術が地震を誘発する可能性について調査し、その結果を報告書「エネルギー技術における地震誘発の可能性(Induced Seismicity Potential in Energy Technologies)」として発表した。それによれば、水圧破砕が人が感じるほどの地震を誘発する可能性は低い一方、水圧破砕から出た廃水の地下注入やその他のエネルギー技術が地震を誘発する可能性はより高いという。また、炭素捕獲・隔離(carbon capture and storage: CCS)も、膨大な量の液体が長期にわたって地下に注入されることから地震活動を誘発する可能性があるという。しかし、CCSが地震の原因となる可能性については、大規模な事業がまだ行われていないことから、情報が不十分となっており、更なる研究が必要とされている。 National Academies “Hydraulic Fracturing Poses Low Risk for Causing Earthquakes, But Risks Higher for Wastewater Injection Wells” (6/15/12)