Day: January 7, 2026
気候懐疑派が次の国家気候評価を作成する可能性
E&Eニュース(E&E News)は12月22日、情報筋の話として、トランプ政権は少数の気候懐疑派の研究者に次の国家気候評価(National Climate Assessment: NCA)の作成を支援するよう依頼したと報じた。2025年初めに、地球温暖化の脅威を過小評価し、気候科学の基本的な原則に疑問を投じる報告書をクリス・ライト・エネルギー長官(Chris Wright)向けに作成した気候作業グループ(Climate Working Group)のメンバーで、ジョージア工科大学(Georgia Institute of Technology)の元気候科学者で あるジュディス・カリー氏(Judith Curry)が、同グループのメンバー全員(5名)が次回のNCA執筆を依頼されたことを明らかにした。こうした動きは、気候変動に関する論争的な考え方を連邦政府の公式な地球温暖化評価に採用しようとする大統領府の取り組みを進展させるものであり、NCAに長年携わってきた数百名の主流の気候科学者からの反発・反論を招くのはほぼ確実である。 E&E News “It’s the gold standard of US climate research. Contrarians could write the next one.” (12/22/25) https://www.eenews.net/articles/its-the-gold-standard-of-us-climate-research-contrarians-could-write-the-next-one/
国土安全保障省、H-1B労働ビザ発給の手続きを変更
国土安全保障省(Department of Homeland Security)は、H-1B労働ビザ発給の選出手続きに関する規則を修正し、高技能かつ高賃金の外国人へのビザ割り当てを優先する。これによって、米国人労働者の賃金や労働条件、雇用機会をより良く保護することが目的である。同省は、「H-1B登録者をランダムに選出する現行の抽選方式は、米国人労働者よりも低賃金で働く外国人労働者を得ようとする米国雇用主によって悪用されてきた」とその理由を説明した。H-1Bビザの発給数は年間6万5,000件に制限されており、更に米国で高度な学位を取得した者を対象に追加で2万件が発給される。今回の最終規則は2026年2月27日に発効となり、2027年度のH-1Bビザ登録期間から適用される。 USCIS “DHS Changes Process for Awarding H-1B Work Visas to Better Protect American Workers” (12/23/25) https://www.uscis.gov/newsroom/news-releases/dhs-changes-process-for-awarding-h-1b-work-visas-to-better-protect-american-workers
議会は政権による大学向け研究資金の削減を阻止可能 控訴裁判決
トランプ政権は、国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)に、大学向け研究資金の間接費を大幅に削減し、一律15%に削減する考えを示してきたが、これに対し、多くの州政府、大学、医学校が、この政策変更を阻止すべく、即座に提訴していた。地方裁判所が恒久的差止命令を出して間接費政策の変更を阻止した後、政府は控訴したが、控訴裁は1月5日に控訴を却下した。トランプ政権が1期目において、同じような政策変更を模索した際、議会がこれを阻止する法律を成立させていたためである。このため、現時点では、間接費に関する政策は、連邦最高裁判所が介入しない限り変更されないことになる。全体として控訴裁の判断は研究大学にとって勝利であり、これらの資金が削減される可能性は極めて低いようである。 ARS Technica “Appeals court agrees that Congress blocked cuts to research costs” (1/6/26) https://arstechnica.com/science/2026/01/appeals-court-upholds-block-on-one-of-trumps-cuts-to-research-funds/
NSF、NASA、エネルギー省科学部門の歳出法案 連邦議会は大統領案を却下へ
連邦議会は、複数の連邦科学部門の予算を削減しようとするトランプ大統領の2026年度予算案に対して、再び反発の姿勢を示した。米国科学財団(National Science Foundation: NSF)、米航空宇宙局(National Aeronautics and Space Administration: NASA)科学部門、エネルギー省(Department of Energy)の研究プログラムを対象とする歳出法案について協議していた連邦議会の上下両院議員が1月5日に示した3本の歳出法案は、現行水準に極めて近い内容となっている。NSF予算は3.4%(3億ドル)削減される(90億6,000万ドル→87億5,000万ドル)が、トランプ大統領は同予算の55%削減を要請していた。うち、NSFの研究予算は71億8,000万ドルで横ばい、大統領が実質的な廃止を模索していた教育プログラムは9億3,800万ドルとなる見通しである。NASAの科学ミッションの予算は72億5,000万ドルで1.1%の削減となるが、トランプ大統領はこれらのプログラムの47%削減を求めていた。大統領が廃止を模索していたNASAの教育活動予算は1億4,300万ドルで昨年と同じである。更に、エネルギー省科学局(Office of Science)の予算はほぼ2%増加して84億ドルとなる(大統領は10億ドル以上の削減を模索していた)。連邦議会は、本日発表した歳出法案を取りまとめて「ミニバス(minibus、中規模の一括法案)」として可決させつつ、国防総省(Department of Defense)や厚生省(Department of Health and Human Services)等を対象とした歳出法案作成・審議を続ける計画である。 Science “Congress set to reject Trump’s major budget cuts to NSF, NASA, and energy science” (1/5/26) https://www.science.org/content/article/congress-set-reject-trump-s-major-budget-cuts-nsf-nasa-and-energy-science
国防総省とロッキード・マーティン社が新たな調達モデルで合意 PAC-3 MSE生産を拡大
国防総省(Department of Defense)はロッキード・マーティン社(Lockheed Martin)と共に1月6日、兵器の生産・調達を拡大する変革的な調達モデルとなる枠組み合意に署名したと発表した。長期的な需要に確実性を提供し、生産拡大につながる産業投資を奨励し、リードタイムを短縮し、サプライチェーン管理の効率性を高めつつ、初期段階の政府による生産設備能力への投資を抑制する内容となっている。この枠組み合意(7年間)の下、ロッキード・マーティン社はPAC-3ミサイル構成要素強化型(Missile Segment Enhancement: MSE)迎撃ミサイルの年間生産数を現在の約600基から2,000基へと増加し、米軍及び同盟国、パートナー国の長期的需要に対応できるよう産業生産能力を整合させる。 Department of Defense “Department of War Establishes New Acquisition Model to More than Triple PAC-3 MSE Production in Partnership With Lockheed Martin” (1/6/26) https://www.war.gov/News/Releases/Release/Article/4371320/department-of-war-establishes-new-acquisition-model-to-more-than-triple-pac-3-m/
空軍がボーイング社と契約 B-52爆撃機のエンジン整備で
ディフェンスニュース(DefenseNews)は1月7日、空軍がボーイング社(Boeing)に対し、戦略爆撃機B-52H型ストラトフォートレス(Stratofortress)のエンジン交換に向け、約20億ドル超を投入すると報じた。商用エンジン交換プログラム(Commercial Engine Replacement Program: CERP)の一環で、運用開始から60年以上が経過した76機のB-52機を整備し、運用を継続することを目的としている。今回の契約でボーイング社は2機のB-52にロールス・ロイス社(Rolls-Royce)製の新型F130エンジンを搭載し、飛行試験を実施する。改修は多岐に亘り、レイセオン社(Raytheon)製の新型レーダーや改良型アビオニクス(Avionics)、通信システムなども整備する予定で、作業は2033年5月末までに完了する見込みである。将来的にはB-1とB-2爆撃機を退役させる予定で、B-21レイダー(Raider)との2機種体制を計画している。なお、総額486億ドルに上る大規模改修によりH型はJ型の「B-52J」へと改称されるという。 DefenseNews “US Air Force awards Boeing $2B contract to begin B-52 engine upgrades” (01/07/26) https://www.defensenews.com/air/2026/01/06/us-air-force-awards-boeing-2b-contract-to-begin-b-52-engine-upgrades/
アルゴンヌ国立研究所とインテル社、シリコン量子プロセッサーで協力
アルゴンヌ国立研究所(Argonne National Laboratory: ANL)は1月6日、インテル社(Intel)と協力し、シリコン量子ドット(Silicon Quantum Dots: SiQD)に基づく12量子ビットプロセッサー(Qubit processor)を導入したと発表した。従来のトランジスタ技術を進化させた同プロセッサーは、単一電子の量子スピンを情報担体として利用する「量子ドット」を基礎とするもので、インテル社が持つ高度な半導体製造能力と、ANLが持つ基礎科学研究及びデバイス評価の専門知識を融合させているという。具体的には、量子コンピューティングに実用的な数百万規模の量子ビットへのスケールアップを加速させることが目的で、ANLがインテル社製のデバイスの特性評価や試験を行い、より大規模な量子システムの開発につなげる。ANL傘下の国家量子情報科学研究センター(National Quantum Information Science Research Center: QIS)の一つであるQ-NEXTが主導するこの取り組みにより、実用的な量子コンピューティング実現への道筋が開かれることが期待されている。 ANL “Argonne launches silicon quantum processor collaboration with Intel” (01/06/26) https://www.anl.gov/article/argonne-launches-silicon-quantum-processor-collaboration-with-intel
宇宙産業の競争力強化へ ITIF、規制改革を提言
情報技術イノベーション財団(Information Technology & Innovation Foundation:ITIF)は1月5日、米国の宇宙産業の競争力維持のための包括的な政策改革を提言する報告書を発表した。米国の宇宙経済は2023年度に2,410億ドルの国内総生産(GDP)を生み出し、37万3,000人の雇用を支えるが、年率9%で成長し、2035年までに3,260億ドルへの成長が見込まれる世界市場で中国との競争が激化しつつあるという。最大の課題は連邦航空局(Federal Aviation Administration:FAA)による打ち上げ・再突入機の許可取得プロセスの長期化で、2020年に導入された連邦規則集第14編第450部(14 C.F.R. Part 450)規則により、一部では承認に3年かかるなど2026年3月10日の遵守期限までに対応できない事業者は運用停止の恐れがあることから、許可申請前協議期間の審査期限への組み入れ、同規制の明確化と期限延長、老朽化した打ち上げ場への整備支援や国家環境政策法(National Environmental Policy Act:NEPA)に関する訴訟リスク低減などの改革を提言している。 ITIF “Policy Reforms to Launch US Space Innovation” (01/05/26) https://itif.org/publications/2026/01/05/policy-reforms-to-launch-us-space-innovation/
2025年、世界の軌道打上げ数が新記録
スペースニュース(SpaceNews)は1月3日、2025年の世界全体のロケット打上げ回数が324回に達し、新記録となったと報じた。主にスペースX社(SpaceX)と中国の事業者によるもので、スペースX社は「ファルコン9(Falcon 9)」による打上げを165回行い、中国は92回打上げ、両国で全体の88%を占める結果となった。米国は2025年に193回打上げを行い、これにはロケット・ラボ社(Rocket Lab)によるニュージーランドからのエレクトロン(Electron)打ち上げも含まれる。ただし、スペースX社は、スターリンク(Starlink)衛星の打ち上げをスターシップ(Starship)へ移行する計画で、2026年以降はFalcon 9の打上げが減少すると見られ、代わりにアリアン6(Ariane 6)やニュー・グレン(New Glenn)、バルカン(Vulcan)や複数の新型ロケットの打上げが予定されている。一方中国は「国網(Guowang)」や「千帆(Qianfan)」などの衛星コンステレーションの展開支援に向け、今後さらに打上げ数を増やす見込みであるという。 SpaceNews “SpaceX, China drive new record for orbital launches in 2025” (01/03/26) SpaceX, China drive new record for orbital launches in 2025
カリフォルニア大学、政府要求に応じず
ポリティコ紙(Politico)は12月28日、カリフォルニア大学(University of California)がトランプ政権との対立で膠着状態にあると報じた。トランプ政権は、ユダヤ人学生や教員に対する権利侵害を理由にカリフォルニア大学ロサンゼルス校(University of California, Los Angeles: UCLA)の研究費5億8,400万ドルを凍結したが、大学は解決に向けた明確な行動を取っていないという。UC側の教職員が提起した訴訟により、いくつかの裁判所判断で暫定的に資金が回復されたものの、ギャビン・ニューサム州知事(Gavin Newsom、カリフォルニア州選出民主党)や州議会議員による大統領の要求に屈すべきではないという意見を考慮せざるを得ない状況であると記事は伝えた。一方、学内では中央集権的なリーダーシップへの不満が高まっており、教員たちは大学側に対し、政府へのより積極的な対応を求めているが、州知事の大統領選挙への出馬の可能性も絡んでおり、大学の立場は微妙な状況に置かれているとも伝えている。 Politico “No deal, no defiance: UC’s Trump fight grinds on, leaving UCLA in limbo” (12/28/25) https://www.politico.com/news/2025/12/28/uc-facultys-fight-with-trump-has-put-the-university-in-a-tough-spot-00694193