Day: January 22, 2026

米国、EU不参加でAIサプライチェーン確保へ新たな同盟構築

ベルギーのメディア、サイエンス・ビジネス(Science Business)は1月15日、米国が主導する人工知能(AI)のサプライチェーン確保に向けた技術同盟「パックス・シリカ(Pax Silica)」から欧州連合(EU)が外れていると報じた。中国を回避する目的で設立されたこの同盟には、日本、韓国、シンガポール、イスラエル、カタール、英国、アラブ首長国連邦らが参加しており、2月にはインドも加わる見込みであるが、半導体製造において重要なASML社の本拠地オランダを含め、EU全体が不参加となる見込みであるという。不参加に関する詳細は明らかになっていないが、国務省(Department of States)は、AI規制に関する方針の違いを指摘している。米国はAI技術規制を緩和する一方、EUは包括的なAI法を成立させている。またEUが米国の武力によるグリーンランド占領の可能性に危惧しており、関係は歴史的な低水準にあるという。これらを踏まえ、米国の地政学的姿勢やEUとの他の外交問題も絡み、EUが参加を見送った可能性があると記事は分析している。 Science Business “US creates tech alliance to secure AI supply chain, without the EU” (01/15/26) https://sciencebusiness.net/news/international-news/us-creates-tech-alliance-secure-ai-supply-chain-without-eu

バイオ規制の現代化で中国に対抗、国家安全保障委員会が83の政策提言を発表

国家安全保障委員会(National Security Commission on Emerging Biotechnology: NSCEB)は1月13 日、バイオテクノロジー分野での優位性確保に向け、規制プロセスを現代化・合理化する83の政策提言を発表した。この提言は従来の行動計画を基に策定され、政府全体に関わる30項目と、医療・植物・微生物・動物の4分野に特化した53項目の計83項目で構成されている。NSCEBは、現行の不透明な規制がイノベーションの海外流出を招いている現状を指摘した上で、米国が次世代技術の標準を確立すべきであると主張した。また、規制改革は単なる基準の緩和ではなく、科学的知見と戦略的現実に即した調整で、経済強化の確保にも不可欠であると強調している。このため、まずは審査の重複を解消し、バイオ医薬品や精密工学を用いた微生物、農業生産性を高める動植物の商業化を加速させる方針で、委員会はこの合理化を通じて国内の産業基盤を強化し、安全性を確保しつつ新技術の市場投入を早めることで、国家安全保障の維持を図る考えである。 NSCEB “NSCEB Aims for Modernized Regulatory System to Propel U.S. Ahead of China in Biotech Competition” (01/13/26) https://www.biotech.senate.gov/press-releases/nsceb-aims-for-modernized-regulatory-system-to-propel-u-s-ahead-of-china-in-biotech-competition/

科学的地位に対する党派間認識差が拡大 ピュー・リサーチ・センター調査

ピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)は1月15日、米国の科学的地位に関する世論調査結果を発表し、二大政党間で現状認識に大きな隔たりが出ていることを明らかにした。調査によると、民主党と共和党の双方が科学における世界での主導権維持を重要視しているものの、民主党支持者の65%が「米国は他国に対し遅れをとっている」と回答し、2023年から28ポイント急増した。対照的に、共和党支持者で同様の懸念を示す割合は32%にとどまり、自国の進展に対する評価は二分された。公的な研究投資については、全体の84%が価値を認めているが、共和党の54%が民間投資のみで十分な科学的進歩が可能と考える一方、民主党の79%は依然として政府投資が不可欠とした。科学への貢献度に関しても、民主党は大学を高く評価しているが、共和党は民間企業の役割をより重視する傾向が顕著となった。政府が予算削減や人工知能(AI)強化を推進する中、科学の将来像をめぐる国民の視点の違いが、これまで以上に鮮明に浮き彫りとなっている。 Pew Research Center “Do Americans Think the Country Is Losing or Gaining Ground in Science?” (01/15/26) Do Americans Think the Country Is Losing or Gaining Ground in Science?

トランプ政権、主要科学ポストの人事を再提出

米国物理協会(American Institute of Physics: AIP)は1月19日、政府が昨年末に期限切れとなった主要な科学関連ポストの指名候補者を上院に再提出したと伝えた。米国標準技術局(National Institute of Standards and Technology: NIST)所長にパデュー大学(Purdue University)工学部長のアービンド・ラマン氏(Arvind Raman)、また、航空宇宙局(National Aeronautics and Space Administration: NASA)副長官にマシュー・アンダーソン氏(Matthew Anderson)、国務省(Department of State)海洋・国際環境科学問題担当次官補にウェスリー・ブルックス氏(Wesley Brooks)に加え、商務省(Department of Commerce)産業分析担当次官補にスティーブン・ヘインズ氏(Steven Haines)が再指名された。昨年から指名承認の一括審議・承認が可能になったが、米国科学財団(National Science Foundation: NSF)やエネルギー省(Department of Energy)科学局(Office of Science)長官など主要なポストは依然として指名が行われていない。 AIP “Science nominations back under Senate consideration” (01/19/26) https://www.aip.org/fyi/the-week-of-jan-19-2026

クリーンエネルギー開発停滞で電気料金3,600億ドル増加の恐れ ACP報告

アメリカン・クリーン・パワー協会(American Clean Power Association: ACP)は1月21日、新たなクリーンエネルギー開発がなければ、PJM相互接続地域9州で今後10年間に電気料金が3,600億ドル増加するとの分析結果を発表した。一般家庭の電気料金は10年間で3,000~8,500ドル上昇し、特にウェストバージニア州では最大8,500ドルの負担増となる見込みであるという。また新規開発を制限した場合、2035年までに電力輸入が約300%増加し、老朽化した高コストの化石燃料発電への依存が深まり、電力供給の信頼性リスクも高まることもわかった。データセンターや先端製造業の急拡大による電力需要急増を背景に、トランプ政権と超党派の州知事グループがPJMに対応策を講じるよう求めており、ACPは新規天然ガス発電所の建設に5~7年かかるのに対し、風力・太陽光発電や蓄電池などのクリーンエネルギー資源は1~2年で導入可能で、需要急増に対応する最も現実的な解決策と提言、風力、太陽光、蓄電池への投資継続が不可欠であると強調している。 ACP “NEW ANALYSIS: Households Will Pay Thousands More for Electricity Over the Next Decade without New Clean Power Sources in PJM” (01/21/26) NEW ANALYSIS: Households Will Pay Thousands More for Electricity Over the Next Decade without New Clean Power Sources in PJM

退役軍用機のエンジン 最大4万MWの発電能力

エネルギー情報局(Energy Information Administration: EIA)は1月21日、退役した軍用機のエンジンの発電能力が最大4万MWに達する可能性があると発表した。「ボーンヤード(boneyard、墓場)」の別名を持つ、アリゾナ州のデビスモンサン空軍基地(Davis-Monthan Air Force Base)に保管されている約4,000機の退役軍用機のエンジンを利用する場合を想定したもので、同州の現在の発電能力の約10%に相当する量という。その中でも、ターボファンエンジンは約3万2,000MWの発電能力と最も大きな割合を占め、ターボシャフトエンジンとターボプロップエンジンは、それぞれ約1,600MWと7,300MWの発電能力を持つと推定した。しかし、これらのエンジンを発電に利用するには、エンジンの状態や軍事上のニーズ、エンジンの再生・改造にかかるコストなどの課題があり、特にターボシャフトエンジンについては、公益事業用やバックアップ発電に使用されている1MW~2MWのディーゼルエンジンの方が効率的であることにも触れている。 EIA “Air power: Tallying electricity generating potential from retired military aircraft” (01/21/26) https://www.eia.gov/todayinenergy/detail.php?id=67044

国内初の高性能核融合材料試験施設、東テネシーに建設へ

オークリッジ国立研究所(Oak Ridge National Laboratory: ORNL)は1月21日、タイプ・ワン・エナジー社(Type One Energy)とテネシー大学ノックスビル校(University of Tennessee, Knoxville)と共同で、国内2番目となる高熱流束試験施設(High-Heat Flux Facility: HHF)をテネシー川流域開発公社(Tennessee Valley Authority: TVA)のブルラン発電複合施設に建設すると発表した。1平方メートルあたり10メガワット(MW)以上の熱負荷を電子ビーム技術で加え、核融合炉内でのプラズマ対向部品(Plasma-Facing Components: PFCs)の材料特性を評価するとし、国内初となる加圧ヘリウムガス冷却システムを搭載する。このシステムはタイプ・ワン・エナジー社が開発する「インフィニティ・ツー(Infinity Two)」核融合発電プラントを含む複数の国内拠点の核融合装置でも採用候補となっており、建設にはエネルギー省(Department of Energy)の核融合エネルギー科学プログラム(Fusion Energy Sciences)が支援し、2027年末に完工する予定としている。 ORNL “ORNL to partner with Type One Energy, UT on world-class facility to validate next-gen fusion” (01/21/26) https://www.ornl.gov/news/ornl-partner-type-one-energy-ut-world-class-facility-validate-next-gen-fusion

NETL、重要鉱物研究向け初のデジタル基盤「ClaiMM」立ち上げ

国立エネルギー技術研究所(National Energy Technology Laboratory: NETL)は1月21日、重要鉱物・材料(Critical Minerals and Materials: CMM)研究を支援する初の統合デジタル基盤「ClaiMM」を立ち上げたと発表した。採掘から製造・供給網に至るまで、鉱物・材料の全バリューチェーンを対象とした唯一のデジタル研究基盤で、エネルギー・データ・エクスチェンジ(Energy Data eXchange: EDX)上で運営する。この基盤を通じ、厳選されたデータセット、データベース、モデル、ツール、サービスへのアクセスを提供して人工知能(AI)と機械学習の機能を統合することで、研究者や科学者への迅速な知見確保につなげる。NETLは、様々な分野の研究チームが既存データとツールを活用し、新たな知見を生み出すことが可能になるとし、またエネルギー安全保障と資源自立という国家的優先課題の進展を実現する動的なデジタル基盤となるとも指摘しており、今後は同基盤内でのモデル実行やAIによる推奨機能の拡充も予定しているという。 NETL “NETL Launches ClaiMM, the First Digital Platform Supporting Source-to-Supply Critical Minerals and Materials Research” (01/21/26) https://netl.doe.gov/node/15200

トランプ政権、「AI大分岐政策」を推進

大統領府は1月21日、「人工知能(AI)が新たな大分岐を引き起こす可能性がある」という報告書「人工知能と大分岐(Artificial Intelligence and the Great Divergence)」を発表した。AIイノベーションは英産業革命時のように経済成長を加速させるが、国家間の格差を広げる可能性も示唆しており、AIへの投資と採用状況により、同分野におけるリーダー的存在となる国々が出現すると報告している。ただ、今後のAI技術は現在と大きく異なるとし、AIが将来どのように影響を与えるかについての不確実性を認識しつつ、投資やパフォーマンス、採用率の指標が急速に成長していることも特徴的であると分析した。これらを背景に、トランプ大統領はイノベーションの加速、インフラ開発、規制緩和によりAI優位性を確立していく姿勢を示しており、技術輸出を通じて国際的に優位な立場を築く計画を明らかにしている。 The White House “Artificial Intelligence and the Great Divergence” (01/21/26) https://www.whitehouse.gov/research/2026/01/artificial-intelligence-and-the-great-divergence/

CEQ、新しいNEPA緊急ガイダンスを発表

大統領府は1月21日、環境諮問委員会(Council on Environmental Quality: CEQ)の国家環境政策法(National Environmental Policy Act: NEPA)に関する新しい緊急ガイダンスを発表した。大規模な山火事や、生物種とその生息地への脅威、経済危機、感染症の流行、大統領による非常事態宣言などの緊急事態に、連邦機関が迅速かつ効果的に対応を講じるための手続きに明確な指針を示す内容となっている。CEQのキャサリン・スカーレット委員長(Katherine Scarlett)は「緊急時に必要なサービスを迅速に提供できるよう、具体的な手順を示すもの」と説明し、法的要求事項と環境面での考慮を完全に満たしつつ、対応を進めるための具体的な手順が記載されていると説明した。緊急事態下でのNEPA実施を監督するCEQは、この新しいガイダンスに沿って、政権の優先事項を推進していく姿勢を示している。 The White House “CEQ Issues Guidance on Emergencies and the National Environmental Policy Act” (01/21/26) https://www.whitehouse.gov/articles/2026/01/ceq-issues-guidance-on-emergencies-and-the-national-environmental-policy-act/