グランホルム新エネルギー長官、クリーン技術の押し上げと電力グリッドの強化を目的とした大型投資を視野に

ジェニファー・グランホルム新エネルギー長官(Jennifer Granholm)は2月26日、400億ドルのエネルギー・プロジェクト向け融資プログラムを復活させること、国内の電力グリッドの改善を推進することを計画していると発表した。同長官はバイデン大統領から、エネルギー省(Department of Energy)の焦点を、気候変動対策とクリーン技術ビジネスの強化へシフトさせるよう任じられている。グランホルム長官は、電力グリッドがほぼ壊滅的な状態に陥っているテキサス州及びカリフォルニア州で昨年発生した停電は、米国の電力システムが需要増大と過酷な気象への対応にいかに苦戦しているかを示していると述べた。また、バイデン政権が構想する低炭素技術に基づく現代型の経済の育成には、エネルギー部門に対する連邦の支援が必要であると述べた。 Wall Street Journal “Biden’s New Energy Secretary Eyes Big Investment to Boost Clean Technologies, Harden Electric Grid” (2/26/21)

ローレンス・リバモア国立研究所、学際的な宇宙科学研究所を立ち上げ

ローレンス・リバモア国立研究所(Lawrence Livermore National Laboratory: LLNL)は今月、宇宙科学研究所(Space Science Institute: SSI)を立ち上げる。SSIは、天体物理学や惑星科学における最も重要な疑問に対処する世界クラスの画期的な概念や技術を模索し、学際的な共同作業や発見を促進することを意図している。LLNLの物理・生命科学(Physical and Life Sciences: PLS)とグローバル・セキュリティ(Global Security: GS)の両総局がスポンサーとなり、SSIは、LLNLの天体物理学や地球科学、原子力科学・工学、宇宙化学、データ科学の強みを活かし、LLNL主導のプロジェクトおよび即戦力となる人材を育成するパイプラインの開発に取り組む。GS総局の宇宙化学・安全保障プログラム(Space Science and Security Program)のアソシエイト・プログラム・リーダーに最近任命されたミーガン・エカート氏(Megan Eckart)がSSIの初代局長に就任する。 Lawrence Livermore National Laboratory “Lab launches interdisciplinary Space Science Institute” (2/26/21)

「米国のR&Dコミュニティのパンデミックからの回復は遅れ気味」との報告

米国物理学会(American Physical Society)の政府問題局(Office of Government Affairs: OGA)は最近、「米国の研究開発コミュニティのパンデミックからの回復が遅れている(US R&D Community Pandemic Recovery Lagging)」と題する論文を発表し、パンデミックが科学活動にもたらした影響への連邦政府の対応が急務であると主張した。論文には、同学会の2021年3月会議(2021 March Meeting)での発表に向けて提出されたアブストラクトの分析が含まれる。これによると、現在の物理学研究活動の現状を示すものとして、①2021年3月会議における米国物理学研究の全体的なアウトプットは、2020年3月会議からわずかに減少、②米国の実験的物理学はパンデミックによる深刻な影響を受け、2021年のアブストラクトは2020年に比べ20%減少、③米国でキャリアの重要な段階にある研究者は、不均衡な影響を受けており、特に最近の卒業生(博士号取得から5年未満)及び早期キャリア(同5~10年)の研究者でその影響が顕著、などが挙げられている。 American Physical Society “Issue Brief: US R&D Community Pandemic Recovery Lagging” (2/25/21)

バイデン大統領、炭素の費用を引き上げ、新たな気候規則への道を容易に

バイデン大統領は2月26日、温室効果ガスの経済的費用(「炭素の社会的費用」と呼ばれる)について、オバマ政権時の数値を復活させた。これにより、現政権の省庁機関がより積極的な気候変動対策を講じることが容易になるとみられている。バイデン政権が提示するとみられる炭素の社会的費用は、大気に排出される炭素1トン当たり51ドルであり、これは、計算に気候汚染の世界的影響を反映させることを拒否していたトランプ前大統領が使っていた同8ドルを大きく上回るものの、現在、エコノミストや気候科学者が推奨するレベルには達していない。今後、温室効果ガスの社会的費用に関する作業部会(Working Group on the Social Cost of Greenhouse Gases)が、最終的な数値を1月までに発表することになっている。 Politico “Biden hikes cost of carbon, easing path for new climate rules” (2/26/21)

DARPA、150件以上の先端国家安全保障イノベーションの市場化を目指し、アントレプレナー・イニシアチブを開始

国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Project Agency: DARPA)は過去2年にわたり、埋め込み型アントレプレナーシップ・イニシアチブ(Embedded Entrepreneurship Initiative: EEI)のパイロット・プログラムを通じて、30件のシード前研究チームの資金調達やスピンアウト、企業との様々な合同開発合意確立などを支援してきた。2月23日には、DARPAが支援する150件の技術について、ラボから製品化への移行を加速させることを目標として、EEIを拡大する取り組みが開始された。イニシアチブは、重要なアントレプレナーの専門性や一流の商業化メンター、投資家との結びつきを、研究チームに提供する。この重要な取り組みは、米国資本を引き付ける能力を有するより力強い企業を築くことで、積極的な外国投資家へ効果的に対抗する手段となる。 Defense Advanced Research Project Agency “DARPA Launches Entrepreneurial Initiative to Propel over 150 Cutting-Edge National Security Innovations to Market” (2/23/21)

国立再生可能エネルギー研究所、リチウムイオン電池の新たな循環ビジョンを達成するための経路について報告

国立再生可能エネルギー研究所(National Renewable Energy Laboratory: NREL)は、「モバイル及び固定エネルギー貯蔵に使用されるリチウムイオン電池の循環経済:牽引要素と障害と実現要素と米国政策に関する考察(A Circular Economy for Lithium-ion Batteries Used in Mobile and Stationary Energy Storage: Drivers, Barriers, Enablers, and U.S. Policy Considerations)」と題する報告書を発表した。エネルギー貯蔵及び電気自動車におけるリチウムイオン電池の需要は増大しており、その需要は更に高まる見通しである。こうした中、リチウムイオン電池の生産、消費、終了(retirement)について新たなビジョンが必要とされている。NRELのアナリストは、同電池の循環経済へ向けた経路の可能性を特定し始めるため、電気自動車及び電池エネルギー貯蔵に使用される大判のリチウムイオン電池の再利用及びリサイクル状況の評価分析を行った。それによれば、リチウムイオン電池の再使用及びリサイクルは、米国市場の機会を創出・拡大し、サプライチェーンを安定させ、環境への影響を低減させるなどの可能性があることが分かった。報告書は、リチウムイオン電池の循環経済を促進する牽引要素、障害、規制などについて分析している。 National Renewable Energy Laboratory “Pathways To Achieve New Circular Vision for Lithium-Ion Batteries” (2/25/21)

将来の電力グリッドは、持続可能性、対応力、公平性、信頼性、安全保障を優先すべきとの報告

米国アカデミー(National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine)は今般、「米国における電力の未来(The Future of Electric Power in the United States)」と題する報告書を発表した。報告書は、米国がエネルギー供給の脱炭素化を追求する中、国内に安全で信頼性があり、クリーンで対応力があり、公平な形で電力を適切に供給できるよう、米国の電力システムを改善するための包括的な勧告を提示している。また、世界的なサプライ・チェーンがシフトする中、技術や政策、ビジネス・モデルのイノベーションを加速させる方法も勧告している。 National Academies “Electric Grid of the Future Should Prioritize Sustainability, Resiliency, Equity, Reliability, and Security, Says New Report” (2/25/21)

エクセル・エナジー社、温室効果ガス排出削減努力を強化、2030年までに85%削減を約束

コロラド州で炭素フリーとなる目標を最初に掲げた電力機関のエクセル・エナジー社(Xcel Energy)は2月24日、温室効果ガス排出削減努力を強化し、2030年までに85%削減するとの誓約を示した。新たなクリーンエネルギー計画は、3月末までにコロラド州の規制当局へ提出される予定で、これにより同社の当初の目標(2030年までに80%を削減)が改訂される。同計画では、気候変動対処のターゲットに達することを目的として、同社は、残りの石炭火力発電所を2040年までに閉鎖すること、5,500メガワットの風力及びソーラー発電の追加と電池貯蔵を提案している。 Denver Post “Xcel Energy ups ante on cutting greenhouse-gas emissions, pledges 85% reduction by 2030″ (2/25/21)

エネルギー省、地熱イニシアチブプロジェクトに4,600万ドルを助成

エネルギー省(Department of Energy)は2月24日、ユタ大学(University of Utah)が主導する「地熱エネルギー研究フロンティア観測所(Frontier Observatory for Research in Geothermal Energy: FORGE)」イニシアチブを通じて、最先端の炭素フリー国内地熱プロジェクト(17件)に合計最高4,600万ドルを助成すると発表した。強化地熱システム(Enhanced Geothermal Systems: EGS)にはクリーンで信頼性の高い電力を数千万世帯へ提供できる未開拓の可能性が膨大にあるという。ユタFORGEは、科学者や研究者が人工のEGSシステムを工学する手法を学ぶ研究所で、EGSに特化した最初の現場ラボである。 Department of Energy “DOE Awards $46 Million for Geothermal Initiative Projects with Potential to Power Millions of U.S. Homes” (2/24/21)

ジェニファー・グランホルム氏が第16代エネルギー長官に就任

ジェニファー・グランホルム氏(Jennifer M. Granholm)が2月25日、第16代エネルギー長官(Secretary of Energy)として就任した。同氏は上院で、64票対35票という超党派の票決で承認された。エネルギー長官として承認された女性は、グランホルム氏で二人目である。同氏は、2003-2011年にミシガン州で初の女性知事を2期にわたって務めた。その後、カリフォルニア大学バークレー校(University of California, Berkeley)の教員となり、特別教授(Distinguished Professor)として公共政策大学院(Goldman School of Public Policy)で教鞭を取った他、ピュー慈善信託(Pew Charitable Trusts)クリーン・エネルギー・プログラム(Clean Energy Program)のアドバイザーを務めるなどしていた。 Department of Energy “Jennifer M. Granholm Sworn in as 16th Secretary of Energy” (2/25/21)