大統領府、2023年度予算における研究開発の優先事項を通達

行政管理予算局(Office of Management and Budget: OMB)は8月27日、連邦省庁の長官宛てに各省庁機関がOMBへ提出する2023年度予算を策定する際に考慮すべき研究開発(R&D)優先事項を概説したメモを通達した。本通達で示された優先事項に関して、各省庁は、①R&Dへの継続的な投資、②STEM教育及び関与、③STEM労働力開発、④技術移転と商業化、⑤研究インフラ、を推進することが求められている。省庁機関が2023年度予算を策定する際には、優先事項のバランスを図り、各機関固有のミッションに基づくR&Dに資源が配分されることを確実にすると同時に、適切な場合は、単独機関のみでは対処できない省庁間R&D活動に資源を充当することになる。こうした省庁横断型R&D活動として、①パンデミックへの対応と予防、②気候変動対策、③重要・新興技術における研究とイノベーションの促進、④公平性のためのイノベーション、などが挙げられている。 White House “Multi-Agency Research and Development Priorities for the FY 2023 Budget” (8/27/21)

DARPA、次世代のバイオ製造能力の開発に取り組む

国防総省(Department of Defense)は、医療措置(medical countermeasures: MCM)(例として、抗生物質やワクチン)や診断において重要となる核酸を生産するための主要酵素など、重要なたんぱく質へのアクセスを必要としているが、遅々とした生産手法や世界のサプライチェーンへの依存により、そのアクセス性は限定されている。現在のたんぱく質をベースとするMCM生産には、大規模な中央一元型インフラと複雑なパイプラインが必要で、それには、長期にわたる細胞工学や集中的な精製作業などが伴う。こうした様々な課題に対処するため、国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Project Agency: DARPA)は今般「たんぱく質製造の再考(Reimagining Protein Manufacturing: RPM)」プログラムを立ち上げた。同プログラムは、分散型かつオンデマンド式の生物学をベースとしたMCMの製造及びそれに関連する原材料のために必要な基礎技術を確立することを狙いとしている。 Defense Advanced Research Project Agency “Delivering Next-Gen Biomanufacturing Capability” (8/25/21)

エネルギー省、マイクロエレクトロニクス技術のエネルギー効率強化に5,400万ドルを発表

エネルギー省(Department of Energy)は8月25日、マイクロエレクトロニクスの設計及び生産におけるエネルギー効率強化を目的として、同省傘下の国立研究所が率いる10件の新規プロジェクトに約5,400万ドルを提供すると発表した。マイクロエレクトロニクスは、現代のあらゆる技術(スマートフォン、医療機器、電力プラント、電力グリッド、自動車など)に不可欠な要素であり、小型電子機器の極小化はここ数十年、デジタル革命をもたらしている。今回選出された国立研究所主導のプロジェクトは、①人間の脳による設計に基づく新規のコンピューティング・アーキテクチャ、②超低電力エレクトロニクス、③低温のナノスケール及び量子センサー、について研究する。 Department of Energy “DOE Announces $54 Million to Increase Energy Efficiency in Microelectronics Technologies” (8/25/21)

バイデン政権と民間セクタ、米国サイバーセキュリティの強化を目的とした野心的イニシアチブを発表

バイデン大統領は8月25日、民間及び教育部門のリーダーと会合し、サイバーセキュリティの脅威に対処するために必要な全国的取り組みについて協議した。最近のサイバーセキュリティ事件・事故は、米国の官民事業体が悪質で高度なサイバー活動に大きく直面しつつあることを示している。協議では、参加者がそれぞれにコミットメントやイニシアチブを発表した。それには、①米国標準技術局(National Institute of Standards and Technology:NIST)が、業界及びその他のパートナーと協力し、技術サプライチェーンのセキュリティ及び完全性の改良を目的とした新たな枠組みの開発に取り組む、②バイデン政権は、産業制御システム・サイバーセキュリティ・イニシアチブを天然ガスパイプラインへ拡大する、②アップル社(Apple)は、技術サプライチェーン全般における継続的なセキュリティ改良を促進する新プログラムを確立する、④コード(Code.org)は、3年間をかけ、3万5,000の教室で300万人以上の学生に、サイバーセキュリティの概念について学習指導する、などが含まれる。 White House “FACT SHEET: Biden Administration and Private Sector Leaders Announce Ambitious Initiatives to Bolster the Nation’s Cybersecurity” (8/25/21)

ウェイモ社、サンフランシスコで自動運転車による乗車サービスを提供へ

ウェイモ社(Waymo)は、カリフォルニア州サンフランシスコで、広範なグループを対象に自動運転車による乗車サービスを開始する。ただし、利用者は、秘密保持契約に署名する必要があり、安全のため、運転席には人間のドライバーが座席に着く。同社は既にアリゾナ州フェニックスで完全なドライバーレス(安全ドライバーが乗車していない)による乗車サービスを実施しており、今回で2つ目の都市でのサービス開始となる。希望者は、スマホのアプリ「ウェイモ・ワン(Waymo One)」を通じて、ウェイモ社の「信頼できる試験者(Trusted Tester)」プログラムに応募する。プログラムへの参加が認められた人は、ウェイモ社の自動運転車「ジャガーI-Pace SUV」車に無料で乗車できるが、引き換えにフィードバックを提供することが求められ、また、乗車体験を公に共有することはできない。 The Verge “Waymo starts offering autonomous rides in San Francisco” (8/24/21)

バイデン政権、「2035年までにソーラーが米国の発電の40%を占めることは可能」と発言

エネルギー省(Department of Energy)は、8月17日に発表したメモの中で、再生可能エネルギーのためのより良いインセンティブを利用することで、2035年までにソーラー発電が米国の発電の最大40%を占めることは可能であるとの見解を示した。メモの中で引用された国立再生可能エネルギー研究所(National Renewable Energy Laboratory)の調査研究論文によれば、それを実現するためにはソーラー発電が300~400%の割合で拡大する必要がある。それが実現されれば、ソーラー発電が米国の発電占める割合は、現在の3%から14年後には40%に増加する可能性がある。エネルギー省のメモは、この数値を達成するための戦略として、クリーン・エネルギー税控除、グリッドや送電線への投資、低所得コミュニティへの導入の強化などを挙げている。 The Hill “Solar could provide 40 percent of US power generation by 2035, Biden administration says” (8/17/21)

米国ガールスカウトとFBI、女子のためのSTEMプログラム支援で覚書に署名

卓越したSTEM人材をリクルート及び維持することは、連邦捜査局(Federal Bureau of Investigation: FBI)の優先事項であり、FBIは、若い層の間でFBIのミッションやイニシアチブを広報することを模索している。こうした中、FBIと米国ガールスカウト(Girl Scouts of the USA: GSUSA)は、覚書(memorandum of understanding: MOU)に署名し、若い女性のSTEMに対する関心や自信、コンピテンシーを高めることを狙いとして協力する。FBIの地域オフィスのコミュニティ・アウトリーチ専門家が、地元のガールスカウト評議会やその他の類似組織と協力し、女子にSTEM関連の講演者、資源、イベントを提供する。また、FBI職員がガールスカウト向けにプレゼンテーションを行い、ガールスカウト内で現在行われているSTEMやサイバーセキュリティ・プログラムの活動を促進して様々なガールスカウト・バッジの獲得へつなげる。ガールスカウトは、FBIのミッションや活動、FBIでSTEMに焦点を当てたキャリアの可能性についても学ぶ。 Federal Bureau of Investigation “Girl Scouts of the USA and FBI Sign MOU in Support of STEM Programs for Girls” (8/19/21)

「海外留学生は米国にとって依然重要な人材源」との報告

米国政策財団(National Foundation for American Policy: NFAP)は8月19日、「科学工学分野における海外留学生(International Students in Science and Engineering)」と題する分析報告を発表した。それによれば、海外留学生は米国の雇用主にとって重要な人材源であり、米国の大学は科学及び工学分野で米国人学生に質の高いプログラムを提供することが可能になっている。また、海外留学生の存在がなければ、米国でコンピュータ・情報科学、電気工学といった分野で大学院の学位(修士号、博士号)を追求する学生の数は、米国経済の規模に比べて小さくなると予測されるという。2019年に米国の大学(電気工学分野)に在籍していた正規(フルタイム)の米国人大学生はわずか9,083名で、海外留学生は2万6,343名であった。NFAPは、海外留学生を歓迎する政策を維持することは、技術イノベーションの中核という米国の役割を維持する上で重要であるとし、いくつかの提案を行っている。 National Foundation for American Policy “New Research: International Students Remain a Key Source of Talent in America; Have Declined in Key Fields” (8/19/21)

米国で科学・工学の博士号を取得し、卒業時に短期滞在ビザを保有していた早期キャリア者の多くは、米国内で引き続き滞在・就職

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)の国立科学工学統計センター(National Center for Science and Engineering Statistics:NCSES)の報告によれば、米国の大学で科学・工学(S&E)の博士号を取得し、卒業時に短期滞在ビザを保有していた者の多くは、卒業後も米国にとどまることを期待しており、実際に博士号取得後も米国に居住している。米国のS&E労働力において、外国生まれの労働者は大きな要素を占めつつあり、外国生まれのS&E労働者の多くは、米国で教育・訓練を受けている。例えば、2017年に米国の大学でS&Eの博士号を取得した者の約3分の1が短期滞在ビザ保有者である。こうしたS&E博士号取得者のほとんど(71%)が、卒業後も就職を目的として米国内での滞在を継続しており、多く(30%)が米国市民権もしくは永住権を取得している。本記事は、滞在継続者の雇用、米国の大学でS&E博士号を取得し、米国内に居住している早期キャリアの主たる職務について報告している。 National Center for Science and Engineering Statistics “Where Are They Now? Most Early Career U.S.-Trained S&E Doctorate Recipients with Temporary Visas at Graduation Stay and Work in the United States after Graduation” (8/19/21)

エネルギー省がテネシー州にもたらした経済効果は72億ドル

テネシー州東部経済評議会(East Tennessee Economic Council: ETEC)が8月20日に発表した報告書によれば、エネルギー省(Department of Energy)傘下の国立研究所などを擁するオーク・リッジ保留地(Oak Ridge Reservation)は、雇用を創出するエンジンとなり、72億ドル相当の経済効果をもたらし、約4万3,000人の正規雇用を支えているという。報告書は、エネルギー省のテネシー州への投資(2020年度)の影響を調査したもの。その他の主要なファインディングとして、①民間部門がオーク・リッジにおけるエネルギー省のミッションを支えている(エネルギー省及びその契約事業者はテネシー州の企業から9億4,000万ドルの物資を調達した)、②エネルギー省関連の支出により、約1億800万ドルの税収が州及び地方自治体にもたらされた、などが挙げられている。 East Tennessee Economic Council “New Report Highlights DOE’s Impact in the State of Tennessee” (8/20/21)