パンデミック後、科学者に対するハラスメントが悪化

科学者が受けるハラスメントの状況についてより良い理解を得るため、サイエンス誌(Science)は、新型コロナ(COVID-19)に関する論文を出版した9,585名の研究者を対象に、ハラスメントに関するアンケート調査を実施した。回答者510名のうち、38%が、少なくとも1種類のハラスメントを受けたと報告しており、その内容は、侮辱から殺害の脅しまで幅広く、それらはソーシャル・メディアやEメール、電話、そして時には対面で行われたこともあるという。ハラスメントを受けたと報告した人々は、生活面への影響として、職場での問題や精神衛生問題などを挙げている。こうしたファインディングは、「ハラスメントは科学及び関連分野を直撃している」というその他の機関の報告と一致する。ジュネーブを拠点とする非営利組織のインセキュリティ・インサイト社(Insecurity Insight)や、米国公衆衛生ジャーナル(American Journal of Public Health)なども、COVID-19関連の暴力事件やハラスメントについて同じような報告をしている。より包括的なアンケート調査でもハラスメントは報告されており、ハラスメントは新規もしくはCOVID-19に限定されたものではないと考えられるが、一部の科学者にとってはパンデミックによりハラスメントの状況は悪化している。 Science “IN THE LINE OF FIRE” (3/22/22)

バイデン=ハリス政権、港湾及び水路のための追加インフラ資金を発表

バイデン大統領は、超党派インフラ法(Bipartisan Infrastructure Law)を通じて、国内の港湾及び水路を改善するため、前代未聞の投資を確保した。そしてバイデン=ハリス政権は3月29日、港湾及び水路の強化に焦点を当てた全国で300件の米陸軍工兵隊(U.S. Army Corps of Engineers)プロジェクトに27億ドル以上を投資すると発表した。今回の発表により、バイデン政権は、2022年度及び2023年度に、超党派法及びその他の歳出を通じて、合計約170億ドルを、55州及び準州で800件以上のプロジェクトに投資する。加えて、内務省(Department of the Interior)が、超党派インフラ法による資金を基に、水力再利用局(Bureau of Reclamation)が農村地域のインフラ整備に約17億ドルを投資する(2023年度)と発表した。本件は、水力再利用局が、西部における干ばつ対策や、国内の水路インフラ対処を目的として、地域社会に投資を行う計画を示すものである。 White House “FACT SHEET: Biden-⁠Harris Administration Announces Additional Infrastructure Funding for Ports and Waterways” (3/29/22)

バイデン政権、COVID.govを立ち上げ

バイデン政権は3月3日、米国内の全ての人が新型コロナ(COVID-19)に関するツール(ワクチンや検査、治療、マスク)と最新情報を入手できるワンストップ・ショップのウェブサイト、COVID.govを立ち上げた。政権はこれまで14カ月間にわたり、9万か所のワクチン接種会場を設置し、4億点以上の高品質マスクを無償で提供し、検査キットを世帯宛てに無償郵送し、検査と治療薬の入手(必要な場合)を同時にできる「テスト兼治療サイト(test-to-treat site)」の立ち上げに努力してきた。そして今回、人々がこれらのツールへアクセスし、疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention: CDC)の最新データをクリック一つで入手できるウェブサイトを立ち上げた。 White House “Fact Sheet: Biden Administration Launches COVID.gov, a New One-Stop Shop Website for Vaccines, Tests, Treatments, Masks, and the Latest COVID-⁠19 Information” (3/30/22)

商務省、米国の競争力強化を狙いとした戦略的計画を発表

商務省(Department of Commerce)は3月28日、2202-2206年度の戦略的計画(Strategic Plan)を発表し、21世紀における米国の競争力を強化するためのイノベーション、対応力、公平性の議題について概説した。商務省はまた、プログラムと全ての米国民の間の結び付きを強調する形で使命声明文の見直しを行い、声明文は、「全てのコミュニティのために経済成長と機会をもたらす状況を作り出す」と改められた。戦略的計画は、5つの目標を掲げており、それらは、①米国のイノベーションと世界的競争力の促進、②包含的な資本主義と公平な経済成長の育成、③軽減、適用、対応力の努力を通じた気候危機への対処、④データを通じた機会と発見の拡大、⑤21世紀型の能力による21世紀型サービスの提供、となっている。 Department of Commerce “U.S. Commerce Department Releases Strategic Plan to Boost America’s Competitiveness” (3/28/22)

量子情報科学小委員会(SCQIS)、量子センサーの実現へ向けた戦略的計画を発表

国家科学技術評議会(National Science and Technology Council)の量子情報科学小委員会(Subcommittee on Quantum Information Science: SCQIS)は3月24日、「量子センサーの実現へ向けて(Bringing Quantum Sensors to Fruition)」と題する戦略的計画を発表した。量子センサー技術は既に多大な恩恵を社会にもたらし、新たな量子センサーの短期的な機会も認められているが、基礎研究から商業製品へ向けた長期的な技術開発には、大規模かつ持続可能で焦点の定まった取り組みが必要である。量子センサー技術の成熟化へ向けた長期的戦略には、政府の優先事項を調整し、民間の関係機関と団結する必要がある。こうした課題に対処するため、戦略的計画報告書は、①量子情報科学技術の研究開発(R&D)活動を主導する連邦機関は、新たな量子センサー手法の開発を加速させ、新たな量子センサーの技術成熟度を高めるため、エンドユーザーとの適切な連携を優先付ける、など連邦政府の取り組みについて4つの勧告を提示している。 Quantum Gov “SCQIS Releases Strategic Plan for Bringing Quantum Sensors to Fruition” (3/24/22)

ロシア政府、ロシア人科学者に対し国際会議への出席を禁止

ロシアの科学・高等教育省(Ministry of Science and Higher Education)は、テレグラム(Telegram)チャンネルを通じて、ロシア人科学者が今年の国際会議に出席することを禁じることを発表した。ロシアのウクライナ侵攻を受け、ロシア人科学者と国際研究コミュニティの関係は緊張が高まっている。バレリー・ファルコブ科学・高等教育大臣(Valery Falkov)はまた、大学との会合において、科学系の学校は今後、論文が2つの大手国際科学データベース(ウェブ・オブ・サイエンス(Web of Science)とスコーパス(Scopus))にインデックス化されたことを強調すべきではないと述べたという。科学者の論文が両誌にインデックス化されることを禁じたわけではないが、それらの指標は研究活動の質を示すものとして利用されなくなる。ロシアはここ十年間、自国の研究機関に国際的競争力を付けるべく努力していたが、今回の措置はこうした取り組みの逆行を意味する。 The Verge “Russian government bars its scientists from international conferences” (3/21/22)

バイデン政権のOSTPとシュミット氏、緊密な関係を維持

バイデン大統領は自身の科学局に前代未聞のアクセスと権力を付与しているが、その科学局のスタッフの発言によれば、「一人の外部アドバイザーは異例なレベルの影響力を有している」といい、これは、グーグル社(Google)の元最高経営責任者(CEO)で億万長者のエリック・シュミット氏(Eric Schmidt)とみられている。同氏が運営する財団は、民間組織であるにもかかわらず、過去一年間、大統領府科学技術政策局(Office of Science and Technology Policy: OSTP)が形成されていく中で、極めて異例の役割を担ってきた。また、シュミット氏は、2月にOSTP長官を辞職したエリック・ランダー氏(Eric Lander)やその他のバイデン大統領が任命した複数の高官と緊密な関係を維持している。ランダー氏がOSTPの長官を務めていた間、シュミット氏が所有する慈善団体のシュミット・フューチャーズ(Schmidt Futures)は、複数の高官の給与を負担するなどしていた。こうした影響力に、OSTPの法務顧問は倫理的懸念を表明していた。 Politico “A Google billionaire’s fingerprints are all over Biden’s science office” (3/28/22)

連邦エネルギー規制委員会、ガス・パイプラインがもたらす気候への影響を評価する計画で後退

連邦エネルギー規制委員会(Federal Energy Regulatory Commission: FERC)は、去る2月17日の会合で、担当高官に、パイプラインやその他の天然ガス・プロジェクトが気候変動や環境正義にどのように影響を及ぼすかを検討するよう指示する政策声明を3対2の表決で承認した。委員会は当初、新たなガイドラインは即時適用され、現在保留中のプロジェクトと今後のプロジェクトに適用されるとしていた。しかし、この決定に業界団体や民主両党の議員から批判の声が上がる中、FERCは3月24日、本計画を縮小することを発表した。FERCはこの政策声明を「草案」と位置づけ、FERCが政策声明を取りまとめした後のプロジェクトにのみ適用されることとした。最終決定が行われる前にパブコメの募集も行われる。 AP News “US pipeline agency pulls back plan to assess climate impacts” (3/24/22)

エネルギー省、クリーン・エネルギー達成に向けて22のコミュニティを支援へ

エネルギー省(Department of Energy)は3月29日、「地元のエネルギー行動プログラム(Local Energy Action Program: コミュニティLEAP(Communities LEAP))」の一環として最初に選出された22のコミュニティを発表した。コミュニティLEAPは、エネルギーの負担が大きいコミュニティが、地元のクリーン・エネルギー未来を直接管理できるよう支援することを意図した、この種のものとしては初めてのイニシアチブである。22のコミュニティは、エネルギー省の支援を受けながら、地元の大気汚染を軽減し、エネルギー対応力を高め、電気代とエネルギー負担を低減し、長期的な雇用と経済機会を提供するための、コミュニティ全体による行動計画を作成する。 Department of Energy “DOE Will Assist 22 Communities With Locally Tailored Pathways to Clean Energy” (3/29/22)

MIT、人工知能の次世代ハードウェアのイノベーションを強化する新たなプログラムを開始

マサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology: MIT)は、人工知能(AI)及び量子時代におけるハードウェアとソフトウェアの変革的技術を定義及び開発することを目的として、学術機関と業界が協力する「MIT AIハードウェア・プログラム(MIT AI Hardware Program)」を開始する。MITのスクール・オブ・エンジニアリング(School of Engineering)、シュワルツマン・カレッジ・オブ・コンピューティング(Schwarzman College of Computing)の間の共同作業として行われ、学際的な取り組みを通じてクラウド及びエッジ・コンピューティングのためのエネルギー効率の高い強化システムへ向けた技術革新を目指す。活動の範囲は、マテリアルや機器、エネルギー効率が高く持続可能な高性能コンピューティングを実現するためのアーキテクチャとアルゴリズムに及ぶ。立ち上げ時の業界メンバーは、アマゾン(Amazon)、アナログ・デバイス(Analog Devices)、ASML、NTTリサーチ、TSMCの5社。 Massachusetts Institute of Technology “New program bolsters innovation in next-generation artificial intelligence hardware” (3/29/22)