バイデン政権、米国のバイオ・バイオ製造労働力の強化・拡大・多様化に向けた行動計画を発表

バイデン政権は6月27日、バイオテクノロジー及びバイオ製造の教育と職務訓練プログラムを早急かつ公平に拡大するための新たな行動計画を発表した。この行動計画は、政権による「米国への投資(Investing in America)」視察の二次ラウンドと共に実施される。行動計画には次のような取り組みが含まれ、政権は既にその一部を実施している。①米国科学財団(National Science Foundation: NSF)、エネルギー省(Department of Energy)、農務省(Department of Agriculture)は、歴史的に黒人の多い大学、部族向け大学、少数派を対象とする機関とのパートナーシップを拡大する、②教育省(Department of Education)は、「キャリア・サクセス解放イニシアチブ(Unlocking Career Success Initiative)」を通じた部門横断型の共同作業を創出し、バイオ労働力のニーズなどに焦点を当てた公聴会を開始する、③労働省(Department of Labor)は、主要なグラント・プログラムで、バイオ製造を含めた先端製造を優先付ける。 White House “FACT SHEET: Biden-⁠Harris Administration Announces New Action Plan to Bolster, Expand, and Diversify America’s Biotechnology and Biomanufacturing Workforce” (6/27/23)

サンディア国立研究所、ハイブリッド型勤務モデルに乗り出す

サンディア国立研究所(Sandia National Laboratories)は、恒久的にハイブリッド型労働力を導入し、研究所内のテレコミューターや遠隔勤務職員の数を増やす計画である。同研究所の職員の過半数は対面の職場に戻っているが、1月時点で、約1,700名の正規テレコミュータ―、1,100名のパートタイム・テレコミュ―ター、1,200名の遠隔勤務職員が国内におり、これは全労働力の約30%を占める。勤務地を柔軟にすることで、物理的な場所の問題からサンディア国立研究所での仕事を検討したことがない有能な人材を引き付けることも期待されている。サンディア国立研究所はまた、いずれは国内に複数のハブを確立し、現在のニューメキシコ州及びカリフォルニア州以外のセキュアな場所で機密業務を行なえるようにすることも計画している。 Science Blog “Sandia Leans Into A Hybrid Work Model” (6/30/23)

商務省、2023年国家輸出戦略を発表

商務省(Department of Commerce: DOC)のジーナ・レモンド長官(Gina Raimondo)は6月29日、「2023年国家輸出戦略(2023 National Export Strategy: NES)」を議会へ提出した。本戦略は、米国の企業と労働者が世界市場で競争し、国際通商を通じて成長していくためにより良い備えを得られるよう、米国の貿易推進の優先事項と、政府全体の枠組みを示すものである。2023年のNESは、大統領輸出評議会(President’s Export Council: PEC)の初会合の間に発表された。PECは、国際通商に関する主要な国家諮問委員会として機能する。2023年のNESには、気候及びクリーン技術、製造、旅行及び観光、国際教育、世界インフラ開発などの部門を対象に、市場機会を向上、強化するための輸出推進措置及び活動が含まれている。 Department of Commerce “U.S. Department of Commerce Secretary Gina Raimondo Releases 2023 National Export Strategy” (6/29/23)

エネルギー省、連邦研究への無料・即時・公平なアクセスを可能とする計画を発表

エネルギー省(Department of Energy)は6月30日、同省から資金を受益した研究が、一般市民や研究者、ジャーナリストにとってよりオープンでアクセス性の高いものであることを確実にするための計画「公共アクセス計画(DOE Public Access Plan)」を発表した。エネルギー省は、17の国立研究所や、大学や民間研究に資金を提供する数多くのプログラムを通じて、年間数千件の研究論文を直接支援しており、今回の計画が実施されると、こうした研究のファインディングは即時に無料で利用可能になる。エネルギー省の新たな公共アクセス計画の主要要素として、①一般市民が、連邦資金の結果として作成された専門誌論文もしくは最終的に認められた原稿にアクセスする前に実施されていた「制限期間(embargo period)」の廃止、②出版物に掲載された科学的データなどへの即時アクセスと出版物に掲載されていない科学データへのアクセス拡大、③研究の成果物や組織、アワード、契約、人物に関する永続識別子(persistent identifier: PID)の広範な導入、が含まれる。 Department of Energy “U.S. Department of Energy Releases Plan to Ensure Free, Immediate, and Equitable Access to Federally Funded Research” (6/30/23)

エネルギー省と民間機関、長期エネルギー貯蔵の加速を目的とした合意に署名

エネルギー省(Department of Energy)は、パートナー機関と共に、長期エネルギー貯蔵(long-duration energy storage: LDES)の商業化を更に加速させることを目的とした、画期的な覚書(Memorandum of Understanding: MOU)に署名した。パートナー機関には、エネルギー省の技術移転局(Office of Technology Transitions: OTT)、エジソン電気研究所(Edison Electric Institutes)のエネルギー移行研究所(Institute for the Energy Transition)、電力研究所(Electric Power Research Institute: EPRI)、長期エネルギー貯蔵評議会(LDES Council)が含まれる。今回のMOUにより、協力へ向けた3つの支柱として、①長期エネルギー貯蔵によって可能な技術的、経済的、対応力に関する恩恵の理解を深め、その知識の拡散を促進する、②研究・開発・実証・導入を目的として、エネルギー貯蔵及びエネルギー・インフラ統合に関するDOE及び国立研究所の中核的な能力へのアクセスを提供する、③規制担当者や電力企業、技術ベンダーなどから個々に提供された知識を基に、LDESの導入に関する障害及びその潜在的なソリューションを特定する、が確立された。エネルギー省及びパートナー機関は今後、長期エネルギー貯蔵に関するエネルギー省報告書のキーファインディングを活用する機会を作ったり、業界に焦点を当てたLDES技術サミットを主催(2024年)するなどの取り組みを行う。 Department of Energy “Department of Energy and Partners Sign Landmark Agreement to Accelerate Long Duration Energy Storage” (6/27/23)

バイデン大統領、AIについて技術系企業を批判する代表者と会合

バイデン大統領は6月20日、サンフランシスコで、大手技術企業を批判する市民社会のリーダー・グループと会合し、人工知能(AI)のブームについて議論した。これは、AI技術及びその潜在的なリスクに関する会話に関与する米政府の広範な取り組みの一部。会合は非公開で行われ、それに先立って大統領は、「新しい技術の有害な問題から人々を保護するために実施できる潜在的な管理について学ぶためにこの会合に来た」と述べた。会合に参加したのは、近年、ソーシャル・メディア企業への批判で有名になった「人道的技術センター(Center for Humane Technology)」のトリスタン・ハリス所長(Tristan Harris)、AIとアルゴリズムが人種差別や性差別を助長する手段となり得ることを強調したアルゴリズミック・ジャスティス・リーグ(Algorithmic Justice League)の創立者、ジョイ・ブオラムウィニ氏(Joy Buolamwini)、子供の人権提唱を続けるコモン・センス・メディア(Common Sense Media)の最高経営責任者、ジム・ステイヤー氏(Jim Steyer)など。一時間に及ぶ会合後、ステイヤー氏は、「バイデン大統領は熱心に関与していた」と述べた。AIツールがいかにして誤情報を拡散し、政治の二極化を拡大させるかについて議論を行っていた際、大統領は、AIが米国の民主主義を阻害ないよう確実にすることが重要であると強調したと、ステイヤー氏は述べた。 Washington Post “Biden meets with tech company critics on AI” (6/20/23)

ランド研究所、米中間の科学・技術のフローについて報告

ランド研究所(Rand Corporation)は今般、「米国と中国の間の科学的及び技術的フロー(Scientific and Technological Flows Between the United States and China)」と題する報告書を発表した。本報告書は、米中間の科学研究協力に伴う恩恵と問題についてまとめたもので、具体的には、①米国の技術インプットが中国の軍事技術に利用、②米中間の科学研究者の二国間移動、③米国を拠点とする研究者と中国を拠点とする研究者の間の科学研究協力、という3種類のフローについて調査している。報告書のキーファインディングとして、①米中間の科学研究協力は、潜在的リスクと潜在的恩恵がある、②米中間の科学研究のフローは、その性質と量で多岐にわたる、③米中間の航空宇宙工学研究における協力は潜在的な脅威と恩恵を呈する、が挙げられている。 RAND Corporation “Scientific and Technological Flows Between the United States and China” (June 2023)

NTIA、424億5,000万ドルの高速インターネット・グラント・プログラムの州への配分内訳を発表

商務省(Department of Commerce)傘下の米国電気通信情報局(National Telecommunications and Information Administration: NTIA)は6月26日、米国内の全ての人が手頃な費用で信頼性の高い高速インターネット・サービスを利用できるようにするため、50州、ワシントンDC、5つの準州に提供する資金の内訳を発表した。この「全ての人にインターネットを(Internet for All)」イニシアチブは、バイデン大統領の「米国への投資(Investing in America)」議題の主要な要素の一つである。州、DC、準州は、超党派インフラ法(Bipartisan Infrastructure Law)から拠出される「ブロードバンドの公平性とアクセスと導入(Broadband Equity, Access, and Deployment: BEAD)」プログラムの資金(合計424億5,000万ドル)を受益し、それぞれのグラント・プログラムの運営管理に充当する。 Department of Commerce “Biden-Harris Administration Announces State Allocations for $42.45 Billion High-Speed Internet Grant Program as Part of Investing in America Agenda” (6/26/23)

NIH、「ピアレビューでのAI使用は守秘義務違反」と判断

国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)の所外研究局(Office of Extramural Research)は6月23日、「ピアレビューに人工知能(AI)を使用することは守秘義務違反(Using AI in Peer Review Is a Breach of Confidentiality)」と題する記事を掲載した。研究者が他者の申請書を評価する際や、自身の申請書を作成する時に、AIツールを使用するといった話を耳にすることは多い。しかし、NIHの審査担当員は、申請書の審査プロセスを通じて、守秘義務を維持することを義務付けられ、そうであると信頼されている。このため、ピアレビューを行う際にAIを使用することは、守秘義務違反となると同記事では忠告している。また、NIHは最近、「NIHのピアレビュー・プロセスで生成AI技法を使用することは禁じられている(The Use of Generative Artificial Intelligence Technologies is Prohibited for the NIH Peer Review Process)」と題する通達を行ったところである。審査員は、守秘義務に同意・署名しており、申請書やプロポーザル、会議資料を、ピアレビュー・プロセスへの参加を正式に認められていないいかなる者とも共有することはできない。つまり、グラントの申請書や契約プロポーザルの資料、その他の特権的に得た情報は、AIを含むいかなる手段もしくは事業体を通じても共有、拡散することはできないのである。 NIH Office of Extramural Research “Using AI in Peer Review Is a Breach of Confidentiality” (6/23/23)

中国の離散研究者と帰国研究者に関する報告

全米経済研究所(National Bureau of Economic Research: NBER)は今般、「米国と中国の科学を創出し、結びつける:中国の離散研究者と帰国研究者(Creating and Connecting US and China Science: Chinese Diaspora and Returnee Researchers)」と題する論文を発表した。2000年代の科学研究における米中間の密接な結びつきにより、中国生まれで米国で働く離散研究者(diaspora)と、中国生まれで米国で研究の経験を得た後に中国での研究活動のために帰国した研究者(returnee)の数が増えた。NBERが、研究論文に関する2018年のスコーパス(Scopus )データを分析した結果、米国発の論文の27%に離散研究者が、中国発の論文の38%に帰国研究者が寄与したと試算された。また、論文の質もしくは影響に関しては、離散研究者または帰国研究者による論文は、平均すると、その他の米国発もしくは中国発の論文よりも引用数が多く、サイトスコア(CiteScore)が高い専門誌に占める論文の割合が高い。その他の点も含め、米中間の研究の結びつきには恩恵があるにもかかわらず、研究に関する両国関係は2018年から2020年代初頭にかけてほころび始めており、両国の将来の研究アウトプット及び世界の科学に有害な影響をもたらすかもしれないと結論づけている。 National Bureau of Economic Research “Creating and Connecting US and China Science: Chinese Diaspora and Returnee Researchers” (June 2023)