NSF、大手財団と860万ドルのパートナーを発表、米国のSTEM教育の向上へ

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)は7月6日、ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団(Bill & Melinda Gates Foundation)、シュミット・フューチャーズ(Schmidt Futures)、ワルトン家族財団(Walton Family Foundation)と共に、人材や知能、アントレプレナーシップが米国内のSTEM事業活動から取り残された人々を中心としたすべての学生向けに、米国のSTEM 教育の質を高めるイニシアチブへの資金拠出を支援すると発表した。NSFは、各活動に財団が提供した資金に対してマッチングを行う。NSFは先般、研究インフラの概念開発について、研究者や非営利組織、その他の教育組織からプロポーザルを要請する「科学コミュニティ宛ての書簡(Dear Colleague Letter: DCL)」を発表した。この研究インフラは、設備やサイバーインフラ、大規模データセット、人員などのいかなる組み合わせも可能で、教育のより大きな公平性を達成する上で重要な質問に回答する助けとなるものである。 National Science Foundation “National Science Foundation announces $8.6 million partnership with leading foundations to improve U.S. STEM education” (7/6/23)

DARPA、自殺傾向の早期発見につながる新たな精神医療検査ツールの開発に取り組むチームを選出

国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Project Agency: DARPA)は今般、「神経系エビデンス集合ツール(Neural Evidence Aggregation Tool: NEAT)」プログラムの下、業界主導の2チームと、大学主導の2チームを選出した。NEATは、兵士の生命を救うための新たな情報を臨床医に提供することを模索する。主観的な自己申告による質問表を使った検査だけに依存するのではなく、自殺傾向に関する客観的なバイオマーカーを精神医療の専門家に提供することを目指す。これらのバイオマーカーは、脳と身体による瞬時の自動的な応答で構成され、質問に対して意識的にフィルターにかけた主観的な応答ではなく、意識的になる前のプロセスを反映する。プログラムの最終的な目標は、臨床医に信頼性の高い検査ツールを提供することで、軍員や退役兵による悲しい自殺傾向を逆転させることである。DARPAは今回、4チームを選出した他、技術的インプットと分析を独立的に検証・立証するチームとして、ジョンズホプキンス大学応用物理学研究所(Johns Hopkins University Applied Physics Laboratory)を選出した。 Defense Advanced Research Project Agency “Teams Selected to Develop New Mental Health Screening Tool for Early Detection of Suicidality” (7/11/23)

エネルギー省、風力タービン・マテリアルのリサイクル業界活性化を目的にプライズを開始

エネルギー省(Department of Energy)は、バイデン大統領の「米国への投資(Investing in America)」議題の一環として、「風力タービン・マテリアル・リサイクル・プライズ(Wind Turbine Materials Recycling Prize)」を開始した。510万ドルのコンペで、超党派インフラ法(Bipartisan Infrastructure Law)から資金が拠出され、風力タービンで使用される2つの重要マテリアル(繊維強化複合材料とレアアース元素)を対象としたコスト効果の高いリサイクル業界を開発する助けとする。本プライズは、風力エネルギーの循環経済を創出する支援となり、風力エネルギーの持続可能性を高め、バイデン大統領のゴール(2035年までに発電部門を炭素汚染フリーに、2050年までに正味ゼロ排出を達成する)達成に寄与する。プライズは、エネルギー省、風力タービン・マテリアルのリサイクル業界活性化を目的にプライズを開始の「米国製チャレンジ(American-Made Challenge)」プログラムの一環で、繊維強化複合材料とレアアース元素について、頑強な国内リサイクル選択肢を開発することを目指す。コンペは、「立ち上げ(Initiate!)」と「加速(Accelerate!)」の2つのフェーズで行われ、今回はフェーズ1への応募を受け付けている。フェーズ1のアワードは最高20件の受益者に7万5,000ドルの賞金が見込まれている。 Department of Energy “Department of Energy Launches Prize to Jumpstart Wind Turbine Materials Recycling Industry” (7/12/23)

NSF、研究セキュリティに関する研究プログラムを発表

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)は、その中核的ミッションの一環として、米国の研究事業をセキュアにすること、他の機関や法規取り締まり機関、科学コミュニティと密接に協力することにコミットしている。こうした中、国家安全保障大統領通達33号(National Security Presidential Memorandum- 33)及びその実践ガイドラインで概説された連邦要件を受け、NSFは、研究セキュリティ分野の研究を意図した新たなプログラム「研究セキュリティに関する研究プログラム(Research on Research Security Program)」を開始すると発表した。本プログラムは、この重要な学問及び分野(サイバーセキュリティ、海外渡航の安全保障、研究安全保障の訓練、輸出管理訓練など)の性質や範囲、課題、可能性について十分な理解を得る助けとなるものである。本プログラムでは、具体的に、研究安全保障リスクを特定する手法や戦略の評価を行うプロジェクトに資金を提供する。 National Science Foundation “NSF announces Research on Research Security Program” (7/12/23)

エネルギー省、エネルギー技術の市場化を目的としたバウチャープログラムを発表

エネルギー省(Department of Energy)の技術移転局(Office of Technology Transitions: OTT)は、クリーン・エネルギー実証局(Office of Clean Energy Demonstrations: OCED)及びエネルギー効率・再生可能エネルギー局(Office of Energy Efficiency and Renewable Energy: EERE)と共に、7月11日、新たな「バウチャー・プログラム(Voucher Program)」を発表した。全国で、革新的なエネルギー技術を市場化する役割を担う組織を支援するため、2,750万ドル相当の商業化支援(現物)を提供する。この新たなプログラムの資金は、超党派インフラ法(Bipartisan Infrastructure Law)から技術商業化基金(Technology Commercialization Fund: TCF)の一部として拠出される。エネルギー省とパートナーシップ仲介合意(partnership intermediary agreement)を締結したENERGYWERXがプログラム参加機関に直接関わり、クリーンエネルギー技術の商業化を加速させるのに必要な第三機関の支援を促進することに取り組む。新たなプログラムは、中小企業や非伝統的なパートナー機関が直面する障壁を低減し、新たなエネルギー技術の商業化に支援を提供する。 Department of Energy “DOE Announces New $27.5M Voucher Program to Bring Innovative Energy Technologies to Market” (7/11/23)

エネルギー省、中小企業の研究開発グラントとして7,200万ドルを発表

エネルギー省(Department of Energy)は7月10日、中小企業技術革新制度(SBIR)及び中小企業技術移転制度(STTR)として、クリーン・エネルギー及び気候に関する科学的な研究開発実証プロジェクトに取り組む中小企業を支援するため、7,200万ドルのアワードを発表した。これらの資金は、44州における296件のプロジェクトを支援し、再生可能エネルギーや原子力エネルギー、サイバーセキュリティ、先端マテリアル及び製造、マイクロエレクトロニクス、人工知能(AI)など、複数のトピック分野に対応する。今回の選出は主にフェーズ1の研究開発で、提案されているイノベーションの技術的な実現可能性を確立することに焦点を当てている。フェーズ1の受益者はより大型なフェーズ2のアワード(プロトタイプもしくはプロセス開発のための資金)を目指して競争することができる。また、一部の受益プロジェクトはファスト・トラック(フェーズ1と2の合体)を獲得している。 Department of Energy “DOE Announces $72 Million For Small Business Research and Development Grants” (7/10/23)

DARPA、最高品質かつ最先端の技術をより早く兵士へ届ける取り組み

現在、世界中の兵士がデータの宝庫を手元で活用することができ、これには戦術的場面も含まれる。これは、戦闘技術にとって重要なステップであるが、意思決定を素早く最大限化するには、膨大なデータの収集点で粒度の細かい高速処理を行うことが必要となる。高性能コンピューティングは内部のマイクロエレクトロニクスに大きく依存しており、宇宙などの過酷な環境で運用される重要なアプリケーションのコンポーネントは、破壊的レベルの放射線の影響を受ける可能性がある。今後のブレイクスルーを牽引する3D異種集積(3D heterogeneously integrated: 3DHI)技術のコンポーネントは、放射線検査及び要件で新たな試練を呈している。こうした中、国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Project Agency: DARPA)の「シングル・イベント効果放射線検査の先端ソース(Advanced Sources for Single-event Effects Radiation Testing: ASSERT)」プログラムは、先端マイクロエレクトロニクスのコンポーネントが過酷な放射線環境で最善の信頼性を備えて運用できるよう確実にすることに焦点を当てる。「放射線への耐性を強化した(radiation-hardened: rad-hard)」コンポーネントの最適な開発を促進するため、そして最先端の技術を兵士へ早急に届けるため、ASSERTプログラムは、設計と開発のライフサイクルを通じて放射線検査を統合することで、rad-hardの設計及び要件における現状を打破することを目指している。 Defense Advanced Research Project Agency “Asserting the U.S. Advantage: Delivering Highest-Qualified, Cutting-Edge Tech to Troops Faster” (7/13/23)

科学技術政策研究者、ルイス・ブランスコム氏が逝去(享年96歳)

米国の科学政策で長きにわたって卓越した役割を担った物理学者のルイス・ブランスコム氏(Lewis Branscomb)が5月31日に亡くなった。96歳であった。ブランスコム氏は1949年にハーバード大学(Harvard University)で物理学博士号を取得し、1951年に国立標準局(National Bureau of Standards: NBS)(現在の米国標準技術局(National Institute of Standards and Technology:NIST))に、原子分子物理学の研究者として勤務した。1962年には、NBSとコロラド大学ボールダー校(University of Colorado Boulder)の協調的取り組みである宇宙物理学研究所連合(Joint Institute for Laboratory Astrophysics: JILA)の共同設立者となった。1960年代にはJASON科学諮問グループ及び大統領科学諮問委員会(President’s Science Advisory Committee)のメンバーとなり、1969年にリチャード・ニクソン大統領(Richard Nixon)(当時)によってNBS長官に任命された。1972年に同職を退任した後はIBMへ移り、1986年まで同社のチーフ・サイエンティストを務めた。この間、積極的な国家技術政策の提唱者として台頭した。学術機関であれ、民間企業であれ、政府であれ、ブランスコム氏は、科学の進展を推進し、公共政策に大きな役割をもたせることを自らの仕事とした。同氏は、技術を通じた明るい未来に希望を提示したが、それは「科学者と政策策定者がそのアイデアに一般市民の支持を得られるようにした場合のみ実現できる」との考えを持っていた。 New York Times ” Lewis Branscomb, Champion of Science Across Fields, Dies at 96″ (7/4/23)

中国による外交ツールとして科学技術協定を利用

オハイオ州立大学(Ohio State University)のキャロライン・ワグナー氏(Caroline S Wagner)と、ノースカロライナ大学(University of North Carolina)のデニス・サイモン氏(Denis F Simon)は、「中国による外交ツールとしての公式な科学技術協定の使用(China’s use of formal science and technology agreements as a tool of diplomacy)」と題する論文を発表した。中国の科学技術部(Ministry of Science and Technology)は、政府間の科学技術協定(science and technology agreements: STAs)を115件締結し、161の国と地域との関係を確立したと報告している。最も初期のSTAは1950年代で共産主義国との締結であったが、1970年代後半には科学的先進国ともSTAを締結し、これによって科学技術での協力機会が開かれた。近年は、数十の低・中所得国との間で科学技術協力協定を交渉・締結し、政治的親善を確立している。中国にとり、政治的結び付きを構築することは明らかに重要な目的であるが、公式な関係を確立する上で、科学技術における最新のノウハウへのアクセスを得ることは、中国の優先事項の重要な一部となりつつある。 Oxford Academic “China’s use of formal science and technology agreements as a tool of diplomacy” (6/28/23)

商務省とNOAA、気候対応力アクセラレータ・プログラムの創出と中小企業の支援に6,000万ドルを発表

商務省(Department of Commerce: DOC)と米国海洋大気庁(National Oceanic and Atmospheric Administration:NOAA)は7月10日、「米国への投資(Investing in America)」議題を通じて、海岸沿いの対応力と米国の小規模企業へ6,000万ドルを投資する「海洋ベースの気候対応力アクセラレータ・プログラム(Ocean-Based Climate Resilience Accelerators program)」を開始した。インフレ低減法(Inflation Reduction Act)から資金拠出を受けて行われ、官民のパートナーシップを育成し、気候対応力を目的とした持続可能な技術の開発に取り組む小規模企業を支援することで、資本を引き付け、技術を成熟化させ、気候影響へのビジネス・モデルの拡大を図る。アクセラレータは民間の事業体で、初期~中期段階にある革新的なビジネスに、訓練や資源、メンターシップ、シード資金などを提供し、その発展を支援する。プログラムは2段階で行われ、フェーズ1は、アクセラレータ・プログラムの設計を対象とし、1件につき最高25万ドルを提供する。フェーズ1で選出されたプロジェクトがフェーズ2へ応募することができ、プログラム設計の実践に、1件につき最高1,000万ドルが提供される。 Department of Commerce “Biden-Harris Administration Announces $60 Million to Create a Climate Resilience Accelerator Program and Support Small Businesses through Investing in America Agenda” (7/10/23)