元NIST長官のレイ・カマー氏が逝去(享年76歳)

米国標準技術局(National Institute of Standards and Technology:NIST)の長官としてラボ施設の現代化を推進したレイ・カマー氏(Ray Kammer)が、6月18日、ジョージア州アルファレッタで亡くなった。76歳であった。ビル・クリントン大統領(当時)が1997年にNISTの第11代長官として任命した(その後、2000年に退任)。1997年にNIST長官に就任後、NISTの研究施設を現代化する取り組みを主導し、成功させた。カマー氏は、メリーランド大学(University of Maryland)を卒業してすぐの1969年に、国立標準局(National Bureau of Standards)(当時の名称)でプログラム・アナリストとして採用され、その後31年間の連邦キャリアを積んだ。NIST長官に就任する前は、1980~1991年と1993~1997年に副長官(deputy director)を務めた。 National Institute of Standards and Technology “Ray Kammer, Who Led NIST to the Start of the 21st Century, Dies at 76” (7/5/23)

ITIF、気候変動への新たな対策手法を要請

気候政策のガイドとなる主流の筋書きは、「危機は極めて深刻であることから、国や企業、消費者は、気候排出を削減するための行動が必要であり、それは例え個々の経済的関心事でない場合でも実施すべき行動である」というものである。しかし、科学技術政策シンクタンクの情報技術・イノベーション財団(Information Technology and Innovation Foundation:ITIF)が発表した報告書「強要を超えて:グリーン移行の現実的な経路(Beyond Force: A Realist Pathway Through the Green Transition)」は、「助成金や規制の義務付け、行動の変化の奨励によってクリーンエネルギー導入を強要することは失敗するだろう」と結論している。置換が必要な汚染的技術に対して価格と性能で同等な技術を有する場合のみ、エネルギー利用者は、気候に優しいエネルギー・ソリューションへの切り替えに前向きになるとしている。つまり、このことは、既存のエネルギーシステムに匹敵するほど、費用を低減し、性能を向上させるクリーン・エネルギー技術政策に、政府の主要な焦点を置くべきであることを意味する。 Information Technology and Innovation Foundation “ITIF Calls for New Approach to Climate Change: Driving Clean Energy Solutions to Price/Performance Parity” (7/10/23)

エネルギー省、高エネルギー物理学における日米共同研究に220万ドルを発表

エネルギー省(Department of Energy)は7月6日、日本人研究員との大幅な共同作業を伴う高エネルギー物理学の共同研究プロジェクト(合計11件)に220万ドルを提供すると発表した。40年以上にわたり、日米の科学者による共同作業は、高エネルギー物理学の最も難しい一部の分野で進展を可能にしてきた。日米間の協力による長い歴史の中には多くの重要なマイルストーンがあり、それには、フェルミ国立加速器研究所テバトロン衝突型加速器(Fermilab Tevatron Collider)で行われたCDF実験(The Collider Detector at Fermilab experiment)での日本人共同研究者の貢献によって1995年のトップクォーク発見につながったことなどが挙げられる。今回の資金提供を受けるプロジェクトは、日米の共同作業において相互の利益となる現行の実験及び技術開発を支援する。研究トピックには、ヒッグス粒子やニュートリノ、希少粒子などに関する理解の進展などが含まれる。 Department of Energy “Department of Energy Announces $2.2 Million for U.S.-Japan Cooperative Research in High Energy Physics” (7/6/23)

エネルギー省、米国の電力グリッドの現代化を目的として州と部族国家に2億ドル以上を投資

バイデン大統領の「米国への投資(Investing in America)」議題の一環として、エネルギー省(Department of Energy)は7月6日、「グリッドの対応力に関する州政府と部族向け公式グラント(Grid Resilience State and Tribal Formula Grants)」として合計2億760万ドルを受益する第3コホートを発表した。第3コホートは、カリフォルニア州やテキサス州など9州と3つの部族国家で構成される。この公式グラントは、超党派インフラ法(Bipartisan Infrastructure Law)の支援を受け、エネルギー省のグリッド配備局(Grid Deployment Office)が運営管理し、電力グリッドの現代化を支援することで、異常気象と自然災害の影響を削減し、電力部門の信頼性を確実にすることが狙いである。エネルギー省は2023年5月以来、グリッドの対応力に関する公式グラントとして3億2,400万ドルを分配している。 Department of Energy “Biden-Harris Administration Invests Over $200 Million in States and Tribal Nations to Modernize America’s Electrical Grid” (7/6/23)

エネルギー省、国内ソーラー製造の押し上げを目的に4,500万ドルを発表

エネルギー省(Department of Energy)は7月6日、輸入製品へ依存することなく、政権のソーラー導入目標を達成できるよう、国内製造部門に貢献できるソーラー部品の試験的製造を支援するため、4,500万ドルを提供すると発表した。これには、超党派インフラ法(Bipartisan Infrastructure Law)から拠出される1,800万ドルが含まれる。この資金はまた、米国製品に新たな市場を作ることを目的として、ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)や建造物一体型太陽光発電など、ソーラー技術の新たなデュアル・ユースの開発も支援する。エネルギー省は、「シリコン・ソーラー製造及びデュアル・ユース太陽光発電インキュベーター(Silicon Solar Manufacturing and Dual-use Photovoltaics Incubator)」資金提供公募(FOA)を通じて、①最大12件のプロジェクトに資金を提供し、ポリシリコン製造やその他のモジュール部品、関連製造機器に焦点を当てた国内ソーラー・サプライチェーンの製造事業者ネットワーク確立につなげる、②新興のデュアル・ユース太陽光発電部門のための新規市場開拓を狙いとしたプロジェクトに資金を提供する(ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)や建造物一体型太陽光発電を中心に)、などに取り組む。 Department of Energy “Biden-Harris Administration Announces $45 Million to Boost Domestic Solar Manufacturing” (7/6/23)

バイデノミクスが国内で5,000億ドルの民間投資を促進

バイデン大統領による経済議題、通称「バイデノミクス(Bidenomics)」は、トップダウン方式ではなく、ミドルアウト及びボトムアップ方式で、米経済を成長させている。大統領は7月6日、政権発足以来、米国内で企業が製造及びクリーンエネルギー投資に5,000億ドル以上をコミットしていると発表した。大統領が今回訪問したサウスカロライナ州では、複数の企業が110億ドルの投資を発表しており、バイデン政権は既にインフラ・プロジェクト資金に26億ドルを発表している。フィナンシャル・タイムズ紙(Financial Times)の分析によれば、インフレ低減法(Inflation Reduction Act)とCHIPS・科学法(CHIPS and Science Act)の施行以来、サウスカロライナ州は新規製造プロジェクトの数が最も多い上位2州の一つとなっている。更に、エンフェーズ・エナジー社(Enphase Energy)が、米国内でクリーンエネルギー製造事業を開始する企業の一つとなることが発表された。同社は6,000万ドルを投資して米国内に6つの新規製造ラインを開設し、そのうち2つのラインはサウスカロライナ州に設置される。エンフェーズ・エナジー社は、製造パートナーのフレックス社(Flex)と共に、全国で1,800人の新規雇用(そのうち600人がサウスカロライナ州)を創出する見込みである。 White House ” FACT SHEET: Bidenomics Has Driven $500 Billion in Private Sector Investments Across the Country, Is Growing South Carolina’s Economy From the Middle Out and Bottom Up” (7/5/23)

USITC、USMCAの自動車原産地規則の運用と経済的影響について報告

米国際貿易委員会(U.S. International Trade Commission: USITC)は6月30日、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA: United States-Mexico-Canada Agreement)における自動車原産地規則(automotive rules of origin: ROOs)の経済的な影響、その運用、それが米国の経済と競争力に及ぼす影響、米国における技術的変化を鑑みて本規則が妥当であるか否かについて、初の報告書を発表した。報告書「USMCAのROOs 2023年報告(USMCA Automotive Rules of Origin: Economic Impact and Operation, 2023 Report)」が示すキーファインディングの一部は次の通り。①USMCAは2020年7月1日から施行されたばかりで、ROOsの多くは様々な理由からまだ完全には実施されていないため、その全面的な影響が表れるのは、USMCAが全面的に導入される2027年以降になる見込み、②2020年7月から2022年12月までの間の経済モデリング分析は、ROOsが米国の自動車部品輸入の削減、乗用車及び自動車部品生産に関する米国の売上/雇用/賃金支払い/資本支出の増加につながることを示しており、更に、ROOsが米国における乗用車生産費用の増加につながることも示唆。米国自動車生産の費用増加は、海外からの輸入自動車の売上増加につながる。これらやその他の点の影響は自動車業界に集中しており、経済全般への影響は取るに足らない、③2018~2022年の生産/貿易/雇用/投資データを見ると、USMCAが発効した2020年以降、米国自動車の全体的な競争力に変化が生じたことを示すものはほとんどない。 U.S. International Trade Commission “USITC RELEASES FIRST REPORT ON THE ECONOMIC IMPACT AND OPERATION OF THE USMCA AUTOMOTIVE RULES OF ORIGIN” (6/30/23)

米国アカデミー初のハッカソン、米国内で性感染症を予防・治療・管理する革新的で実践可能なソリューションに6万ドルを授与

6月23日、米国アカデミー(National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine)による「ハッカソン:性的感染症を低減するための技術とメディアのソリューション(National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine HACKATHON: Tech & Media Solutions to Reduce Sexually Transmitted Infections)」の勝者が発表された。カリフォルニア州アーバインにあるベックマン・センター(Beckman Center)で2日間にわたって本イベントが行われた後、勝者が発表された。ハッカソンは、人工知能主導型ソフトウェア・ソリューション・トラック(AI-Powered Software Solutions Track)と、データ分析トラック(Data Analytics Track)の2つのトラックで行われ、各トラックで1位(グラント金額2万ドル)と2位(同5,000ドル)が選出され、ハッカソンの主催者であるユーチューブ・ヘルス(YouTube health)によるユーチューブ・ヘルス・イノベーション・プライズ(5,000万ドル)が贈られた。 National Academies “First National Academies Hackathon Awards $60K to Innovative, Implementable Solutions to Prevent, Treat, and Control STIs in the U.S.” (7/6/23)

化石燃料のロビイスト、環境保護系グループも顧客に

米国内で化石燃料企業のために働く1,500名のロビイストが、それと同時に、リベラル派が運営する市や大学、技術企業、環境保護団体など、気候危機対策に取り組む団体のロビイストにもなっていることが判明した。具体的に、石油や天然ガス、石炭の利益のために働くロビイストが、ロサンジェルスやシカゴ、フィラデルフィアなどの都市、アップル社(Apple)やグーグル社(Google)などの技術大手企業、150以上の大学、米国内の大手環境保護団体などの数多くの機関も顧客に抱えている。こうした構図は、Fマイナス(F Minus)が7月5日に発表したオンライン報道「何かがおかしい。自然保護・環境保護団体のために働くロビイストが化石燃料業界のためにも働いている(Something Is Wrong: Lobbyists who work for conservation and environmental groups are also working for the fossil fuel industry)」によって明らかになった。化石燃料との結びつきがあるロビイストを利用している市や企業、大学、環境保護団体は、「そのこと自体は自身の気候目標と相反しない。そして一部のケースにおいては恩恵をもたらすことさえある」としている。 Guardian “‘Double agents’: fossil-fuel lobbyists work for US groups trying to fight climate crisis” (7/5/23)

ホワイトハウス、労働組合リーダーとの間でAIに関する傾聴セッションを主催

ホワイトハウスは7月3日、労働組合のリーダーとの間で、人工知能(AI)が呈する機会と課題の双方について議論した。会合は、政権がAI及びそれに関連するソフトウェアの規制への取り組みを増大させ、組合労働者が技術について発してきた懸念が注目される中で、行われた。会合には、米国教員組合(American Federation of Teachers)や全米脚本家協会(Writers Guild of America)、米労働総同盟産業別組合会議(American Federation of Labor – Congress of Industrial Organizations:AFL-CIO)技術研究所(Technology Institute)などの代表者と、大統領府科学技術政策局(Office of Science and Technology Policy: OSTP)や国家経済会議(National Economic Council: NEC)の高官が参加した。ホワイトハウスは、「経済の多様な部門を代表する労働組合のリーダーは、労働者の雇用や身体的及び精神的健康、プライバシー、市民権に影響するAIのリスクに対する懸念を表明した」と発表した。 FEDSCOOP “White House hosts AI-focused listening session with union leaders” (7/3/23)