バイデン政権、変圧器と重要産業機器の奨励金プログラムを開始

エネルギー省(Department of Energy)は8月1日、配電変圧器や、電動モーター機器を使用する長期化した製品システムを、エネルギー効率に優れたものに置換、改良することを支援するため、2,000万ドルの資金を発表した。この資金提供は、超党派インフラ法(Bipartisan Infrastructure Law)の下、2つの奨励金プログラムを通じて行われ、国内の製造事業者やユーティリティ機関、部族、病院、学校、その他の事業者が機器を改良するための資金を支援することを狙いとしている。現在、多くの電力グリッドで使用されている配電変圧器は旧式でエネルギー効率が低く、セキュリティ及び効率性の面で増大するリスクを呈している。一方、電動モーターは、製造や産業、プロセス機器で一般的に使用されており、電気エネルギーを機械エネルギーへと転換するもので、今回発表された奨励金プログラムは、適格の事業体が長期的に使用されている適格の製品システムをエネルギー効率に優れたものに置換することを支援する。変圧器も電導モーターも、老朽化した機器や非効率的な機器を置換することで、運用及び製造費用を低減し、温室効果ガスの排出削減につながる。適格の申請者は最高2万5,000ドルを受益できる。 Department of Energy “Biden-Harris Administration Launches Rebate Programs for Transformers and Critical Industrial Equipment” (8/1/23)

ローレンス・リバモア国立研究所、炭素貯留に関する誘発型地震の危険の管理に役立つツールキットを開発

ローレンス・リバモア国立研究所(Lawrence Livermore National Laboratory: LLNL)は、ローレンス・バークレー国立研究所(Lawrence Berkeley National Laboratory: LBNL)とカナダのナノメトリクス社(Nanometrics, Inc.)とパートナーを組み、「誘発型地震のオペレーション予測(Operation FoRecasting Of Induced Seismicity: ORION)」ツールキットと呼ばれるオープン・ソース・プラットフォームの開発に取り組む。物理学ベースの地震予測ソフトウェア・プラットフォームによって、事業運営者や規制担当官が、炭素貯留拠点における地震の危険性についてより良く理解し、管理できるよう支援する。商業規模の炭素貯留事業は、液体が地球の表面下で処理された際に地震が誘発される大きなリスクに直面している。多くの事業が経験するのは低レベルの弱い揺れだが、より大きな地震が発生する可能性はある。こうした事象は、単一の貯留拠点に二酸化炭素を注入することに中断が生じたり、業界全体の信頼損失につながる可能性がある。このようなリスクを管理するため、それぞれの事業者は、貯留拠点における現行及び将来的な地震の危険性について理解する必要があり、規制担当官は、盆地規模で地震の危険性を評価できる必要がある。 Lawrence Livermore National Laboratory “Toolkit can help manage induced-seismic hazards for carbon storage” (8/3/23)

国防総省、サイバー労働力戦略の実践計画を発表

国防総省(Department of Defense)のキャサリーン・ヒック副長官(Kathleen H. Hicks)(Deputy Defense Secretary)は去る2月、「国防総省サイバー労働力戦略(DOD Cyber Workforce Strategy)に署名した。同戦略は、国防総省の複雑かつ多様なサイバー・ミッションを実行できるサイバー労働力を育成するための土台を築くものである。そして8月3日、その戦略の実践方法をまとめた「国防総省サイバー労働力戦略実践計画(DOD Cyber Workforce Strategy Implementation Plan)」が発表された。これは、機敏で柔軟で応答的なサイバー労働力を育成することを狙いとした人材管理イニシアチブを進展させる包括的かつ積極的な手法であり、また、サイバー労働力戦略で設定された4つの目標と結びついている22の目的及び38のイニシアチブの実行を成功させるための土台を作るものである。 Department of Defense “DOD Releases Plan for Implementing Cyber Workforce Strategy” (8/3/23)

NIH、国立アレルギー・感染症研究所の所長にジーン・マラッゾ博士を選出

国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)のローレンス・タバク長官代理(Lawrence A. Tabak)(acting director)は、国立アレルギー・感染症研究所(National Institute of Allergy and Infectious Diseases: NIAID)の所長にジーン・マラッゾ氏(Jeanne M. Marrazzo)を指名した。マラッゾ氏は現在、アラバマ大学バーミンガム校(University of Alabama at Birmingham)の感染疾病学部(Division of Infectious Diseases)の所長を務めており、今秋からNIAID所長に就任する予定である。NIAIDの所長を長年務めていたアンソニー・ファウチ氏(Anthony S. Fauci)が2022年12月に退任して以来、ヒュー・オーキンクロス氏(Hugh Auchincloss)がNIAID所長代理を務めている。マラッゾ氏の発見及び実装科学における研究は、ヒトのマイクロバイオームに焦点を当てている。同氏は1997年以来、主任研究員として継続的にNIHのグラントを受益しており、ピアレビュー担当者や諮問委員会のメンバーをしばしば務めている。 National Institutes of Health “NIH selects Dr. Jeanne Marrazzo as director of the National Institute of Allergy and Infectious Diseases” (8/2/23)

海外の石油・天然ガス取引に関し、政権内の動きにブレ

バイデン政権は、海外における石油・天然ガス・プロジェクトへの資金拠出を停止すると約束したが、その約束から逸脱しており、「優先すべきは気候変動か、それとも対ロシア、対中国で重要とみなす外交同盟か」といった点を巡り、上級高官の間の分裂を招いている。例えば、米輸出入銀行(U.S. Export-Import Bank)は4月後半に、インドネシアの製油所の改修への資金拠出を承認し、国際開発金融公社(U.S. International Development Finance Corporation)が、ゴールドマンサックス社(Goldman Sachs)によるポーランドへの天然ガス出荷(5億ドルの投資)に保証を与えるなどしている。こうした動きは、時として、バイデン大統領の特別気候特使(special climate envoy)であるジョン・ケリー氏(John Kerry)や民主党議員らの反発を招いている。このような政策の変更は、ウクライナ戦争によって世界の政情がいかに緊迫しているか、米中間のライバル関係が環境目標をいかに脅かしているかを示す。民主党議員や環境保護派は、こうした変更によって米国の気候リーダーシップが損なわれるのではないかと懸念している。 Politico “‘Dangerous pivot’ on overseas oil and gas deals splits Biden administration” (8/4/23)

米国はGDPで世界をリードするも、R&D強度では遅れ

世界銀行(World Bank)のデータによれば、米国の2021年のGDPは23兆ドル超で世界最大の経済国となっている。しかし、研究開発(R&D)支出の対GDP比では、イスラエルや韓国などの国に遅れを取っている。イスラエルのR&D支出の対GDP比は5.56%、韓国は4.93%であるのに対し、米国は3.46%である。スウェーデン、日本、ベルギー、スイス、オーストリア、ドイツも、3.13%~3.46%となっている。世界最大の経済圏のGDPは、米国に先導される形で、時間の経過と共に着実に増加しており、多くの国で経済的生産と全体的な繁栄が拡大していることを示唆している。ただし、このトレンドには顕著な例外もあり、日本のGDPは1990年代半ばから横ばいとなっている一方、中国は2000年代初頭より急速に増加しており、世界経済の中で主要なプレイヤーへと成長した。 SSTI “Useful Stats: US leads the world in GDP, falls behind in R&D intensity” (8/3/23)

エネルギー省、国内の変革的エネルギー・プロジェクトに900万ドルを発表

エネルギー省(Department of Energy)は8月3日、国内のエネルギー生産強化、エネルギーの効率性と信頼性向上、温室効果ガス排出削減などの一助となる18件のプロジェクトに900万ドルを提供すると発表した。選出されたプロジェクトは、様々な技術分野を網羅しており、米国のエネルギー及び国立安全保障を強化しつつ、正味ゼロ目標を達成するために可能な限り多くのエネルギー・ソリューションを追求するというバイデン=ハリス政権の継続的コミットメントを強調する。今回発表された資金提供は、エネルギー高等研究局(Advanced Research Projects Agency-Energy: ARPA-E)による予備的トピック(Exploratory Topic)-「革命的なエネルギー及び技術努力の創出(Creating Revolutionary Energy and Technology Endeavors: CREATE)」の一部。CREATEのプロジェクトは、潜在的な新技術開発分野の確立の助けとなることを意図しており、ARPA-Eに新たな資金提供プログラムに繋がる可能性がある情報を提供するものとなる。受益する18件のプロジェクトが取り組む技術は、ヒートポンプ、核融合、パワー・エレクトロニクス、半導体など。 Advanced Research Projects Agency-Energy “U.S. Department of Energy Announces $9 Million to Transformative Energy Projects Across Nation” (8/3/23)

インフレ低減法の可決以来、44州で17万人以上のクリーンエネルギー雇用が実現

クライメット・パワー(Climate Power)の新たな報告書「私たちのクリーン・エネルギー・ブームの一年(One Year of Our Clean Energy Boom)」によれば、インフレ低減法(Inflation Reduction Act)が可決してからわずか1年未満の間に、クリーンエネルギー企業は、44州で17万600人以上の雇用を発表もしくは計画したという。報告書は、アリゾナ州における電気自動車製造から、フロリダ州のソーラー・インフラ開発まで、272件の新規クリーンエネルギー・プロジェクトを詳述しており、新規投資額は2,780億ドルに上る。 Climate Power “NEW: CLIMATE POWER REPORT FINDS THAT SINCE THE PASSAGE OF THE INFLATION REDUCTION ACT, 170K+ CLEAN ENERGY JOBS ACROSS 44 STATES HAVE BEEN ANNOUNCED” (7/26/23)

インフレ低減法だけで米国を正味ゼロ経済への軌道に乗せることは困難

ブルームバーグNEF(BloombergNEF: BNEF)が8月1日に発表した報告書「新エネルギー概況:米国(New Energy Outlook: US)」によれば、米国が2050年までに正味ゼロ経済へ移行する目標は、2050年までに米国のエネルギー・システムに300兆ドルの投資機会があることを意味する。報告書は、インフレ低減法(Inflation Reduction Act: IRA)の主要な条項による脱炭素化の影響を評価した「政策シナリオ(Policy Scenario)」と、気候目標を考慮せずに最安値のエネルギー技術を導入した場合の「経済的移行シナリオ(Economic Transition Scenario: ETS)」の2つのシナリオに基づいて作成された。それによれば、政策シナリオの場合、エネルギー関連の排出は、2035年までに40%(2021年比)、2050年までに55%(同)削減される可能性があり、正味ゼロ経済へ近づくが、更なる行動が必要である。更に、政策シナリオは、米国にはIRAのインセンティブを補完する義務付けと規制、排出削減が難しい産業や大型輸送などでの削減を推進する必要があることを示している。 BloombergNEF “Report Shows That Inflation Reduction Act Alone Won’t Set United States on Track for Net Zero” (8/2/23)

インフレ低減法から1年、電池技術と再生可能エネルギーの過熱を受けて、アリゾナ州の雇用と製造は爆発的成長

インフレ低減法(Inflation Reduction Act: IRA)の1周年を受けて、環境防衛基金(Environmental Defense Fund: EDF)が発表した雇用と投資のデータによれば、アリゾナ州の製造部門は電池技術の爆発的な成長に支えられ、電気自動車(EV)及び電池製造で108億ドルの投資(発表)と1万1,400人以上の雇用がもたらされた。発表された投資の3分の2以上は、IRAの可決後に発表されており、超党派インフラ法(Bipartisan Infrastructure Law: BIL)の可決後で見ると90%以上となっている。EDFによる雇用と投資に関する新たなデータは、EV及び再生可能エネルギーが経済成長を促進し、アリゾナ州が電池製造の中心地となっていることを示している。 Environmental Defense Fund “Arizona’s Explosive Growth in Jobs and Manufacturing One Year Into the Inflation Reduction Act Hyper-charged by Battery Technology, Renewable Energy” (8/1/23)