米韓で次世代重要新興技術対話開始

米国のジェイク・サリバン大統領補佐官(安全保障担当)(Jake Sullivan)(National Security Advisor)と、韓国の趙太庸(チョ・テヨン)国家安保室長は12月8日、韓国のソウルで、「米韓次世代重要新興技術対話(U.S.-ROK Next Generation Critical and Emerging Technologies (CET) Dialogue)」の初回会合を実施した。バイデン大統領と韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は2023年4月の公式訪問で、両国間の技術協力の強化へのコミットメントを表明しており、今回の次世代CET対話はそれを果たすものとなる。CET対話の初回会合を通じて、米韓両国は、①半導体サプライチェーン及び技術、②バイオテクノロジー及びバイオ製造、③電池及びクリーン・エネルギー技術、④量子、⑤人工知能(AI)及び標準、⑥デジタル接続と情報通信技術、⑦同じ志を持つ国とのパートナーシップ、での官民学の協力強化に歓迎を表明した。 White House “JOINT FACT SHEET: Launching the U.S.-ROK Next Generation Critical and Emerging Technologies Dialogue” (12/8/23)

NIST、AI時代におけるプライバシー保護技法の評価についてガイダンス草案を提示

差分プライバシー(Differential privacy)は、データ分析で用いられる比較的成熟したプライバシー強化技術(privacy-enhancing technologies: PETs)の一つであるが、標準が存在しないため、効果的に導入することが困難で、ユーザーにとって障害となる可能性がある。こうした中、米国標準技術局(National Institute of Standards and Technology:NIST)は、人工知能(AI)に関する大統領令の下で命じられたタスクの一つ、「差分プライバシーなどのPETに関する研究を進展させる」を遂行するため、「差分プライバシーの保証の評価に関するガイドライン草案(Draft NIST Special Publication (SP) 800-226, Guidelines for Evaluating Differential Privacy Guarantees)」を発表した。このガイダンスは主として連邦機関を対象としたものであるが、誰でも使用が可能である。ソフトウェア開発業者や企業経営者、政策策定者など様々な人々が差分プライバシーに関する主張について、より一貫した理解と思考を得られるよう支援するものである。ガイドライン草案の編集に携わったNIST高官は、「差分プライバシーを使うことで、データセット内の個人が特定できないような形で、データ分析やトレンドを発表することができるが、差分プライバシー技術は依然として成熟中であり、認識すべきリスクがある。我々は、このガイダンス発表を通じて組織が異なる差分プライバシー製品を評価し、その作成者の主張が正確であるか否かについてより良い見識を得られるようにしたい」と述べる。NISTはガイダンス草案へのパブコメを45日間受け付ける。 National Institute of Standards and Technology “NIST Offers Draft Guidance on Evaluating a Privacy Protection Technique for the AI Era” (12/11/23)

国防総省の最高デジタル及び人工知能局がハワイ州でハッカソンを主催へ

国防総省(Department of Defense)の最高デジタル及び人工知能局(Chief Digital and Artificial Intelligence Office: CDAO)、国防イノベーション・ユニット(Defense Innovation Unit: DIU)、米インド太平洋司令部(U.S. Indo-Pacific Command)、米陸軍太平洋司令部(U.S. Army Pacific Command)、米空軍(U.S. Air Force)は、2024年2月5-9日に、複数のカテゴリーに基づいて行われるハッカソンを主催する。ハッカソンは通常、技術企業が主催して行われるイノベーション・イベントで、チームは、データに関連する事業上の課題に対応するプロトタイプの開発に取り組む。「BRAVO11 Bits2Effects」と題する今回のハッカソンは、ハワイ州オアフ島にある国防総省のAI戦闘ラボ(AI Battle Labs)の一つで実施される。全ての米国市民に応募資格があり、現在、連邦政府に勤務しているか否かや、セキュリティ・クリアランスを保持しているか否かにかかわらず、応募できる。応募は順次受け付け、12月中旬には申し込みを承認された最初のグループが発足する。米空軍は、複数の軍事部門を対象として、機密及び保護された運用データを使って学習及び能力開発を迅速化させることを目的としたプロトタイプ作成イベントを2021年から実施しており、これらは「BRAVOハッカソン」として知られる。今年のBRAVO11 Bits2Effectsは4回目となるBRAVOハッカソンで、戦闘司令部内で行われるのは初めて。BRAVO11 Bits2Effectsでは、インド太平洋の運用戦域データを活用し、戦闘司令部の課題へのソリューションを生み出すことを模索する。これまでのハッカソンでは、大規模言語モデルや宇宙発射などの分野で国防総省の主要プログラムに影響をもたらすプロトタイプが創出された。 Department of Defense “Chief Digital and Artificial Intelligence Office to Host Hackathon in Hawaii” (12/7/23)

COP28で諸国がクリーン水素に関する意向を宣言

国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)において、30か国以上が「COP28 再生可能で低炭素の水素及び水素誘導体のための認証スキームの相互承認に関する意向宣言(COP28 Declaration of Intent on the Mutual Recognition of Certification Schemes for Renewable and Low-Carbon Hydrogen and Hydrogen Derivatives)」を始動した。宣言に署名した国々は、世界の脱炭素化及び世界のエネルギー需要への対応におけるクリーン水素の主要な役割を認識し、世界市場を促進する一助として、水素認証スキームの相互承認へ向けた活動を模索する。米国は、「低炭素水素」ではなく、「クリーン水素」という用語を使用しているが、本文書やその他において、「低炭素水素」は再生可能エネルギーや原子力エネルギー、もしくは炭素の捕獲と貯留によって生成される水素を含むものであり、対策が講じられていない化石エネルギーによって生成される水素は含まないものと理解している。宣言の参加国は、①それぞれの認証スキームの相互承認へ向けて取り組むことを模索する、②それぞれの認証スキームの相互承認を可能にする技術ソリューションの加速的開発を模索する、③可能な場合は、政府の専門家を、「経済における水素及び燃料電池のための国際パートナーシップ(International Partnership for Hydrogen and Fuel Cells in the Economy: IPHE)及び「水素技術協力プログラム(Hydrogen Technology Cooperation Programme: Hydrogen TCP)」へ指名する、といった意向を表明している。 Department of Energy “At COP28, Countries Launch Declaration of Intent on Clean Hydrogen” (12/6/23)

バイデン政権、CHIPS法の下の最初のグラント受益機関として、国防サプライ企業を選出

バイデン政権は12月11日、米国の重要な半導体製造業を強化することを狙いとした新たなプログラムの下、最初の受益企業として、防衛契約事業者のBAEシステムズ(BAE Systems)が選出されたと発表した。同社は、3,500万ドルのグラントを受益し、F15やF35戦闘機や衛星、その他の国防システムに使用されるチップの国内製造を4倍に拡大する。グラントは、米国及び同盟国にとって重要な部品のよりセキュアな供給を確実にする一助となることを意図したものである。商務省(Department of Commerce)は今後数か月間に、2022年CHIPS・科学法(2022 CHIPS and Science Act)の下で承認された390億ドルの連邦資金を配分する計画で、今回のBAEシステムズ社の受益はその第一弾である。資金は、米国内の半導体生産工場の建設を誘致し、ここ数十年に海外へ移転した主要な製造事業を国内に回帰させるインセンティブとなることを意図したものである。最初の受益機関として、商業半導体施設ではなく、防衛契約企業が選出されたことは、米政権が国家安全保障に焦点を当てていることを強調するものであると、政府高官は述べる。政権は今後、主要な半導体製造施設への大規模なグラントを発表すると予想されている。 New York Times “Biden Administration Chooses Military Supplier for First Chips Act Grant” (12/11/23)

米エネルギー省、米運輸省、カナダ運輸省が鉄道部門の排出削減努力で合同声明

エネルギー省(Department of Energy)のジェニファー・グランホルム長官(Jennifer M. Granholm)と、運輸省(Department of Transportation)のピート・ブティジェッジ長官(Pete Buttigieg)は、カナダの運輸省(Ministry of Transport)のパブロ・ロドリゲス大臣(Pablo Rodriguez)と共に12月6日、鉄道部門の排出削減努力に関する合同声明を発表した。両国は、温室効果ガス排出削減において輸送部門が果たす重要な役割に認識を示した上で、鉄道脱炭素化作業部会(Rail Decarbonization Task Force)を設立すると発表した。鉄道部門の排出削減へ向け共通のビジョン開発に取り組む。そして次の取り組みへの意向を表明した。①水素動力及び電池式電気動力を含む新興技術の安全な統合を試験することを目的として、合同研究議題を設定する、②2025年までに、鉄道部門における、ディーゼル動力からゼロ排出技術への安全な移行を加速させる戦略を調整する、③2025年までに米加鉄道部門の正味ゼロ気候モデルを開発することで協力する。 Department of Energy “Joint Statement by the U.S. Department of Energy, U.S. Department of Transportation and Transport Canada on Taking Action to Reduce Rail Sector Emissions” (12/6/23)

エネルギー省、COP28でクリーン・エネルギー達成について発表

エネルギー省(Department of Energy)のデービッド・ターク副長官(David M. Turk)(Deputy Secretary)は、米エネルギー派遣団を率いて、アラブ首長国連邦で行われた国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)に参加した。エネルギー省は、ゼロ排出輸送やビルの脱炭素化のためのクリーン水素や原子力エネルギー、クリーン・エネルギー・システムへの移行促進、摂氏1.5度以下という目標を可能な範囲に留めるための努力への支援など、様々な事案に関するイニシアチブを発表した。その一部は次の通り。①エネルギー省は、革新的なクリーン・エネルギー・ソリューションの開発や大幅な脱炭素化に必要な技術の費用低減など、バイデン=ハリス政権の取り組みを先導しており、現在はこうしたイニシアチブを世界へ拡大している、②米国は20か国以上と共に、原子力エネルギーを3倍にする宣言を発表した、③最近発表された分析報告によれば、インフレ低減法(Inflation Reduction Act: IRA)と超党派インフラ法(Bipartisan Infrastructure Law: BIL)は、米国の温室効果ガスの正味排出を2030年までに2005年の水準を41%下回る程度まで削減する助けとなり得る。 Department of Energy “U.S. Department of Energy Announces Clean Energy Achievements at COP28” (12/8/23)

オープン科学が拡大

米国科学委員会(National Science Board)は12月11日、「2024年科学工学指標(Science and Engineering Indicators 2024)」の一環として、「論文のアウトプット:米国のトレンドと国際比較(Publications Output: U.S. Trends and International Comparisons)」と題する報告を発表した。それによれば、2003年から2022年の間に、一般市民が無償でアクセスできる科学論文の数は、有料でアクセスする科学論文に比べて、7倍以上増加した。2022年には、論文の51%がオープン・アクセスの専門誌で発表されており、この数値は2003年には23%であった。報告は、地域や国、科学分野別の論文アウトプットに関するデータを示している他、国際的なトレンドも明らかにしている。中国は引き続き、科学工学研究論文の発表で米国を上回っている。米国内で最も急成長している分野は心理学で、2010~2022年の間に39%増加した。一方、米国内で論文発表が最も減少した分野は物理学(31%減)であった。更に、科学工学論文における国際的な共同作業の割合は、2012年の19%から2022年には23%へ急上昇した。米国と日本は、2003年から2022年の間に共同作業の論文の割合がそれぞれ顕著に増加している(米国は23%から40%へ。日本は19%から32%に)。 National Science Foundation “The Importance of Providing Open Science” (12/11/23)

エネルギー省、廃水処理と価値ある鉱物の回収に1,000万ドルを投資

エネルギー省(Department of Energy)の化石エネルギー及び炭素管理局(Office of Fossil Energy and Carbon Management: FECM)は12月11日、石油や天然ガスの開発と生産に伴う生産水(廃水)の処理及び管理と、石炭ベースの熱式電力生産施設に関連する廃水の管理を目的として、4件の研究開発プロジェクトに合計約1,000万ドルを提供すると発表した。受益プロジェクトは、非食用穀物の灌漑や、水素生成、帯水層の涵養といった有益な最終使用を目的として、廃水を安全かつ効果的に管理する技術の進展に取り組む。エネルギー省傘下の国立エネルギー技術研究所(National Energy Technology Laboratory: NETL)がFECMの管轄の下、これらのプロジェクトを管理する。 National Energy Technology Laboratory “DOE Invests $10 Million To Treat Wastewater, Recover Valuable Minerals” (12/11/23)

ギガトン規模で二酸化炭素を排除できる機会を概説した報告書発表

十件以上の研究機関の科学者が、米国内における二酸化炭素排除の可能性について詳しく評価した報告を発表し、2050年までに正味ゼロ温室効果ガス経済を達成するための道筋を示した。今回発表されたのは、「排除への道:米国内における二酸化炭素排除の選択肢(Roads to Removal: Options for Carbon Dioxide Removal in the United States)」で、結論として、「現在の技術を用いることで、2050年までに年間10億メトリック・トンの二酸化炭素を排除することは可能であり、その費用は年間約1,300億ドル(現在のGDPの約0.5%)となる」としている。オーク・リッジ国立研究所(Oak Ridge National Laboratory)の科学者は、報告書の中で、自然による炭素捕獲の可能性とバイオ燃料の生産に関するファインディングを支えるため、バイオマス資源に関する専門性を寄与した。 Oak Ridge National Laboratory “New report outlines opportunities to remove CO2 at the gigaton scale” (12/11/23)