NSF、初となる「研究トランスレーションの加速」アワードを発表

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)は12月14日、初となる「研究トランスレーションの加速(Accelerating Research Translation: ART)」による投資を発表した。国内の学術機関による18チームに合計1億ドル以上を投資し、米国経済の成長につながるトランスレーショナルな研究の迅速化と拡張を支援する。ARTプログラムはNSFの技術・イノベーション・パートナーシップ総局(Directorate for Technology, Innovation and Partnerships: TIP)が実施する。受益機関は、技術移転と社会的及び経済的影響の可能性がある学術研究を特定及び強化すること、技術移転の専門性を備えたスタッフが揃っていることを確実にすること、起業に関心のある教員と学生の教育及び訓練を支援する事を目的として、それぞれ4年間で最高600万ドルを受益する。また、トランスレーショナル研究の優れたエコシステムを既に有している高等教育機関からメンタリングの恩恵を受ける。この受益機関とメンタリング機関の間の強力なパートナーシップは、ARTプログラム独自の特徴の一つである。 National Science Foundation “NSF announces first-ever Accelerating Research Translation awards to empower academic institutions to speed and scale translational research” (12/14/23)

バイデン政権、医療ケア大手による、AIが呈する可能性の育成とリスク管理への自発的コミットメントを発表

バイデン政権は12月14日、医療ケア分野で人工知能(AI)が安全かつ責任ある形で導入されることを確実にするための新たなコミットメントを発表した。28の医療ケア提供事業者及び支払い事業者による任意のコミットメントで、AI技術の安全でセキュアで信頼できる購入及び使用への進行を支援する。具体的には、①医療ケアの実施と支払いを最適化するためのAIソリューションの精力的な開発、②仲間やパートナー機関と協力し、公正で適切で有効で効果的で安全なAI原則に沿ったアウトカムを確実にする、などに取り組む。従来の米政府のAIに対する規制的アプローチや民間部門とのやり取りは、主にAI技術の「供給側」である技術開発業者を通じた責任あるAIに焦点を当てていた。今回のコミットメントは、「需要側」、つまり、医療ケア活動のためにAIによる技術を開発、購入、実践する医療ケア提供事業者及び支払い事業者によるコミットメントである。 Department of Health and Human Services “FACT SHEET: Biden-Harris Administration Announces Voluntary Commitments from Leading Healthcare Companies to Harness the Potential and Manage the Risks Posed by AI” (12/14/23)

NIH諮問グループ、ポスドク給与の1万4,000ドル引き上げを勧告

国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)の諮問グループは、12月15日に発表した報告書の中で、米国のバイオメディカル分野のポスドクの給与は、現行の5万6,484ドルから最低7万ドルへと引き上げるべきであると勧告した。諮問グループの共同議長であるペンシルバニア大学(University of Pennsylvania)のシェリー・バーガー教授(Shelley Berger)は、「本件は、米国のバイオメディカルの競争力を守る上で、重要であると考えている」と述べる。国内の多くの学術機関は、NIHのポスドク給与水準に基づいて自分たちの機関でのポスドク給与を設定することから、給与の引き上げが実現すれば、バイオメディカル研究コミュニティ以外の研究者にも広く影響を及ぼす可能性がある。諮問グループはまた、ポスドク・ポジションの期間は5年を上限とすること、医療保険や退職後の措置、子供の養育に関する福利厚生を拡大すること、海外からのポスドクへの支援を強化することなどを勧告している。 Science “NIH advisory group recommends $14,000 boost in postdoc pay” (12/15/23)

エネルギー省、重要新興技術を調整する新たな局を開設

エネルギー省(Department of Energy)は12月12日、人工知能(AI)やバイオテクノロジー、量子コンピューティング、半導体などの重要新興分野における米国投資がエネルギー省の広範な資産と専門性を活用して行われ、これらの重要部門の進展を加速させていることを確実にすることを目的として、「重要新興技術局(Office of Critical and Emerging Technology)」を新設すると発表した。重要新興技術(Critical and emerging technologies: CET)は、クリーンエネルギーや国防、パンデミック対策など、エネルギー省内で広範な用途がある。CETにおける主要な進展は、経済や国家安全保障にとって大きな可能性を秘めていると同時に大きなリスクも呈する。重要新興技術局の局長には、エネルギー省次官(科学・イノベーション担当(Under Secretary for Science and Innovation)の上級アドバイザーを務めていたヘレナ・フー氏(Helena Fu)が指名された。同氏は、エネルギー省の最高人工知能担当官(Chief Artificial Intelligence Officer)も務める。 Department of Energy “DOE Launches New Office to Coordinate Critical and Emerging Technology” (12/12/23)

連邦議会上院、次期国家サイバー局長に指名されたハリー・コーカー氏を承認

上院は12月12日、ハリー・コーカー氏(Harry Coker, Jr.)が次期国家サイバー局長(National Cyber Director)に就任することを承認した。就任後は、バイデン政権によるサイバーセキュリティの優先事項を推進する。これには、大統領の国家サイバーセキュリティ戦略(National Cybersecurity Strategy)の実践やパッチワーク状態となっている連邦のサイバー規則の調整が含まれる。議会は2021年初頭に国家サイバー局長室(Office of the National Cyber Director: ONCD)を発足させ、初代局長にクリス・イングリス氏(Chris Inglis)が就任、同氏は今年2月に退任した。2代目局長となるコーカー氏は上院の承認公聴会で、「ONCDがパートナー機関と共にこれまで取り組んできた良い活動を継続していく計画である」と述べた。しかし、コーカー氏が実際にどのようにその継続に取り組むのか、そして、同様に政権のサイバー政策優先事項を監督するホワイトハウスの国家安全保障会議(National Security Council)との微妙な関係が報じられている中、どのように進めていく計画なのかは今のところ不明である。コーカー氏は、キャリアを通じて大きな注目を集めてはいないが、中央情報局(Central Intelligence Agency: CIA)や国家安全保障局(National Security Agency: NSA)での数十年の経験やベンチャー・キャピタル業界での経験を有している。 Axios “Senate confirms Harry Coker as next national cyber director” (12/12/23)

GAO、連邦機関におけるAIの実践について報告

政府説明責任局(Government Accountability Office: GAO)は12月12日、「人工知能:連邦機関は実践を開始しているが主要な要件を完全に満たす必要がある(Artificial Intelligence: Agencies Have Begun Implementation but Need to Complete Key Requirements)」と題する報告書を発表した。人工知能(AI)は急速に世界を変えつつあり、政府の事業活動を改善する可能性を秘めている。例えば連邦機関は、AIを使ってドローンで撮影した写真や大規模データセットを分析することができる。ただし、AIリスクを管理するセーフガードは必要である。連邦の法律やガイダンスは、連邦機関によるAIの実践についていくつかの要件を含めているが、それらは完全には満たされていない。例えば、連邦機関によるAIの調達及び使用について、政府全体のガイダンスが通達されていない。こうしたガイダンスがなければ、連邦機関が一貫した形でAIを管理することはできない。GAOは、こうした問題やその他の問題に対処することを目的として、「行政管理予算局(Office of Management and Budget: OMB)長官は、OMBが政府全体のガイダンスを発表することを確実にする」など、合計35の勧告を提示している。 Government Accountability Office “Artificial Intelligence: Agencies Have Begun Implementation but Need to Complete Key Requirements” (12/12/23)

GAO、国防総省によるAI労働力管理について報告

政府説明責任局(Government Accountability Office: GAO)は、「人工知能:国防総省の労働力管理を向上させる措置が必要(Artificial Intelligence: Actions Needed to Improve DOD’s Workforce Management)」と題する報告書を発表した。国防総省(Department of Defense)は、事業活動に人工知能(AI)を取り入れるため、数十億ドルを投資している。これには、諜報、偵察、調査データの分析や致死的な自動兵器システムの運用などが含まれる。しかし、GAOの調査によれば、国防総省は、誰がAI労働力の一員なのか、どのポジションの人員にAIスキルが求められるのかについて十分な特定を行うことができず、このため国防総省は、省内のAI労働力の現状評価や、将来のAI労働力のニーズの予測を効果的に行うことができない。GAOは、国防総省がAI労働力を定義及び特定するために必要な策を実施するスケジュールを設定することなど、3点を勧告している。 Government Accountability Office “Artificial Intelligence: Actions Needed to Improve DOD’s Workforce Management” (12/14/23)

国防総省、2024年度マイクロエレクトロニクス・コモンのプロジェクト要請を発表

CHIPS・科学法(CHIPS and Science Act)と、バイデン大統領の「米国への投資(Investing in America)」議題の一環として、国防総省(Department of Defense)は12月18日、「マイクロエレクトロニクス・コモン(Microelectronics Commons: Commons)」の2024年度プロジェクト要請(FY24 Call for Projects: CFP)を発表した。マイクロエレクトロニクスの国内プロトタイプ作成及び製造を支援するプロジェクトに最高2億8,000万ドルを提供し、米軍用マイクロエレクトロニクスを供給する持続可能な国内生産パイプラインの構築に取り組む。コモンのCFPは、先端技術を兵士へ提供し、米国のマイクロエレクトロニクス製造業界を育成して米軍の技術的優位を強化するという国防総省の重点分野を強調するものである。国防総省は、2024年度第3四半期にプロジェクトのアワードを発表する見通しである。現在、米国の大学及び企業内で実証されたマイクロエレクトロニクスの設計は、全てが大規模な製造へと移っているわけではない。その理由は、ラボから製造への移行が極めて難しいためで、コモンは米国の国家安全保障にとって重要なマイクロエレクトロニクスの移行を緩和することに焦点を当てている。 Department of Defense “DOD Releases Microelectronics Commons FY24 Call for Projects to Catalyze U.S. Microelectronics Innovation” (12/18/23)

NSF、16の学術機関にサイバーセキュリティ・スカラーシップとして1,600万ドル以上を投資

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)は12月19日、「サービスのためのサイバーコープス・スカラーシップ(CyberCorpsⓇ Scholarship for Service: CyberCorps SFS)」のグラント受益機関として新たに6つの学術機関を選出したと発表した。政府組織における次世代のサイバーセキュリティ専門職の訓練と、サイバーセキュリティ労働力の強化に、合計で1,600万ドル以上が投資される。サイバーコープスSFSプログラムは、43州とワシントンDC、プエルトリコに広がり、サイバーセキュリティ専門職の高まる需要に対処する「導き手」となっている。プログラムは、全額の奨学金とわずかな給付金を支給するだけでなく、サイバーセキュリティ教育への現代的な手法の形成にもつながる。これらのスカラーシップの受益者は、卒業後は、その専門性を、連邦、州、地方自治体、部族政府のサイバーセキュリティの役割に寄与させることを約束する。 National Science Foundation “NSF invests over $16M in six academic institutions for cybersecurity scholarships” (12/19/23)

米国アカデミー、米国はスマート製造と循環経済努力を支援すべきと提言

米国アカデミー(National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine)は今般、「スマート製造国家計画の選択肢(Options for a National Plan for Smart Manufacturing)」と題する報告書を発表した。報告書は、米国内でスマート製造を進展させるには、国家的な取り組みが必要であるとした上で、エネルギー省(Department of Energy)やその他の政府機関は、スマート製造の労働力訓練や、「サイバー・インターステート(cyber interstate)」(より広範なスマート製造コミュニティを結びつける導管として機能する。これによってリアルタイムのデータ共有が可能になる)、人工知能(AI)などの重要技術における投資の開発・発展を支援することを勧告している。スマート製造の成長を実現するには、科学、工学、社会科学のほぼあらゆる部門が含まれる技術が必要となる。エネルギー省やその他の連邦機関は、これらの部門が交差する点でのプログラムやコンソーシアムに資金提供すべきであると、報告書は結論づけている。また、資金提供機会が必要とされる学際的な技術として、①人と機械の共同パイロット、②センサー、③AIと機械学習、④プラットフォーム、など6点を挙げている。 National Academies “U.S. Should Build Out Secure ‘Cyber Interstate’ and Other Infrastructure to Support Smart Manufacturing and Circular Economy Efforts, Says New Report” (12/12/23)