NSF、AI教育イニシアチブを始動

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)は、「AI教育(EducateAI)イニシアチブ」の開始を発表した。本イニシアチブの目標は、全国の小中高、コミュニティ・カレッジ、4年制大学、大学院ならびにAIの正式な訓練に関心のある成人を対象に、教育者が、高品質で、受け手にとって適切な人工知能(AI)教育経験を提供できるようにすることである。教育者がAIの概念について効果的に学習指導できるよう十分な知識を身に付けていることを確実にするため、AI教育イニシアチブは、専門職開発の機会を提供し、教員がAIを学習指導慣行に統合する上で必要とされる知識とスキルを提供する実践のコミュニティを育成する。加えて、多様な機関でAI教育を支援するために必要なインフラを整備し、コンピューティング分野で少数派となっているグループに焦点を当てる。NSFは、AI教育イニシアチブの最初の一歩として、「AI教育に関する科学コミュニティ宛ての書簡(EducateAI Dear Colleague Letter)」を発表した。 National Science Foundation “NSF launches EducateAI initiative” (12/5/23)

財務省、EVサプライチェーンから中国を排除するための規則を発表

バイデン政権は12月1日、中国を米国の電気自動車(EV)及び電池のサプライチェーンから排除する規則、及び大規模な税還付金の対象となり得るEVを判断するための一連の試験案を発表した。本規則(案)によって消費者EV税クレジットに適格となるEV及び電池が増えるのか減るのかが明確ではない。また、フォード社(Ford)などの企業は中国企業からライセンスを得ている技術を使用できるのかなど、重要な疑問点は解決されないままとなっている。現時点では、自動車メーカー7社による15種類のEVが税クレジットの適格となっている。今回の規則案の下、自動車メーカーは、供給品が中国に本社がない企業から提供されていること、中国の企業や投資家によって管理されていないことを保証する必要がある。規則案は、いわゆる「海外の懸念事業体(foreign entities of concern)」をターゲットとしたもので、これはインフラ低減法(Inflation Reduction Act)とEVサプライチェーンへの潤沢な資金提供が行われた際に創設されたカテゴリーである。 EE News “Treasury issues rules to exclude China from EV supply chain” (12/1/23)

ニューヨーク州、IBM、マイクロン社と共に100億ドルの半導体研究複合施設を建設

ニューヨーク州は、複数の半導体企業と共に、ニューヨーク州立大学アルバニー校(State University of New York at Albany)近郊に建設され、先端半導体製造機器を導入する半導体研究施設に100億ドルを投資する。計画されている「アルバニー・ナノテク複合施設(Albany NanoTech Complex)」を監督する非営利組織、NYクリエイツ(NY Creates)が、その建設を調整する他、州の資金を使って、ASMLホールティング社(ASML Holding)から半導体製造設備を購入する。同社はオランダの企業で、その設備は最先端の半導体製造を実現する鍵であり、費用は数億ドルとなる可能性がある。設備が導入された後、プロジェクト及びパートナー機関による次世代の半導体製造への取り組みが始まる。パートナー機関には、IBM、マクロン・テクノロジー(Micron Technology)、アプライド・マテリアル(Applied Materials)、東京エレクトロンの各社が含まれる。アルバニー複合施設はこれまでに様々な半導体研究の取り組みで成功を収めてきたが、契約を巡るスキャンダルや半導体研究コンソーシアムの失敗など、つまずきも複数回経験している。 Wall Street Journal “New York Joins IBM, Micron in $10 Billion Chip Research Complex” (12/11/23)

Xプライズ財団、史上最大のコンペ、1億100万ドルのXプライズ・ヘルススパンを開始

Xプライズ財団(XPRIZE Foundation)は11月29日、賞金1億100万ドルのコンペ「Xプライズ・ヘルススパン(XPRIZE Healthspan)」を開始した。7年間をかけて行われる世界的なコンペで、歴史上、そしてXプライズ財団史上、最大のコンペである。健康的な加齢を促進し、平均寿命と健康寿命の差(人生において、主要な慢性病や身体障害のない期間。米国では現在、12年の差があるとされている)を縮める治療法を開発及び試験することを競う。65~80歳を対象として、筋肉や認知、免疫機能を、1年以内に少なくとも10年(目標20年)回復できる、積極的でアクセス性の高い治療法を開発したチームに、1億100万ドルが提供される。また、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)によって失われた筋肉機能を1年以内に回復できる能力を実証したチームには、FSHDボーナス・アワードとして追加で1,000万ドルが提供される。 XPRIZE Foundation “XPRIZE LAUNCHES LARGEST COMPETITION IN HISTORY – $101M XPRIZE HEALTHSPAN TO DRIVE HEALTHIER AGING FOR ALL” (11/29/23)

DARPA、大型防衛AIチャレンジを12月に開始

昨年8月、「ブラック・ハット2023(Black Hat 2023)」が実施された際、国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Project Agency: DARPA)から、2年がかりで大規模な「人工知能サイバー・チャレンジ(Artificial Intelligence Cyber Challenge)」を実施し、数百万ドルの賞金を提供するという発表が行われ、大きな衝撃をもたらした。これは、AIサイバー・チャレンジ(DARPAは「AIxCC」と呼称)と呼ばれるもので、大統領府が資金と支援を提供して実施され、最終的な目標は、政府や重要インフラ、民間セクターを狙いとするあらゆるタイプのサイバー脅威を自動で妨害、軽減できるAIまたはAIツールセットを創出することである。大統領府の声明によれば、約2,000万ドルの賞金が予定されている。チャレンジは12月から開始され、2つのトラック(資金提供を受けて参加するトラックと、誰でも参加できるトラック)で実施され、最初の予選イベントは来春実施される。 Nextgov “DARPA’s massive defensive AI challenge begins in December” (11/29/23)

エネルギー・イノベーション部隊(I-Corps)の第17コホートが卒業

エネルギー省(Department of Energy)の技術移転局(Office of Technology Transitions: OTT)のミッションは、DOEの研究/設計/実証/導入ポートフォリオが公共にもたらす影響を拡大することであり、これを支えるためにOTTが行っている長期的なイニシアチブの一つに、「エネルギー・イノベーション部隊(Energy I-Coprs)」がある。エネルギーI-Corpsは、クリーン・エネルギー技術の商業化を加速させるため、労働力開発訓練及び資金提供支援を実施するプログラムである。2023年11月には、エネルギーI-Corps第17コホートが卒業を迎え、累計の卒業生チーム数は215となった。今回のコホートは、7つの国立研究所から11チームで構成され、低炭素コンクリートや潮力、グリッド対応力など幅広い技術を対象とした。今般、プログラムの完了を祝い、第17コホートのチームがワシントンDCに集い、それぞれの取り組みについて主要な関係者と共有した。11チームは10週間のプログラムを通じて、潜在的顧客やその他の関係者とのインタビューを合計793件実施した。プロセスを通じて検証や機会を見出したチームもあれば、自分たちの技術について全く新しい方向性を見出したチームもあった。 Department of Energy “Energy I-Corps Cohort 17 Graduates to Join the 200+ Program Alumni Teams” (11/28/23)

オーク・リッジ国立研究所、AIの科学的なマイルストーンに取り組むコンソーシアムに参加

エネルギー省(Department of Energy)のオーク・リッジ国立研究所(Oak Ridge National Laboratory)は、大規模な人工知能(AI)システムの構築と、科学的発見のための信頼できるAIの進展という課題に対処することを目的として、連邦研究所や研究機関、学術機関、業界の科学者による世界的なコンソーシアムに参加した。これは、「トリリオン・パラメーター・コンソーシアム(Trillion Parameter Consortium: TPC)」として知られるパートナーシップで、複雑な科学的課題に対処することを狙いとして、大規模な生成AIモデルの育成と改良に取り組む。具体的には、拡張可能なモデル・アーキテクチャ及び関連する訓練戦略の開発、モデル訓練のためのデータ編成とキュレーション、現在及び将来のエクサスケール・コンピューティング・プラットフォームのためのAIライブラリの最適化などが行われる。その他のTPCパートナーには、アレンAI研究所(Allen Institute for AI)、アルゴンヌ国立研究所(Argonne National Laboratory)、バルセロナ・スーパーコンピューティング・センター(Barcelona Supercomputing Center)、富士通、インテル(Intel)、東京工業大学、東京大学などが含まれる。 Oak Ridge National Laboratory “ORNL joins consortium to tackle scientific AI’s next great milestone” (11/27/23)

バイデン大統領、米国のサプライチェーン強化のための新措置を発表

バイデノミクス(Bidenomics)議題の一環として、バイデン大統領は、米経済及び国家安全保障にとって重要なサプライチェーンの強化を目的とした約30件の新たな措置を発表した。これらの措置は、米国民が必要とする製品を必要な時に取得でき、企業にとっては信頼性の高い配達を実現し、米国の農業及び食糧システムを強化し、国内の良好賃金の組合雇用を支援する。具体的に、バイデン大統領は11月27日、自身が発足したホワイトハウス・サプライチェーン対応力評議会(White House Council on Supply Chain Resilience)の初回会合でこれらの措置を発表した。大統領が発表した大胆で新たな措置の一例は次の通り。①サプライチェーン対応力評議会を設立し、サプライチェーンの持続的な対応力を構築するため、政府全体での長期的な戦略を進展させる。評議会は、国家安全保障担当大統領補佐官及び国家経済担当大統領補佐官(National Security Advisor)(National Economic Advisor)が共同議長を務め、農務省、商務省、国防総省、エネルギー省、厚生省などの省庁機関の長官を含む、②国防生産法(Defense Production Act)を行使して、重要な医薬品の国内製造を増やし、医薬品不足を緩和する、③新たに政府間のサプライチェーン・データ能力を強化する。 White House “FACT SHEET: President Biden Announces New Actions to Strengthen America’s Supply Chains, Lower Costs for Families, and Secure Key Sectors” (11/27/23)

州政府機関のR&D支出は2022年度に26億ドルとなり、前年比5%増

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)の国立科学工学統計センター(National Center for Science and Engineering Statistics:NCSES)の発表によれば、2022年度における州政府機関の研究開発(R&D)支出は26億4,400万ドルに達し、前年度(25億1,300万ドル)から5.2%増加した。ただし、インフレ調整後の数値で見ると、州政府機関によるR&D支出の総額は20億7,800万ドル(2022年度)となり、前年度(21億1,400万ドル)から1.7%の減少、2015年度の調整済み総額(21億6,400万ドル)より少ない。これらの情報は、「2022年度州政府の研究開発に関するアンケート調査(FY 2022 Survey of State Government Research and Development)」の統計を基にしたもの。州政府による2022年度のR&D及びR&Dプラントの支出総額は26億7,600万ドルで、そのうち98.8%(26億4,400万ドル)をR&Dが占める。州政府機関によるR&Dの最大資金源は州政府自身で、73.9%(19億5,300万ドル)を占める。次いで、連邦政府(26.1%。6億9,100万ドル)となっている。また、6つの機能的分類で見ると、医療関連のR&Dが引き続き最大で、11億100万ドル以上を支出しており、前年度から2.2%増加した。2番目に大きいのは環境及び天然資源関連のR&Dで5億4,100万ドルとなっている。 National Center for Science and Engineering Statistics “State Government Agencies’ Expenditures for R&D Totaled $2.6 Billion in FY 2022, an Increase of 5% from FY 2021” (11/27/23)

中国で海外からの直接投資が退出

中国の習近平国家主席は、11月中旬にサンフランシスコで行ったバイデン大統領との会談や、米企業及び大手技術企業のCEOとの会合で、中国は米国のパートナーで友人となる用意ができていること、自国の現代化は世界に大きな機会を提示していることを主張した。中国が米国との緊張関係を元に戻したいと願っていることに疑いはない。なぜなら、中国に関する新たなデータによると、中国でビジネスをする外国企業は、収入の再投資を躊躇しているだけでなく、既存の投資を中国企業へ売却する大型売却者となり、資金を本国へ送還していることが分かっている。こうした兆候はこれまでには見られなかったものである。こうした資金の流出は2023年の第1~3四半期に1,000億ドルを超えており、今後更に拡大する見込みである。投資の売却は、中国通貨に下向きの圧力をもたらしており、これが継続した場合、中国の潜在的な成長は緩やかに削減されると予測される。こうしたトレンドに影響しているとみられる要素には、米中間の緊張の悪化によって投資家がより慎重になっていること、中国が国内の海外コンサルタント及び適正検査企業を取り締まり、規制環境を増大的に厳しくしたことなどが挙げられる。 Peterson Institute for International Economics “Foreign direct investment is exiting China, new data show” (11/17/23)