国際科学組織がDUNE(素粒子検出器)へのハードウェア提供で覚書に署名

DUNE(Deep underground Neutrino Experiment)は、国際的なメガ科学実験で、ニュートリノの性質を調査する膨大な素粒子検出器である。数十カ国の科学者代表で構成されるDUNEコラボレーションは、米国内の2つの拠点で検出器の建設に寄与する。拠点の一つは、エネルギー省(Department of Energy)傘下のフェルミ国立加速研究所(Fermi National Accelerator Laboratory)(イリノイ州シカゴから40マイル西部)、もう一つはサンフォード地下研究所(Sanford Underground Research Laboratory: SURF)(サウスダコタ州)である。11月17日には、5カ国(ブラジル、フランス、イタリア、スイス、英国)の資金提供機関の代表が覚書(MOU)に署名し、DUNEのコンポーネントの建設へ寄与するコミットメントを確認した。また、カナダ、やCERN(スイス)の代表者も、遠隔でMOUに署名し、DUNEへの寄与を約束した。チェコ共和国やスペインも今後最終取りまとめが行われる予定である。DUNEコラボレーションは、世界200以上の研究機関から1,400名以上の科学者及び工学者で構成されている。 Fermilab “International science organizations sign agreement to provide hardware for the Deep Underground Neutrino Experiment” (12/6/23)

DARPA、総合的な商業月インフラへ向けた協力

これからの10年間は、活況な月経済への勢いが高まる可能性がある。こうした中、国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Project Agency: DARPA)は、「10年間の月アーキテクチャ能力研究(10-Year Lunar Architecture (LunA-10) Capability Study)」プログラムの下、10社を選出した。米国及び海外の平和的使用のために、将来の民生の月枠組みの構築を促進することを目指す。LunA-10プログラムは、将来の月ユーザーのために、合同で運用することができ、収益化が可能なサービスを創出し、共有や拡張が可能な一連のシステムの技術概念の早急な開発につながる研究を模索する。LunA-10プログラムで選出されたチームは、7カ月の研究コースを通じて、極めて協調的な環境で、複数の月関連サービスを対象とする総合システム・レベルのソリューションの設計に共同で取り組む。こうした月関連サービスには、月のパワー、現地での資源の採鉱及び商業活用、通信とナビゲーションとタイミング、移動とモビリティとロジスティック、建設とロボティクスが含まれる。選出されたチームは、2024年4月に実施される「月面イノベーション・コンソーシアム(Lunar Surface Innovation Consortium: LSIC)」の春期会合でそれぞれの取り組みについて、月コミュニティ向けに発表する。そして2024年6月には最終報告を行う計画である。 Defense Advanced Research Project Agency “Collaborating Toward Integrated Commercial Lunar Infrastructure” (12/5/23)

バイデン大統領、高価格の医療薬についてNIHが「介入権」を持つことを希望

バイデン大統領は12月7日、医薬品開発業者が国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)の資金提供を受けて行われた研究を基に開発した治療薬に高額な値段を付けた場合、その企業に付与された排他的特許ライセンスをNIHが無効にできる権利を有することを示した政策ガイダンス草案を発表した。ガイダンス草案は、企業がある製品に対して合理的な価格をつけない場合、いわゆる「介入権(march-in right)」を行使できるとしている。これは、米国標準技術局(National Institute of Standards and Technology:NIST)が12月7日に発表した「介入権の行使の検討に関する省庁間ガイダンス枠組み草案(Draft Interagency Guidance Framework for Considering the Exercise of March-In Rights)」で、NIHはパブコメを受け付けている。消費者擁護派や議員達はこの提案を称賛しているが、一部の者は、「合理的な価格」を判断するのに極めて厳しい基準が設定されるのではと懸念している。そして医薬品企業や学術機関はこの提案に反対することが予想されている。 Science “Biden wants NIH to have ‘march-in’ power to override patent rights for high-priced drugs” (12/7/23)

国防総省、兵士携帯機器や航空、地上車両のための商用リチウム電池のプロトタイプ作成へ

信頼性の高いエネルギー貯留技術のニーズが高まる中、国防総省(Department of Defense)は、単一の調達源へ依存することへの懸念、様々な調達慣行、費用高など、複雑なサプライチェーン問題に直面しており、それらは全てDOD向け電池のライフサイクル管理問題に寄与している。国防長官室(Office of the Secretary of Defense)、陸軍(U.S. Army)の司令/管理/通信/コンピュータ/サイバー/諜報/偵察/調査部門(Command, Control, Communications, Computers, Cyber, Intelligence, Surveillance and reconnaissance: C5ISR)などは、先端標準電池属(Family of Advanced Standard Batteries: FAStBat)プロジェクトで、国防イノベーション・ユニット(Defense Innovation Unit: DIU)と提携する。FAStBatプロジェクトは、国防総省の3つの領域(兵士の携帯システム、地上車両、航空)で共通する使用を目的として、商業的に実証済みのリチウム電池技術の国内及び友好国での導入を加速させることを狙いとする。FAStBatは歩兵のための軽量で安全で長期寿命の電池の標準化の取り組みに、2023年に最初の10件のアワードを提供した。今般は、ヘリコプターや戦闘機の電力ニーズ、費用、余剰性に対処する標準航空電池のプロトタイプ作成に取り組む企業にアワードが提供される。 Defense Innovation Unit “Department of Defense To Prototype Commercial Lithium Batteries for Soldier Power, Aviation, and Ground Vehicles” (12/7/23)

新たな再生可能燃料基準の量的目標により再生可能天然ガス生産が増加

環境保護庁(Environmental Protection Agency: EPA)は2023年6月21日、再生可能燃料基準(Renewable Fuel Standard : RFS)プログラムの一環として、2023-25年のセルロース系バイオ燃料の量的要件と基準に関する最終規則を発表した。セルロース系バイオ燃料のカテゴリーは、主として再生可能天然ガス(Renewable Natural Gas: RNG)(バイオガスから生産される天然ガスの一つ)に適用される。新たな規則では、セルロース系バイオ燃料の量的目標が、前回の目標と比べて、2023年までに25%増の8億4,000万ガロンに、2024年までに29%増の10億9,000万ガロンに、2025年までに33%増の13億8,000万ガロンになっている。RFSは、ガソリンとディーゼルの生産者が輸送燃料供給の中に再生可能燃料を混在させることを義務付ける連邦プログラムで、EPAは、特定の再生可能燃料のカテゴリーについて量的要件をまとめた規則策定案を発表する。セルロース系バイオ燃料に関する年間の量的目標の設定は、米国内でRNG生産が増産される一助となっている。 Environmental Protection Agency “New Renewable Fuel Standard volume targets facilitate renewable natural gas production” (12/11/23)

エネルギー省、100%炭素フリー電力供給でテネシー渓谷公社と提携

エネルギー省(Department of Energy)とテネシー渓谷公社(Tennessee Valley Authority: TVA)は12月7日、2030年までに、エネルギー省のオーク・リッジ国立研究所(Oak Ridge National Laboratory)とテネシー州オーク・リッジにあるY-12国立安全保障複合施設(Y-12 National Security Complex)へ、地元で供給される100%炭素汚染フリー電力(carbon pollution-free electricity: CFE)を提供することを記した覚書(MOU)を交わした。いずれはTVAのサービス圏内(テネシー州全域と、アラバマ、ジョージア、ケンタッキー、ミシシッピー、ノースカロライナ、バージニアの各州の一部)にあるその他の連邦施設へもCFEを供給する可能性がある。このMOUは、バイデン=ハリス政権による連邦持続可能性計画(Federal Sustainability Plan)の目標(2030年までに連邦施設の電力は100%CFEで調達する)を進展させる。エネルギー省とTVAは今後数か月間に、エネルギー省及びその他の潜在的な連邦顧客へ2030年までに100%CFE電力を提供するためのロードマップ作成に取り組む。 Department of Energy “DOE Partners with Tennessee Valley Authority to Power Oak Ridge Facilities with 100% Carbon Pollution-Free Electricity” (12/7/23)

素粒子物理学研究への米国政府投資について勧告

エネルギー省(Department of Energy)科学局(Office of Science)などによる高エネルギー物理学プログラムに助言を行う高エネルギー物理学諮問委員会(High Energy Physics Advisory Panel: HEPAP)は12月8日、下部委員会である「素粒子物理学プロジェクト優先付け委員会(Particle Physics Project Prioritization Panel: P5)」による新たな報告書を発表した。「素粒子物理学におけるイノベーションと発見への経路(Pathways to Innovation and Discovery in Particle Physics)」と題する報告書(2023年)で、米国の資金提供機関への勧告につながる素粒子物理学分野の主要な活動について記述している。今回の報告書は、米国物理学協会(American Physical Society)が、世界中の素粒子物理学者と宇宙学者を招集して研究優先事項の概要作成に取り組んだ「2021年スノーマス計画演習(2021 Snowmass planning exercise)」を基盤としている。2023年P5報告には、研究プログラムや米国の技術労働力、基礎物理学や宇宙の起源に関連する変革的な次世代発見を実現するために必要な技術とインフラへの連邦投資について、予算を意識した幅広い勧告を提示している。一例として、報告書は、大型ハドロン衝突型加速器(Large Hadron Collider: LHC)(拠点は欧州)、素粒子観測装置のDUNE(Deep Underground Neutrino Experiment)(同イリノイ州のフェルミ国立加速研究所(Fermi National Accelerator Laboratory))などへの継続支援を勧告している。エネルギー省傘下のブルックヘイブン国立研究所(Brookhaven National Laboratory)はP5報告で紹介されている多くのプロジェクトに貢献している。 Brookhaven National Laboratory “Advisory Panel Issues Field-Defining Recommendations for U.S. Government Investments in Particle Physics Research” (12/8/23)

ソーラーは2023年に過去最大となる見込みながら、経済的課題が山積

ソーラー・エネルギー業界協会(Solar Energy Industries Association: SEIA)とウッド・マッキンゼー社(Wood Mackenzie)が12月7日に発表した「2023年第4四半期の米国ソーラー市場洞察(U.S. Solar Market Insight Q4 2023)」によれば、米国のソーラー業界は2023年第3四半期に6.5ギガワットの新たな発電能力を導入し、前年比35%増となった。この結果、2023年に米国内で導入されるソーラー発電能力は過去最大の33ギガワットとなる見込みである。経済的課題がソーラー及び貯留業界に影響をもたらし始めつつあるが、ソーラーは2050年までに米国のグリッドで最大の発電能力源となると予測されている。住宅部門では、第3四半期に過去最大の21万件のシステムが設置されたが、カリフォルニア州における正味エネルギー計測政策(net energy metering policy)の変更や金利上昇により、来年の成長は短期的に減少し、2025年に回復すると予測されている。 Solar Energy Industries Association “Solar Poised for Record-Setting 2023 while Economic Challenges Mount” (12/7/23)

エネルギー省の分析、地熱ヒートポンプによる脱炭素化されたエネルギー未来への経路を示す

エネルギー省(Department of Energy)は12月6日、「地熱ヒートポンプの大規模配備を通じたビルの冷暖房電気化におけるグリッド費用と総合的な排出削減(Grid Cost and Total Emissions Reductions Through Mass Deployment of Geothermal Heat Pumps for Building Heating and Cooling Electrification in the United States)」と題する報告書を発表した。それによれば、地熱ヒートポンプを大規模に導入することで、米国内のビルの冷暖房を脱炭素化し、エネルギーを節約しつつ、新たなグリッド移送の必要性を削減することができる。報告書は、ビルの外壁の改良と組み合わせ、米国のビルの約70%を地熱ヒートポンプで改修することで、地熱ヒートポンプを使用せずに脱炭素化する場合と比較して2050年までに電力需要を最大13%削減することができると分析している。さらに、地熱ヒートポンプの大規模導入により、他に脱炭素化政策がない場合でも、7ギガトン以上の炭素を排除できる可能性があり、ビルの耐候化なhonどのエネルギー効率措置を追加することで、エネルギー利用者や電力グリッドが受ける恩恵を更に拡大することが可能になる。 Department of Energy “U.S. Department of Energy Analysis Highlights Geothermal Heat Pumps as a Pathway to a Decarbonized Energy Future” (12/6/23)

オーク・リッジ国立研究所とキャタピラー社、船舶エンジンにおけるメタノールガス使用進展でて協力

エネルギー省(Department of Energy)傘下のオーク・リッジ国立研究所(Oak Ridge National Laboratory: ORNL)とキャタピラー社(Caterpillar Inc.)は、共同研究開発契約(cooperative research and development agreement: CRADA)を締結した。4サイクル船舶用内燃エンジンの代替燃料資源としてメタノールガスを使用することについて調査する。この共同作業は、輸送の電気化が難しい海洋業界の脱炭素化努力を支援する。米国は、環境に有害な温室効果ガスを削減する方法を模索しており、炭素排出が少ないメタノールガスは魅力的なディーゼル代替燃料となっている。メタノールガスにはその他にも多くの利点があるが、ディーゼルよりも点火が難しい。CRADAの下、ORNLとキャタピラー社の研究者は、今後数年間、メタノールガス用に改良されたエンジンでメタノールガス使用を最適化するためのハードウェア仕様と運用戦略を特定、開発、試験する。エネルギー省の自動車技術局(Vehicle Technologies Office)と運輸省(Department of Transportation)海事局(Maritime Administration)がこの共同作業に資金を提供する。 Oak Ridge National Laboratory “ORNL, Caterpillar collaborate to advance methanol use in marine engines” (12/6/23)