中国における非治療系の脳とコンピュータのインターフェース研究に関する書誌学的分析

セキュリティ・新興技術センター(Center for Security and Emerging Technology: CSET)は今般、「中国における非治療系の脳とコンピュータのインターフェース研究に関する書誌学的分析(Bibliometric Analysis of China’s Non-Therapeutic Brain-Computer Interface Research)」と題する報告書を発表した。中国における「脳とコンピュータのインターフェース(brain-computer interface: BCI)」に関する研究には2つの側面がある。中国は、神経病理学における一般的な応用の他、BCIの恩恵を一般の人口層にも拡大しつつあり、これは人間と機械という2種類の知能の融合につながっている。こうした融合は、様々な応用への道筋を開き、それは、早期の導入者に戦略的優位を与える可能性がある。本報告書は、CSETとキングス・カレッジ・ロンドン(King’s College London)の戦争研究学部(Department of War Studies)の研究者による共同作業で、書誌学的分析と技術的文書の専門的評価を使い、中国のBCIについて評価することを目的として作成されたものである。中国による数百の文献の書誌学的分析の結果は、中国がこうした目標を視野に入れ、その達成へ向けて現実的な経路を有していることを示している。 Center for Security and Emerging Technology “Bibliometric Analysis of China’s Non-Therapeutic Brain-Computer Interface Research” (March 2024)

OSTP、「マイクロエレクトロニクス研究に関する国家戦略」を発表

大統領府科学技術政策局(Office of Science and Technology Policy: OSTP)は3月15日、米国におけるマイクロエレクトロニクスの研究開発(R&D)イノベーション・エコシステムを強化することを目的として、「マイクロエレクトロニクス研究に関する国家戦略(National Strategy on Microelectronics Research)」と題する報告書を発表した。報告書は、今後5年間の主要な目標と措置を概説したもので、これらは、バイデン政権の産業戦略を基盤にしており、国内製造業を活性化し、良好賃金雇用を創出し、サプライチェーンを強化し、米国ならびに同盟国とパートナーの安全保障と繁栄のために半導体業界における将来のリーダーシップを確保する一助とする。報告書は、連邦省庁、学術機関、労働、非営利組織、国際同盟及びパートナーが、相互に関連する4つの目標へ向けて主要なニーズに対処するための枠組みを提示している。4つの目標とは、①マイクロエレクトロニクスの未来世代のための研究の進展を実現、加速させる、②研究から製造へのマイクロエレクトロニクス・インフラを支援、構築、橋渡しする、③製造エコシステムのためのマイクロエレクトロニクスR&Dの技術労働力を育成及び維持する、④活気あふれるマイクロエレクトロニクス・イノベーション・エコシステムを創出し、R&Dから米国産業への移行を加速させる。 White House “White House Office of Science and Technology Policy Releases National Strategy on Microelectronics Research” (3/15/24)

癌ムーンショット、ナビゲーション・サービスのアクセス向上に関する民間企業のコミットメントを発表

バイデン癌ムーンショット(Biden Cancer Moonshot)は3月8日、癌やその他の深刻な疾病の患者及びその家族が治療を進めていくことを支援するナビゲーション・サービスへのアクセスを拡大することについて、医療保険会社大手7社によるコミットメントを発表した。これら7社は、1億5,000万人以上の患者(全米国民のほぼ半分)にサービスを提供している。加えて、バイデン癌ムーンショットは、40件の包括的な癌センターやコミュニティ癌医療実践者(community oncology practices)が、新たなナビゲーション・コードを使って、癌に直面している患者にナビゲーション・サービスを提供することにコミットしたことを明らかにした。バイデン大統領夫妻は、バイデン癌ムーンショットを通じて、癌の影響を受けた人々への支援サービスを優先付けしており、これには、患者のナビゲーション・サービスの重要性を主唱することも含まれる。ナビゲーターは、癌との旅路における各ステップを通して家族を支援する。ナビゲーターは、診断と治療の間の時間を短縮したり、治療の完了率を高めるなどして医療のアウトカムと患者の経験に向上をもたらしていることが示されている。 White House ” FACT SHEET: Biden Cancer Moonshot Announces Commitments from Leading Health Insurers and Oncology Providers to Make Navigation Services Accessible to More than 150 Million Americans” (3/8/24)

2025年度予算案:科学技術へ投資、米国イノベーションを強化し、可能性を追求

バイデン大統領の予算は、科学技術(S&T)へ戦略的な投資を行い、米国がイノベーションで引き続き世界を主導し、S&Tのブレイクスルーが全ての米国民に恩恵をもたらすことを確実にする。予算には、現在の大きな課題に対処し、米国の偉大な願望を達成し、あらゆるコミュニティの個人に頑強な健康と豊かな機会を推進することなどを目的とした2,020億ドルの連邦研究開発(R&D)予算が含まれている。大統領府科学技術政策局(Office of Science and Technology Policy: OSTP)は米国科学財団(National Science Foundation: NSF)及び米国科学審議会(National Science Board: NSB)と共に3月13日、大統領の予算の主要な側面について説明する会合を開催した。大統領予算の特徴として、以下が挙げられた(記事にはそれぞれの具体的な予算事例も含まれる)。①安全でセキュアで信頼できる人工知能(AI)の進展、②将来の経済的競争力のためのR&Dの強化、③あらゆる人の医療のより良いアウトカムの推進、④世界的な安全保障と安定の維持、⑤科学技術における障害と不平等性の削減と研究の強化、⑥気候危機と環境への影響への対策。 White House ” FACT SHEET: President Biden’s 2025 Budget Invests in Science and Technology to Power American Innovation, Expand Frontiers of What’s Possible” (3/13/24)

米国、低所得世帯を対象にエネルギー代節約に繋がるクリーンエネルギー・コネクターを開始

バイデン政権は3月19日、エネルギー省(Department of Energy)と厚生省(Department of Health and Human Services: HHS)のパートナーシップを通じて、「クリーン・エネルギー・コネクター(Clean Energy Connector)」のパイロット事業を開始した。クリーン・エネルギー・コネクターは、HHSの低所得世帯エネルギー援助プログラム(Low-Income Home Energy Assistance Program: LIHEAP)を通じて、世帯とソーラー・エネルギーを結ぶデジタル・ツールである。この種のソフトウェアとしては初めてとなるこのデジタル・ツールは、2022年に開発が発表された。今後、イリノイ州、ワシントンDC、ニューメキシコ州のLIHEAPプログラム管理者が使用できるようになり、最大で4万世帯の低所得者世帯をコミュニティによるソーラー購読とつなげることができる。これにより、世帯のエネルギー代は低減され、社会的に少数派となっているコミュニティの間でクリーン・エネルギーへのアクセスは高まり、公平なソーラー・エネルギーの導入は強化される。また、バイデン大統領の野心的なクリーン・エネルギー目標と正義40(Justice40)の目標も支援する。 Department of Energy “Biden-Harris Administration Launches Clean Energy Connector to Bring Nearly $15 Million in Annual Energy Savings to Up to 40,000 Low-Income Households” (3/19/24)

NSB、「米国が発見とイノベーションを先導するには人材に投資すべき」と報告

米国科学審議会(National Science Board: NSB)は3月13日、「2024年米国科学工学の現状(The State of U.S. Science and Engineering 2024)」を発表した。それによれば、米国は他のどの国よりも研究開発(R&D)を実施しているが、中国を中心とした東・南東アジアの諸国が活動を強化している中、米国の世界的な位置づけは低下している。NSBのダニエル・リード議長(Daniel Reed)は、「報告書は、米国の科学・工学(S&E)事業が外国生まれのSTEM人材への依存を高めていること、そして横ばいの連邦政府R&D投資によって限定されていることを示している。我々は、国防及び教育法(National Defense and Education Act)などの新しい法律や、連邦科学機関への適切かつ頑強な予算といった政策を実施しなくてはならない」と述べる。報告書は、外国生まれの科学者や工学者が米国の競争力で果たしている大きな役割(特に全ての博士号レベルにおいて)や、新型コロナのパンデミックによってS&E部門の教育と研究に混乱が生じていること、米国の小中学生の数学の点数に否定的な影響を及ぼしていることを示している。 National Science Foundation “The U.S. Must Invest in its People to Lead Discoveries and Innovations” (3/13/24)

NSF、5カ国と協力し、2024年グローバル・センター・コンペを開始

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)と全米人文科学基金(National Endowment of the Humanities: NEH)は3月13日、カナダ、フィンランド、日本、韓国、英国の科学助成機関と共に、「2024年グローバル・センター・コンペ(Global Centers 2024 competition)」の開始を発表した。同コンペのテーマは、「バイオ経済を通じて世界的な課題に対処する(Addressing Global Challenges through the Bioeconomy)」。勝利チームは、利用者のヒントに基づくバイオ経済研究の開発を目的として、国際的かつ学際的な共同研究センターとなるグローバル・センター実践のための費用(最大500万ドル)を提供される。センターはまた、学生及びキャリア初期の研究者を対象とした教育・労働力育成機会を創出すると同時に、世界のSTEM事業全般で多様性と平等と包含性とアクセス性の強化に取り組む。2024年のコンペは、NSF主導の活動で、NSFとNEHのグローバル・センター・プログラムを通じて調整され、日本の科学技術振興機構など5カ国の科学機関による共同スポンサーによって実施される。今回のコンペでは、「生命の木のバイオ多様性を活用してバイオ経済を強化する(Leveraging Biodiversity Across the Tree of Life to Power the Bioeconomy)」と「バイオファウンドリー(Biofoundries)」の2つのカテゴリーの下でプロポーザルを募集する。2024年コンペでは、5~7件のアワードを予定しており、NSFとNEHは米国を拠点とする研究者に最高500万ドル(4~5年)を提供し、海外の研究者はそれぞれの科学助成機関から支援を受ける。 National Science Foundation “NSF launches Global Centers 2024 competition in partnership with five countries” (3/13/24)

NIST職員、米国AI安全性研究所トップに予定されている「効果的利他主義者」の任命に反対

少なくとも2名の情報筋によれば、米国標準技術局(National Institute of Standards and Technology:NIST)は、新設された米国AI安全性研究所(US AI Safety Institute: AISI)で予想されているポール・クリスティアーノ氏(Paul Christiano)のトップ任命を巡り、これに反対する職員と科学者が退職するかもしれないという危機に直面している。クリスティアーノ氏は、効果的利他主義(effective altruism: EA)の動きと、その派生である長期主義(longtermism)(人類の長期的未来を優先する考え方)との結びつきで知られており、情報筋の一人によれば、誰にも知られることがない中で、同氏の採用プロセスが早急に進められたと指摘されている。クリスティアーノ氏の任命は、商務省(Department of Commerce)のジーナ・レモンド長官(Gina Raimondo)長官から直接発されたと言われており、同氏とEAや長期主義との関連はAISIの客観性と完全性に妥協をもたらすと懸念するNISTの職員の間で反発を招いている。AISIについては、透明性が欠落しているとの批判も上がっている。 Venture Beat “NIST staffers revolt against expected appointment of ‘effective altruist’ AI researcher to US AI Safety Institute” (3/7/24)

米国内に建設される半導体工場、汚れたエネルギーの増加につながる

非営利組織のスタンド・アース(STAND.earth)が発表した報告書「クリーンなクリックか汚れたチップか? 100%再生可能エネルギーへのコミットメントにもかかわらず、米国半導体の拡大は汚れたエネルギーの需要を促進(Clean Clicks or Dirty Chips?: Despite Commitments to 100% Renewable Energy, U.S. Semiconductor Expansion Driving Demand for Dirty Energy)」によれば、米国内におけるコンピュータ・チップ製造のブームは、いわゆる「汚れたエネルギー(dirty energy)」(環境汚染につながるエネルギーのこと)の需要を加速させる可能性がある。こうした製造事業者にとってのソリューションは、気候目標を追求しているその他の大手技術企業のような措置であるという。インテル(Intel)、TSMC、サムスン(Samsung)、マイクロン(Micron)の大手4社によって建設される新たな半導体工場は、本格稼働すると、シアトル市の消費電力の2倍以上の電力を使用する可能性がある。これらの企業は、「再生可能エネルギーによって操業する」と主張しているが、スタンド・アースの分析によれば、それは必ずしも真実ではない。そもそも米国内には十分な再生可能エネルギーが生成されていない。また、あらゆる業種の企業がクリーン・エネルギーへのコミットメントとして「再生可能エネルギー認証(Renewable Energy Certificates: RECs)」の個別購入という戦術を利用しているが、RECsには欠陥がある。半導体製造事業者が環境へのダメージを最小限にするには、アップル(Apple)、グーグル(Google)などの技術大手企業のように、電力調達協定(Power Purchase Agreements: PPA)に合意することであり、それによって環境的により大きな影響をもたらすことができると、報告書は指摘している。 The Verge “How much energy will new semiconductor factories burn through in the US?” (3/6/24)

ペンシルバニア大学、AIでの学士課程を創設、アイビーリーグ大学として初

ペンシルバニア大学(University of Pennsylvania)の学生は今秋から、人工知能(AI)を主専攻とすることが可能になる。同大学の報道発表によれば、アイビーリーグ(Ivy League)の大学として初めて、AIに焦点を当てた「人工知能の工学理学士(Bachelor of Science in Engineering in Artificial Intelligence)」課程が創設される。同課程では、AIの原則や、責任があり倫理的な方法でAIの能力を活用する方法について学習指導する。また、選択科目として、「信頼性の高いAI」「規格認識」「脳コンピュータ・インターフェース」といったクラスも提供される。 USA Today “A degree in artificial intelligence: Penn becomes first Ivy to offer AI major for undergrads” (2/15/24)