現行の連邦エネルギー規制委員会の改革は相互接続問題を解決するには不十分との報告

マサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology: MIT)の研究者グループは7月4日、「連邦によるグリッド改革は相互接続問題を解決できるか?(Can federal grid reforms solve the interconnection problem?)」と題する論文を発表した。それによれば、米国は、相互接続プロセスをスピードアップさせる追加の改革を採択しなければ、2050年までに電力グリッドを脱炭素化するという気候目標に到達することはできないという。全国的な送電戦略を創出することは、再生可能エネルギー資源の開発と相互接続を迅速化する上で重要となる見込みである。論文はまた、「規制当局は、相互接続の遅れを最小限にし、再生可能エネルギーに最大限の経済的インセンティブを提供するためには、送電費用をどのように配分するかについても再検討する必要がある」としている。 Utility Dive “Current FERC reforms won’t be enough to solve interconnection gridlock: MIT economists” (7/15/24)

インフレ低減法により、米国製リチウムイオン電池が中国品と競争できる可能性

クリーン・エネルギー・アソシエイツ社(Clean Energy Associates)が6月12日に発表した「2024年第1四半期 エネルギー貯蔵システム(ESS)価格予測レポート(Q1 2024 ESS Price Forecasting report)」によれば、米国製のリチウムイオン電池エネルギーシステム(energy storage systems: ESS)は、この10年間により多くの国内生産能力が稼働することから、2026年までに中国製システムと価格競争力を持つ可能性がある。インフレ低減法(Inflation Reduction Act: IRA)の「45X」税クレジットは、米国製電池と中国製電池の間の20%以上の現行価格の差を埋める一助となるだろうと、レポートでは分析されている。IRAのこうしたインセンティブは、計画されている生産能力を欧州から北米へとシフトさせており、世界的な電池需要は2028年までを通じて年間21%増加すると予想されている。CEAが7月8日に発表した別のレポートによれば、世界的な生産過剰が電池価格を押し下げており、中国の大手製造は、1キロワット時60ドルまで価格を下げている。 Utility Dive “IRA could make US-made lithium-ion battery systems competitive with Chinese alternatives: reports” (7/16/24)

既存の原子力発電所の隣接はデータセンターにとって最良の設置場所

原子力エネルギー研究所(Nuclear Energy Institute)が7月に発表した論文「共同設置による電力ソリューション(The Co-Located Load Solution)」によれば、既存の原子力発電所と新たな超大型データセンターを共同設置することで、新たな送電インフラやグリッド相互接続調査の必要などが排除され、プロジェクトの費用と遅延を大幅に削減することができるという。論文の執筆者は、「既存の原発の信頼性や最小限の炭素排出、高い発電能力、18~24カ月間の燃料補給サイクルによる安定した電力供給は、その他の形態の隣接発電よりも有利である」と語る。更に、共同設置は、データ・センターにとっては長い遅延を伴うことなく炭素フリーの電力が得られ、原発にとっては安定した顧客を得られ、時期尚早の閉鎖を防ぎ、ライセンスの延長や改良の可能性を実現できることから、双方に有益な調整となり得るとしている。 Utility Dive “Existing nuclear power plants are best behind-the-meter option for data centers: NEI paper” (7/18/24)

ペンシルバニア州、産業脱炭素化へ向け炭素捕獲法が成立

ペンシルバニア州のジョシュ・シャピロ知事(Josh Shapiro)は7月17日、画期的な炭素回収・貯留(carbon capture and storage: CCS)法案に署名して法制化した。同州における電力及び産業部門の脱炭素化努力を強化すると共に、二酸化炭素の安全かつ恒久的な貯留を確実にする。同法は、土地所有者の権利を強化すると共に、州環境保護省(Department of Environmental Protection)が環境正義のコミュニティに影響する可能性がある許認可の決定について追加の分析を求めることができるよう権限を付与する。また、地震活動の監視を義務付けて二酸化炭素の安全かつ恒久的な地質貯留を確実にし、監視と説明責任に50年の期間を設定することで長期的な法的責任の懸念に対処する。 Clean Air Task Force “Pennsylvania passes carbon capture bill in an important step for industrial decarbonization” (7/17/24)

ARPA-E、使用済み核燃料の貯蔵の影響を軽減する技術の開発に4,000万ドルを発表

エネルギー高等研究局(Advanced Research Projects Agency-Energy: ARPA-E)は7月16日、使用済み核燃料を放射能がより低い物質へと転換することを実現する最先端技術の開発資金として、4,000万ドルを提供すると発表した。この新たなイニシアチブは、ARPA-Eの中核ゴールの一つに対処するもので、放射性廃棄物及び使用済み核燃料の管理/清掃/処分を改善する変革的ソリューションを提供する。「核エネルギー廃棄物の転換最適化(Nuclear Energy Waste Transmutation Optimized Now: NEWTON)」プログラムは、同位体が核反応を通じて異なる同位体や元素に変換されるプロセスの「転換」を可能にする技術の開発を目指している。具体的には、①転換反応を引き起こす粒子ビームの生成と加速に関連する技術の開発、②使用済み核燃料の転換のためのターゲット・マテリアルについて、そのモデリング/設計/製造関連のソリューションの特定など、3つの主要な目的に焦点を当てている。 Advanced Research Projects Agency-Energy “ARPA-E Announces $40 Million to Develop Technologies to Alleviate the Impact of Used Nuclear Fuel Storage” (7/16/24)

米国における持続可能な航空燃料の生産能力が拡大

エネルギー情報局(Energy Information Administration: EIA)によれば、米国における持続可能な航空燃料(sustainable aviation fuel: SAF)の生産能力は、これまでに発表された生産計画が全て実現すれば、2023年の一日当たり約2,000バレルから2024年には同約3万バレルへ増加する可能性がある。開発事業者は、フィリップス66社(Phillips 66)のロデオ・リニュー・プロジェクト(Rodeo Renewed project)が今夏から一日当たり最高約1万バレルのSAFを、また、ダイアモンド・グリーン・ディーゼル社(Diamond Green Diesel)のポート・アーサーSAFプロジェクト(Port Arthur SAF project)が年末までに同約1万5,000バレルのSAFを生産すると予測している。SAFへの投資は増加しており、その背景には、環境保護庁(Environmental Protection Agency: EPA)の再生可能燃料基準(Renewable Fuel Standard: RFS)や連邦税クレジット、州プログラムなどがSAFの使用にインセンティブをもたらしていることがある。大統領府はまた、2050年までに米航空燃料の需要の100%をSAFで満たすという目標を設定している。 Energy Information Administration “U.S. production capacity for sustainable aviation fuel to grow” (7/17/24)

エネルギー省、電気自動車を有益な形でグリッドと統合するためのビジョンを発表

エネルギー省(Department of Energy)は7月16日、DOEのEVグリッド・アシスト(EVGrid Assist)イニシアチブの一環として、「未来の自動車グリッド統合:柔軟なEV充電を育成する(The Future of Vehicle Grid Integration: Harnessing the Flexibility of EV Charging)」と題する文書を発表した。広範な関係機関からの見解を基に作成された文書で、電気自動車(EV)が安全かつセキュアに電力グリッドに接続し、信頼できる形でグリッドからサービスを受け、グリッドと調和する「自動車とグリッドの統合(vehicle-grid integration: VGI)」に関する共通ビジョンを概説している。文書は移行の際の指針となるもので、関係者が製品を開発し、標準化の機会を特定し、新たな政策や料金、サービスなどの活動を設計する際に、方向性を提示するものである。エネルギー省は、ビジョンの追及を目指す関係機関の動きを支援するため、連邦の取り組みを詳述したVGI戦略を開発する計画である。 Department of Energy “DOE Releases Vision for Beneficially Integrating EVs into the Grid” (7/16/24)

核融合エネルギー協会(FIA)、2024年業界報告を発表

核融合エネルギー協会(Fusion Industry Association: FIA)が「2024年世界核融合エネルギー業界(The Global Fusion Industry in 2024)」を発表した。45の民間核融合エネルギー企業を対象に行ったアンケート調査の結果で、対象企業数は前年の43社から増えた。報告によれば、核融合エネルギー業界は71億ドル以上の投資を引き付け、昨年以来新たに9億ドル以上の資金が同技術を支援した。その一環として、公的資金は過去12か月間に57%増加して4億2,600万ドルとなっており、政府が、核融合エネルギーを現実のものとする上で官民パートナーシップは重要であるとの考えを強めていることを示す。また、本報告書は4版目の年次報告となるが、企業は、2030年代に核融合発電を実現するというスケジュールに依然として確固たる意志を持っている。ただし、克服すべき大きな課題はまだあり、回答企業の3分の2が、「2025~2030年は電力の効率性が大きな課題となるだろう」と考え、同じ割合の企業(66%)が、「成功するには資金が大きな障害となる」と回答している。 Fusion Industry Association “FIA Launches 2024 Global Fusion Industry Report” (7/17/24)

NIST、AIに焦点を当てた製造USA研究所の公募を発表

米国標準技術局(National Institute of Standards and Technology:NIST)は7月22日、米国製造事業者の対応力強化を目的として、人工知能(AI)の使用に焦点を当てた新たな製造USA研究所(Manufacturing USA Institute)を設立するため、新たな公募を発表した。NISTは、新たな研究所を設立及び運営する受益者に、5年間で最高7,000万ドルの連邦資金提供を見込んでいる(資金の有用性による)。研究所は、非連邦資金による費用分担資金を獲得することも必要。新たな製造USA研究所は、業界や学術機関、政府との共同作業を通じて、費用効果が高く、AIベースの先端製造能力を開発することが期待される。官民パートナーシップによって、AIと製造業とサプライチェーン・ネットワークの専門性を統合し、製造業の対応力推進につなげる。加えて、3つの主要事業分野(技術開発の進展、有技能労働力の開発と教育、共通のインフラ及び施設の開発)に取り組みを集中させることが期待されている。応募は2段階で行われ、第一段階で提出した概念論文の中で優れた論文を提出した応募者が第二段階として正式なプロポーザルを提出するよう招待される。概念論文の提出締め切りは9月30日。 National Institute of Standards and Technology “NIST Announces Funding Opportunity for AI-Focused Manufacturing USA Institute” (7/22/24)

IBM社、フェルミ研究所のSQMSセンターと提携し、量子情報科学を進展

エネルギー省(Department of Energy)傘下のフェルミ国立加速器研究所(Fermi National Accelerator Laboratory)(フェルミ研究所)にある国立量子情報科学研究センターの一つ、「超電導量子マテリアル及びシステム・センター(Superconducting Quantum Materials and Systems (SQMS) Center(SQMSセンター)」の新たなパートナーとしてIBM社が加わることが、エネルギー省科学局(Office of Science)の科学プログラム(Science Program)によって承認された。国内外の主要な研究センターであるSQMSセンターは、重要量子技術の進展に特化し、超電導量子システムに焦点を当てている。IBM社は、超電導量子コンピューティング技術において業界のリーダーであり、この共同作業は、両組織の強みを活用して量子コンピューティングや通信、超電導量子プラットフォームの大規模導入に取り組む上での主要な障害に対処することに取り組む。この共同作業の一環として、IBM社は、①大規模な低温技術(cryogenics)、②高品質かつ高密度の量子インターコネクト、③量子ピット及びプロセッサのノイズ低減、④量子コンピューティング・システムの科学的アプリケーションの開発、⑤量子労働力開発プログラム、の5つの重要分野に焦点を当てる意向である。 Fermi National Accelerator Laboratory “IBM intends to partner with Fermilab’s SQMS Center to advance critical quantum information science initiatives” (7/18/24)