NSFの国家量子仮想研究所が進展、最初のパイロット5件を選出

量子規模の現象から実用的な利点と社会的恩恵を実現することは、量子情報科学において長い間追求されてきたマイルストーンである。米国科学財団(National Science Foundation: NSF)は8月9日、NSF国家量子仮想研究所(National Quantum Virtual Laboratory: NQVL)の創出へ向けた最初のステップとして、そのマイルストーン達成の助けとなる5件のパイロット・プロジェクトへの500万ドルの初期投資を発表した。5件の新規パイロット・プロジェクトは各100万ドルの資金を受益し、量子専門家やその他の多様な背景を持つ者がプロジェクトを先導する。今年後半には更に5件のパイロット・プロジェクトが発表される予定である。各プロジェクトは、探索的な取り組みを実施して、最終的に、量子情報研究開発を可能にする分散型国家資源を創出する土台を築く一助となるだろう。これらのパイロット・プロジェクトはその後、新たなNQVL資金提供公募にプロポーザルを提出するよう招待される。 National Science Foundation “NSF National Quantum Virtual Laboratory advances with first five pilot projects” (8/9/24)

NSF、技術・イノベーション・パートナーシップ総局の投資ロードマップを発表

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)は、技術・イノベーション・パートナーシップ総局(Directorate for Technology, Innovation and Partnerships: TIP)の投資ロードマップを発表した。TIPの戦略的ビジョンを概説し、主要な技術分野における米国の競争力進展に焦点をあわせた初期投資判断の指針となるものである。2022年CHIPS及び科学法(CHIPS and Science Act of 2022)により、TIP総局が設立され、NSFは米国の競争力を高めるために、向こう3年間に、主要技術分野でどのように的を絞った投資を育成するかを定義する報告書を発表するよう義務付けられた。TIPロードマップは3年ごとに更新されて主要技術分野の評価が行われ、米国競争力への効果を最大限にするための段階的投資に関する計画への情報提供として利用される。報告書によれば、短期的なTIP投資の主要技術分野として、人工知能(AI)、バイオテクノロジー、先端通信技術、データ貯蔵及び管理、の4件が特定されている。 National Science Foundation “NSF announces investment roadmap for the Technology, Innovation and Partnerships Directorate” (8/12/24)

DARPAのAIサイバー・チャレンジ、AI主導型サイバーセキュリティの有望性を証明

国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Project Agency: DARPA)による「AIサイバー・チャレンジ(AI Cyber Challenge: AIxCC)」の準決勝コンペが、DEF CON 32で終了した。AIxCCは、AI及びサイバーセキュリティの専門家が、現代の我々の生活を支えるソフトウェアの防御を競うコンペ。42-b3yond-6ugやチーム・アトランタ(Team Atlanta)など、準決勝コンペで高得点を記録した上位7チームは各200万ドルを受益し、決勝コンペへと進む。AIxCCは、医療高等研究計画局(Advanced Research Projects Agency for Health:ARPA-H)との共同作業で実施され、参加チームに、金融システムや公益事業、医療ケア・エコシステムなどあらゆるシステムを支えるオープン・ソース・ソフトウェアをセキュアにする新規のAIシステムを設計するよう求めた。AIxCCの準決勝コンペに参加したチームは、AIxCCの領域専門家が設計した一連のチャレンジ・プロジェクト(Challenge Projects)を自動処理できるサイバー推論システム(Cyber Reasoning Systems)の開発を目指し、チャレンジ・プロジェクトの脆弱性を発見、修正することをゴールとした。決勝コンペは2025年8月に実施される。 Defense Advanced Research Project Agency “DARPA AI Cyber Challenge Proves Promise of AI-Driven Cybersecurity” (8/11/24)

米英チーム、悪意のある社会的影響及び情報活動を調査

国防総省(Department of Defense)は8月8日、悪意のある社会的影響活動が民主主義に呈する脅威の増大について調査するため、米国と英国の学術研究者によるチームが選出されたと発表した。「二国間学術研究イニシアチブ(Bilateral Academic Research Initiative: BARI)」の社会科学プログラム(Social Science Program)を通じてアワードを受けたのは「敵対的な技法としての影響と操作と情報の脅威:出来事と進化と効果(Influence, Manipulation, and Information Threats as Adversarial Techniques: Events, Evolution, and Effects)」と題するプロジェクトで、米国プリンストン大学(Princeton University)のジェイコブ・シャピロ教授(Jacob Shapiro)と、英国カーディフ大学(Cardiff University)のマーティン・イネス教授(Martin Innes)が主導する。3年間のプロジェクト期間を通じて、米国研究チームは、DODの研究工学担当次官室(Office of the Under Secretary of Defense for Research and Engineering: OUSD(R&E))によるミネルバ研究イニシアチブ(Minerva Research Initiative)から最高260万ドルを、英国チームは、英国研究イノベーション(United Kingdom Research and Innovation: UKRI)の一環として経済及び社会研究評議会(Economic and Social Research Council: ESRC)から約370万ドルを受益する。BARIアワードは、米国と英国の学術チームがそれぞれの独自のスキルや手法を統合してハイリスクな基礎研究を追求することを支援する。 Department of Defense “U.S.–U.K. Teams Receive Bilateral Academic …
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エネルギー省、商用二酸化炭素排出技術の促進に5,250万ドル

エネルギー省(Department of Energy)の化石エネルギー及び炭素管理局(Office of Fossil Energy and Carbon Management: FECM)は8月9日、バイデン大統領の「米国への投資(Investing in America)」議題の下、二酸化炭素排出技術を進展させ、大気中から二酸化炭素を直接排出することでレガシーの二酸化炭素汚染を削減し、航空や船舶など削減が困難な排出との間で相殺を図る取り組みに、最大5,250万ドルを提供すると発表した。エネルギー省は、「商用直接空気回収パイロット・プライズ(Commercial Direct Air Capture Pilot Prize)」を実施し、年間少なくとも500トンの二酸化炭素を大気から回収できる能力を持つ革新的な直接空気回収パイロット施設の設計/建設/委託/運営を行う技術開発事業者を支援する。同プライズは、4つのフェーズ(概念、工学、許認可、運用(Concept, Engineer, Permit, and Operate))において、設計/開発/導入のマイルストーンの達成に成功した参加チームに最高5,250万ドルを提供する。一定の要件を満たした民間事業体、非連邦の政府組織、学術機関が商用直接空気回収パイロット・プライズに応募できる。FECMが資金提供し、エネルギー省傘下の国立再生可能エネルギー研究所(National Renewable Energy Laboratory: NREL)が管理運営する「米国製 直接空気回収プライズ(American-Made Direct Air Capture Prizes)」は、直接空気回収技術の進展を支援するもので、いくつかのプライズで構成されており、商業直接空気回収パイロット・プライズはその一つ。 Department of Energy “U.S. Department of Energy Announces $52.5 Million to Catalyze Commercial Carbon Dioxide Removal Technology” (8/9/24)

CHIPS・科学法から2周年

バイデン大統領は2年前、半導体製造における米国のリーダーシップを復活させ、世界のサプライチェーンを強化し、国家及び経済安全保障を強化することを狙いとして、CHIPS・科学法(CHIPS and Science Act)(以下、CHIPS法)に署名して法制化した。それ以降、連邦政府機関は、CHIPS法の下、国内半導体製造の復活や研究開発への投資、サプライチェーン対応力への支援などを目的としたプログラムを開発及び実行してきた。政権によるCHIPS法の実践における主要なマイルストーンとして、①米国半導体製造の国内回帰、②米国労働者のための雇用と労働力パイプラインの創出、③地域経済開発及びイノベーションの加速、④国家安全保障の保護と同盟及びパートナーとの協力、⑤イノベーションへの投資、が挙げられている。 White House “FACT SHEET: Two Years after the CHIPS and Science Act, Biden-⁠Harris Administration Celebrates Historic Achievements in Bringing Semiconductor Supply Chains Home, Creating Jobs, Supporting Innovation, and Protecting National Security” (8/9/24)

LBNL、「AIを使ってビルのエネルギー使用増加抑止が可能」

ローレンス・バークレー国立研究所(Lawrence Berkeley National Laboratory: LBNL)の研究者が7月に発表したピア・レビュー論文によれば、人工知能(AI)によって米国内の建造物部門のエネルギー消費と炭素排出を、2050年までに約8%削減できる可能性がある。研究者は、中規模の建造物を対象に、6つの筋書き(ベースラインとなる建造物が全体に占める割合が現在と変わらない「凍結状態」の筋書き、通常通りでAIを導入する筋書き、通常通りでAIを導入しない筋書き、政策主導に基づく3つの筋書き)に基づいてAIの可能性を予測した。通常通りでAIを導入しない筋書き(技術改良は継続され、エネルギー効率に優れ、正味ゼロの建造物の割合が増加すると考えられる)の場合、エネルギー消費は2040年にピークになる。一方、設備、占有者への影響、制御と運用、設計と建設にAIを導入することで、そのピークを2035年前後まで短縮できると、論文の研究者は述べる。エネルギー政策や低炭素発電と組み合わせることで、AI主導のエネルギー消費及び炭素排出の削減は、通常通りの筋書きと比べ、2050年までに前者で40%、後者で90%まで増大する可能性がある。 Utility Dive “AI could halt energy use growth in US buildings: LBNL study” (8/6/24)

炭素排除の標準確立を目指す新たなイニシアチブ始動

8月6日、持続可能性に焦点を当てた非営利組織、「炭素排除標準イニシアチブ(Carbon Removal Standards Initiative: CRSI)」が始動した。二酸化炭素を大気から抽出する方法に厳格さと説明責任を持たせること、そして、企業の炭素排除政策について検証やより良い実践ができるよう支援することを目指す。CRSIのウェブサイトによれば、政策策定者や規制担当者向けに、科学をベースとした二酸化炭素の抽出及び分離に関する標準を設定するために、経済的に利害が発生しない助言や技術援助を提供することを模索している。CRSIは、環境非営利組織の「炭素180(Carbon180)」や、ビル・ゲイツ氏(Bill Gates)が支持する持続可能性に関する投資会社、「ブレイクスルー・エナジー(Breakthrough Energy)」などから資金提供を受けている。 Utility Dive “New initiative aims to solidify carbon removal standards” (8/8/24)

新たな米国電池ロビー団体が発足

電池サプライチェーンの米国内企業が、米国プロジェクトへのより強力な支援を模索する新たな業界同盟を発足する。「技術変革のための電池アドボカシー(Battery Advocacy for Technology Transformation: BATT)」がそれで、混雑するロビー環境で独自の役割を目指す。電池及びマテリアル政策に詳しいエネルギー省(Department of Energy)の元上級高官数名がこの取り組みを率いている。重要マテリアル及びリサイクルを取り巻くロビー活動に深い技術的洞察を注入することを狙いとし、気候法政策の変更や更なる貿易保護を求めていく。BATTの創立メンバーは、米国企業もしくは同盟国に本社のある企業の米国子会社で、将来的には鉱業企業が参加する可能性もあるという。 Axios “Exclusive: Meet the new U.S. battery lobby” (8/7/24)

GAO、沿岸警備隊のオートノマス船舶について報告

政府説明責任局(Government Accountability Office: GAO)は8月8日、「沿岸警備隊:オートノマス船舶とそれを規制する取り組み(Coast Guard: Autonomous Ships and Efforts to Regulate Them)」と題する報告書を発表した。オートノマス船舶は海事環境に変革をもたらす可能性がある。これらの船舶は、様々な技術を使ってスピードや方向を制御し、衝突を避け、航行する。本報告書は、米国の水路の安全責任を負う連邦機関である沿岸警備隊(Coast Guard)がどのようにそれらを規制しているのかについてまとめている。オートノマス船舶は人間のエラーを削減できるなど、潜在的な恩恵はあるが、一方でサイバー攻撃のリスクが高まるなど新たなリスクも呈している。こうした技術によって、米国の水域においては乗組員数を減らすことは可能である一方、沿岸警備隊の高官は、「船舶の規模によって定められている最少の乗組員数に関する規定は順守しなくてはならず、原則的に沿岸警備隊にはそれらの要件を免除する権限はない」と述べる。 Government Accountability Office “Coast Guard: Autonomous Ships and Efforts to Regulate Them” (8/8/24)