米国科学審議会(NSB)委員の上院承認が不要に

上院の運営をより効率的にすることを目的として、上院の承認を必要とする大統領人事から169件の役職を免除する新法が制定された。新たに免除される役職のリストには、米国科学審議会(National Science Board: NSB)の24名の委員が含まれており、一部の委員はこれによってNSBのワシントン内における影響力が減少するのではないかとの懸念を示している。大統領の指名を受けてから上院の承認を得るまでは煩雑で時間を要するプロセスが続くが、上院承認を必要とする役職は、議会証言に呼ばれることや内部討議へのアクセスを認められることが多いことなどから、一部の官僚の間ではステータス・シンボルとなっている。今回の新法で免除対象となった169件の役職は、大統領指名後、すぐに就任することが可能となる。上院承認を必要とする人事の件数削減を目的とした法案「2011年大統領人事の効率及び合理化法(Presidential Appointment Efficiency and Streamlining Act of 2011)」は、両院議会で可決された後、8月10日に大統領が署名した。 Science Insider “Ego v. Efficiency at the U.S. National Science Board” (8/21/12)

「日本がTPPに参加すれば米国自動車業界は雇用を失う」との報告

8月21日に発表された報告書によれば、現在提案されている環太平洋連携協定(Trans-Pacific Partnership: TPP)に日本が参加した場合、米国自動車業界で2,600人の雇用が失われ、更に自動車関連の製造及びサービス業界で9,000人が失業する可能性があると警告した。報告書はフォード・モーター社(Ford Motor Co.)が資金を提供し、ミシガン州にある自動車研究センター(Center for Automotive Research)によって作成された。報告書は、「日本のTPP参加によって、現在米国が日本車の輸入に課している2.5%の関税が廃止されると、日本車の輸入は10万5,000台急増し、米自動車メーカーの雇用喪失をもたらす」としている。 Reuters “Study sees U.S. auto job losses if Japan joins trade pact” (8/21/12)

連邦通信委員会、「ブロードバンドの普及は依然として遅い」と指摘

連邦通信委員会(Federal Communications Commission: FCC)は8月21日、ブロードバンドに関する年次報告を発表し、「米国内で1,900万人が依然としてブロードバンドを利用していない。状況は改善されつつあるものの、普及のペースは依然として非常に遅い」と述べた。この報告書は8回目となる年次報告で、FCCは3年連続で「ブロードバンド・サービスは合理的かつタイムリーな形で進んでいない」としている。昨年の報告書で、ブロードバンドを利用していない米国民は2,600万人であったことから、多少の改善は見られる。報告書によればまた、数百万人の米国民がブロードバンド・サービスへのアクセスを持ってはいるものの、これを利用していない。その理由は、費用が高額すぎるか、その必要性を感じていないためであるという。 Cnet “FCC report finds broadband deployments still too slow” (8/21/12)

連邦控訴裁判所、EPAの汚染物質規制を却下

ワシントンDC連邦巡回控訴裁判所(U.S. Court of Appeals for the D.C. Circuit)の3人の判事は8月21日、2対1の採決で、環境保護庁(Environmental Protection Agency: EPA)による石炭火力発電所への汚染物質排出規制はEPAとしての権限を超えるとの裁定を下した。対象となった規制は、東部を中心とした28州及びテキサス州における発電所から排出される二酸化硫黄と窒素酸化物を削減することを狙いとした「州間大気汚染規則(Cross-State Air Pollution Rule)」で、裁判所は同規則を見直すよう差し戻し、当座は既存の「州際大気浄化規則(Clean Air Interstate Rule)」を運用管理するよう指示した。オバマ政権の環境政策を批判する一部の共和党議員や、電力業界団体は控訴裁判所の裁定を歓迎している。 Reuters “U.S. court strikes down EPA rule on coal pollution” (8/21/12)

2012年上半期に新規追加された発電能力の多くを天然ガスと再生可能エネルギーが占める

エネルギー省のエネルギー情報局(Energy Information Administration: EIA)の発表によれば、2012年上半期に33州で165件の新規発電機(合計8,098メガワット)が追加されたという。そして、発電能力が最も追加された上位10州において、その多くは天然ガスあるいは再生可能エネルギー源を利用しているという。効率的な複合発電式(combined-cycle)の天然ガス発電機は、石炭による発電機に匹敵する競争力をつけてきており、2012年上半期には伝統的に石炭火力を多く利用していた州で複合発電機が導入された。同年上半期に稼動開始となった石炭火力発電機はイリノイ州での1件のみであった。また、2012年上半期に新規追加された165件の発電機のうち、105件は25メガワット以下の小規模発電機であった。そしてこれらの多くは再生可能エネルギー源(太陽光発電と埋立地ガスが中心)を利用している。 Energy Information Administration “Natural gas, renewables dominate electric capacity additions in first half of 2012” (8/20/12)

連邦規制、製造部門に悪影響をもたらす

「生産性及びイノベーションのための製造事業者同盟(Manufacturers Alliance for Productivity and Innovation: MAPI)」からの委託を受けて、NERA経済コンサルティング社(NERA Consulting)は、米国製造部門に関する連邦規制(1億ドル以上)のマクロ経済的影響を分析した。この報告結果によれば、①1998年以来、大型連邦規制の遵守コストの伸びは、製造業部門の伸び及び経済全体の伸びを大幅に上回っている、②米国製造事業者は現在、2,183件(試算)の規制の対象となっている、③大型規制により、製造業の生産活動は今後10年間で最大6.0%削減される可能性がある、といった点がキーファインディングとなっており、規制が製造業者に重くのしかかっていることを強調する内容となった。 Manufacturers Alliance for Productivity and Innovation “MAPI Executive Summary of Regulations Impact Report” (8/21/12)

ポール・ライアン共和党副大統領候補の科学と政府に関する姿勢

共和党副大統領候補となったポール・ライアン下院議員(Paul Ryan、ウィスコンシン州選出)について、サイエンスインサイダー(ScienceInsider)が過去14年間の議員記録を調査したところによれば、同議員は科学やイノベーションへの助成や規制における連邦政府の役割に関して強い持論を持っているという。ライアン議員は基礎科学に対する政府助成に強い支持を表明しているものの、一部の者によれば、「同議員が作成した10年間の予算ロードマップが可決された場合、基礎研究に対する今後の支出は大幅に減速する見込みである」という。また、ライアン議員は非軍事部門の応用研究(特にエネルギー技術分野)への投資に批判的であり、さらに、「民間部門の方が、勝者や敗者を決める能力に優れている」との考えを持つ。その他、ヒト胚性幹細胞研究に反対し、気候変動を巡る科学に疑問を投じている点などは、科学コミュニティーと対立的な立場にあるといえる。 ScienceInsider “Paul Ryan’s Record on Science and Government” (8/17/12)

オーシャン・パワー・テクノロジーズ社、FERCからオレゴン波力発電所の免許を取得

オーシャン・パワー・テクノロジーズ社(Ocean Power Technologies, Inc.:OPT)は8月20日、同社の子会社であるリードスポートOPTウェーブ・パーク社(Reedsport OPT Wave park, LLC)が、オレゴン州リードスポート海岸沖に波力発電所(1.5メガワット、グリッド接続型)を建設することについて、連邦エネルギー規制委員会(Federal Energy Regulatory Commission: FERC)から承認を得たと発表した。本件は、波力発電所に対する米国内で初のFERC免許であり、最高10件のOPT機器(約1,000世帯分の発電能力)配備に向けて重要な規制承認となる。OPT社の独自技術によるパワー・ブイ(PowerBuoy)の初期建設計画は完了間近で、今年後半にリードスポート海岸の2.5マイル沖に配備予定となる見込みである。 Ocean Power Technologies “Ocean Power Technologies Awarded FERC License For Oregon Wave Power Station” (8/20/12)

世界的に化石燃料と再生可能エネルギーへの政府助成が増加傾向

ワールドウォッチ研究所(Worldwatch Institute)が実施、発表した調査結果によれば、世界における再生可能エネルギーへの助成合計額は660億ドル(2010年)に達したが、化石燃料に対する世界助成合計の試算額(7,750億~1兆ドル以上、2012年)に比べれば僅かなものとなっている。再生可能エネルギーへの助成合計額は化石燃料への助成合計額よりも大幅に低いものの、キロワット時あたりの助成額は、再生可能エネルギーへの助成(キロワット時当たり1.7~15セント)の方が化石燃料への助成(同0.1~0.7セント)よりも高いという。ただし、これには化石燃料の外部性(資源や環境、健康への悪影響)が考慮されていない。政府支援の対象を化石燃料から再生可能へとシフトすることは、世界のエネルギー・システムの脱炭素化の要であるが、段階的撤廃へ向けた世界的な取り組みの進展は最小限であると同研究所は分析している。 Worldwatch Institute “Fossil Fuel and Renewable Energy Subsidies on the Rise” (8/21/12)

カリフォルニア大学デイビス校、グリーン大学ランキングの1位に

シエラクラブ(Sierra Club)による今年の「年間グリーン大学リスト(annual “green” college list)」で、カリフォルニア大学デイビス校(University of California, Davis)が1位となった。709.17点(894.5点が満点)を獲得し、昨年の8位からの躍進である。同大学は、廃棄物の約70%を転用し、国内最大の計画的ゼロ・ネット・エネルギー居住コミュニティをオープンさせ、大学構内での自転車利用を奨励するなどしている。リストによれば、2位はジョージア工科大学(Georgia Institute of Technology、704.89点)、3位スタンフォード大学(Stanford University、681.48点)、4位ワシントン大学(University of Washington、679.56点)、5位コネチカット大学(University of Connecticut、667点)となっている。シエラクラブの2012年調査に回答した米国4年制大学は、わずか96大学であった。 Environmental Leader “UC Davis Ranked No. 1 in Green Colleges List” (8/16/12)