ネイチャー誌による「2012年研究者給与及び満足度調査」

ネイチャー誌(Nature)が世界中の科学者を対象に行った「2012年給与及び満足度調査(2012 Salary and Satisfaction Survey)」の結果報告によれば、多くの回答者が自身の研究活動に満足している(「非常に満足」あるいは「満足」と回答した者が、男性回答者の67.1%、女性回答者の62.7%)ものの、「世界不況が自身の全体的な雇用満足感に否定的な影響を及ぼしている」と回答した者が多く、金銭面での不安に拍車をかけていることが分かった。また、学術機関でのポストを確保している研究者でさえも、将来に不安を抱えていることが明らかになっている。本調査には、世界100カ国以上から1万1,500人以上の科学者が回答した。 Nature.com “Job satisfaction: Turbulent times” (8/29/12)

連邦政府、自動車燃費基準の大幅強化案をまとめる

オバマ政権が8月28日発表した自動車燃費新基準によれば、米国内の自動車の燃費は2025年までに1ガロンあたり54.5マイルと、現行のほぼ2倍となる。この新基準は2017‐2025年モデルを対象としたもので、政権、自動車メーカー、環境団体による1年以上の交渉の成果である。環境保護庁(Environmental Protection Agency: EPA)と国家道路交通安全局(National Highway Traffic and Safety Administration: NHTSA)が今後、中期評価を行い、新基準が効率的か、そして新たな調整が必要かどうかを分析する。政権は、新基準により平均的な自動車購入価格は2025年までに1,800ドル上昇するが、燃料費の節約(1台あたりのガソリン代節約額は8,000ドル)はこれを大きく上回るとしている。共和党や一部の自動車メーカーは新基準に反対している。 Reuters “U.S. finalizes big jump in auto fuel efficiency” (8/28/12)

MIT、炭素税は大きな効果をもたらす可能性があると指摘

マサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology: MIT)が発表した報告書「炭素税収と予算赤字:3つの利益をもたらす解決策?(Carbon Tax Revenue and the Budget Deficit: A Win-Win-Win Solutions?)」によれば、炭素排出に対する課税は、膨大する連邦赤字に対処する資金調達が可能になる一方、経済や環境、そして未来のクリーンエネルギーを確実にする一助になるという。報告書の執筆者らは、1トン当たり20ドルの炭素税の影響を国家経済モデルを使って算出し、エネルギー、税収、世帯所得などへの影響を分析した。それによれば、政府は1兆5,000億ドルの税収をあげることができ、これを連邦赤字削減に利用できると同時に、個人あるいは法人所得税の減税、賃金税減税(今年失効予定)の延長、社会保障制度の支出継続などに充当することができるという。また、世帯所得が増えることで、消費者支出が増え、国家経済のプラスとなる他、2050年までに汚染を20%削減(2006年比)できるという、三つの効果をもたらす可能性があるという。 MIT Joint Program on the Science and Policy of Global Change “NEWS RELEASE: Study: Carbon Tax a ‘Win-Win-Win’ for America’s Future” (8/27/12)

エアバスと中国の清華大学が代替燃料開発で提携

エアバス社(Airbus)と中国の清華大学は、中国製原料の持続可能性分析と、航空バイオ燃料の商業化をスピードアップするバリュー・チェーン開発の最適な支援方法の評価を目的として、パートナーシップを組むことになった。その第一段階として、生態学的、経済的、社会持続可能性の基準に適合する適切な原料の評価を行う。その後、第二段階として、最も有望な代替燃料ソリューションの絞り込みが行われる。2012年後半に最初の分析結果が出され、2013年初期までに持続可能性分析が完了する見込みである。それ以降は、商業航空燃料として持続可能な生産量を達成できるよう、代替燃料生産プロセスの拡大に取り組む計画である。今回のパートナーシップ合意は、中国で持続可能な資源のみを使って航空バイオ燃料を生産する能力の開発を目的としたイニシアチブの一つである。 Airbus “Airbus and China make a push for alternative fuels” (8/27/12)

大学における発明、2011年に180億ドルの収入をもたらす

大学技術管理者協会(Association of University Technology Managers: AUTM)が8月27日に発表した年間調査結果によれば、調査に回答した157件の大学は2011年度に、大学研究の商業化活動により、180億ドル以上の収入を得たという。調査結果によれば、5,398件のライセンス、1万2,090件の新規特許が実施され、617件のスタートアップ企業が誕生している。ノースウェスタン大学(Northwestern University)の収入額(1億9,100万ドル以上)が最も高く、全体の10%以上を占めている。また、全体的にスタートアップ企業への取り組みが積極的になっており、その背景には、大手企業への就職が厳しくなり、教師や学生の間で起業への関心が高まっていることがある。 The Chronicle “Universities Report $1.8-Billion in Earnings on Inventions in 2011” (8/28/12)

米国民の多くがエネルギー生産における水の使用を懸念

シンクタンクの市民社会研究所(Civil Society Institute)が8月23日に発表した世論調査結果によれば、回答した米国民の約81%が、干ばつや山火事、その他の厳しい天気事象に懸念を示しているという。干ばつが問題となる中でクリーンな水とエネルギーの関係について米国民の見解を調べることを目的とした本調査で、干ばつが原因で安全な飲料水が不足している点やエネルギー生産のために水が転用されている点は、干ばつに襲われている10州で上位の懸念となっている。そして、米国民の4人に3人が、「深刻な干ばつや水不足のリスクなど現在の問題を鑑み、米国は代替エネルギー源(風力や太陽光熱など水の使用量が少ないもの)に更なる焦点を当てるべきである」と考えているという。 PhysOrg “Americans worry about water use in energy production, survey says” (8/27/12)

ソリンドラ社を支援した投資会社、今後の税制優遇措置で恩恵を受ける見込み

エネルギー省(Department of Energy)と内国歳入庁(Internal Revenue Service: IRS)は8月27日、ソリンドラ社(Solyndra)の破産訴訟に関連して提出した書類の中で、「ソリンドラ社の破産計画の一部として、同社を支援したアルゴナウト・ベンチャーズ(Argonaut Ventures)とマドロン・パートナーズ(Madrone Partners)の2社は今後、ソリンドラ社の純営業損失などを元に5億ドル以上の税制優遇措置を受ける可能性がある」ことを明らかにした。そして破産計画によれば、連邦政府がソリンドラ社に提供した5億2,800万ドルの債務保証の多くは回収できない見込みであるという。アルゴナウト社とマドロン社は2011年のソリンドラ社再編計画において、ソリンドラ社に7,500万ドルの投資を約束し、その条件として連邦政府よりも先に返済を受けることを条件としていた。 Mercury News “Solyndra’s private backers stand to reap tax gains, bankruptcy filing says” (8/27/12)

ヒト胚性幹細胞研究を巡る訴訟、NIH側の法的勝利となるものの、訴訟は継続する可能性

ヒト胚性幹細胞研究への連邦助成の法的是非を巡る訴訟で、連邦控訴裁は8月24日、同研究への連邦助成規制を緩和した国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)の見解を支持し、ひとまずはNIH及びヒト胚性幹細胞研究支持者の勝利となった。しかし、担当判事の一部は、NIH勝利となった本裁定の根拠について異なる意見書を提出していることから、ヒト胚性幹細胞研究をめぐる論争が今後も継続される可能性があるとみられている。 Science Insider “A Legal Win for Stem Cell Research, but Case May Not Be Over” (8/24/12)

GE、厳しい鉄道排出規制に適合する鉄道機関車を公開

ゼネラル・エレクトリック社(General Electric: GE)は8月24日、2015年に発効となる環境保護庁(Environmental Protection Agency: EPA)のディーゼル・エンジン排出新規制に適合する新世代鉄道機関車を公開した。EPAによる新規制は、添加尿素を使わずにディーゼル・エンジンの酸化窒素排出を76%削減することや粒子状物質の放出の抑制を義務付けている。この規制に適合するという新型エボルーション機関車(Evolution locomotive)の開発により、GE社はキャタピラー社(Caterpillar Inc.)などの競合他社の一歩先に進んだことになる。GE社の手法は、エンジンの燃焼温度を慎重に管理する点が特徴である。GE社は今後、米国の鉄道会社大手で実際の走行試験をしてEPA新規制に合致することを確認した後、EPAに機関車の承認申請を行う計画である。 Reuters “Romney seeks North American energy independence by 2020” (8/23/12)

大統領府、大統領イノベーション・フェロー・プログラムを開始

連邦最高技術責任者(U.S. Chief Technology Officer: CTO)であるトッド・パーク氏(Todd Park)は8月23日、「大統領イノベーション・フェロー(Presidential Innovation Fellows)」の第一次フェロー18名を発表した。これら18名のフェローは、全国約700人の応募者の中から選出された。今後6ヶ月間に亘り、アントレプレナーや中小企業、経済を支援し、連邦政府から国民向けの機能を大幅に向上させることを目的とした5つの重要プロジェクトに取り組む。これらのプロジェクトは、①米国のためのブルーボタン(Blue Button for America:国民が自身の医療情報を電子的に利用する能力の拡大)、②RFP-EZ(連邦政府が中小の新興技術企業と事業を容易に行えるオンライン市場の開発)、③MyGov(国民が連邦政府による情報やサービスに容易にアクセスできる合理化オンラインシステム)、④オープン・データ・イニシアチブ(Open Data Initiatives:政府データへの公的アクセスの強化及びアントレプレナーによる政府データ活用の奨励)、の5件となっている。 White House “White House Launches Presidential Innovation Fellows Program” (8/23/12)