3,000台の車が相互通信するパイロット・プロジェクト

ミシガン州アナーバー市で8月21日、3,000台の車(自動車、トラック、バス)に、スピードや位置データ、近隣のインフラ情報を相互に無線通信する機器が取り付けられた。これは、運輸省(Department of Transportation: DOT)による、より安全な運転の実現を目的としたパイロット・プログラムの一部で、3,000人のドライバーが自主的に参加している。車内に設置された小型スピーカーを通じて、運転手に近隣の危険(走行先における突然の減速や走行車線の変更など)が警告される。機器が集めたデータは全て保管され、ミシガン大学(University of Michigan)とDOTによる研究に利用される。このパイロット・プログラムは、実社会における自動車間の通信システムを1年間にわたって試験するもので、このような大規模な試験はかつて行われたことがなく、当然ながらセキュリティとプライバシーの問題が懸念されている。 New Scientist “Mass autonomous cars project lets 3000 vehicles talk” (8/23/12)

厚生省(HHS)、電子医療記録及び医療情報交換の利用を推進するための第2段階の要件を発表

「経済的及び臨床的健全性のための医療情報技術に関する法律(Health Information Technology for Economic and Clinical Health Act: HITECH Act)」により、医療専門家や病院は認証電子医療記録(certified electronic health record: EHR)技術を導入し、これを意義のある形で利用した場合、メディケア及びメディケイドによるインセンティブ報酬を受益できる。これまでに12万人以上の医療専門家と3,300件以上の病院がそのインセンティブ報酬を受け取っている。厚生省(Health and Human Services: HHS)のキャサリーン・セベリウス長官(Kathleen Sebelius)は8月23日、このプログラムの第2段階(医療専門家間の医療情報交換を促進し、患者に自身の医療情報への安全で確実なオンラインアクセスを提供することで患者をの関与を深める)にインセンティブ報酬を受けるための要件を発表した。それによれば、①2014年以降に第2ステップが開始できることを確実にする、②EHR技術の認証のための基準を概説し、システムが確実に機能することを確認する、③認証プログラムを改訂して煩雑な事務手続きを簡素化し、より効率的な認証プロセスとする、の3点となっている。 Health and Human Services “HHS announces next steps to promote use of electronic health records and health information exchange” (8/23/12)

ニューヨーク市議会、気候変動委員会を設置

ニューヨーク市議会は8月22日、気候変動の脅威について市に助言する2つの委員会(パネル)を正式に政府の一部とする法案を可決した。これにより、科学者で構成される「ニューヨーク市気候変動委員会(New York City Panel on Climate Change)」と、政府やパートナー機関(エネルギーや通信その他の民間部門)で構成される作業部会は、正式に制度化され定期的に開催されることが法制化された。両委員会は市に対して、より頻繁に発生する嵐や熱波にどのように適応すべきかについて勧告するなどの責務を負う。両委員会は、環境問題に重点を置くマイケル・ブルームバーグ市長(Michael R. Bloomberg、来年末で任期終了)により2008年に召集された。 New York Times “New York’s City Council Adds Climate Change Panels” (8/22/12)

ロムニー候補、2020年までに北米のエネルギー自立を目指す

共和党の大統領候補であるミット・ロムニー氏(Mitt Romney)は8月23日、「大統領に選出された場合、連邦用地や東海岸沖における石油・天然ガス生産を急増させ、2020年までに北米のエネルギー自立を目指す」と述べた。オバマ大統領のエネルギー政策との違いを明確にしたいロムニー氏は、「米国内に埋蔵されている石油や天然ガスを開発することで300万人の雇用を追加することができる」とその経済的効果を主張した。同氏は大統領になった場合、オフショア・リース5ヵ年計画を策定し、東海岸沖など新たな開発地域を承認する他、カナダやメキシコとの間で北米エネルギー・パートナーシップを模索するという。そしてロムニー氏のエネルギー計画の重要な点は、州政府が州内にある連邦用地のエネルギー開発管理を行うことを認める点である(現在は連邦政府の管轄となっている)。 Reuters “Romney seeks North American energy independence by 2020” (8/23/12)

共和党州知事公共政策委員会、エネルギー政策に関する報告書を発表

共和党州知事の政策組織である「共和党知事公共政策委員会(Republican Governors Public Policy Committee: RGPPC)」は8月22日、「米国のエネルギー計画:新エネルギー経済のための政策解決策(An Energy Blueprint for America: Policy Solutions for a New Energy Economy)」を発表した。報告書はRGPPCのエネルギー及び環境作業部会(Energy and Environment Working Group)が、エネルギー政策に関するアイデアをまとめたもので、特定の知事による具体的な政策を支持するものではなく、米国のエネルギー政策改革において検討すべきアイデアとして提案されたものである。報告書は、新エネルギー経済のための政策解決策として、①信頼性が高く手頃な価格で利用できる国内エネルギー資源の多様化、②経済成長を損なわないエネルギー政策と環境規制の併用、③エネルギー技術・効率の研究開発進展と質の高い教育、の3点を挙げ、それぞれについて現状や課題、勧告などを詳述している。 Republican Governors Public Policy Committee “An Energy Blueprint for America: Policy Solutions for a New Energy Economy” (8/22/12)

NSF、「研究とイノベーションにおける新興フロンティア(EFRI)」の助成15件を発表

米国科学財団(NSF)は、2012年度の「研究とイノベーションにおける新興フロンティア(Emerging Frontiers in Research and Innovation: EFRI)」における助成事業として15件を発表した。26機関で合計68名の研究者に約3,000万ドルが提供される。受益者は今後4年間にわたり、①生体適合性がある柔軟な電子システム(受益チーム4件)、②自己集合システム型材料及び構造のための折り紙設計(同8件)、③光合成による大規模な化学生産システム(同3件)という3つの新興分野で革新的な基礎研究に取り組む。これらの研究はいずれ、健康・医療、工学設計及び製造、エネルギーの持続可能性の分野での向上につながることが期待されている。 National Science Foundation “Engineers Pursue Flexible Electronics, Self-folding Structures and Controlled Photosynthesis on a Grand Scale” (8/23/12)

NSF、企業による研究開発支出に関する報告

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)が8月22日に発表した報告書によれば、米国内における企業の研究開発努力の多くは医療と国防分野に集中しているという。2008年に企業が実施した研究開発費の合計(2,907億ドル)の40%が健康・医療分野(761億ドル)と国防分野(415億ドル)に向けられたものとなっている。また、健康・医療分野の研究開発資金の86%以上が企業自身による拠出であるのに対し、国防分野の研究開発資金の多くは連邦政府が拠出している。報告書はこの他に、エネルギー、環境保護、農業応用分野についても詳述している。 National Science Foundation “NSF Reports on R&D Spending by Businesses in the United States” (8/22/12)

NIH、多額の助成金を受益する研究者を対象に新方針を発表

国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)は8月20日、「直接コストとして年間100万ドル以上のグラントを受益している研究者に対して、厳しい審査を追加する」という新たな助成方針を発表した。新方針の下、過去の研究と内容が重複する場合、助成は行われない可能性があるという。NIHは、予算の横ばいとグラント採択率の低迷が数年間続いたことを受け、研究資金を十分に活用する手段を模索していた。こうした中、「研究主任(principal investigator)が受益できるグラントを制限する」というアイデアが浮上し、5月に「年間の受益金額合計が150万ドルを超える研究者からの申請には研究所の科学評議会が追加の審査を行う」というパイロットプログラムを実施した。その結果、間接的コストは研究所によって異なることなどから、「直接コストの受益額が年間100万ドルを超える研究者」に変更されるなどして、今回の新たな方針が決定した。NIHによれば、科学評議会の追加審査の対象となる研究申請は、全ての申請の1%未満であるという。 ScienceInsider “NIH’s Millionaires to Get Extra Scrutiny” (8/21/12)

米国の国際支援によりインドのソーラー業界が大打撃

インドの科学環境センター(Center for Science and Environment: CSE)は8月17日、「米国は気候変動資金を使ってインドのソーラー業界を破壊しつつある」との報告を発表した。国連気候変動枠組み条約(U.N. Framework Convention on Climate Change)による2009年の会議で、開発途上国が気候変動の影響に対処するのを支援することを目的として、300億ドルの短期資金が採択された。CSEは、「米国輸出入銀行(Export-Import Bank of the United States)と米国海外民間投資会社(Overseas Private Investment Corp.)は、この短期資金を巧妙に使い、米国企業製造の機器やソーラーパネル、太陽電池などを購入することを条件に、インドのソーラー・プロジェクト開発事業者に低金利融資を提供している。これがインド国内の太陽光発電製造能力の衰退をもたらしている」と批判している。 UPI “Indian solar hit by climate financing” (8/20/12)

大統領府、製油所救済のため買収企業と協力

オバマ大統領の再選を目指す選挙陣営は今春以来、共和党大統領候補であるミット・ロムニー氏(Mitt Romney)のプライベート・エクイティ会社におけるキャリアを繰り返し批判し、同氏が所属していたベイン・キャピタル社(Bain Capital)を非難する広告を流している。しかしその一方で、大統領府は別のプライベート・エクイティ会社がフィラデルフィア市にある製油所を救済することを積極的に奨励する役割を果たしている。対象となっている製油所はスノコ社(Sunoco Inc.)が所有している製油所で、同社は2011年9月に同製油所と近隣にあるもう1件の製油所(閉鎖済み)を閉鎖する計画を発表した。フィラデルフィア市の製油所が閉鎖された場合、選挙前にガソリン価格の急騰が予想されることから、大統領府の国家経済会議(National Economic Council: NEC)のジーン・スパーリング委員長(Gene Sperling)は、同製油所の買収企業候補とされたプライベート・エクイティ会社、カーライル・グループ(Carlyle Group)の幹部や政府関係者、労働組合指導者達と数多くの対話を行い、カーライル社による製油所支援及び投資を奨励してきており、同案件は9月に最終的にまとまる見込みとなっている。今回の一件は、プライベート・エクイティ業界が大統領選挙で注目されている以上に複雑な存在であることを示している。 Wall Street Journal “White House Worked With Buyout Firm to Save Plant” (8/21/12)