排出削減政策の効果に関する報告

マサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology: MIT)の研究者らが8月24日付のネイチャー・クライメート・チェンジ誌(Nature Climate Change)に発表した研究報告によれば、炭素排出削減政策によって、よりクリーンな空気が健康にもたらす効果は、同政策の費用を一部あるいは全部回収できるものであるという。研究者らは、米国内で同じような排出削減につながる3つの政策(クリーン・エネルギー基準、輸送政策、キャップ・アンド・トレード・プログラム)について調査し、その費用と効果を比較した。それによれば、輸送政策の費用に対する効果(健康問題を回避することで実現される節約)は、費用の26%の回収につながり、キャップ・アンド・トレード・プログラムの実施費用に対する効果は最高10.5倍になると試算されている(政策によって削減できる医療費や病欠日は概ね一定しており、こうした比率の差は政策の実施費用による)。また、発電所や自動車などの具体的な大気汚染源を対象とした政策は、キャップ・アンド・トレードのような比較的安価な政策に比べて大幅な効果をもたらさないと報告書では取りまとめらられている。 MIT News “Study: Cutting emissions pays for itself” (8/24/14)

DARPA、地上装甲車技術の進展を狙いとしたGXV-Tプログラムを開始

国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Project Agency:DARPA)は、「地上装甲戦闘車技術(Ground X-Vehicle Technology: GXV-T)」プログラムを開始した。GXV-Tプログラムは、現在、戦地の装甲車が抱える課題(敵の兵器の装甲車攻撃能力の進展が装甲車の防御能力の進展を上回り、より多くの装甲車が必要となっている)を克服する一助となることを狙いとしている。具体的には、現在の装甲戦闘車に比べ、①車のサイズ、重量共に50%削減、②装甲車の運転に必要な乗員数を50%削減、③速度が2倍、となることを目標としている。 Defense Advanced Research Project Agency “New Ground X-Vehicle Technology (GXV-T) Program Aims to Break the “More Armor” Paradigm for Protection” (8/18/14)

DARPA、「原子から製品へ(A2P)」プログラムを発表

多くの一般的なマテリアルは極小のスケール(原子あるいはナノスケール)で作成された場合、異なる特性を示し、それらは有益な特性となる可能性がある。これらの極小スケールの特性は、防衛および商業化において革命的となり得るが、現実には①ナノスケールの特性をより大きなスケールのマテリアルにおいてどのように維持するかに関する知識が不足、②ナノスケールと100ミクロンのものを組み立てる能力が不足、という課題がある。国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Project Agency:DARPA)は、これらの課題の克服を目的として、「原子から製品へ(Atoms to Product: A2P)」プログラムを立ち上げた。A2Pプログラムでは、原子スケールの部品を組み立てる高度技術の開発と、ナノスケールの特性を維持・活用する形でこれらの部品をマテリアルやシステムに統合する手法を模索することになる。 Defense Advanced Research Project Agency “Atoms to Product: Aiming to Make Nanoscale Benefits Life-sized” (8/22/14)

DARPA、エレクトリクス(ElectRx)プログラムを開始

末梢神経系は常に内臓機能を監視し、細菌や損傷などへの生物的反応をつかさどる一助となっているが、この規則的なプロセスが損傷や疾病によって機能しなくなると、状態の悪化や痛み、炎症、免疫機能障害の原因となり得る。現在、末梢神経系を正確に調節することで治療が困難な症状をより効果的に管理できる可能性に関心が高まっており、国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Project Agency:DARPA)は、エレクトリクス(ElectRx)プログラムを開始した。本プログラムは、オバマ大統領によるBRAINイニシアチブ(BRAIN Initiative)を支援する一環として始まったもので、健康の維持、回復を目的に神経回路を調節するための高精度かつ侵襲性が最も低い技術の開発を狙いとしたものである。オバマ大統領は8月26日、軍事兵、退役兵、その他の者の健康増進のための新規かつより効果的な戦略を模索する必要性について述べ、その一環としてDARPAのエレクトリクス・プログラムを挙げている。 Defense Advanced Research Project Agency “President Obama Highlights New DARPA Program Aimed at Developing Novel Therapies Customized to Individual Patients” (8/26/14)

NIH、ゲノムデータの共有に関する最終方針を発表

国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)は、研究参加者のプライバシーを保護しつつ、ゲノムデータを健康増進に関連する知識や製品、手順に迅速につなげる手段の一つとしてゲノムデータの共有を促進しており、今般「ゲノムデータ共有(Genomic Data Sharing: GDS)」方針の最終版を発表した。この新方針は2015年1月25日以降に受領する助成申請書(ゲノムデータを生成する大規模なヒト及びヒト以外のNIH助成受益プロジェクト)に適用される。GDS方針は、2007年以降適用されていた「ゲノム全般関連研究(Genome-Wide Association Studies: GWAS)」のデータ共有方針の置換及び拡大版となるものである。GDS方針の鍵となる点は、研究者が研究参加者から、身元が分からないようにしたゲノムデータを将来的に研究及び広範な共有に利用する可能性があることについて、インフォームド・コンセントを取得するよう期待している点である。 National Institutes of Health “NIH issues finalized policy on genomic data sharing” (8/27/14)

2011年における企業の研究開発は一部の州と都市部に集中

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)の報告によれば、2011年における企業の研究開発(R&D。企業が費用を自社負担で行ったR&D)のほぼ半分が、カリフォルニア、ワシントン、テキサス、マサチューセッツ、ミシガンの5州で実施されたという。同年における企業のR&D支出は2,390億ドルであった。大手企業によるR&D支出が最も高く、それらはそれぞれの主要R&D拠点で行われている。具体的には、サンノゼ-サンフランシスコーオークランド地域(コンピュータおよび電化製品製造)、シアトル-タコマ-オリンピア地域(情報技術および航空宇宙)、ロサンジェルス-ロングビーチ地域(大手R&D企業が数多く存在するが、突出した産業はない)に企業のR&Dが集中している。 National Science Foundation “2011 data show U.S. business R&D highly concentrated by state and metropolitan location” (8/26/14)

NSF、イノベーション部隊(I-Corps)を拡大

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)は、基礎的な科学および工学分野における発見の市場化を支援する全国的な官民パートナーシップを拡大・支援すべく、「イノベーション部隊(Innovation Corps: I-Corps)プログラム」の下、2件の新たなグラントを発表した。受益するのは、サザン・カリフォルニア大学(University of Southern California: USC)を拠点とする南カリフォルニア・ノード(Southern California node)と、テキサス大学オースチン校(University of Texas at Austin)を拠点とする南西部アントレプレナー・イノベーション同盟ノード(Southwest Alliance for Entrepreneurial Innovation Node)で、受益額は3年間で375万ドルとなっている。I-Corpsの全国ハブ(ノード)はこれで合計7つとなる。 National Science Foundation “NSF expands the National Innovation Network with two new I-Corps nodes” (8/26/14)

オバマ大統領の技術担当補佐官、シリコンバレーへ

情報筋が8月22日に語ったところによれば、オバマ大統領の技術担当補佐官で、昨年Healthcare.govのウェブサイトで不具合が発生した際にその対策で中心的役割を果たしたトッド・パーク氏(Todd Park)が、シリコンバレーの優秀な人材を政府に送り込むという新たな仕事に就くという。パーク氏は8月末に大統領府チームの一人としてカリフォルニア州に移転する計画である。パーク氏の移転は、政府がシリコンバレーの人材を雇用する努力を強化していることを示す。8月初旬には、パーク氏の力添えでグーグル社(Google)のエンジニアであるマイキー・ディカーソン氏(Mikey Dicerson)が政府のコンピュータ・システムの改良に携わることになった。パーク氏の後任が誰になるのかは不明である。 Reuters “Obama tech policy maven moves to Silicon Valley role” (8/22/14)

NASA、26件の宇宙生物学研究プロジェクトを選出

航空宇宙局(National Aeronautics and Space Administration: NASA)は、「宇宙生物学における宇宙飛行研究機会(Spaceflight Research Opportunities in Space Biology)」を通じて、微生物や組織、植物、動物が重力の変化にどのような反応を示すかを調べる26件の研究に助成を行う。これらの研究は、国際宇宙ステーション(International Space Station)上で行われる。これらの研究プロジェクトから得られる新たな基礎知識は、その他のNASA研究者・工学者が人類による宇宙探索で直面する問題の解決に利用したり、地球上での新たな生物学的ツールまたは応用につながる可能性がある。 National Aeronautics and Space Administration “NASA Selects 26 Space Biology Research Proposals” (8/21/14)

エネルギー省、エネルギー効率が高く、環境に優しい高速道路輸送技術の進展に1,700万ドルを投資

エネルギー省(Department of Energy)は8月21日、中小企業や大学など14件の機関との共同契約(cooperative agreement)に合計1,760万ドルを投資すると発表した。これらの共同契約を通じて、エネルギー効率が高く環境に優しい高速道路輸送技術の開発及び導入に取り組む。受益プロジェクトは今後、エネルギー貯蔵やパワーエレクトロニクス、電子モーター、先端燃焼エンジンなどの分野の革新的技術及びソリューションの研究開発に取り組む。 Department of Energy “Energy Department Announces $17 Million to Advance Efficient, Environmentally-Friendly Highway Transportation Technologies” (8/21/14)