Category:レポート
米国研究評議会(NRC)、次世代先端気候モデルの必要性を主張
米国研究評議会(NRC)は、「先端気候モデリングのための国家戦略(A National Strategy for Advancing Climate Modeling)」と題する報告書を発表し、米国内で行われている気候モデルの取り組みをより統合的かつ効率的に行い、より詳細で小規模な気候予測が可能となるよう努力する必要があると主張した。米国における気候モデリングへの取り組みは多様化しており、それゆえの効果もある一方で重複も見られるため、報告書は、気候モデリングに取り組む各団体に対して、独自の手法を追求すると同時に、国レベルで採択された共通のモデリング枠組みの中で研究を続けるよう勧告している。報告書の作成委員会はまた、米国の気候モデリング研究を発展させるため、今後20年間における段階的な戦略を示している。 National Academies “Next Generation of Advanced Climate Models Needed, Says New Report” (9/7/12)
米国アカデミー、EPAに社会科学を活用するよう勧告
米国アカデミーの下部組織である米国研究評議会(National Research Council: NRC)は、環境保護庁(Environmental Protection Agency: EPA)における科学全般を評価した報告書「環境保護のための科学:今後の道のり(Science for environmental protection: the road ahead)」を発表した。NRCは報告書の中で、「EPAはこれまでに排出ガスや工場の煙突、下水システムといった明確な環境汚染問題に対処してきたが、現在はナノテクノロジーや蔓延する化学物質及び原料(必ずしも管から放出されるとは限らない)などの分野でより難しい規制問題に直面している」とした上で、EPAで行われている科学やデータ収集、監視、モデリングをより統合させること、社会科学の専門性を強化することを勧告している。報告書は、今後の環境規制や方針を決定する上で、社会科学面での情報は有益であると述べている。 Nature News Blog “Report calls on US environment agency to embrace social sciences” (9/5/12)
GAO、「内務省によるオフショア掘削リスク評価能力は限定的」と報告
政府説明責任局(Government Accountability Office: GAO)が作成(7月30日付けで8月29日に公開)した報告書によれば、「内務省(Department of Interior)は、2010年のBP社による原油流出事故後、省内の監督体制を改革・強化したにもかかわらず、オフショア掘削プロジェクトのリスクを特定・評価する能力は依然として限定的である」という。GAOは報告書の中で、「内務省は安全性改革では評価できるものの、省内再編や最近発表された政策変更の最終的な有効性は不明のままである」とした上で、懸念点をいくつか指摘している。 The Hill “Report: Interior has ‘limited’ ability to gauge offshore drilling risks” (8/29/12)
ネイチャー誌による「2012年研究者給与及び満足度調査」
ネイチャー誌(Nature)が世界中の科学者を対象に行った「2012年給与及び満足度調査(2012 Salary and Satisfaction Survey)」の結果報告によれば、多くの回答者が自身の研究活動に満足している(「非常に満足」あるいは「満足」と回答した者が、男性回答者の67.1%、女性回答者の62.7%)ものの、「世界不況が自身の全体的な雇用満足感に否定的な影響を及ぼしている」と回答した者が多く、金銭面での不安に拍車をかけていることが分かった。また、学術機関でのポストを確保している研究者でさえも、将来に不安を抱えていることが明らかになっている。本調査には、世界100カ国以上から1万1,500人以上の科学者が回答した。 Nature.com “Job satisfaction: Turbulent times” (8/29/12)
MIT、炭素税は大きな効果をもたらす可能性があると指摘
マサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology: MIT)が発表した報告書「炭素税収と予算赤字:3つの利益をもたらす解決策?(Carbon Tax Revenue and the Budget Deficit: A Win-Win-Win Solutions?)」によれば、炭素排出に対する課税は、膨大する連邦赤字に対処する資金調達が可能になる一方、経済や環境、そして未来のクリーンエネルギーを確実にする一助になるという。報告書の執筆者らは、1トン当たり20ドルの炭素税の影響を国家経済モデルを使って算出し、エネルギー、税収、世帯所得などへの影響を分析した。それによれば、政府は1兆5,000億ドルの税収をあげることができ、これを連邦赤字削減に利用できると同時に、個人あるいは法人所得税の減税、賃金税減税(今年失効予定)の延長、社会保障制度の支出継続などに充当することができるという。また、世帯所得が増えることで、消費者支出が増え、国家経済のプラスとなる他、2050年までに汚染を20%削減(2006年比)できるという、三つの効果をもたらす可能性があるという。 MIT Joint Program on the Science and Policy of Global Change “NEWS RELEASE: Study: Carbon Tax a ‘Win-Win-Win’ for America’s Future” (8/27/12)
大学における発明、2011年に180億ドルの収入をもたらす
大学技術管理者協会(Association of University Technology Managers: AUTM)が8月27日に発表した年間調査結果によれば、調査に回答した157件の大学は2011年度に、大学研究の商業化活動により、180億ドル以上の収入を得たという。調査結果によれば、5,398件のライセンス、1万2,090件の新規特許が実施され、617件のスタートアップ企業が誕生している。ノースウェスタン大学(Northwestern University)の収入額(1億9,100万ドル以上)が最も高く、全体の10%以上を占めている。また、全体的にスタートアップ企業への取り組みが積極的になっており、その背景には、大手企業への就職が厳しくなり、教師や学生の間で起業への関心が高まっていることがある。 The Chronicle “Universities Report $1.8-Billion in Earnings on Inventions in 2011” (8/28/12)
米国民の多くがエネルギー生産における水の使用を懸念
シンクタンクの市民社会研究所(Civil Society Institute)が8月23日に発表した世論調査結果によれば、回答した米国民の約81%が、干ばつや山火事、その他の厳しい天気事象に懸念を示しているという。干ばつが問題となる中でクリーンな水とエネルギーの関係について米国民の見解を調べることを目的とした本調査で、干ばつが原因で安全な飲料水が不足している点やエネルギー生産のために水が転用されている点は、干ばつに襲われている10州で上位の懸念となっている。そして、米国民の4人に3人が、「深刻な干ばつや水不足のリスクなど現在の問題を鑑み、米国は代替エネルギー源(風力や太陽光熱など水の使用量が少ないもの)に更なる焦点を当てるべきである」と考えているという。 PhysOrg “Americans worry about water use in energy production, survey says” (8/27/12)
共和党州知事公共政策委員会、エネルギー政策に関する報告書を発表
共和党州知事の政策組織である「共和党知事公共政策委員会(Republican Governors Public Policy Committee: RGPPC)」は8月22日、「米国のエネルギー計画:新エネルギー経済のための政策解決策(An Energy Blueprint for America: Policy Solutions for a New Energy Economy)」を発表した。報告書はRGPPCのエネルギー及び環境作業部会(Energy and Environment Working Group)が、エネルギー政策に関するアイデアをまとめたもので、特定の知事による具体的な政策を支持するものではなく、米国のエネルギー政策改革において検討すべきアイデアとして提案されたものである。報告書は、新エネルギー経済のための政策解決策として、①信頼性が高く手頃な価格で利用できる国内エネルギー資源の多様化、②経済成長を損なわないエネルギー政策と環境規制の併用、③エネルギー技術・効率の研究開発進展と質の高い教育、の3点を挙げ、それぞれについて現状や課題、勧告などを詳述している。 Republican Governors Public Policy Committee “An Energy Blueprint for America: Policy Solutions for a New Energy Economy” (8/22/12)
NSF、企業による研究開発支出に関する報告
米国科学財団(National Science Foundation: NSF)が8月22日に発表した報告書によれば、米国内における企業の研究開発努力の多くは医療と国防分野に集中しているという。2008年に企業が実施した研究開発費の合計(2,907億ドル)の40%が健康・医療分野(761億ドル)と国防分野(415億ドル)に向けられたものとなっている。また、健康・医療分野の研究開発資金の86%以上が企業自身による拠出であるのに対し、国防分野の研究開発資金の多くは連邦政府が拠出している。報告書はこの他に、エネルギー、環境保護、農業応用分野についても詳述している。 National Science Foundation “NSF Reports on R&D Spending by Businesses in the United States” (8/22/12)
米国の国際支援によりインドのソーラー業界が大打撃
インドの科学環境センター(Center for Science and Environment: CSE)は8月17日、「米国は気候変動資金を使ってインドのソーラー業界を破壊しつつある」との報告を発表した。国連気候変動枠組み条約(U.N. Framework Convention on Climate Change)による2009年の会議で、開発途上国が気候変動の影響に対処するのを支援することを目的として、300億ドルの短期資金が採択された。CSEは、「米国輸出入銀行(Export-Import Bank of the United States)と米国海外民間投資会社(Overseas Private Investment Corp.)は、この短期資金を巧妙に使い、米国企業製造の機器やソーラーパネル、太陽電池などを購入することを条件に、インドのソーラー・プロジェクト開発事業者に低金利融資を提供している。これがインド国内の太陽光発電製造能力の衰退をもたらしている」と批判している。 UPI “Indian solar hit by climate financing” (8/20/12)