公的資金を受けた研究結果へのオープンアクセスを巡る議論は長く続いており、地理的な違いが見られる。欧州の一部の公的助成機関は、オープンアクセスのイニシアチブを大々的に始めている。一方、米国の連邦機関は、受益者が研究論文を最高1年まで、有料の専門誌に発表することを認める方針がネックとなっている。こうした中、米国の著名な研究イニシアチブである「癌ムーンショット(Cancer Moonshot)」が、連邦助成を受けた研究についてピアレビューを受けた出版論文への即時オープンアクセスを義務付けることを計画している。同イニシアチブは、国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)傘下の国立癌研究所(National Cancer Institute: NCI)で行われているもので、2016年に当時のジョー・バイデン副大統領(Joe Biden)が主導して開始された。同前副大統領はオープンアクセスへの支持を表明しており、NCIの高官もそのアイデアを受け入れ、癌ムーンショットの助成金受益者には、論文を即時かつ広範に国民が入手できるようにするための計画を提出するよう義務付ける規則の草案を作成した。これは、NIHの現在の方針からの大きな離脱となる。
Science “In departure for NIH, Cancer Moonshot requires grantees to make papers immediately free” (8/14/19)