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March 2026

政府、NIH研究費の保留を解除 助成支給と人事が正常化へ

サイエンス誌(Science)は3月17日、大統領府が国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)の2026年度予算に関する研究助成の支出保留を解除し、停滞していた資金提供や人事が正常化に向かうと報じた。同日の下院公聴会で、ジェイ・バタチャリアNIH所長(Jay Bhattacharya)は行政管理予算局(Office of Management and Budget: OMB)による予算承認を認め、今年度末までに全額を科学研究へ支出する方針を明言した。記事は、トランプ氏の大統領復帰に伴い、予算保留などの影響でNIHの助成支給がこれまで遅れをとっていた背景について触れており、大規模な人員削減による幹部職の空席補充については、同所長が人員を増強中であると伝えた。その上で、最終的な任命権は厚生省(Department of Health and Human Services: HHS)のロバート・ケネディ・ジュニア長官(Robert F. Kennedy Jr.)にあるとし、今後の動向が注視されている。 Science “White House lifts hold on NIH research spending” (03/17/26) https://www.science.org/content/article/white-house-lifts-hold-nih-research-spending

CATF、バイオマス炭素除去プロトコルの策定強化を提言

クリーン・エア・タスクフォース(Clean Air Task Force: CATF)は3月18日、バイオマスによる二酸化炭素除去(Biomass Carbon Dioxide Removal: Biomass CDR)が気候変動対策に有効であるとし、業界が持続可能な規模拡大を図るには強力な基準が必要であると発表した。植物を用いて大気中の炭素を回収し、それを数世紀以上に亘って安全に貯蔵する技術システムを用いることで、ギガトン規模の気候変動緩和を実現する可能性があるとし、専門家らと共同で実施した調査の結果、既存のバイオマスCDRクレジット・プロトコルのうち28%が十分な評価を得た。半面、全てのプロトコルに少なくとも一つの根本的な欠陥が含まれ、評価スコアのばらつきから一貫性の欠如も浮き彫りになった。この結果を受けCATFは、市場の信頼を高め気候変動への成果を保証するためには基準の改善が不可欠と強調し、業界の持続可能な規模拡大に向けた強力な基準策定が必要であると提言しており、政府や投資家に対してプロトコル強化のロードマップも提示している。 CATF “New study shows biomass carbon removal can help tackle climate change, and strong standards are needed for the industry to scale sustainably” (03/18/26) New study shows biomass carbon removal can help tackle climate change, and strong standards are needed for the industry to scale …
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GAO、国家量子戦略拡充を提言

政府説明責任局(Government Accountability Office: GAO)は3月18日、現行の国家量子戦略には成果指標や各連邦機関の役割などの重要要素が欠如しており、米国のリーダーシップを促進するためには戦略の改訂が必要であると発表した。国家量子イニシアチブ法(National Quantum Initiative Act)に基づき、科学技術政策局(Office of Science and Technology Policy: OSTP)と量子情報科学小委員会(Subcommittee on Quantum Information Science: SCQIS)が戦略を策定しているが、現在の計画は将来のインフラ需要を評価しておらず、各機関の取り組みも統合されていないことが判明した。そこでOSTPに対し、効果的な資源活用や技術開発の加速を目指し、SCQISと連携して戦略を拡充するよう提言している。同分野の労働力育成に関しても、米国科学財団(National Science Foundation: NSF)の支援を受けた研究が進行中であるものの、総合的なデータや評価指標の不足といった課題が残されていると指摘した。 GAO “Quantum Computing: Updating the National Strategy Could Promote U.S. Leadership” (03/18/26) https://www.gao.gov/products/gao-26-107759

NIH、動物実験の代替技術開発に1億5,000万ドルを投入

国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)は3月18日、動物実験への依存を減らし、ヒトを対象とする研究手法の開発・拡大に1億5,000万ドルを投入すると発表した。トランプ政権が優先課題とする「実験における動物研究補完(Complement Animal Research in Experimentation: Complement-ARIE)」プログラムの初回資金配分となる。より予測精度の高いヒト疾患モデルの構築を目指し、実験室やコンピューターベースの新手法(New Approach Methodologies: NAMs)を開発・実装・標準化することが目的で、これに伴い、重要課題分野における新規適応モデルの開発促進に向けた婦人科疾患、心疾患、神経疾患、希少疾患などの技術開発センター(Technology Development Centers: TDC)を設立する。データ共有と標準化治療開発を促進するハブや産業界との連携による検証資格ネットワークも構築するとし、これにより規制当局の承認基準を満たす、信頼性と市場性の高い代替手法の実用化と普及を加速させるという。 NIH “NIH invests $150 million in human-based research to reduce use of animal models” (03/18/26) https://www.nih.gov/news-events/news-releases/nih-invests-150-million-human-based-research-reduce-use-animal-models

NNSA、「電解精製」による核兵器用ウラン精製成功 20年ぶりに再稼働 

エネルギー省傘下の国家核安全保障局(National Nuclear Security Administration: NNSA)は3月18日、テネシー州オークリッジのY-12国家安全保障複合施設(Y-12 National Security Complex)で、「電解精製(Electrorefining)」技術を活用して濃縮ウラニウムの精製に成功したと発表した。同施設における新たな核処理能力の稼働は20年ぶりで、精製されたウラン金属は核兵器製造や海軍の航空母艦・潜水艦用燃料供給などの国家安全保障任務に活用される。旧施設での手法と比べ、電解精製は安全性の高いプロセスとし、より効率的で安全な処理が可能になるという。NNSAのブランドン・ウィリアムズ局長(Brandon Williams)は「トランプ大統領の指導の下、安全で確実かつ効果的な核抑止力維持への取り組みを行っている」と述べ、政府の国家安全保障戦略や国防戦略に沿った、核安全保障体制の革新を推進する取り組みであると説明している。 NNSA “NNSA Achieves Milestone in Uranium Purification at Y-12 NSC ” (03/18/26) https://www.energy.gov/nnsa/articles/nnsa-achieves-milestone-uranium-purification-y-12-nsc

エネルギー省、オクロ社の次世代原子炉の安全設計契約を承認

ビジネスワイヤ(Business Wire)は3月17日、アイダホ国立研究所(Idaho National Laboratory: INL)のオーロラ発電所に建設する原子炉運営支援で、次世代原子力発電を手がけるオクロ社(Oklo Inc.)がエネルギー省(Department of Energy)から原子力安全設計契約(Nuclear Safety Design Agreement: NSDA)の承認を受けたと発表した。同省の原子炉パイロット・プログラム(Reactor Pilot Program: RPP)に基づく設計・建設・運用を支援するOTA(Other Transaction Agreement)締結に伴うもので、迅速かつ拡張可能な発電容量確立を支援する。既に同発電所向け燃料供給施設の設計承認を経て昨年9月に着工しており、次段階となる暫定安全分析報告書(Preliminary Documented Safety Analysis: PDSA)の審査もあわせて同省へ要請した。今後は原子力規制委員会(Nuclear Regulatory Commission:NRC)による商用ライセンスの取得も進め、国内原子力エネルギーの拡充と次世代電力の安定した供給網構築を加速させていく構えである。 Business Wire “Oklo Announces U.S. Department of Energy Approval for Nuclear Safety Design Agreement of Aurora Powerhouse at Idaho National Laboratory” (03/17/26) https://www.businesswire.com/news/home/20260317730831/en/Oklo-Announces-U.S.-Department-of-Energy-Approval-for-Nuclear-Safety-Design-Agreement-of-Aurora-Powerhouse-at-Idaho-National-Laboratory

国防総省、3年以内の大規模なレーザー兵器配備を目指す

3月9日、国防産業協会(National Defense Industrial Association)の年次会合で、国防総省(Department of Defense)の重要技術担当高官は、「国防総省は、レーザーや高出力マイクロ波などの指向性エネルギー兵器の大規模な配備を今後36カ月以内に実施し、米兵を敵対的なドローンの脅威から守る計画である」と発言した。国防総省は近年、海外に少数の運用試験用レーザー兵器を配備し、11月には、「大規模指向性エネルギーは、重要な技術分野である」と正式に表明しているが、ある軍事専門家は、米軍が現行のエピック・フューリー作戦(Operation Epic Fury)で中東各地を襲う一連のイラン製ドローンへの対抗で苦戦している状況が背景にあると指摘する。国防総省が指向性エネルギーへの関心を高める大きな理由はそのコストであり、例えば、パトリオットPAC3迎撃ミサイルが一発300万ドル以上するのに対し、中東各地で戦場に降り注ぐイラン製ドローンは1機あたり2万~5万ドルと価格差が大きい。 Defense News “The Pentagon wants to field laser weapons at scale within 3 years” (03/18/26) https://www.defensenews.com/industry/techwatch/2026/03/18/the-pentagon-wants-to-field-laser-weapons-at-scale-within-3-years/

「中国は2027年に台湾に侵攻する計画はない」 米諜報機関報告

国家情報長官室(Office of the Director of National Intelligence)は、3月18日に発表した世界脅威に関する年次報告書で、「中国政府は現在、2027年に台湾に侵攻する計画はなく、武力を行使せずに台湾を統制しようとしている」とし、慎重な見方を示した。国防総省(Department of Defense)は昨年末、「中国が2027年までに台湾を巡る戦闘で勝利できるよう準備を進めている」とし、必要であれば強硬な武力で台湾を奪取する選択肢を強化しつつあると指摘していた。トランプ大統領は、「中国の習近平国家主席とは良好な関係を築いており、習首席は、自分が大統領在任中は台湾を攻撃しないと述べた」と発言している。一方、日本政府高官は、米国は中国との貿易取引を模索する上で台湾への支援を軟化させることを懸念している。日本政府は昨年、高市首相が台湾を巡る発言を行った際、米国からの支持発言が控え目であったことに不安を感じており、同年次報告書は、高市首相の台湾に関する発言は、「日本の指導者にとって重大な転換であった」と分析している。 Defense News “US assesses China not planning to invade Taiwan in 2027” (03/18/26) https://www.defensenews.com/news/your-military/2026/03/18/us-assesses-china-not-planning-to-invade-taiwan-in-2027/

政権による13件の火力発電所稼働継続命令、2億3,500万ドルの国民負担

上院民主党議員が3月17日に実施したエネルギー価格に関する円卓会議において、シエラクラブ(Sierra Club)は、「閉鎖予定であった石炭火力発電所の稼働継続を求めたトランプ政権の緊急命令により、国民に2億3,000万ドル以上の負担がもたらされている」との分析を発表した。エネルギー省(Department of Energy)は昨年5月にミシガン州にある火力発電所に90日間の稼働継続を求める最初の緊急命令を発令し、同令を複数回延長したほか、その他の火力発電所を対象とした緊急稼働継続命令も含め、合計13件の命令を発令したという。この緊急稼働命令は、連邦電力法(Federal Power Act)の202(c)条に基づくものであるが、過去の発令は慎重に行われるものであったという。シエラクラブは、「残念ながら、トランプ政権は過去10カ月間でこの緊急命令権限の使用を大きく歪めた」と発言した。 Utility Dive “13 DOE emergency orders have cost Americans $235M, Sierra Club says” (03/18/26) https://www.utilitydive.com/news/doe-202c-cost-235m-coal-sierra-club/815045/

トランプ政権、洋上風力発電阻止に10億ドル規模の和解金を検討

ニューヨーク・タイムズ紙(The New York Times)は3月17日、トランプ政権が仏エネルギー大手トタルエナジーズ社(TotalEnergies)に対し、約9億2,800万ドルの和解金を支払い、ニューヨーク州沖とノースカロライナ州沖の洋上風力発電事業を中止させる計画を検討していると報じた。バイデン前政権時代の入札落札額を払い戻すことで、トタル社は新たにテキサス州の天然ガスインフラ投資に取り組むという。大統領は2012年にスコットランドの自身が保有するゴルフ場近くの風力発電所建設を阻止しようとして以来、洋上風力発電を批判し続けており、同政権はこれまで東海岸沖で建設中の風力発電所を停止させようと5度試みたが、いずれも連邦判事に阻止された。一方で記事は、ロードアイランド州沖のレボリューション・ウィンド(Revolution Wind)が送電を開始し、マサチューセッツ州沖のビンヤード・ウィンド(Vineyard Wind)も62基のタービン設置を完了するなど、政権が阻止しようとしてきた洋上風力発電建設は最近完了している。 The New York Times “Trump Officials Weigh New $1 Billion Deal to Stop Offshore Wind Farms” (03/17/26) https://www.nytimes.com/2026/03/17/climate/offshore-wind-settlements-trump.html