Day: March 9, 2026

国防総省、AI企業アンソロピックを「供給網リスク」に正式指定

ニューヨーク・タイムズ紙(The New York Times)は3月5日、国防総省(Department of Defense)が人工知能(AI)企業のアンソロピック社(Anthropic)を「供給網リスク」として正式に指定し、同社に対し、政府との取引を禁止する可能性があると通知したと報じた。アンソロピック社は現在、同省の機密システムで使用される唯一のAI技術を提供しており、イランとの戦争拡大において軍事データや画像の分析に活用されている。国民の国内監視や自律型致死兵器への転用を防ぐ同社の条件に対し、同省は「あらゆる目的における合法的なAI使用」を要求していたが、交渉期限までに合意に至らず、ピート・ヘグセス国防長官(Pete Hegseth)が同社を「国家安全保障の供給網上のリスク」に指定すると宣言した。同社は提訴する方針であるが、具体的詳細は明らかにしていないという。一方、オープンAI社(OpenAI)は合法的な目的でのあらゆる使用を許可し、イーロン・マスク氏(Elon Musk)が率いるエックスAI社(xAI)も機密システム向け技術提供で同省と契約した。 The New York Times “The Pentagon Officially Notifies Anthropic That It Is a ‘Supply Chain Risk’” (03/05/26) https://www.nytimes.com/2026/03/05/technology/anthropic-supply-chain-risk-defense-department.html

北米最大の炭素市場、ワシントン州参加で拡大へ

ユーティリティ・ダイブ(Utility Dive)は3月6日、ワシントン州がカリフォルニア州及びケベック州と共同で、北米最大規模の炭素排出権取引市場の構築に向けた協定案を発表したと報じた。2014年から運営されているカリフォルニアとケベックの共同炭素市場は、北米最大かつ世界第3位の規模を誇り、ワシントン州生態局(Washington’s Department of Ecology)は、同市場への参画により温室効果ガスの削減をより効率的に進め、脱炭素化へ向けた費用対効果の高い長期的な投資を促進すると説明した。同州のボブ・ファーガソン知事(Bob Ferguson)も「気候危機に単独で対処できる州や準州はない」と述べ、協力の重要性を強調している。正式な参加には公聴会の開催や環境正義評価の実施が必要となるが、同局は、早ければ2027年にも運用開始する可能性を示した。排出枠オークション開催により、共通の排出枠価格設定が可能になることに加え、市場規模の拡大により価格も安定し、企業独自のクリーン戦略における予測可能性を高めると期待を示している。 Utility Dive “Washington, California and Québec collaborate on linking carbon markets” (03/06/26) https://www.utilitydive.com/news/washington-california-quebec-collaborate-linking-carbon-markets-cca/813995/

政府、AI半導体の輸出規制を検討 エヌビディア社・AMD社製品が対象

アクシオス(Axios)は3月5日、商務省(Department of Commerce)が国産人工知能(AI)半導体の海外販売について、購入者に政府からのライセンス取得を義務付ける規制を検討していると報じた。ブルームバーグ(Bloomberg)によると、この規制案は各国がAIモデルの訓練・運用施設を建設できるかどうか、またどのような条件下で構築できるかについて政府に広範な管理権限を与えるもので、同省は「安全保障を確保した米国技術の輸出促進に向けた取り組み」と説明しているが、チップの海外での販売に新たな手続きが必要となることから、販売鈍化や輸出抑制につながるとの見方が広がっている。AI企業や半導体メーカーは前政権の複雑な規制枠組みから脱するべく、トランプ政権による輸出対応策に期待していたこともあり、新規制が輸出制限や許認可プロセスを複雑化するものであれば、反発を招く恐れがあるという。このような事態を受け、同省は現在この対応を正式化するため政府内部での議論を継続しているとの声明を出している。 Axios “Nvidia and AMD chips could be subject to U.S. approvals for foreign sales” (03/05/26) https://www.axios.com/2026/03/05/ai-nvidia-chips-amd-exports

トランプ政権、AI半導体輸出規制案に反対表明

アクシオス(Axios)は3月5日、商務省(Department of Commerce)が作成した人工知能(AI)半導体の輸出規制強化案に対し、トランプ大統領が反対していると報じた。同省産業安全保障局(Bureau of Industry and Security: BIS)が作成した129ページに及ぶ規制案の第6版は、AI半導体輸出に対する連邦政府の監督権限を大幅に拡大する内容となっているが、トランプ大統領の輸出管理に関する方針や、米国のAI技術輸出を奨励する政権の方向性を反映していないとし、政府のAI行動計画に沿った内容に修正する意向という。同案はハワード・ラトニック商務長官(Howard Lutnick)の署名を経て、行政管理予算局(Office of Management and Budget: OMB)に送付済みで、12日までに審査結果が商務省に返送される見込みとなっている。大統領は前政権が推進した米国機密技術の輸出規制とは一線を画し、AI半導体の輸出を他国との二国間交渉における交渉材料として活用する方針で、中東協定を通じた輸出推進などに向け、政府内部での議論を続けている。 Axios “Draft AI chip regulations clash with the White House” (03/05/26) https://www.axios.com/2026/03/05/trump-ai-chip-clash-white-house

内務省、沖合石油・ガス産業の規制緩和を提案

内務省(Department of Interior)は3月5日、沖合石油・ガス産業への規制を緩和し、数十億ドルの資金を投資や探査、生産、雇用創出に振り向けられるようにする規則改正を提案したと発表した。海洋エネルギー管理局(Bureau of Ocean Energy Management: BOEM)が大統領令「米国のエネルギーを解き放つ(Unleashing American Energy)」に基づき策定したもので、企業に約69億ドルの追加財務保証を求める2024年規則を撤廃する。うち約60億ドルについては、外部大陸棚で操業する事業者の大半を占める中小企業が負担することになっていたが、今回の措置により業界全体で年間約4億8,400万ドルのコスト削減を可能にすると説明した。これに伴い、BOEMは最新のリスク指標を活用して国民が負担するリスクを抑えつつ、企業が新規プロジェクトに投資しやすい環境を整えるとし、今回の提案については連邦官報に掲載するとし、60日間のパブリックコメント期間を設けている。 Department of Interior “Interior Department Moves to Cut Red Tape for Offshore Oil and Gas Industry” (03/05/26) https://www.doi.gov/pressreleases/interior-department-moves-cut-red-tape-offshore-oil-and-gas-industry

エネルギー省がHBラインの再稼働を決定 先進炉向けMOX燃料製造へ 

エネルギー省(Department of Energy)の環境管理局(Office of Environmental Management: EM)は3月6日、サウスカロライナ州サバンナ・リバー・サイトにある特殊処理施設「HBライン(HB-Line)」の稼働再開を発表した。原子力産業基盤を再活性化する大統領令を推進するもので、民間企業と連携して余剰プルトニウムをリサイクルし、先進原子炉向けのウラン・プルトニウム混合酸化物(Mixed Oxide: MOX)燃料を製造する。また、現在国内で限られた量しか入手できない貴重な同位体も回収するとし、科学研究や商業利用における重要ニーズの支援も行う。同施設は国内唯一の化学分離施設である「H-キャニオン(H-Canyon)」の一部で、2018年の稼働停止後、将来の使用に備え管理状態にあった。今回の決定により、同局はプルトニウム処分計画を10〜13年短縮することが可能になり、最大3億5,000万ドルの経費削減につなげることができると説明している。 Department of Energy “DOE’s Office of Environmental Management Restarts One-of-a-Kind Facility in South Carolina to Fuel America’s Nuclear Future” (03/06/26) https://www.energy.gov/em/articles/does-office-environmental-management-restarts-one-kind-facility-south-carolina-fuel

NASA、優秀人材確保へ新制度「NASAフォース」創設

航空宇宙局(National Aeronautics and Space Administration: NASA)は3月4日、大統領府の人事管理局(Office of Personnel Management: OPM)と共同で、宇宙開発分野の優秀な技術者確保に向けた新たな人材登用制度「NASAフォース(NASA Force)」を創設すると発表した。連邦政府機関の人事システム改革と技術イノベーション加速を目的に設立された技術人材採用プログラム「USテックフォース(US Tech Force)」の一環で、宇宙探査や航空宇宙研究などの分野における最先端の技術力を持つエンジニアや研究者を発掘し、重要任務に配置することを目的とする。ジャレッド・アイザックマンNASA長官(Jared Isaacman)は「米国の宇宙分野におけるリーダーシップ維持は、卓越した人材にかかっている」と述べ、スコット・クーパーOPM長官(Scott Kupor)も「NASAは米国のイノベーションの頂点を象徴する存在」と世界最高レベルの技術者確保の重要性を訴えた。同制度への応募受付に関する情報は、X(旧Twitter)の@USTechForceアカウントで近日中に公開される予定である。 NASA “NASA, OPM Launch NASA Force to Recruit Top Talent for US Space Program” (03/04/26) NASA, OPM Launch NASA Force to Recruit Top Talent for US Space Program

原子力規制委、新設の先進炉局長にボーエン氏を任命

原子力規制委員会(Nuclear Regulatory Commission: NRC)は3月2日、新設される先進炉局(Office of Advanced Reactors: OAR)の局長にジェレミー・ボーエン氏(Jeremy S. Bowen)を任命すると発表した。大統領令に基づく9月に完了予定の大規模な組織再編の一環で、同局は新型炉と先進炉の許認可と監督を担当し、原子炉申請の迅速な審査と革新的技術の展開に責任を負うことになる。今回の任命に際し、ホー・ニー委員長(Ho K. Nieh)は、現在原子炉規制局(Office of Nuclear Reactor Regulation: NRR)で新型炉担当の副局長代理を務め、新型炉及び先進炉技術の規制許認可と監督を指揮するボーエン氏を「先進原子炉のライセンス許認可取得を主導してきた実績があり、同局新設に最も適した人物」と評している。同氏は米国海軍兵学校でシステム工学の学士号を取得し、海軍潜水艦士官として勤務後、2007年にNRCに入庁した。同委員会ではリーダーシップ開発プログラム及び上級管理職候補者開発プログラムを修了している。 NRC “NRC Taps Jeremy Bowen to Lead New Office for Advanced Reactors” (03/02/26) https://www.nrc.gov/sites/default/files/cdn/doc-collection-news/2026/26-026.pdf