バイデン政権の新型コロナ対策高官が退任へ

バイデン政権下で新型コロナワクチンを開発・普及する取り組みを指揮したデイビッド・ケスラー氏(David Kessler)が退任する。同氏はバイデン政権発足当時から新型コロナ対策のトップ科学高官を務め、数億回分のワクチンの購入及び初期拡散を監督した。後には、ブースター接種のキャンペーンを指南し、新型コロナ検査及び治療の開発と有用性を加速させる上で主要な役割を担った。こうした検査及び治療は、米国のウィルス封じ込め取り組みにおいて中核的要素となった。ケスラー氏は1月16日の週に正式に退任する。 Politico “David Kessler, top science officer for Biden’s Covid response, to depart” (1/13/23)

2020年の営利企業におけるイノベーションは低下

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)の国立科学工学統計センター(National Center for Science and Engineering Statistics:NCSES)と国勢調査局(Census Bureau)による「年間企業調査(Annual Business Survey: ABS)」の2020年版のデータによれば、米国内で少なくとも一名の従業員がいる営利目的企業約490万社のうち、約4分の1の企業が、2017-2019年にイノベーションを導入した。また、11%の企業が1つ以上の製品イノベーションを、22%の企業が1つ以上のビジネス・プロセス・イノベーションを導入している。ABSによるイノベーションの傾向として、営利目的の企業の間で総合的なイノベーションは低下しており、その割合は、30%(2016-2018年)から25%(2017-2019年)となっている。記事では、この他の傾向、業界別、企業の所有者の特徴、州別、製品イノベーションに取り組む企業とパートナー、イノベーションにおける障害などについて記述している。 National Center for Science and Engineering Statistics “Innovation Data from the 2020 Annual Business Survey” (12/28/22)

OSTP、「宇宙空間での保守・組立・製造」の国家実践計画を発表

大統領府科学技術政策局(Office of Science and Technology Policy: OSTP)は12月16日、「宇宙空間での保守・組立・製造(In-Space Servicing, Assembly and Manufacturing: ISAM)」の国家実践戦略(National ISAM Implementation Plan)を発表した。先に発表された「ISAM国家戦略(ISAM National Strategy)」で示された米国の戦略的ビジョンを進展させることを目指す。ISAMの能力には、米国の商業界及び労働者が、宇宙空間で目的物を建設、修復、輸送するという新たな機会をもたらす可能性がある。ISAM実践計画は、ISAM国家戦略の6つの目標を中心に作成されている。6つの目標とは、①ISAM研究開発の進展、②拡張可能なインフラの拡大を優先付ける、③新興のISAM商業界を加速させる、④国際協力及び共同作業を推進し、ISAMの目標達成を目指す、⑤ISAM能力の進展と共に、環境的持続可能性を優先付ける、⑥ISAMイノベーションの潜在的成果として多様な労働力を意欲付ける、である。 White House “White House Office of Science and Technology Policy Unveils National In-Space Servicing, Assembly and Manufacturing (ISAM) Implementation Plan” (12/16/22)

CHIPS法、米国半導体製造に既に2,000億ドルの民間投資を取り込み

米国の政策策定者は、2022年8月に「CHIPS及び科学法(CHIPS and Science Act)」を成立させたことで、米国内の半導体製造及びイノベーションへの投資誘致に歴史的な一歩を踏み出した。同法は既に米国の民間投資を刺激しており、それらは米国の経済、雇用創出、サプライチェーンの対応力強化につながることが期待されている。具体的に、2020年春にCHIPS法案が提出されてから法制化後の数か月に至るまでの間に、半導体関連企業が米国内の製造能力強化を目的とした数十件のプロジェクトを発表している。そのハイライトとして、①米国内で40件以上の半導体エコシステム・プロジェクトが発表された(新たな半導体製造施設の建設や既存拠点の拡大などを含む)、②米国内の製造能力強化を目的として、16州で約2,000億ドルの民間投資が発表された、③新規プロジェクトの一環として、半導体エコシステム内で、4万人以上の質の高い新規雇用が発表された、などがある。 Semiconductor Industry Association “The CHIPS Act Has Already Sparked $200 Billion in Private Investments for U.S. Semiconductor Production” (12/14/22)

マサチューセッツ州の次期知事、EPAのメリッサ・ホッファー氏を州で最初の気候責任官に任命

マサチューセッツ州の次期知事に選出されたモーラ・ヒーリー氏(Maura Healey)は12月19日、現在環境保護庁(Environmental Protection Agency: EPA)の主席副法務顧問(principal deputy general counsel)であるメリッサ・ホッファー氏(Melissa Hoffer)を、州として初の「気候責任官(climate chief)」に任命すると発表した。ヒーリー政権によれば、マサチューセッツ州は米国で初めて、閣僚レベルの「気候責任官」のポジションを設立する州である。このポジションにおいてホッファー氏は、州のあらゆる機関による気候政策を監督し、関連するすべての意思決定において気候変動が考慮されていることを確実にすることを責務とするという。ホッファー氏は、マサチューセッツ州内で気候と環境問題で知られた存在であり、同氏の任命が発表されると提唱団体から相次いで称賛の声が上がった。 wbur “Gov.-elect Healey taps EPA’s Melissa Hoffer as state’s first climate chief” (12/19/22)

Q-NEXT量子センター、量子情報技術の開発へ向けたロードマップを発表

新興の量子情報科学(quantum information science: QIS)分野の技術開発は急速に進んでおり、これには、超精密量子センサーやパワフルな量子コンピュータ、これらの機械を結びつける量子通信が含まれる。これらの機器を開発するガイドとすべく、エネルギー省(Department of Energy)傘下のアルゴンヌ国立研究所(Argonne National Laboratory)が主導する国立量子情報科学研究センター(National Quantum Information Science Research Center)のQ-NEXTは今般、「量子相互接続へ向けたロードマップ(A Roadmap for Quantum Interconnects)」と題する報告書を発表した。本ロードマップは、量子情報を拡散するために今後10~15年間で必要とされる研究及び科学的発見を概説したもので、システム間及び遠隔地間における量子情報を結びつけてそれらを拡散し、量子コンピューティングや通信、検知を実現する量子相互接続機器に具体的な焦点を当てている。 Argonne National Laboratory “Q-NEXT quantum center releases roadmap for the development of quantum information technologies ” (12/14/22)

GAO、最高データ責任官評議会について報告

政府説明責任局(Government Accountability Office: GAO)は12月15日、「最高データ責任官:連邦による証拠ベースの政策策定の強化における進展(Chief Data Officer Council: Progress in Strengthening Federal Evidence-Based Policymaking)」と題する報告書を発表した。連邦政府は2019年に、各連邦機関に「最高データ責任官(Chief Data Officer)」のポジションを設置すると共に、これらの高官及びその他の高官で構成される政府全体の評議会を新設した。それ以来、最高データ責任官評議会(Chief Data Officer Council)は、連邦政府がデータを収集及び使用する方法の改善に取り組み、連邦機関はその取り組みを強化してきている。一例として、同評議会は2021年6月に、連邦職員のデータスキルを強化する一助として、訓練開発ガイドを発表した。 Government Accountability Office “Chief Data Officer Council: Progress in Strengthening Federal Evidence-Based Policymaking” (12/15/22)

パンデミックの中、技術系企業が多い地域は経済活性

連邦経済分析局(Bureau of Economic Analysis)が12月に発表した郡別経済生産高(GDP)データを分析した「ステートライン(Stateline)」によれば、カリフォルニア州シリコンバレーやワシントン州シアトル、テキサス州オースティン周辺の技術系企業が多く存在する郡は、新型コロナのパンデミックが加速する中、経済ブームを経験していたことが明らかになった。ただしリモートワーク用ソフトウェアや、食事の配達、ストリーミング配信への消費者需要が低下する中、こうした経済ブームの勢いは既に弱まりつつある。2019-2021年を対象に行われた分析によれば、同期間に実質GDPが最も急増したのはサンタクララ郡で、19%増加した。次いでオースティンのトラヴィス郡が14%、シアトルのキング郡が13%増加した。 Pew Charitable Trusts “Tech Counties Boomed in Pandemic, New Data Shows” (12/13/22)

USPTO、癌ムーンショット迅速審査パイロット・プログラムを発表

米特許商標局(U.S. Patent & Trademark Office: USPTO)は12月9日、医療及分野のイノベーション加速を進展させることを目的として、「癌ムーンショット迅速審査パイロット・プログラム(Cancer Moonshot Expedited Examination Pilot Program)」を発表した。バイデン大統領の「癌ムーンショット(Cancer Moonshot)」イニシアチブを支える形で、2023年2月1日より、癌及び癌による死亡を予防する広範な技術の特許審査が迅速化される。適格の技術に関する特許出願は優先的に手続き、審査される。プログラムは2025年1月31日、または適格と認められる出願が1,000件に達した場合のいずれか早い日が期限となる。また、この新プログラムは、2016年に初めて導入され2023年1月31日に期限を迎える「癌免疫治療パイロット・プログラム(Cancer Immunotherapy Pilot Program)」(免疫療法を使った癌治療手法に関する適格の特許出願を対象に行われる迅速審査)に取って代わる。 U.S. Patent & Trademark Office “USPTO announces Cancer Moonshot Expedited Examination Pilot Program” (12/8/22)

業界、アリゾナ州の指導者が米国半導体ロードマップを発表

業界、学術機関、アリゾナ州の代表で構成される多様な同盟が12月8日、半導体業界における米国の競争力を高め、サプライチェーンの対応力を強化することを狙いとした基本計画「国家半導体経済ロードマップ(National Semiconductor Economic Roadmap: NSER)」を発表した。NSERは、業界主導の10カ年計画で、インフラ、サプライチェーン、労働力、起業という4つの領域で半導体のイノベーションを加速させることに焦点を当てている。アリゾナ商業公社(Arizona Commerce Authority: ACA)が発案し、ACAの委託を受けて業界のリーダー、学術機関、州機関、ボストン・コンサルティング・グループ(Boston Consulting Group)によって策定された。キーファインディングとして、①投資を引き付けるインフラ及びビジネス環境が整備されている州は、NSERにとって重要である(アリゾナ州には半導体製造の歴史があり、最近はインテル社(Intel)とTSMC社が地域での新施設計画を発表した)、②過去5年間、現行及び将来の有技能人材の需要が満たされるか否かは、業界リーダーにとって大きな懸念となっている、などが挙げられている。 Arizona Commerce Authority “NATIONAL SEMICONDUCTOR ECONOMIC ROADMAP” (12/8/22)