ITIF、「IT製品の関税を廃止する貿易協定の拡大により、10年間で7,660億ドルが世界経済に追加」と試算

情報技術(IT)は、拡大し続ける様々な製品の中核にあるが、情報技術協定(Information Technology Agreement: ITA)(情報関連機器・部品に対する関税を撤廃する貿易協定)は2015年以来更新されていない。このITAをいわゆる「ITA-3」に拡大し、400件以上の個別の製品を対象に含めることで、今後10年間で更に7,500億ドル以上が世界経済にもたらされると、情報技術・イノベーション財団(Information Technology & Innovation Foundation: ITIF)は報告している。ITIFは、「ITAは、世界貿易機関(World Trade Organization: WTO)による最も成功した協定の一つである」としている。ITAは1996年に最初に署名され、現在は82か国が署名している。2015年にITAが拡大された際には53か国が署名に加わり、201件のIT部品やコンポーネント、最終製品について世界で更に1兆3,000億ドルの関税が排除された。技術の進化に伴い、関係機関は、ITAに含まれる可能性がある候補品として、新たに300件以上の製品コードを特定、これには400件以上の個別のIT製品が含まれる。ITIFの報告書は、潜在的なITA-3が欧州連合(EU)及び21カ国に及ぼす経済的影響及び関税収入の影響について分析、報告している。 Information Technology & Innovation Foundation “Expanding the Trade Agreement That Eliminates Tariffs on IT Products Could Add $766 Billion Globally Over 10 Years, ITIF Estimates” (9/11/23)

「空軍省は人工知能の開発に投資し、試験と評価を優先付ける必要あり」との報告

米国アカデミー(National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine)が発表した報告書「空軍省向け人工知能活用型のシステムが試験と評価の課題(Test and Evaluation Challenges in Artificial Intelligence-Enabled Systems for the Department of the Air Force)」によれば、空軍省(Department of the Air Force: DAF)が人工知能(AI)を活用した能力を必要なスピードと規模で統合するには、AIのガバナンスや労働力、研究開発、デジタルインフラ、試験と評価のプロセス、実験、調整された標準と慣行に、即時かつ継続的な投資をコミットする必要がある。将来的なAI活用型の能力には、偵察とパターンの検知、ターゲットの特定と追跡、サイバー攻撃の検知と予防などが含まれる。報告書は、空軍長官が、「AIの試験と評価の提唱者」となる軍高官もしくは上級高官を正式に任命し、AI独特の課題に対処することなどを勧告している。また、DAFが新たなAI活用型能力に正当な自信を確保できるよう、DAFとその試験コミュニティは、できるだけ早く、AIに特化した試験と評価の政策及び手順を策定、通達する必要があると指摘している。 National Academies “U.S. Department of the Air Force Must Invest in Artificial Intelligence Development, Prioritize Test and Evaluation, Says New Report” (9/7/23)

DARPA、AIを用いた教育ツールの更なる開発に取り組むチームを選出

国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Project Agency: DARPA)は、昨秋に始まった競争的公募「成人学習のためのAIツール(AI Tools for Adult Learning)」の一部として、ソリューションの更なる開発に取り組むチームに合計75万ドルを提供した。本件は、現在及び将来の国家安全保障労働力に必要な複雑なトピックを学習する成人を支援することに焦点を当てたもの。米国は、高度に技術的な分野(サイバーセキュリティやAIなど)で増大する求人を補充するため、労働者のアップスキル及びリスキルが必要となっている。人的教員に依存する現行の教育プログラムは費用高だが、AIそのものが、人々が迅速かつ効率的に学習でき、全ての学習者がアクセスできる手段となり得ることを多くのデータが示している。今回、1万人以上のユーザーを対象としたプラットフォームの確立に取り組む2チームに各25万ドルが、一定のユーザーを対象とした最小限の製品に取り組む1チームに10万ドルが、本取り組みの初期段階にある3チームに各5万ドルが提供された。 Defense Advanced Research Project Agency “AI-Powered Education Tools Chosen for Further Development” (9/7/23)

NSF、新設される4件の科学技術センターに1億2,000万ドルを発表

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)は、新設される4件の科学技術センター(Science and Technology Centers: STCs)に5年間で1億2,000万ドルの投資を行うと発表した。「STC:統合パートナーシップ(STC: Integrative Partnerships)」プログラムは1987年の開始以来、卓越した革新的で複雑な研究・教育プロジェクトを支援し、科学工学の新たな分野を切り開いたり、画期的技術を開発することにつなげている。STCは、高等教育機関や国立研究所、業界組織、その他の官民事業体の間のパートナーシップや国際的な共同作業を通じて世界クラスの研究を実施している。学問分野間で画期的な調査を実施したり、学問分野内で高度に革新的な手法を実施するための手段を提供すると共に、STEM分野で少数派となっているグループの次世代科学者及び工学者の関与やリクルート、維持、メンタリングを行う。今回選出されたのは、定量的細胞生物学や複合粒子などを対象としたSTC。現在、米国内にはこの他に13件のSTCがある。 National Science Foundation “NSF announces $120 million in funding to create 4 new Science and Technology Centers” (9/7/23)

国防総省、AIによる検知システムを導入して首都空域を監視へ

米国首都ワシントンDCの空域保護を目的として、人工知能(AI)による空域監視システムが間もなく導入される見込みである。このシステムは更に、国防総省(Department of Defense)及び米政府の施設やシステムにも拡大される可能性を有している。国防イノベーション・ユニット(Defense Innovation Unit: DIU)とパートナーを組み、商業ソリューションを活用して迅速なプロトタイプ開発に取り組む国家首都地域総合空域防衛システム(National Capital Region-Integrated Air Defense System)プログラムを監督する戦闘制御システム(Battle Control Systems)の高官によれば、このシステムの視覚認識、特定、警告の能力は、同時多発テロ事件の頃の性能に比べると10倍とされる。18カ月に及ぶプロトタイプ実証が4月に完了した後、国防総省の非伝統的契約業者であるテレイドスコープ社(Teleidoscope)に初めて契約が発注された。契約は、1億ドルを上限とした生産契約である。システムは既に発注されており、年内に導入予定となっている。 Department of Defense “DOD Will Deploy AI-Enabled Detection System to Monitor D.C. Airspace” (8/28/23)

米・インドー太平洋司令部(INDOPACOM)、業界と国防総省のイノベーション努力を結びつける総局を新設

米・インドー太平洋司令部(US Indo-Pacific Command)の司令官であるジョン・アキリノ大将(Adm. John Aquilino)は8月28日、司令部の下に新設される「合同ミッション・アクセラレータ総局(Joint Mission Accelerator Directorate)」によって、業界と、軍の主要なイノベーション・プログラム及び取り組みとの結びつきがより容易になることを期待していると語った。アキリノ氏は、新総局の重要な点は、インプットではなく成果であり、研究及び工学担当国防次官、国防総省の首席デジタル及び人工知能局、最高情報責任官などのチームが関与すると付け加えた。新総局の詳細の多くは明らかになっていないが、アキリノ氏は、国防総省と業界のプレイヤーをINDOPACOMの重要なミッション上のニーズにより良い形で結びつけるための人材登用で、国防イノベーション・ユニット(Defense Innovation Unit)のダグ・ベック長官(Doug Beck)(Director)が役割を担うと述べた。 Breaking Defense “INDOPACOM stands up new directorate to better connect industry, DoD innovation efforts” (8/28/23)

NSF、「地球及び環境科学のためのシンクロトロン」施設へのアワードを発表

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)は、シカゴ大学(University of Chicago)による「地球及び環境科学のためのシンクロトロン(Synchrotron for Earth and Environmental Science: SEES)」施設の運営に、3,500万ドルのアワードを発表した。SEES施設は、シンクロトロンをベースとした実験及び分析能力へのユーザー・アクセスの開発、管理、運用、サポートを行う。シンクロトロンは、分子の構造及び化学的特性の研究を目的として、超高速で粒子ビームを加速する。シンクロトロンは、米国内ではエネルギー省(Department of Energy)によって運用されており、毎年、数百名の地球科学者に研究能力を提供している。今回の新たな施設は、国内にあるシンクロトロン・ビーム・ソースの様々な分析機器能力へのアクセスを提供する一助となる。SEESは、シカゴ大学とのパートナーシップとなるだけなく、NSFとエネルギー省のパートナーシップともなる。SEESは、エネルギー省傘下の国立研究所にあるビームラインへのアクセスを可能にするものである。 National Science Foundation “NSF announces new award for the Synchrotron for Earth and Environmental Science facility” (9/1/23)

エネルギー省、航空機の排出削減につながる技術開発プロジェクトを発表

航空機から排出される水蒸気が高い上空で周囲の冷たく湿った空気と混ざると発生する飛行機雲は、一定の大気の条件の下で、「航空機誘発型巻雲(aircraft-induced cirrus : AIC)と呼ばれる持続性のある雲になる。複数の研究が、このAICは、二酸化炭素の排出と同じようなレベルで大気を変える要因となる可能性があることを示唆している。こうした中、エネルギー省(Department of Energy)は8月29日、航空機が環境に及ぼす影響を削減する新たな技術とツールの開発に取り組む5件のプロジェクトに1,000万ドルを提供すると発表した。これは、エネルギー高等研究局(Advanced Research Projects Agency-Energy: ARPA-E)による予備的トピック(Exploratory Topic)-「空上での航空機誘発型飛行機雲を削減する予測的リアルタイム排出技術(Predictive Real-time Emissions Technologies Reducing Aircraft Induced Lines in the Sky: PRE-TRAILS)」で、GEリサーチ社(GE Research)、ノースロップ・グラマン・システムズ社(Northrop Grumman Systems Corporation)などによる5件のプロジェクトが選出された。 Advanced Research Projects Agency-Energy “U.S. Department of Energy Announces Projects Developing Technologies to Mitigate Aviation Emissions” (8/29/23)

医療と医薬における新興科学、技術、イノベーションと公平性の整合を呼びかける報告書

米国アカデミー(National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine)及び米国医学アカデミー(National Academy of Medicine)は今般、「医療と医薬における公平なイノベーションへ向けて:一つの枠組み(Toward Equitable Innovation in Health and Medicine: A Framework)」と題する報告書を発表し、新興の科学・技術・イノベーションと公平性を整合させるためのガバナンス枠組みを提示した。遺伝子編集や再生医療、人工知能(AI)などのイノベーションが臨床及び日常生活でますます使用される中、これらの技術の潜在的な恩恵を公平に分散するための新たな枠組みが必要とされている。報告書は、大統領府科学技術政策局(Office of Science and Technology Policy: OSTP)がこの新たなガバナンス枠組みの採用に関して連邦省庁機関にガイダンスを提供すること、新たな「バイオ医療イノベーションにおける公平性作業部会(Equity in Biomedical innovation Task Force)」を招集すること、イノベーション文化の新たな方向性を定めることなどを勧告している。 National Academies “Report Calls for U.S. to Align Equity and Emerging Science, Technology, and Innovation in Health and Medicine” (8/22/23)

オーク・リッジ国立研究所、INTERSECTイニシアチブを通じてオートノマスの未来のラボを立ち上げ

オートノマス・ラボは、科学的調査の在り方を変えつつある。実験におけるすべての側面を人間が手動で調整するのではなく、プログラムされた機器が必要な機能を実行する。こうしたワークフローによって、研究者が行う単調な作業の数は減り、発見のペースは速まる。これらのラボが創出されるのに伴い、研究者や実験機械、人工知能(AI)の枠組みで構成されるソフトウェア・インフラが開発される必要がある。こうしたニーズに対応するため、エネルギー省(Department of Energy)のオーク・リッジ国立研究所(Oak Ridge National Laboratory)は2022年に、「相互接続型科学エコシステム(Interconnected Science Ecosystem Initiative: INTERSECT)」を開始した。このイニシアチブによって、化学における基礎的発見、量子情報科学など6つの高インパクトな応用をターゲットとしたオートノマス・ラボが設立された。このイニシアチブを通じて、複雑な機能を自動的に実施・完了する能力を備えた機器へのアクセスは高まったが、これらのラボや設備の未来的特徴は、自動化システムが研究者に取って代わることを意味するものではない。INTERSECTイニシアチブの担当幹部は、「我々は、研究者の時間を最大限に生かし、現行では入手できない新たな科学的発見を可能にする強力なツールを提供している」と述べる。 Oak Ridge National Laboratory “INTERSECT launches autonomous ‘labs of the future’” (8/24/23)