南極の研究は依然として国家安全保障及び経済面において重要

米国アカデミー(National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine)は今般、「南極海及び南極沿岸・海岸の研究に関する将来の方向性(Future Directions for Southern Ocean and Antarctic Nearshore and Coastal Research)」と題する報告書を発表した。報告書は、気候変動への関連性を中心に、地球の海洋及び気候システムの重要な側面に関する研究にとって、南極海及び沿岸にアクセスすることの重要性を概説している。米国の研究者が利用できるインフラは老朽化しており、置換の必要があること、継続かつ拡大されつつある米国の研究及び技術的な関心事項を支える新たな砕氷研究船やその他の設備を含める必要があることを主張している。報告書は、国家安全保障及び経済的な観点からこれらの地域における米国研究の頑強な存在は重要であるとし、研究を牽引する科学的テーマ(①世界の海水面の上昇、②地球の炭素サイクル、③変化する生態系)及び関連する研究優先事項を挙げて、短期的に重要なインフラ及びプログラムへの投資を更新する必要があると述べた。特に、ポーラー・クラス3 南極大陸研究船舶(Polar Class 3 Antarctica Research Vessel: ARV)への投資の重要性を指摘している。 National Academies “Antarctic Research Remains Critical to National Security and Economic Interests; U.S. Investment in New Icebreaker and Other Infrastructure Is Essential, Says Report” (10/20/23)

ニューヨーク市、「スマート・シティ試験」を開始

ニューヨーク市の技術・イノベーション局(Office of Technology and Innovation: OTI)は10月11日、「NYCスマート・シティ試験プログラム(NYC Smart City Testbed Program)」を開始した。新興技術を試験的に使用する新たな方法で、市の当局が、新興技術を開発する企業及び学術機関と共同で、主として公共スペースを使ってその運用を試験する取り組みである。市は、プログラムを通じて、最良の技術やその使用方法について、情報に基づく判断をすることができる。試験プログラムの具体的な流れは次の通り。①試験プログラムへの参加承認は順次行われ、四半期ごとに2件のプロジェクトが選出される、②試験事業は6~9か月間にわたって行なわれ、事業者が事業費用を負担する一方、市の資産や技術支援、パートナーシップなどへのアクセスを得る、③試験事業は市民や市からフィードバックも得る。OTIはまた、最初の試験事業となる3件のプロジェクトも発表した。 Smart Cities Dive “NYC launches ‘smart city testbed’: Here are the first 3 pilot technologies” (10/12/23)

FDA、デジタル医療技術に関する新たな諮問委員会を発足

食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)は10月11日、新たに「デジタル医療諮問委員会(Digital Health Advisory Committee)」を発足させると発表した。同諮問委員会は、人工知能(AI)及び機械学習、拡張現実、仮想現実、デジタル治療、ウェアラブル、患者の遠隔モニター、ソフトウェアなどのデジタル医療技術(digital health technologies: DHTs)に関連する複雑な科学的及び技術的問題を検討するFDAを支援する。デジタル医療諮問委員会は、FDAに、DHTに関する問題について助言を行い、該当する専門性や見解を提供してDHTの使用に伴う恩恵やリスク、臨床アウトカムに関する理解を向上させる助けとする。諮問委員会は、2024年に本格始動する予定で、9名の投票権を持つ中核メンバー(委員長を含む)で構成される。また、特定の会合に招集される暫定メンバーの人数は会合のトピックに応じて決まる。 Food and Drug Administration “FDA Establishes New Advisory Committee on Digital Health Technologies” (10/11/23)

宇宙軍、「プロジェクト・アポロ」技術ハブへのプロポーザルを募集

宇宙軍(Space Force)は、コロラド州コロラド・スプリングをベースとする技術ハブで行われる宇宙領域認識プロジェクト「プロジェクト・アポロ(Project Apollo)」の第1ラウンドに参加する企業及び大学からのプロポーザルを募集している。プロジェクト・アポロは、宇宙における物体を特定及び追跡する軍の能力を向上させることに焦点を当てた技術アクセラレータ・プログラムで、3か月のイノベーション・サイクルが10月26日にスタートする。初期のプロジェクトは、宇宙発射管理、物体の特定、判断補助の3つの分野における能力の溝を対象とする。「プロジェクト・アポロは、ツールやデータに優れたサンドボックスを業界や学術機関、政府に提供することで、ソリューションの考案、試験、証明を早急に行い、これらの溝を是正することを狙いとしている」と、宇宙システム司令部(Space Systems Command)は説明する。 Defense News “Space Force seeks proposals for Project Apollo technology hub” (10/11/23)

米国の年間クリーンエネルギー投資は37%増加

ロジウム・グループ(Rhodium Group)とマサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology: MIT)の報告によれば、米国におけるクリーンエネルギー移行へのコミットメントは急激に増加し続けており、クリーンエネルギーやクリーン輸送、建設、電気化、炭素管理への投資合計は、過去1年間で2,130億ドルに達した(2022年7月1日~2023年6月30日)。2,130億ドルという投資額は、前年(2021-2022年)の1,550億ドルから37%の急増である。クリーン投資は毎年力強い増加を示し続け、2028-2019年期の投資合計額は810億ドルであったが、その後毎年急増している。近年は、国内のクリーンエネルギー技術製造への焦点が高まっており、手厚い税クレジット及びインセンティブが誘因の一つとなっている。2022-2023年の製造投資は390億ドルに達し、前回の報告(170億ドル)の2倍以上となっている。 pv magazine “Annual U.S. clean energy investment grows 37%” (10/17/23)

ユーティリティ機関におけるクリーンエネルギーの取り組み、依然として遅れ

シエラ・クラブ(Sierra Club)による新たな報告「汚れた真実:ユーティリティ機関の気候誓約について(The Dirty Truth: About Utility Climate Pledges)」によれば、気候変動がもたらす損害に対処するために必要な行動を実際に起こしている米国のユーティリティ機関はほとんどない。昨年成立した「インフレ低減法(Inflation Reduction Act)」で、数百億ドルのクリーン・エネルギーへのインセンティブが創設された中、ユーティリティ機関がその取り組みを遅延する言い訳は更に少なくなっていると、報告書は結んでいる。報告書は、「電力部門の排出を2030年までに2005年の水準と比べて80%削減する」というバイデン政権の誓約に対して、どれほど多くのユーティリティ機関がその準備ができていないかを示している。報告書は、シリーズの3回目となるもので、77の米国ユーティリティ機関を追跡しており、その50%は、既存もしくは計画されている石炭及び化石燃料発電所に最も重点的な投資を行っている。 Canary Media “Utilities still moving way too slow on clean energy” (10/16/23)

バイデン政権、イノベーションを促進し、製造を強化する31件の地域技術ハブを発表

バイデン大統領と商務省(Department of Commerce)のジーナ・レモンド長官(Gina Raimondo)は10月23日、商務省の経済開発局(Economic Development Administration)を通じて、31のコミュニティを、「地域イノベーション及び技術ハブ(Regional Innovation and Technology Hubs)」(通称「技術ハブ(Tech Hubs)」)として指定したと発表した。これらの技術ハブは、経済成長や国家安全保障、雇用創出にとって重要な技術への投資を促進し、米国の競争力にとって重要なイノベーション・センターとなることを支援する。技術ハブ・プログラムは、CHIPS・科学法(CHIPS and Science Act)によって承認された。31の技術ハブは、それぞれの地域で、半導体やクリーンエネルギー、重要鉱物、バイオテクノロジー、プレシジョン医薬、人工知能、量子コンピューティングなどの革新的産業を開発及び育成することに焦点を当てる。 Department of Commerce “FACT SHEET: Biden-⁠Harris Administration Announces 31 Regional Tech Hubs to Spur American Innovation, Strengthen Manufacturing, and Create Good-Paying Jobs in Every Region of the Country” (10/23/23)

エネルギー省、電力グリッドやクリーンエネルギーの導入等に過去最大の35億ドルを発表

バイデン大統領の「米国への投資(Investing in America)」議題の一環として、大統領府のインフラ実践調整官(Infrastructure Implementation Coordinator)であるミッチ・ランドリュー氏(Mitch Landrieu)と、エネルギー省(Department of Energy)のジェニファー・グランホルム長官(Jennifer M. Granholm)は10月18日、電力グリッドの対応力と信頼性の強化を目的として、58件(44州)のプロジェクトに34億6,000万ドルを投資すると発表した。超党派インフラ法(Bipartisan Infrastructure Law)からの資金拠出を受け、これらのプロジェクトは、官民による合計80億ドル以上の投資を活用し、手頃な費用のクリーン電力を米国民に届け、国内のコミュニティが、信頼性が高く、気候危機によって悪化する異常気象への備えができているグリッドを有していることを確実にする。これは、「グリッド対応力とイノベーション・パートナーシップ(Grid Resilience and Innovation Partnerships: GRIP)」プログラムで、エネルギー省のグリッド配備局(Grid Deployment Office)が管理運営し、気候変動によって悪化する自然災害と異常気象の影響を削減するために電力グリッドを近代化する活動、電力システムの柔軟性/効率性/信頼性を高める活動(ソーラー/風力/その他のクリーン・エネルギーを活用することと、山火事につながる可能性がある過失の削減に具体的な焦点を当てる)などに資金を提供する。 Department of Energy “Biden-Harris Administration Announces $3.5 Billion for Largest Ever Investment in America’s Electric Grid, Deploying More Clean Energy, Lowering Costs, and Creating Union Jobs” (10/18/23)

FWD.US社、米国半導体業界に留学生雇用を提言

FWD.US社の新たな分析によれば、今学業年度に、米国の大学で半導体関連のコンピュータ科学及び工学分野で先端学位を取得する海外留学生は5,000人おり、こうした有技能大学卒業生は、米国の半導体業界の障害となっている慢性的な人材不足を解決する一助となり得るという。米国で教育を受けたSTEM専門家を維持することを怠れば、製造への大型投資を危険にさらし、人材を巡る世界的な競争での米国の立場を更に弱め、米国生まれの労働者がこの業界で働く機会を閉ざす可能性がある。「技能を持つこれらの個人を引き付け、維持する政策を実施することで、米国はイノベーションを押し上げ、先端分野におけるリーダーシップを確固たるものにし、国家安全保障を強化することができる」とFWD.US社は主張する。 FWD.US “The U.S. Semiconductor Industry Needs Skilled Workers for Thousands of Open Jobs.” (10/11/23)

国防総省、バイオファブリケーション労働力を構築へ

国防総省(Department of Defense)がスポンサーとなる製造イノベーション研究所(Manufacturing Innovation Institute)の「バイオファブUSA(BioFabUSA)」は先般、「バイオファブリケーション技術者登録見習いプログラム(Biofabrication Technician Registered Apprenticeship Program)」を通じて、米国の労働力に、バイオファブリケーション部門でのキャリアにとって重要なスキルと知識を身に付けさせつつ、今後数十年間に国防総省が直面する科学的及び技術的課題への対処の一助とする取り組みを開始したことを発表した。バイオファブリケーションとは、生体細胞や基質、バイオマテリアルなどの生物学的原材料を用いて新規の設備を製造するもので、バイオテクノロジー傘下の重要分野の一つとなっている。バイオファブUSAの見習いプログラムはまず、退役兵との関与に焦点を当てる。プログラムの参加者は、「登録見習いプログラム(Registered Apprenticeship Program)」か、「組み込み式認定プログラム(Embedded Certificate Program)」のいずれかに配置され、就職に必要となるスキルを学ぶことになる。 Department of Defense “Building the U.S. Biofabrication Workforce Through the BioFabUSA Apprenticeship Program” (10/10/23)