ITIF、「中国への半導体輸出の制限は米国競争力を低下」と分析

バイデン政権が中国への半導体輸出管理の強化を提案したことを受け、情報技術・イノベーション財団(Information Technology & Innovation Foundation: ITIF)は、声明を発表した。この中で、「米国政府関係者が、半導体及び先端半導体製造機器の輸出管理を、中国の進展を制限する重要な兵器としてみなしている。米政権は昨年10月に中国の先端半導体生産能力を制限する大幅な輸出規制を発表し、本日(10月17日)には輸出規制を強化する提案を行った。しかし、中国への半導体販売を制限することは、中国国内におけるイノベーションを更に促進し、米国および同盟国の企業の売上を低減させることから、米国と同盟国の半導体競争力を大幅に削減するリスクがある」と警鐘を鳴らしている。 Information Technology & Innovation Foundation “Limiting Sales of Semiconductors to China Will Reduce U.S. Competitiveness, Says ITIF” (10/17/23)

ハーバード大学研究者、自然保護を重視したソーラーパネル設置を提唱

クリーンエネルギー移行において、ソーラーパネルが屋根上や駐車場、空き地などに数多く設置されるようになっている。マサチューセッツ州では、2050年までに温室効果ガス排出を正味ゼロにするという目標に到達するには、約5倍のソーラーエネルギーが必要となると試算されている。このような中、ハーバード大学(Harvard University)の「ハーバード・フォレスト(Harvard Forest)」の研究部長であるジョナサン・トンプソン氏(Jonathan Thompson)は、共同執筆した報告書「ソーラーの成長と自然の保護(Growing Solar, Protecting Nature)」の中で、過去多数のプロジェクトによって、炭素吸収能力のある森林地が更地となり、自然に不必要な損害をもたらし、環境的進展が削減されてきたかを詳述している。また報告書は、より優れた土地使用とインセンティブ政策を実施することで、更なる森林や農地を犠牲にせずに、クリーンエネルギー資源への移行を円滑にすることは可能であるとする。具体的な主要政策勧告として、①自然にとって重要な用地でのプロジェクトについては、「ソーラー・マサチューセッツ再生可能目標(Solar Massachusetts Renewable Target: SMART)」のインセンティブを廃止し、屋根上や開発済み用地におけるソーラーへのインセンティブを増やす、②屋根上などのソーラープロジェクトのコストを低減するための手法に投資する、などを挙げている。 Harvard University “More solar energy needed, but clearing forests for panels may not be way to do it” (10/13/23)

エネルギー省、米国製造部門での循環経済技術進展に約1,000万ドルを提供

エネルギー省(Department of Energy)及び「マテリアル製造における内包的エネルギーの削減と排出の削減(Reducing EMbodied energy And Decreasing Emissions: REMADE)研究所(REMADE Institute)」は10月18日、循環経済を後押しし、産業規模のマテリアル生産・加工に伴う内包的なエネルギー及び炭素排出を劇的に削減する技術を加速させるため、14件のプロジェクトに合計980万ドルの研究開発資金を提供すると発表した。これらのプロジェクトを通じて、こうした技術の開発と導入を米国製造業のエコシステム内で完成させるために必要な業界の投資を促進することが期待されている。今回の資金提供ラウンドは、①業界主導の変革的なプロジェクト、②伝統的な研究開発プロジェクト、の2つの分野で、プロジェクトが選出された。 Department of Energy “Department of Energy Selects 14 Projects to Receive Nearly $10 Million to Advance Circular Economy Technologies Across the U.S. Manufacturing Sector” (10/18/23)

米国アカデミー、米国の正味ゼロ目標に到達するための包括的計画を提示

米国アカデミー(National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine)は今般、「米国の脱炭素化の加速(Accelerating Decarbonization in the United States)」と題する報告書を発表した。報告書は、米国が、2050年までの正味ゼロ炭素排出目標を実現し、全ての米国民が公平かつ公正なエネルギー移行の恩恵を得られるようにするための包括的計画を策定する上で、一連の勧告を提示したもの。本報告書は、エネルギー・システムの脱炭素化へ向けた米国の移行を2回にわたって分析するシリーズの2つ目となる。1つ目の報告書は、今後10年間の技術的及び連邦政策上の計画を提示した。今回の報告書は、エネルギー正義及び公平性、公衆衛生、労働力、一般の関与、クリーン電力、建築環境、土地利用、輸送、産業脱炭素化、金融部門、化石燃料の未来、州及び地方自治体の役割について対処しており、鍵となるテーマとして、①気候政策ポートフォリオの拡大、②公平性/正義/健康の確保、③米国電力システムの強化、などが浮上している。 National Academies “New Report Provides Comprehensive Plan to Meet U.S. Net-Zero Goals and Ensure Fair and Equitable Energy Transition” (10/17/23)

国土安全保障省科学技術総局、違法フェンタニル対策のためのイノベーションを模索

国土安全保障省(Department of Homeland Security: DHS)の科学技術総局(Science and Technology Directorate: S&T)は、正当な貨物の輸送を迅速に行いつつ、違法貨物を効果的に取り締まることができる革新的な手法を模索する「情報の要請(Request for Information: RFI)」を発表した。S&Tは、輸出・輸入貨物の双方と、フェンタニルの原材料や製造機械、最終品が含まれる可能性があるサプライチェーンや貿易ルートの保護を狙っている。今回のRFIで収集された情報は、フェンタニルの米国への違法越境を防止するための投資に関する戦略的計画の参考される。なお、米国史上、前代未聞の事態として、疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention: CDC)は、「薬物の過剰摂取により、一年間で10万人以上が死亡し、その3分の2は、フェンタニルなどの合成オピオイドと関連している」と報告している。 Department of Homeland Security “News Release: DHS S&T Seeks Innovations to Target Illegal Cargo in the Fight Against Illicit Fentanyl” (10/19/23)

NSF、地球科学におけるオープンで公平な研究を進展

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)は、地球科学におけるオープンで公平な研究を支援するため、1,040万ドルを投資する。これは、連邦政府による「2023年オープン科学年(2023 Year of Open Science)」の目標と整合するものである。具体的に、NSFは、「地球科学オープン科学エコシステム(Geosciences Open Science Ecosystem: GEO OSE)」プログラムを通じて、持続可能でネットワーク化されたオープン科学活動を支援するため、12件の新規プロジェクトに資金を拠出する。本プログラムは、データ/物理的な収集物/ソフトウェア/先端コンピューティング/その他の資源への包含的なアクセスによるエコシステムを育成し、地球科学の研究及び教育の進展へつなげる。GEO OSEは、①初期ステージのGEO OSE活動の進展に取り組むトラック1(Track 1)(6件)と、②GEO OSE資源のエコシステムにアクセス性と持続可能性を備えることを狙いとした大規模活動の進展に取り組むトラック2(Track 2)(6件)で構成される。 National Science Foundation “NSF funds 12 projects to advance open and equitable research in the geosciences” (10/20/23)

エネルギー省、「より良い建造物イニシアチブ」立ち上げ以降、185億ドルを節約

エネルギー省(Department of Energy)は10月23日、「2023年 より良い建造物イニシアチブ進捗報告(2023 Better Buildings Initiative Progress Report)」を発表した。報告書は、2011年のイニシアチブ立ち上げ以来、官民パートナーが実現した達成をまとめたもので、900以上の組織(企業、州及び地方自治体、ユーティリティ機関、住宅当局、その他の官民組織)が、エネルギー効率の改善や有害な二酸化炭素排出の削減を通じて、これまでに合計185億ドルを節約したことを示している。報告書にはまた、主要な建造物ポートフォリオの所有者及び産業パートナーが温室効果ガスの排出を10年以内に50%削減することを競う「より良い気候チャレンジ(Better Climate Challenge)」の結果も含まれている。 Department of Energy “DOE Announces $18.5 Billion In Energy Savings and Celebrates First Year Results of Better Climate Challenge” (10/23/23)

オートノミー向上のためのモデリングとシミュレーションに関する新たな一歩

国防総省(Department of Defense)のプラットフォーム向けに、忠実性の高い環境でモデル訓練を行うには数か月から数年を要し、また、モデリングとシミュレーションを通じて学習するオートノマスは、現実の世界で未知の状況に直面すると脆弱になる。この脆弱性は、「シミュレーション・トゥ・リアル(simulation-to-real: sim-to-real)の溝」として知られている。このような中、国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Project Agency: DARPA)は、「共通のセマンティクス(関与規定など)を活用して、多様で忠実性の低いシミュレーションでオートノミーの学習と移行をすることで、シミュレーションから現実へのオートノミーの移行がより早急にできる可能性がある」と考えている(伝統的な手法で数週間・数か月かかるところを一日でできるかもしれないと期待)。このため、DAPRAでは「不正確で抽象的なモデルをオートノマスへ移行する技術(Transfer from Imprecise and Abstract Models to Autonomous Technologies)」プログラムを立ち上げ、こうした理論を試験へつなげるプロポーザルを募集している。 Defense Advanced Research Project Agency “A New Take on Modeling & Simulation for Improved Autonomy” (10/17/23)

DARPA、需給ネットワーク対応力を強化

国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Project Agency: DARPA)は国防総省(Department of Defense)及びその商業パートナーが様々な需給ネットワークにおける体系的な対応力を強化することを支援するための新たなツールと分析能力の開発に取り組む3チームを選出した。こうしたネットワーク・システムは、オープンかつ複雑で進化し続け、採鉱者、設計者、製造事業者、マーケット担当者、輸送業者、法律家、保険会社などが含まれる。DARPAの「対応力のある需給ネットワーク(Resilient Supply-and-Demand Networks: RSDN)」のマネジャーであるマーク・フラッドそ氏(Mark Flood)によれば、収益性が意欲付けとなり、現代のサプライチェーンは効率的になったものの、脆弱である。そのため、本プログラムでは、需給ネットワークの効率性よりも、リスクと対応力に着目する。また、局所的な脆弱性よりもシステム規模で生じる問題に焦点を当てる計画である。今回選出されたチームは、現代のサプライチェーンにおける体系的な対応力を強化させる汎用的ツールキットの創出に取り組む。 Defense Advanced Research Project Agency “DARPA Selects Teams to Boost Supply-and-Demand Network Resiliency” (10/18/23)

NIH、グラントの審査プロセスを改正

国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)は、研究グラントの申請書評価において、科学的メリットを評価するプロセスを簡素化し、レビューに先入観をもたらす可能性がある要素を軽減するための策を講じる。この変更は、審査官が、提案されている研究が科学的知識を進展させ、人間の健康の向上につながる可能性に焦点を当てる助けと期待されている。具体的に、従来は、共通の尺度を使って個々に採点をする5つの基準があったが、簡素化したレビュー枠組みではこれらの基準が3つの要素に再編される。そのうち2つの要素(研究の重要性と、厳格さ及びフィージビリティ)は、共通の尺度を使って採点され、3つ目の要素(専門性と資源)は、十分性のみが評価の対象で、点数は付けられない。このように簡素化したレビュー枠組みは、2025年1月25日以降に受理されたグラント申請書に適用される。 National Institutes of Health “NIH revises grant review process to improve focus on scientific merit, reduce reputational bias” (10/19/23)