エネルギー省、高性能データ施設の主幹機関を選出

エネルギー省(Department of Energy)は10月16日、データ集約型科学のための先端インフラに特化した新たな科学ユーザー施設を創設する高性能データ施設(High Performance Data Facility: HPDF)ハブの選出を発表した。トーマス・ジェファーソン国立加速器施設(Thomas Jefferson National Accelerator Facility: JLab)がHPDFハブのディレクターとなり、主幹インフラはJLabに設置される。ハブ構築プロジェクトは、JLabとローレンス・バークレー国立研究所(Lawrence Berkeley National Laboratory: LBNL)のパートナーシップで実施され、両ラボで総合的なHPDFハブ設計を作成する合同プロジェクト・チームを形成する。HPDFは、DOEの野心的な総合研究インフラ(Integrated Research Infrastructure: IRI)プログラムを進展させる基盤となる国家資源として構想されている。 Department of Energy “U.S. Department of Energy Selects the High Performance Data Facility Lead” (10/16/23)

ITIF、米国の量子政策手法を解説

情報技術・イノベーション財団(Information Technology & Innovation Foundation: ITIF)のデータ・イノベーション・センター(Center for Data Innovation)は10月10日、「米国の量子政策手法(The U.S. Approach to Quantum Policy)」と題する報告書を発表した。報告書は、行政府及び立法府の双方において、量子情報科学(quantum information science: QIS)政策を形成するために近年行われている重要な措置について詳細に分析し、「2022年CHIPS及び科学法(CHIPS and Science Act of 2022)」がQIS政策にもたらした影響について記述している。また、米政府が量子における競争力を推進するために使用している4つの広範な政策分野について分析した上で、議会に10件の勧告を提示している。 Information Technology & Innovation Foundation “The U.S. Approach to Quantum Policy” (10/10/23)

ベンチャー・キャピタル市場は今だ不振

ピッチブック社(PitchBook)と全米ベンチャー・キャピタル協会(National Venture Capital Association: NVCA)による「2023年第3四半期ベンチャー・モニター(2023 Q3 PitchBook-NVCA Venture Monitor)」によれば、投資/投資家/新規株式公開におけるベンチャー・キャピタル市場のここ2年の不振は、今年第3四半期も続いている。これは、スタートアップ企業にとっては圧力となる。今年第4四半期以降、投資資金がスタートアップ企業にとってどれほど有益となるかは、下落傾向がパンデミック前の活動なみに落ち着くのか、それともベンチャー・キャピタル独自の景気後退へと続くのかによる。第3四半期報告によれば、確認された投資総数は9,962件で、確認が難しい最近の案件を含めると今年これまでに約1万2,000件の投資取引が行われたと試算され、最終的には2023年に約1万6,000件の投資取引に達する見込みとなっている。この見通しは、2022年の約1万7,500件、2021年の1万9,000件を下回るが、2019年及び2020年の約1万3,600件よりは多い。その他の報告点として、「非伝統的投資家」に不振が見られること(代表的なものは、法人ベンチャー・キャピタル)、新規株式公開の件数が低下していること(2021年1,035件、2022年181件、2023年はこれまでに128件)などが挙げられる。 SSTI “Data reveals VC market settling from pandemic boom. What will it mean for regional economies?” (10/19/23)

バイデン政権の技術標準戦略の解説

技術リーダーシップを巡って激化する競争で成功する一つの要素として、各国の企業と専門家が技術標準開発にどれほど影響を及ぼすことができるかという点があり、特に、米国の企業は、オープンで自発的で業界主導で総意をベースとする標準組織の規則を使用することに長けている。バイデン政権による「重要新興技術向け国家標準戦略(National Standards Strategy for Critical and Emerging Technologies: CET)」は、国際標準開発における米国のリーダーシップと競争力を強化することを狙いとしたもので、同戦略は、「中国の技術的能力の成長と国際標準設定議論への参加を受け、国際標準開発は変曲点にある」との認識を示している。このCET戦略に関して、情報技術・イノベーション財団(Information Technology & Innovation Foundation: ITIF)は、「戦略による対応には3つの主要な欠点がある」と指摘する。それらは、①極めて強大な国家安全保障の視点から技術標準を見ている、②米民間部門との誠実で真摯な関与が欠けている、③戦略が中国を主要な懸念と見ている点は正しいが、欧州連合(EU)による同様の取り組みに言及もしくは対処することを怠っている、の3点。そうした上で、ITIFは、戦略を実践する上で米国標準技術局(National Institute of Standards and Technology:NIST)が果たす役割の重要性を勧告している。 Information Technology & Innovation Foundation “Unpacking the Biden Administration’s Strategy for Technical Standards: The Good, the Bad, and Ideas for Improvement” (10/10/23)

DARPA、商業月インフラのための相互運用標準を加速

月探査は急速に拡大しており、今後十年間で月経済の活況が注目されるようになると予測されているが。将来の月エコシステムを支える上で、数多くの共有可能、拡張可能な商業システムが必要となることは明白であり、「それらのシステムはどのようにして相互運用されるのか?」という大きな疑問が生じている。こうした中、国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Project Agency: DARPA)は、「月インフラのガイドライン・コンソーシアム(Lunar Guidelines for Infrastructure Consortium: LOGIC)」を通じて、産官学の関係者を集め、重要な月インフラの相互運用性やインターフェースに関するニーズを特定する計画を発表した。そして、相互運用性の溝を是正するための運用ガイドライン及び方策をコミュニティが開発することを奨励することとなった。ジョンズホプキンス大学応用物理学研究所(Johns Hopkins University Applied Physics Laboratory)がLOGICを運営管理し、コンソーシアムの技術的リーダーシップと管理を提供する。LOGICは、恒久的かつ自立的かつ独立的なフォーラムとして、国際的な産官学が月経済全体の恩恵を目的として協力できる形を想定している。 Defense Advanced Research Project Agency “Accelerating Interoperability Standards for Commercial Lunar Infrastructure” (10/11/23)

DARPA、トラウマ研究向けデータセット開発に取り組むチームを選出

国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Project Agency: DARPA)による「医療的観測によるトラウマ研究インフラ(Research Infrastructure for Trauma with Medical Observations: RITMO)」プログラムは、負傷後早期のトラウマ患者から入手した多様なセンサー、介入措置、医療アウトカムの大規模データを、一つのデータベースに統合することを狙いとしている。個人を特定できないようにした患者データを使用することで、患者のプライバシーを確実に保護する。RITMOで収集されたデータは、厳しくかつ複雑で多数の負傷者がいる状況で、トリアージの意思決定を強化できる新規の生理学的兆候を特定することを目的としたDARPAの「トリアージ・チャレンジ(Triage Challenge)」プログラムにおいて利用される。メリーランド大学(University of Maryland)とピッツバーグ大学(University of Pittsburgh)によるチームがRITMOの実施者として選出された。 Defense Advanced Research Project Agency “Teams Developing Datasets to Support DARPA Triage Challenge” (10/11/23)

EPA、水システムのサイバー監査要件を撤回

環境保護庁(Environmental Protection Agency: EPA)は10月11日、国内の水システム・インフラに強力なサイバーセキュリティ・プロトコルを活用することを狙いとして今年3月に発表していたガイダンスを撤回すると発表した。このことは、州政府が公共の水システムに関するサイバーセキュリティの監査要件を順守する必要がなくなることを意味する。EPAの撤回は、この要件を巡って、ミズーリ、アーカンソー、アイオワの3州がEPAを提訴し、米国第8巡回控訴裁判所(U.S. Court of Appeals for the Eight Circuit)が7月に通達実施の一時停止を命じたことが要因である。方向性に変化は生じたものの、EPAは、「サイバーセキュリティ対策は、依然としてEPAの最優先事項の一つである。サイバー攻撃は引き続き水システムの運用に大きな脅威となっている」との見解を示している。 Nextgov “EPA withdraws cyber audit requirement for water systems” (10/13/23)

エネルギー省、国内の水力発電施設支援に3,800万ドル以上を発表

エネルギー省(Department of Energy)は10月11日、国内にある66の水力発電施設を対象に、それらで生産及び販売される電力へのインセンティブ支払いとして3,800万ドル以上を提供すると発表した。超党派インフラ法(Bipartisan Infrastructure Fund)からの資金拠出を受け、電力サービスが不十分となっている地域に所在する施設を考慮し、ダムやその他の水力インフラで生産及び販売される電力への支払い資金を提供する。これは、エネルギー省のグリッド配備局(Grid Deployment Office)が管理運営する「水力電力生産インセンティブ(Hydroelectric Production Incentives)」で、米国の水力発電の継続的運用を支援し、信頼性と対応力の高い電力グリッド・システムを確実にすることを目的として超党派インフラ法から拠出される包括的プログラム(7億5,000万ドル)の一部。エネルギー省はまた、「水力発電ビジョン・ロードマップ(Hydropower Vision Roadmap)」も発表した。 Department of Energy “Biden-Harris Administration Announces More Than $38 Million to Support Hydropower Facilities Across the Country” (10/11/23)

OSTP:ナノテクノロジー・インフラ・リーダー・サミットの要旨

大統領府科学技術政策局(Office of Science and Technology Policy: OSTP)と国家ナノテクノロジー調整局(National Nanotechnology Coordination Office: NNCO)は9月11日、ホワイトハウスでこの種としては初となる「ナノテクノロジー・インフラストラクチャー・リーダー・サミット(Nanotechnology Infrastructure Leaders Summit)」を招集した。会合には、35の異なるユーザー施設やオープン研究所、イノベーション業界の代表が参加した。こうした参加者は、よりシームレスな全国ネットワークの創出や、発見から商業化までのパイプラインの合理化について協議した他、教訓を共有し、共通に課題に対処するための戦略についてブレーンストーミングを行った。NNCOは今後もこうしたリーダー・グループと協力しながら、より深い共同作業へ向けた集合的な勢いを形成していくことに取り組む。 White House “Readout of the Nanotechnology Infrastructure Leaders Summit” (10/6/23)

米=シンガポール戦略的技術パートナーシップの強化

シンガポールのローレンス・ウォン副首相(Lawrence Wong)(Deputy Prime Minister)のワシントンDC訪問にあわせ、米国とシンガポールは、「米=シンガポール重要新興技術対話(U.S. – Singapore Critical and Emerging Technology (CET) Dialogue)」を開始した。両国の代表が参加し、ウォン副首相が開幕の講演を行った。双方は、科学的知識の最前線を前進させ、繁栄を推進し、東南アジア諸国連合(ASEAN)を中心としたインド=太平洋地域に公共の善を実現するため、研究/イノベーション/商業的な結びつきを強化する機会について協議した他、国家安全保障リスクを管理するための経済安全保障と技術保護措置についても議論した。そして、両国の技術パートナーシップを拡大、深化させるため、二国間のイニシアチブを開始することにコミットし、人工知能(AI)やデジタル経済、バイオテクノロジー、気候及び対応力のある重要インフラなどの領域での産官学の協力強化を歓迎した。 White House “FACT SHEET: Upgrading the U.S.-Singapore Strategic Technology Partnership” (10/12/23)