米国は世界最大の液化天然ガス輸出国(2023年)

米エネルギー情報局(Energy Information Administration: EIA)の「月間天然ガス(Natural Gas Monthly)」によれば、2023年に最も液化天然ガス(liquefied natural gas: LNG)を輸出した国は米国で、一日当たり平均11.9Bcf/dを輸出した。これは前年比12%(1.3Bcf/d)の増加となる。その次に輸出量が多かったのはオーストラリアとカタールで、2020年から2023年の間の年間輸出量は、10.1Bcf/d~10.5Bcf/dであった。米国のLNG輸出は、2023年2月にフリーポートLNG社(Freeport LNG)が再稼働し、4月までに全面生産となったことを受け、同年上半期に増加した。欧州における比較的強いLNG需要と、国際的な天然ガス高価格が、年間を通して米国のLNG輸出増を支えた。米国産LNGの最大輸入国は、オランダ、フランス、英国で、合計で米国のLNG輸出の35%を占める。アジアでは、日本と韓国が米国のLNG輸出の0.8Bcf/dを輸入し、米国のLNG輸出が多い4番目と5番目の国となった。 Energy Information Administration “The United States was the world’s largest liquefied natural gas exporter in 2023” (4/1/24)

分散型風力発電エネルギーによる「地元の価値」にスポットライト

信頼性が高く、手頃な費用で実施できる分散型風力発電は、インフレ低減法(Inflation Reduction Act)及び超党派インフラ法(Bipartisan Infrastructure Law)による資金提供とインセンティブを受け、これまでにない機会が生じつつある。こうした中、国立再生可能エネルギー研究所(National Renewable Energy Laboratory: NREL)は、企業や農家、住宅所有者、コミュニティがこの機会をオンサイト・エネルギーに転換できるよう、「全国分散型風力ネットワーク(National Distributed Wind Network)と、その補完となる「分散型風力エネルギー資源ハブ(Distributed Wind Energy Resource hub)」を開始した。これらの資源は、パシフィック・ノースウェスト国立研究所(Pacific Northwest National Laboratory: PNNL)との共同作業によって創出され、エネルギー省の風力エネルギー技術局(Wind Energy Technologies Office: WETO)の資金拠出を受けて実施されるもので、分散型風力タービンの設置に関心がある人々に、情報やツールなどを提供する。全国分散型風力ネットワークの初期の焦点は、農務省(U.S. Department of Agriculture)とエネルギー省の「再生可能エネルギーによる農村及び農業の所得と貯蓄イニシアチブ(Rural and Agricultural Income and & Savings from Renewable Energy (RAISE) initiative)」を支援することである。また、同ネットワークの主要な特徴となる分散型風力エネルギー資源ハブは、WETOのコミュニティ資源プラットフォーム、WINDエクスチェンジ(WINDExchange)に設置され、分散型風力発電の一般的な情報や、プロジェクトの資金調達や技術援助の機会、分散型風力エネルギー・プロジェクトの成功事例などについて情報を提供する。 National Renewable Energy Laboratory “New Resources Spotlight Distributed Wind Energy’s Local Value” (3/7/24)

水力発電への投資機会の時期到来

変動的な再生可能資源とグリッドの接続が増える中、確実かつ柔軟な再生可能電力で、需給バランスのための貯蔵の必要性は高まりつつある。その潜在的なソリューションの一つは水力発電である。水力発電はエネルギー及び貯蔵の信頼できるソースであると長期的に評価されているが、その点が逆に、「水力発電の投資機会は使い尽くされた」と人々が考える理由の一つとなっているかもしれない。しかし、実際にはそうではない。揚水式水力発電(pumped storage hydropower: PSH)を含め、水力発電には依然として大きな成長の可能性がある。国立再生可能エネルギー研究所(National Renewable Energy Laboratory: NREL)が作成した報告書「水力発電の投資と官民エコシステムの評価(Hydropower Investment and Public-Private Ecosystem Assessment)」は、中小規模の水力発電及びPSHプロジェクトへの投資のリスクと機会の双方について、包括的分析を提供している。報告書のキーファインディングとして、①中規模プロジェクトは、低インパクトな水力発電に大きな機会を提示している、②新たな技術イノベーションや、水力発電が開発可能な拠点の多様性は、将来の投資に潜在的機会を呈している、などが挙げられている。 National Renewable Energy Laboratory “New Report Shows It Is Time To Tap Into Hydropower Investment Opportunities” (3/13/24)

ソーラーの導入、2023年に急増

ソーラーエネルギー業界協会(Solar Energy Industries Association: SEIA)とウッド・マッキンゼー社(Wood Mackenzie)が3月6日に発表した「2023年の米国ソーラー市場洞察(U.S. Solar Market Insight 2023)」によれば、米国のソーラー業界は2023年に過去最高となる32.4ギガワット(GW)の新たな発電能力を追加した。これまでの過去最高だった2021年を37%、また昨年を51%上回る増加であった。ソーラーは、2023年にグリッドに追加された新規発電能力全体の53%を占めた。再生可能電力資源が年間の新規発電能力の50%以上を占めたのは、ここ80年間で初めてのことである。SEIAの社長兼最高経営責任者(CEO)のアビゲイル・ロス・ホーラー氏(Abigail Ross Holler)は、「連邦のクリーンエネルギー政策がこのまま進めば、全体的なソーラー導入は今後10年間で4倍になるだろう。インフレ低減法(Inflation Reduction Act)によって、ソーラー導入は勢いづき、我々の経済に大幅な影響がもたらされ、米国のソーラー・モジュール製造基盤は2023年に89%増加した」と述べる。 Solar Energy Industries Association “Solar Installations Skyrocket in 2023 in Record-Setting First Full Year of Inflation Reduction Act” (3/6/24)

国際的な研究者、風力エネルギー科学の大きな課題で新たな領域を模索

エネルギー省(Department of Energy)傘下の国立再生可能エネルギー研究所(National Renewable Energy Laboratory: NREL)の研究者が、世界的な業界及び学術機関の専門家と共に、「大きな課題の見直し:グローバルなエネルギー移行のための風力エネルギー研究のニーズ(Grand Challenges Revisited: Wind Energy Research Needs for a Global Energy Transition)」と題する報告書を発表した。これは、風力エネルギー研究の3つの大きな課題について概説した2019年の論文(サイエンス誌(Science)掲載)のフォローアップとなるものである。新たな報告書によれば、風力エネルギーは、世界中で最も急成長し、かつ最も低費用の資源の一つであり、炭素フリーのエネルギー・システムへの移行において重要な役割を担うと考えられているが、その成長は、大気物理学やタービン設計、グリッドの対応力、そして環境的ならびに社会的影響に関する慎重な検討によって計画される必要がある。そして、こうした課題に対するソリューションを見つけるには、あらゆる学問分野で専門家が協力することが求められる。新たな報告書は、風力エネルギーの課題を、当初の3つから拡大して5つ(風力大気科学、風力タービン・システム、風力プラント及びグリッド、環境的共同設計、社会科学)としている。 National Renewable Energy Laboratory “International Researchers Explore New Territory in the Grand Challenges of Wind Energy Science” (3/25/24)

英国、米エネルギー省の電子・イオン衝突型加速器プロジェクトに投資

エネルギー省(Department of Energy)独自の電子・イオン衝突型加速器(Electron-Ion Collider: EIC)は、物質の極小規模での構成要素について研究することを目的として、現在、ブルックヘイブン国立研究所(Brookhaven National Laboratory)で建設中の国際量子衝突器である。このEICが、英国の同等機関から大きな援助を得る。英国の科学・イノベーション・技術省(Department for Science, Innovation and Technology: DSIT)は、英国研究イノベーション・インフラ基金(UK Research and Innovation (UKRI) Infrastructure Fund)を通じて、EICの完成とその後の研究プログラムへ向け、研究開発及び大型設備の寄与に関与している英国人スタッフを支援することにコミットメントを表明した。DSITによる寄与は、エネルギー省の国際パートナーによる早期寄与の一つで、EICの新たな検出器及びインフラの開発を援助する。DSITによる7年間の経済的支援は、EICとの共同作業でパートナーとなる英国の研究所及び大学のコンソーシアムを支援する。UKRIは、EICの新たな検出器及び加速器インフラの開発に7,420万ドルを提供する。 Department of Energy ” United Kingdom Invests in DOE’s Electron-Ion Collider Project to Understand Matter at the Smallest Scale” (3/27/24)

国防イノベーション・ユニット、オーカス・ピラーIIと協力して国際プライズ・チャレンジ

国防イノベーション・ユニット(Defense Innovation Unit: DIU)は、オーカス・ピラーII(AUKUS Pillar II)を通じて、初めての「三国間プライズ・チャレンジ(trilateral prize challenge)」を開始する。オーカス・ピラーIIは、オーストラリア、英国、米国の間の国防及び安全保障パートナーシップで、プライズ・チャレンジは、ターゲティングに戦略的優位性をもたらす助けとし、また、敵の電磁的なターゲティング能力に対する防御を提供することを目的として、「電磁スペクトル(electromagnetic spectrum: EMS)を特定することを目指す。このオーカス・ピラーII三国間プライズ・チャレンジは、オーストラリアの「先端戦略的能力アクセラレータ(Advanced Strategic Capabilities Accelerator: ASCA)」、英国の「国防及び安全保障アクセラレータ(Defense and Security Accelerator: DASA)、米国のDIUの3者で同期的コンペとして行われる。三国間の声明では、EMSを攻撃及び防御の双方の目的に活用できる能力が求められている。 Defense Innovation Unit “DIU Partners with AUKUS Pillar II for International Prize Challenge” (3/26/24)

国防総省と国防イノベーション・ユニット、信頼性評価技術を現代化

国防総省(Department of Defense)は、リスクを軽減し、数多くの重要な判断への情報提供として、信頼性評価(credibility assessments: CAs)を頼りとしている。現在、これらのCAの中心はポリグラフで、このツールは過去数十年間大きく変わっていない。しかし、新たな技術により、CAツールの利便性と正確性を向上する機会がもたらされている。2023年には国防総省内の関係機関が、国防イノベーション・ユニット(Defense Innovation Unit: DIU)と協力し、新たなビジョンを完成させるための技術を有する適正な商業ベンダーを見つける公募を実施した。提案された25件のソリューションの中から、国防総省のニーズに最も合致する技術として、プレセージ社(Presage)とアルテック社(Altec)の2社の技術が、プロトタイプへ選出された。今後2年にわたり、プロジェクト・チームは、「ポリグラフ+(Polygraph+)」とニックネームが付けられたこの新たなCA能力のプロトタイプ化に共に取り組む。プロジェクト・チームはまた、カーネギー・メロン大学(Carnegie Mellon University)、マサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology: MIT)、メリーランド大学(University of Maryland)、コロンビア大学(Columbia University)の専門性も活用する。 Defense Innovation Unit “Department of Defense, Defense Innovation Unit Announce Polygraph+ Effort To Modernize Decades-Old Credibility Assessment Technology” (3/28/24)

MITRE、連邦政府のAIリスクを試験するラボを始動

公益非営利法人のMITREは3月25日、連邦政府による人工知能(AI)利用の潜在的なリスクを試験する新たな施設をバージニア州マクリーンにオープンした。オープンしたのは、「AI確証及び発見ラボ(AI Assurance and Discovery Lab)」で、シミュレーションされた環境やレッドチーム、人間参加型の実験などにおいて、AIを使用するシステムのリスクを評価する。政府事業におけるAIのリスク軽減は、議員達の関心のあるトピックであり、バイデン大統領が10月に発令したAIに関する大統領令の主要な要素でもある。本大統領令は、米国標準技術局(National Institute of Standards and Technology:NIST)に、「生成AIのためのAIリスク管理枠組み(AI Risk Management Framework for generative AI)」の手引書を策定すること、AIのレッド・チーミングに関する標準を創出することを指示している。MITREは、「新たなラボはこうしたリスク評価のための試験台となる」と述べる。 Fedscoop “MITRE launches lab to test federal government AI risks” (3/26/24)

バイデン大統領、CHIPS・科学法の下、インテル社との間で最大85億ドルの予備的合意を発表

バイデン大統領は3月20日、アリゾナ州シャンドラーにあるインテル社(Intel)のオコティージョ・キャンパス(Ocotillo campus)工場を訪問し、商務省(Department of Commerce)がCHIPS及び科学法(CHIPS and Science Act)の下、インテル社との間で、最大85億ドルの直接資金ならびに110億ドルの融資を提供することで予備的合意に達したと発表した。アリゾナ、オハイオ、ニューメキシコ、オレゴン州でのインテル社の施設の建設及び拡張を支援し、これによって約3万人の雇用が創出され、数万人の間接的雇用が支えられる。商務省との予備的合意の下、インテル社は、労働力の訓練提供者(教育機関や州及び地方自治体の当局、労働組合など)と協力し、今回の投資によって創出される雇用のための労働者の開発と訓練に取り組むことにコミットする。 White House “FACT SHEET: President Biden Announces Up To $8.5 Billion Preliminary Agreement with Intel under the CHIPS & Science Act” (3/20/24)