サンディア科学技術パーク、経済波及効果は86億ドル

サンディア国立研究所(Sandia National Laboratories: SNL)は8月28日、隣接する「サンディア科学技術パーク(Sandia Science & Tech Park)」による最新の経済波及効果について公表した。1998年の設立以来6,600人の雇用を創出し、入居企業による累計賃金支払額は86億ドルに達した。2025年には新たに6社が参入して入居数は計47社となり、民間の総投資額は6億8,100万ドル、公的投資も1億500万ドルに上り、課税対象の消費支出は48.5億ドルに達するなど、官民連携構想モデルとしての地位を確立している。これに伴い、同年のパーク内労働者の平均年収は11万5,000ドルと、アルバカーキ首都圏平均(6万4,480ドル)を大きく上回っており、特にSNLとの近接性を生かした技術移転や共同研究が促進され、今年2月に開所した核安全保障分野の試作拠点「先端製造イノベーション・センター(Center for Advanced Manufacturing and Innovation: CAMINO)」などを通じた地域経済への貢献が顕著となったという。 SNL “Sandia Science & Tech Park bringing new companies, higher-paying jobs” (08/28/26) https://newsreleases.sandia.gov/sandia-science-tech-park-bringing-new-companies-higher-paying-jobs/

OPM、連邦政府の採用でAI活用を拡大

フェドスクープ(FedScoop)は8月28日、人事管理局(Office of Personnel Management: OPM)が連邦政府機関における採用プロセスでの人工知能(AI)利用を促進するため、一般的な人事におけるAI利用は、厳格なリスク管理を必要とする「高影響」カテゴリーに該当しないとする指針を各省庁に提示したと報じた。AIのみの判断とせず、採用担当者がAIデータを確認して精査や評価を行えば「高影響」にみなされず、同局は人による判断を補完する上でのAI利用は有用であるとの認識を示した。特にAI導入の有無が採用効率と質に影響していると指摘しており、求人情報の作成や応募者評価、採用決定前のデータ検証などにAIを活用することで業務効率化を図る狙いがある。こうした同局の指針について、専門家らは評価した一方、実質的な評価支援ツールがリスク検証なしに使われることへの懸念も指摘しているという。 FedScoop “NSF Graduate Research Fellowships Expected to Fall Next Year” (08/28/26) https://www.aip.org/fyi/nsf-graduate-research-fellowships-expected-to-fall-next-year

NSFの大学院研究奨学金、来年度枠は1,500人

米国物理協会(American Institute of Physics: AIP)は8月28日、米国科学財団(National Science Foundation: NSF)が実施する大学院研究奨学金制度(Graduate Research Fellowship Program: GRFP)の2027年採用枠が約1,500人と大幅に削減される見通しと伝えた。政権の削減要求方針を反映した新年度の募集要項によるもので、過去最高を記録した今年の約2,600人から急減する見通しとなっている。公募ではSTEM教育・学習に関する研究や社会・行動・経済科学分野が対象外となったほか、これまで90日間としていた提出期限を60日間以内と大幅に短縮した。NSFは最終的な採用数は今後の議会予算審議に委ねられるとしているものの、専門家らは応募者減少を懸念しており、少なくとも2,500件を確保するよう求める声が上がっている。 AIP “NSF Graduate Research Fellowships Expected to Fall Next Year” (08/28/26) https://www.aip.org/fyi/nsf-graduate-research-fellowships-expected-to-fall-next-year

エネルギー省、水力発電許認可の迅速化に550万ドル

エネルギー省(Department of Energy)の水力発電・水力運動エネルギー局(Hydropower and Hydrokinetic Office: H2O)は8月28日、水力発電施設の許認可及び更新手続きの迅速化とコスト削減に向け、国立研究所の11事業に総額550万ドルを交付すると発表した。連邦エネルギー規制委員会(Federal Energy Regulatory Commission: FERC)が交付する許認可は30〜50年間有効であるが、維持・更新には膨大な影響評価研究や調査が義務付けられていることから、関係者の合意形成を迅速に進めるツールやデータセットの提供を通じて、許認可プロセスの簡素化を図る。具体的には、追加設置型揚水式水力発電の影響評価や、魚類の遡上リスクなどをモニタリングする魚道(魚介類専用の道)におけるイノベーション(魚類通過技術)や環境モニタリング、さらにノルウェーとの技術提携やアラスカ僻地でもデータ管理システムを導入するほか、人工知能(AI)を活用した水質・運用予測など、多角的な課題解決型プロジェクトを実施していく計画となっている。   Department of Energy “DOE’s Hydropower and Hydrokinetic Office Announces Funding for National Laboratory Projects to Streamline American Hydropower Permitting” (08/28/26) https://www.energy.gov/cmei/water/articles/does-hydropower-and-hydrokinetic-office-announces-funding-national-laboratory

ニューヨーク州、学術用最先端AIスパコンの運用開始

ニューヨーク州のキャシー・ホークル知事(Kathy Hochul)は8月5日、全米最大級の処理能力を誇る学術研究向けスパコン「エンパイアAIベータ版(Empire AI Beta)」の本格運用を開始したと発表した。州内大学や研究機関に高度な計算資源を提供するために4,000万ドルを投じて開発したシステムで、ニューヨーク州立大学バッファロー校(State University of New York at Buffalo)に設置された。州は、公共の利益に資する責任ある人工知能(AI)研究推進の重要な節目と位置付けており、今後、医療診断や気候変動対策など300を超える研究事業を加速していく方針を示した。2024年に開始した同州のエンパイアAI構想は、米国科学財団(National Science Foundation: NSF)が主導する地域AIインフラ構築計画の先行モデルとして全米から注目を集めており、既に官民から計5億ドル以上の資金を調達しており、「ガンマ版(Gamma)」施設が2027年末までに完成予定である。 New York State “Governor Hochul Announces Empire AI Beta Fully Online as Federal Government Takes Inspiration From New York to Launch State and Regional AI Infrastructure Hubs” (08/05/26) https://www.governor.ny.gov/news/governor-hochul-announces-empire-ai-beta-fully-online-federal-government-takes-inspiration-new

ニューヨーク州、量子技術の商用化ハブ構築へ6,000万ドル

カナダの量子技術専門メディア、クオンタム・インサイダー(Quantum Insider)は8月13日、ニューヨーク州が州内スタートアップの量子技術商用化支援に向け最大6,000万ドルを投じると報じた。州内最大4ヵ所の地域拠点を新設し、各拠点へ約1,500万ドルを充当する計画で、州経済開発局(Empire State Development: ESD)が提案を募集している。既存の量子研究基盤強化に向けた取り組みの一環で、非営利団体を対象に大学や研究機関による量子計算やセンサー、通信分野の研究成果を製品化や企業設立へ結び付ける共有インフラを構築する。特に試作開発や企業との共同実証、資金調達支援などを通じて量子産業の集積と経済波及効果を目指しており、各拠点との連携を通じて全州規模のネットワークを構築する方針である。なお、スタートアップ育成も今回取り組みの重要要素とし、提案書の提出期限を10月14日午後2時(米国東部時間)とした。 Quantum Insider “New York Opens $60 Million RFP for Quantum Technology Hubs” (08/13/26) New York Opens $60 Million RFP for Quantum Technology Hubs

CNAS、汎用人工知能を巡る米中競争分析を公表

新米国安全保障センター(Center for a New American Security: CNAS)は8月27日、人間と同等レベルの能力を持つ汎用人工知能(AGI)の台頭による米中間の地政学的競争への影響を分析した報告書を公表した。AGI技術の開発が国力や経済力に波及し、優位性を左右すると指摘し、経済成長と生産能力の向上、世界的な情報環境に対する影響力の強化、新たな軍事能力の獲得などへの波及メカニズムを提示した。中国の現状については、AGI開発推進が政策上の優先事項となりつつも、シリコンバレーの技術レベルには達しておらず、発展途上にあるという。政府に対しては技術漏洩阻止や流出した際の追跡体制整備について、中国との外交チャネルを設置するよう提言している。AGI技術は軍事・経済の覇権争いにとどまらず、社会構造そのものを激変させ、深刻な分断を引き起こすリスクがあると指摘しており、5月に行われた米中首脳会談における両国間対話枠組みも活用しながら、影響緩和策を講じる重要性を強調した。 CNAS “Superpowers and AGI” (08/27/26) https://www.cnas.org/publications/reports/superpowers-and-agi

トランプ政権、半導体への追加関税を検討

ポリティコ誌(Politico)は8月26日、トランプ政権による半導体とその関連製品に対する新たな広範な追加関税導入検討について報じた。関税対象を大幅に拡大し、半導体だけでなく、ノートパソコン、ゲーム機、データセンター用サーバーなどの製品まで含める案が浮上している。背景には、ハワード・ラトニック商務長官(Howard Lutnick)による半導体の国内生産推進を反映した動きがあるが、記事は、先端半導体の国内生産体制の整備には数年以上かかるため、台湾やマレーシア、韓国などアジア諸国への供給依存が続く現状において、関税導入はAI用データセンターの建設費用を高騰させ拡大計画を停滞させる恐れがあると指摘している。また、IT大手は米国による人工知能(AI)主導権の維持を掲げ、業界団体やロビイストもデータセンター向けなどの免除措置が盛り込まれていた従来の関税構造を踏襲するよう政府高官に働きかけているが、商務省(Department of Commerce)は国内生産強制に向けた適用拡大に傾斜しているとも伝えている。 Politico “Another potential headache for US data centers — Trump tariffs ” (08/26/26) https://www.politico.com/news/2026/08/27/data-centers-chips-tariffs-threat-01050957

陸軍、軍事基地へのマイクロ炉導入に22億ドル拠出

陸軍は8月26日、軍事基地にマイクロ炉を設置・運用する「ヤヌス計画(Janus Program)」に総額最大22億ドルを拠出すると発表した。国防イノベーション・ユニット(Defense Innovation Unit: DIU)と連携した取り組みで、民間企業5社と候補地5カ所を選定し、2027年から5年間に亘り資金を配分する。民間資金も呼び込んだ20基以上の導入を目指しており、アンタレス・ニュークリア社(Antares Nuclear)、BWXTアドバンスト・テクノロジーズ社(BWXT Advanced Technologies)、ゼネラル・アトミックス・エレクトロマグネティック・システムズ社(General Atomics Electromagnetic Systems)、ラディアント・インダストリーズ社(Radiant Industries)、ウェスティングハウス・ガバメント・サービス社(Westinghouse Government Services)を採択した。世界規模での戦闘力展開に向け、外部送電網への依存を減らしてエネルギー安全保障を強化する狙いがあり、大統領令に基づき2028年9月までの初号機運用開始に向け、開発を進める計画である。 US ARMY “Army reaches agreement with private industry for nuclear micro-reactors” (08/26/26) https://www.army.mil/article/294891

NRDC、現行政策により、540GW、7,000億ドルの再エネ損失を示唆

天然資源防衛協議会(Natural Resources Defense Council: NRDC)は8月25日、政府のクリーンエネルギー投資抑制策により最大540ギガワット(GW)の再エネ・蓄電設備が消失するとの調査結果を公表した。今後10年間で7,000億ドルの投資が失われ、1世帯あたりの電気代が年平均230ドル増となる見通しで、新たな関税導入から風力発電の新設中止に伴う補償金支払いなど一連の政策影響を包括的に評価した。大統領による就任18ヵ月以内の電気料金半減公約も、現状は過去最高水準で、特に今期に入り16%上昇したと指摘した。また、老朽化した石炭火力発電所の稼働延長も、追加容量はわずか9GWに過ぎないと指摘し、これに伴う大気汚染の悪化についても触れ、2035年には二酸化炭素(CO2)排出量が倍増すると予測している。データセンター拡大に伴う電力需要が急増する中、NRDCは再エネ税額控除撤廃や関税導入、許認可遅延が影響し、一連の政策が公衆衛生と経済への負担を増大させると懸念を表明している。 NRDC “NRDC Report: How Trump’s Actions Are Hiking Utility Bills and Destroying Investments” (08/25/26) https://www.nrdc.org/press-releases/nrdc-report-how-trumps-actions-are-hiking-utility-bills-and-destroying-investments 参照記事: Utility Dive “Trump’s energy policy could cost US 540 GW of renewables, says NRDC” (08/26/26) https://www.utilitydive.com/news/trumps-energy-policy-could-cost-us-540-gw-of-renewables-says-nrdc/828826/