NIH、大急ぎでES細胞研究グラントを支給

米連邦控訴裁が9日、政府によるヒト胚性幹(ES)細胞の研究費助成再開を一時的に認めたことを受けて、NIHは10日、助成が決まっていたES細胞研究事業にグラントを早急に支給する準備に追われた。この仮差し止め命令解除は9月20日まで有効で、その後控訴裁が、先月23日に米ワシントン連邦地裁のロイス・ランバース裁判長が下した連邦政府によるES細胞研究の助成差し止め命令が有効であるかどうかを決定する。一方で、NIH内部のES細胞研究は再開されていない。 ScienceInsider “NIH Rushes to Hand Out Stem Cell Grants During Temporary Stay” (09/10/10)

米国の起業環境、世界トップから脱落

中小企業庁(Small Business Administration)が発表した報告書「世界の起業環境と米国(Global Entrepreneurship and the United States)」では、米国の起業環境は、ハイテクバブルの崩壊や、大企業による事業縮小を受けて、世界トップから脱落したことが報告された。世界70カ国を対象に実施した同調査では、起業環境総合において、米国はデンマークとカナダに続く第3位となり、イノベーションや急成長分野、グローバリゼーションを意識した起業では1位となったものの、起業と潜在的なリスクについて社会が持つ意識では6位に転落し、ハイテク分野が商機を生みだすビジネス環境については8位となった。理由として、ハイテク・バブルの崩壊の他、教養が高く、優秀で技能を身に付けた外国人が、2001年の同時多発テロ以降入国が厳しくなった米国を避け、他国へ流れている傾向が指摘されている。更に、高齢化も起業を難しくしていると分析されており、報告書の著者は、「米国は雇用を数多く増やすだけではなく、生産性の高いベンチャー企業が必要だ」と警鐘を鳴らしている。 Inc. “SBA: U.S. Slipping in Entrepreneurship” (09/10/10)

中国における特許・商標申請数が急増

世界的な経済不況を受けて各国の企業が研究開発(R&D)予算を削減している中、中国は集中的にイノベーションへの投資を増やし、特許や商標を多数取得していると世界知的所有権機関(World Intellectual Property Organization:WIPO)が発表した。これによると、2008年と2009年にかけて米国の特許申請数は伸び悩み、また、欧州(特にドイツ、英国、フランス)と日本については、2009年は前年比でそれぞれ7.9%と10.8%減少している。一方、中国の特許申請数は2008年18.2%、2009年に8.5%上昇した。2009年の商標申請も米国、ドイツ、日本でそれぞれ11.7%、7.7%、7.2%減少している中、中国は20.8%増加したという。WIPO事務局長は、「中国は製品に付加価値を付ける戦略を実践し、国内産のイノベーションを基にした技術や製品をどんどん輸出しており、中国の特許申請は記録を更新する勢いだ」と述べている。 Reuters “While world slashed R&D in crisis, China innovated” (09/15/10)

米国民の合成生物学に対する意見は賛否両論に分かれる

ワシントンDCに拠点を置くシンクタンクのウッドロー・ウィルソン国際学術センター(Woodrow Wilson International Center for Scholars)は、合成生物学の潜在的な利益とリスクに関する世論調査実施をハートリサーチアソシエーツ社(Hart Research Associates)に委託したところ、合成生物学に対する国民の認知度が高まったことが分かった。特に、合成生物学を知っていると回答したのは2008年は10人に1人であったが、これが2010年9月の今回の世論調査では4人に1人となっている。また、合成生物学の利益とリスクについての質問に対しては、19%が利益がリスクよりも高い、33%が利益とリスクは同程度、16%がリスクが利益を上回る、32%が分からないと回答している。 Nature “Americans split on risks and benefits of synthetic biology” (09/09/10)

エネルギー省、中小企業の技術商用化支援に5,700万ドル交付

エネルギー省(Department of Energy)は、中小企業が行うクリーンエネルギー技術商用化事業33件に対し、総額5,700万ドルを交付することを発表した。5,700万ドルの内、1,100万ドルは景気対策法(American Recovery and Reinvestment Act of 2009)から拠出される。エネルギー省では、SBIR・STTR支援を利用して中小企業が開発を進めた技術の商用化を支援するため「中小企業フェーズIIIエクセレータープログラム(Small Business Phase III Xlerator program)」と呼ばれる支援プログラムを実施しており、今回はこのプログラムからの交付となる。商業化できることが既に証明されている革新技術を対象としており、新たな市場と雇用を創出するのがプログラムの狙いとなっている。今回採択された技術は、再生可能エネルギー、最新車両技術、産業及び建物の省エネ化、電力網最新化、クリーン化石燃料、次世代原子力発電などで、1事業当たりの支給額は50万ドルから300万ドルとなっている。 Department of Energy Press Release “Department of Energy Announces $57 Million for Small Businesses to Support Technology Commercialization” (09/15/10)

米再生可能エネルギー理事会、各州における再生可能エネルギーの利用・政策動向をまとめたレポート発表

9月14日、米再生可能エネルギー理事会(ACORE)は、各州の再生可能エネルギーの利用状況と政策に関する報告書「米国の再生可能エネルギー(Renewable Energy in America)」を発表した。同報告書には、各州の再生可能エネルギーの開発状況、資源、投資環境、市場、政策動向が盛り込まれており、例えば、ルイジアナ州ではバイオ燃料利用が盛んであること、また、カリフォルニア州では風力・地熱・太陽光発電の電力容量がそれぞれギガワットを超えることなど、統計と共に各州の再生可能エネルギーの利用状況や特徴がまとめられている。本報告書は四半期に一度更新される予定である。 EERE Network News “ACORE Releases a State-by-State Report on Renewable Energy” (09/15/10)

米大統領経済諮問委員長にグールズビー氏を起用

9日、クリスティーナ・ローマー米大統領経済諮問委員会(CEA)委員長(Christina D. Romer)の退任を受けて、オースタン・グールズビーCEA委員(Austan D. Goolsbee)が委員長に昇格することが、政府関係者より明らかにされた。オバマ大統領は、同氏を内部昇進させることにより、入れ替わりが頻繁な大統領府経済チームを安定させ、1980年以来最悪レベルの経済不況の打開に集中したい意図がある。グールズビー氏は、同委員会の現メンバーであるため、委員長就任に際し上院の承認は不要となっている。グールズビー氏は、元シカゴ大学経済学部の教授で、2008年大統領選ではオバマ陣営で経済政策顧問を務めた。 New York Times “Top Adviser to Lead Panel on Economy” (09/09/10)

再生可能エネルギー投資、中国が米国を抜き首位に

大手会計事務所アーンスト&ヤング社(Ernst & Young)は、再生可能エネルギー分野のプロジェクトへの投資先として魅力的な国のランキングを発表したが、ここでは、初めて中国が米国を抜いて首位に立った。2010年第1四半期は米国がリードしていたものの、第2四半期に中国が米国を抜き、風力・太陽光発電プロジェクトの優良投資先国1位となった。この背景には、米国のエネルギー法案にクリーンエネルギー利用を拡大する条項が盛り込まれなかったことや、一方のアジア最大のエネルギー消費国である中国では、2020年までに電力全体の15%を再生可能エネルギーから賄うことが国家目標として掲げられ、さらに、第2四半期の中国におけるクリーンエネルギー投資額は、欧州と米国の合計額よりも多い115億ドルに上ったことがある。中国は今後も、投資環境や政府方針、市場の大きさなどが要因となって、優位が続くと予想されている。 Bloomberg “China Beats U.S. on Renewable-Energy Investor Ranking” (09/08/10)

2011年度の連邦研究開発拠出額は推定1,434億ドル

NSFによると、2011年度の連邦R&D拠出額は、1,439億ドルであった前年度と比べやや減少(-0.3%)し1,434億ドルとなる見込みであるという。 2011年度の非国防関連R&D予算は約614億ドルで昨年度より6.3%上昇し、国防関連は約820億ドルと4.8%削減となる。また、インフレ率を換算した場合、非国防関連R&Dは4.2%拡大した一方で、国防関連R&Dは6.6%削減となっている。研究開発レベルで見ると、軍事予算の88.5%は開発に充てられるのに対し、非国防関連の80.1%は研究向けとなっている。 National Science Foundation “Proposed Federal R&D Funding for FY 2011 Dips to $143 Billion, with Cuts in National Defense R&D ” (September 2010)

米連邦控訴裁、ES細胞研究継続を一時的に認める

米連邦控訴裁は、差し止め命令を受けていた米連邦政府によるヒト胚性幹(ES)細胞の研究費助成を一時的に再開することに対する承認を下した。先月23日、米ワシントン連邦地裁のロイス・ランバース裁判長が下した連邦政府によるES細胞の研究費助成差し止め命令に対し、先週、オバマ政権は、政府が差し止め命令に対して控訴する間、同差し止め命令実施を猶予するよう求めていたが、同裁判長が拒否したことを受けて、司法省が控訴裁に差し止め猶予を求めていたものである。 New York Times “Appeals Court Allows Stem Cell Funding for Now” (09/09/10)