米国の科学的生産性が低下し続けているとの報告書発表

国立科学財団(National Science Foundation:NSF)のが作成した報告書「米国大学における科学出版(U.S. Academic Scientific Publishing)」(11月19日出版)によれば、1988年から2001年の間に研究資金やその他のインプットは劇的に増加したのに対して、発表された研究論文数は減少していることが判明した。この状況について報告書は、「2001年に100件の出版物を作り出したのと同じリソースで、1990年には129件の出版物が発表された」と分析している。生産性が低下した理由については、研究がさらに複雑化したこと、より包括的な論文が作成されるようになったこと、共同研究の増加によってコスト高になったことなど様々な点が考えられるが、決定的な原因については明らかになっていない。 SCIENTIFIC AMERICAN “Diminishing returns?: U.S. Science Productivity Continues to Drop” (12/06/10)

FDAにはさらなるリソースとコミュニケーションが必要との報告書発表

プライス・ウォーターハウスクーパース社(Price WaterhouseCoopers)がライフサイエンス系企業50社(従業員数5,000人未満・売上高5億ドル未満)を対象に行ったアンケート調査によれば、回答企業の多くが食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)との関係が向上したことにより、医薬品承認プロセスがより迅速になったとの見方を示している一方、オーダーメイド医療(個別化医療)など先端分野についてはFDAのリソースとコミュニケーションが不足していると考えていることが判明した。これに関連して、「科学イノベーションの速さにFDAの知識が追いついていない」との見方も指摘されている。 TGenomeWeb Daily News “PwC Report Finds FDA Needs Resources, Communication” (12/03/10)

NIH、トランスレーショナル医療研究所の新設を検討

国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)の組織合理化について助言を行う科学管理見直し委員会(Scientific Management Review Board:SMRB)の作業部会は、NIH内に、トランスレーショナル医療研究に特化した新センターを設立することを提案している。新センターには、小分子スクリーニングプログラムや臨床・トランスレーショナル科学アワード(Clinical and Translational Science Awards)など、NIHにおける既存のトランスレーショナル研究支援プログラムが含まれる可能性がある。この提案について、SMRB全体の意見をまとめる会議が12月7日に行われる予定である。 ScienceInsider “NIH Considering New Translational Medicine Institute” (12/2/10)

米国大学の卓越性維持に向けた検討会議開催

米国アカデミー(National Academies)の特別委員会は11月22日から24日まで、「米国の研究大学の卓越性を最も脅かすものは何か?」「グローバル経済の中で米国が繁栄していくために必要とされる米国大学の卓越性を維持するために、議会、連邦および州政府、大学にできることは何か?」といった問題をテーマに会議を開催した。学界や財界から様々な有識者が発言し、一部の者は「一部のアジア諸国が西側諸国並みの優れた研究大学を整備するのは間近である」と考えている一方、その他の者は「米国の研究大学は依然として非常に優れており、他国の大学水準を引き上げることに協力することは全ての国にとって利益となる」との考えを示した。また、あるパネリストは、米国は研究大学に関する具体的な目標を盛り込んだ国家教育政策を策定するべきであると考えているのに対し、別のパネリストはこうした国家政策に反対を示すなど、様々な意見が発表された。本件について報告書が発表されるのは来夏の予定である。 ScienceInsider “What U.S. Universities Need to Do to Stay on Top” (12/1/10)

幹細胞政策がブッシュ前政権時の政策に逆戻りする可能性浮上

胚性幹細胞研究への連邦助成を認める法案が年末までに成立しなければ、同研究に対する連邦政府支援を厳しく制限するブッシュ前政権時の政策に戻る可能性が指摘されている。しかし残りの会期日数が少ないことや、8月に連邦判事が、「オバマ政権による新たな胚性幹細胞研究への連邦助成承認は違法である」と裁定したこと(控訴裁判所が裁定するまでは現行政策の継続が暫定的に認められている)の影響、上院の共和党議員が「ブッシュ政権による減税措置の継続に向けた何らかの対策を優先し、議論を呼びそうな法案への対応を見合わせる」としていることなどから、胚性幹細胞への支援を謳った法案が年末までに成立する可能性が危ぶまれている。 THE HILL “Bush stem cell policy may return” (12/02/10)

ハワード・ヒューズ医学研究所(HHMI)、在米の外国人若手研究者を対象とした研究支援プログラム開始

民間非営利医療研究機関であるハワード・ヒューズ医学研究所(Howard Hughes Medical Institute:HHMI)は12月1日、米国で教育を受ける外国人若手研究者が、出身国への帰国後に実施する研究活動を支援する新プログラムを開始することを発表した。中国、エジプト、インド、イタリアなど、「良質な教育システムなどのインフラ」を持つとされる18カ国出身の留学生が対象で、出身国に帰ったあと5年間で65万ドルの資金を受益することができる。このプログラムでは最大35件のグラント実施が予定されている。米国で大学院または医学部、ポスドクの教育を受け、過去7年間に研究室を立ち上げていることが応募の条件となっている。 ScienceInsider “Howard Hughes to Launch Labs of New Investigators Abroad” (12/01/10)

アーンスト&ヤング社、再生可能エネルギー市場の国別ランキングを発表

コンサルタント会社のアーンスト&ヤング社(Ernst & Young)は2003年以来、世界各国における再生可能エネルギー市場の投資戦略とリソース状況を指数採点し、上位30カ国をまとめた「国別魅力指数(Country Attractiveness Indices)」を発表(四半期ごとに更新)しており、このほど最新版が発表された。これによれば、中国が再生可能エネルギーの投資先としても最も魅力的な国となっている。特に中国では風力プロジェクトに対する投資が記録的(2010年第2四半期に100億ドル)で、これは全世界における風力プロジェクトへの投資の約半分を占めるものとなっている。また、2010年5月以来2位となっている米国では、政策の行き詰まりや金融危機の影響、ガソリン低価格が要因となり、再生可能エネルギーへの投資が下落したと分析されている。日本は太陽電池市場が2009年の水準から2020年までに約4倍に成長する可能性があることから指数が3ポイント上昇した。さらに、韓国やルーマニア、エジプト、メキシコが競合国として台頭しており、報告書は「クリーンエネルギー分野で新たな世界秩序が明らかになりつつある」としている。 RenewableEnergyWorld.com “Ernst & Young Releases Country Attractiveness Report” (11/30/10)

下院、安全かつコスト効果が高く、核拡散防止に効果的な原子力エネルギーの研究開発促進を目的とした法案を可決

下院は11月30日、2010年原子力エネルギー研究開発法案(Nuclear Energy Research and Development Act of 2010、H.R. 5866)を超党派で可決した。法案は、原子力が抱える問題点の克服に貢献する研究開発プログラム(現在および未来の技術の効率性強化や発電所開発コストの低減など)を中心としたものとなっている。法案はまた、小型原子炉技術の短期的および先端研究開発を行うプログラムや、廃棄管理および先端原子炉コンセプトに関する研究開発も承認している。 TCommittee on Science and Technology “House Passes Bipartisan Bill to Advance R&D for Safe, Cost-Effective, Proliferation-Resistant Nuclear Energy” (11/30/10)

SEC新規則、スーパー・エンジェルに悪影響か

米国証券取引委員会(U.S. Securities and Exchange Commission:SEC)が発表した新金融規制が、いわゆる「スーパー・エンジェル」に最も影響を及ぼす可能性が指摘されている。エンジェル投資家とはスタートアップ企業に資金を提供する裕福な個人投資家を指し、スーパー・エンジェルは、自身で投資する他に、他の投資家によるエンジェル投資も取りまとめる投資家を指す。このため、スーパー・エンジェルのファンドは一般的な個人エンジェル投資家とは異なるとSECでは考えられている。今回新たに提案された新SEC規則では、ベンチャーキャピタル・ファンドに初めて情報公開義務が課せられることになるが、これにより、ベンチャーファンドと同様とみなされるスーパー・エンジェル・ファンドも同様に情報公開を行わなければならないことになる。しかし、企業化されているベンチャーファンドとは異なり、小規模な個人レベルで投資・管理活動を実施しているスーパー・エンジェルにとって、このような事務作業追加は大きな負担になると予測されている。 VentureBeat “Good heavens! SEC could take aim at super angels” (11/30/10)

ノバルティス社、米国で1,400人の雇用削減へ

スイスの製薬大手、ノバルティス社(Novartis AG)は11月30日、効率性の強化を目的として、米国の総合医薬品(general-medicines)部門で約1,400人の雇用を削減する計画であると発表した。再編コストは約8,500万ドルと試算されている。米国総合医薬品部門の従業員数は本部と販売員も含めて現在約6,500人となっている(米国における癌関連事業やその他の事業は含まれていない)。製薬業界は近年、規制当局は新医薬品の承認に対する態度を厳しくしている一方、保険会社や政府は高額医薬品への反対姿勢を強めるなど、様々な問題に直面しており、業界全体でコスト削減努力が進められている。ノバルティス社の競合、ロシュ社(Roche Holding AG)も最近、大型再編計画を発表している。 THE WALL STREET JOURNAL “Novartis to Cut 1,400 U.S. Jobs ” (11/30/10)