NRC、「慣性核融合技術の勝者を選出するのは時期尚早」との報告

米国の磁気核融合プログラムへの予算削減が提案されている中、米国研究評議会(National Research Council: NRC)は最近発表した中間報告の中で、「慣性閉じ込め核融合技術の勝者を決定するのは時期尚早であり、その他の慣性閉じ込め手法も用いながら並行的な核融合研究を行うべきである」と提言した。この報告書は、ローレンス・リバモア国立研究所(Lawrence Livermore National Laboratory)の世界最大かつ最先端の慣性核融合施設、国立点火施設(National Ignition Facility: NIF)において、「点火」(自立的な核融合反応)の実現に近づきつつあることが発表されたことを受けて、エネルギー省(Department of Energy)のスティーブン・クーニン科学担当次官(Steven Koonin、昨年秋に退任)が、NRCに対して実証原子炉に関するエネルギー省の次のステップを提案するよう求めたことを受けて行われた。「NIFが今後の米国の研究努力を独占してしまうのではないか」と懸念する多くの専門家らは、今回のNRC報告を歓迎している。最終報告書は今年半ばに発表される予定である。 Science Insider “It’s Too Early to Pick a Winner on Inertial Fusion Energy, Says Study” (3/7/12)

オバマ大統領、クリーンな先端自動車推進のための各種イニシアチブを発表

オバマ大統領は3月7日、ノースカロライナ州にあるダイムラー社(Daimler)のトラック工場で米国エネルギーに関する演説を行い、先端自動車を支援するためのイニシアチブを複数発表した。大統領はまず、コミュニティ規模でクリーンな先端自動車の導入の促進を目的とした、10億ドル規模の「米国コミュニティ導入チャレンジ(National Community Deployment Challenge)」を実施すると発表した。これは、10~15のモデルコミュニティを選出し、大規模な先端自動車導入を支えるために必要なインフラ投資や規制障害の排除の取り組みを支援するものである。大統領はこの他にも、電気自動車向け税控除の拡大強化、商業トラック向けの新規減税措置の提案、10年以内に電気自動車(EV)をガソリン自動車並みに廉価で便利なものとするための技術革新に投資を行う取り組み「EV Everywhere」を発表している。 White House “All-of-the-Above Approach to American Energy” (3/7/12)

「グローバル・イノベーション政策指数」報告発表

情報技術・イノベーション財団(Information Technology and Innovation Foundation: ITIF)とカウフマン財団(Kauffman Foundation)による報告書「グローバル・イノベーション政策指数(Global Innovation Policy Index)」が発表された。これは世界55カ国を対象に、イノベーション関連政策の評価を試みたものである。7つのコア政策(貿易、科学及び研究開発、国内競争、知的財産権、デジタル政策、政府調達、高技能移民)について評価を行い、更にこれらの評価を基にした総合評価が示されている。また、各国がイノベーション能力を強化するために導入している最も効果的な政策や、ベストプラクティスの実践について他国からどのように学ぶかといった点についても報告を行っている。 Information Technology and Innovation Foundation “Global Innovation Policy Index” (3/8/12)

オークリッジ国立研究所研究者、高二酸化炭素実験の研究報告を発表

エネルギー省(Department of Energy)が開放大気系高濃度二酸化炭素実験(FACE:Free Air Carbon dioxide Enrichment: FACE)を2009年に正式に終了してから3年後、実験場所の一つとなっていたオークリッジ国立研究所(Oak Ridge National Laboratory)の研究チームが、その研究結果を専門誌「グローバル・チェンジ・バイオロジー(Global Change Biology)」に発表した。それによれば、大気中の二酸化炭素水準が高くなることにより、土壌の炭素貯蔵が増大される可能性があるという。12年に及ぶ研究の最終段階の一部として研究者達がモジミバフウ植林地の木を伐採し、根や土壌炭素の分析を行った結果、高二酸化炭素水準により、木はその根を土壌により深く伸ばし、結果として炭素の蓄積増大につながったようであるとの結論が出されている。 Nature.Com “Study gets to the roots of enhanced CO2 experiment” (3/7/12)

ロシアの国営技術系ファンドが米国VCと共にVC投資を計画

ロシアの国営技術系ファンド、「ロシア・コーポレーション・オブ・ナノテクノロジーズ(Russian Corporation of Nanotechnologies: Rusnano)が、米国のベンチャーキャピタル(VC)、ドメイン・アソシエイツ社(Domain Associates)と共に、合計で7億6,000万ドルを米国の製薬・診断・医療機器企業に投資することに合意した。両社は約20のベンチャー企業に投資を行い、ロシアでの製薬工場建設、及び、同国内における医薬品開発の強化を支援するという。Rusnanoとドメイン・アソシエイツ社によれば、投資対象は、「製薬、バイオテクノロジー、医療機器、ロシアの患者層への重要な応用が見込まれるその他の生命科学分野で革新的な製品開発を行う組織」としている。ドメイン・アソシエイツ社は、「ロシアは世界で最も急成長している製薬市場の一つである」と期待を高めている。 Genetic Engineering & Biotechnology News “Russian Tech Fund Joins U.S. VC Firm in $760M Biopharma Venture” (3/6/12)

下院、中国の国内産業保護措置に対応する法案を可決

下院は3月6日、中国やベトナム政府の助成を受けた製品に対して米国政府が関税を課すことができるとする法案を370対39で可決した。上院は同法案を5日に可決しており、オバマ大統領はこれに署名する見込みである。この法案は、昨年12月に控訴裁判所が「商務省(Department of Commerce)は『非市場経済国』からの製品に相殺関税或いは反助成関税を課す権限を有していない」と裁定したことを受けての立法措置で、オバマ政権がこの超党派法案の作成に支援を提供していた。 New York Times “House Passes Bill to Address China Subsidy” (3/6/12)

ベストバイ、ジョンソン・コントロールなど4社がエネルギー省の米国クリーン車両パートナーシップに参加

スティーブン・チュウ・エネルギー長官は3月5日、ベストバイ社(Best Buy)、ジョンソン・コントロールズ社(Johnson Controls)、パシフィック・ガス&エレクトリック社(Pacific Gas and Electric)、べオリア社(Veolia)の4社が、エネルギー省が実施している「米国クリーン車両パートナーシップ(National Clean Fleets Partnership)」に新しく参加すると発表した。これは、国内の大手車両事業におけるガソリンやディーゼルの使用量削減を支援する官民パートナーシップである。既に14の主要企業が参加しており、これらの企業は商業車両の燃費向上、代替技術車両の取り入れ、全体的な燃料使用量の削減に取り組んでいる。 Energy.Gov “Secretary Chu Announces Best Buy, Johnson Controls, Pacific Gas and Electric, and Veolia to Join National Clean Fleets Partnership” (3/5/12)

エネルギー長官、省エネビルの推進を目的とした大学生コンペの勝者を発表

エネルギー省(Department of Energy)のスティーブン・チュウ長官(Steven Chu)は3月5日、全国の大学生チームを対象として行われた「より良い建造物の例コンペ(Better Buildings Case Competition)」の勝者を発表した。このコンペは、ヒューストン市、ワシントンDC、HEIホテル&リゾート社(HEI Hotels and Resorts)、キャシディ&ターリー社(Cassidy Turley、大手商業用不動産会社)という4つのケーススタディに基づき、19の大学チームが最善のエネルギー効率ソリューションの発見を競うものである。それぞれのケーススタディにつき、「最善の提案(Best Proposal)」と「最も革新的(Most Innovative)」の勝者が選出された。勝者となった大学には、カーネギーメロン大学(Carnegie Mellon University)、コロンビア大学(Columbia University)、ジョージワシントン大学(George Washington University)、マサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology)などがある。 Energy.Gov “Secretary Chu Announces Winners of Student Competition to Promote Energy-Efficient Buildings” (3/5/12)

米国エネルギー部門で足場を固めつつある中国

中国国営企業による米国石油・ガス企業への投資は増大しつつあり、その額は2010年以来170億ドルを超えた。その中心となっているのは、中国の傅成玉氏(Fu Chengyu)である。同氏は2005年、中国海洋石油公司(China National Offshore Oil Corp.: Cnooc)の会長(当時)として、米国のユノカル社(Unocal Corp.)を買収しようとして米国内で大きな政治的議論を招き、最終的に失敗に終わった経験を持つ。しかしその後、米国進出への戦略を変更し、Cnooc社は2010年に米チェサピーク・エネルギー社(Chesapeake Energy Corp.)との間で、テキサス州南部にあるイーグル・フォード・シェール(Eagle Ford Shale)層(60万エーカー)の3分の1の権利に10億8,000万ドルを支払うことに合意したことをきっかけに、同様の契約を次々と交わしている。傅成玉氏の新戦略の秘訣は、「少数の権利を購入すること、受動的な役割を果たすこと、そして米国規制当局への配慮として中国人を米国の先端技術から遠ざけること」である。またこうした米中間の取引は、石油・ガスを抽出する革新的技術を開発する能力はあるが、それを実現する資本を必要とする米国企業と、石油・ガスの供給源を世界的に模索する中国国営企業という、相互のニーズに対応するものでもある。 Wall Street Journal “China Foothold in U.S. Energy” (3/6/12)

リオデジャネイロ市におけるIBMの「よりスマートな都市」プロジェクト

ブラジルのリオデジャネイロ市に2010年末に開設した「リオ市運営センター(Operations Center of the City of Rio)」は、同市のエドアルド・パイス市長(Eduardo Paes)の要請を受け、IBM社の「よりスマートな都市(Smarter Cities)部門」によって作られた、主要都市としては類を見ない規模で市全体を統合する運営センターである。IBM社はこれまでに消防署などの単一機関向けにデータセンターを構築したことはあるが、約30の市機関のデータを一つの建物の中で統合する運営センターを作ったのは、リオデジャネイロ市が初めてである。壁一面の画面からは、地下鉄駅や主要交差点に設置されたカメラからの映像が流れ続け、高度な天候プログラムは市全体の降雨を予測し、地図には事故や停電、その他の問題が発生した地点が赤く示されている。IBM社はリオデジャネイロ市運営センターを開発するに当たり、いわゆる「ゼネラル・コントラクター」のような手法を取り、つまり、プロジェクト全体を管理しつつ、一部の作業は外注するという形となっている。また、地元の企業は建設及び通信を担当し、シスコ社(Cisco)はネットワーク・インフラ及び運営センターと市長の家を繋ぐビデオ会議システムを提供し、デジタルスクリーンはサムスン社(Samsung)製である。自社(IBM社)からは、ハードウェア、ソフトウェア、分析、研究を組み入れた。そして運営センターの職員向けに詳細なマニュアルを作成すると共に、ウェブベースのクリアリングハウスとなる仮想運営プラットフォームを導入した。プロジェクトの費用は約1,400万ドルで、全て予定通りに行けば、リオ市はデータ主導型の都市管理においでモデル都市となり、IBM社にとっては今後の数十億ドル規模のビジネスの基盤となると期待されている。 New York Times “I.B.M. Takes ‘Smarter Cities’ Concept to Rio de Janeiro” (3/3/12)