Category:その他
シェブロンとコーナー・ポストに関する最高裁判決により、エネルギー投資が遅れ、訴訟が増発する可能性
クリアビュー・エネルギー・パートナーズ社(ClearView Energy Partners)によれば、米連邦最高裁が、新規の規則を巡る連邦当局の権限を制限する判決と、行政手続法(Administrative Procedure Act)の下で既存の規則を提訴できる時効を大幅に延長するという2つの判決を下したことで、エネルギー部門は不確実性に直面している。最高裁は6月28日、「ローパー・ブライト・エンタープライズ対レイモンド事件(Loper Bright Enterprises v. Raimondo)」でシェブロン・ドクトリン(Chevron doctrine)を覆し、7月1日には、「コーナー・ポスト対連邦準備制度理事会事件(Corner Post v. the Board of Governors of the Federal Reserve System)」で、「原告は、規則の影響を受けてから最大で6年以内に規則を提訴することができる(規則発効から6年以内でなく)」との判決を下した。クリアビュー社は、「不確実性は投資を抑制し、リターンを損なう可能性があるという点において、ローパー・ブライト事件の判決は、米国エネルギー・インフラそのものに大幅な影響をもたらす可能性があると考えられる」と述べた。更に、「コーナー・ポスト事件の判決は、論争を再開(もしくは延長)する手段を提供するという点において、将来の政策の流動性の振れ幅と頻度が高まる可能性があると考える」と加えた。 Utility Dive “Supreme Court’s Chevron, Corner Post decisions could delay energy investments, spur litigation: analysts” (7/2/24)
CHIPS研究開発局、教育及び労働力開発計画作成のためのガイドブックを発表
商務省(Department of Commerce)傘下のCHIPS研究開発局(CHIPS Research & Development Office: CHIPS R&D)は、CHIPS・科学法(CHIPS and Science Act)の下、米国が頑強な半導体労働力を開発、維持することを確実にするため、110億ドルを投資するよう課されている。これに伴い、CHIPS R&Dの資金提供通知(Notice of Funding Opportunities: NOFOs)は、申請者に「教育及び労働力計画(Education and Workforce Plan: EWD)」を提出するよう義務付けることが予想されている。こうした中、CHIPS R&Dは、EWDを策定するためのガイドブックを発表した。ガイドブックは、①現行の労働力や、利用可能な人材プール、予想される労働力ニーズなどを考慮した労働力ニーズ評価、②プログラムの影響を測定するための指標及びマイルストーン目標、など5つの要素を勧告している。 SSTi “CHIPS R&D issues guidebook for creating education and workforce development plans” (6/27/24)
ジャンプスタート、2023年におけるオハイオ州への経済効果は16億ドル
オハイオ州北東部に拠点を置くベンチャー開発組織のジャンプスタート(JumpStart)が発表した「2023年経済効果報告(2023 Economic Impact Report)」は、イノベーション主導型のアントレプレナー支援を目的として設計された非営利で官民による「技術ベースの経済開発(Technology-Based Economic Development)」イニシアチブへの持続的な投資によって、州や地域が得た大規模な経済的及び社会的恩恵の事例が示されている。報告書は、ジャンプスタートや、13のアントレプレナー支援プロバイダ・ネットワークの支援を受けた技術系スタートアップが、オハイオ州で、2023年だけで6億8,200万ドルの経済活動をオハイオ州で直接生み出したことを示している。この数値は前年の報告より35%多い。報告書はまた、それらの技術系スタートアップにより、2023年に4,698件の直接雇用を創出・維持し、3,175世帯を支えていることを報告している。 SSTi “JumpStart reports $1.6 billion in economic impact on Ohio in 2023” (6/27/24)
量子技術への公的資金では欧州がリード
マッキンゼー社(McKinsey)の新たな報告書「量子の優位性への手法で着実な進展(Steady progress in approaching the quantum advantage)」によれば、量子技術への民間投資は減少している一方、公的投資は急増している。2023年には、スタートアップに17億1,000万ドルが民間から投資された。これは過去最高だった2022年の23億5,000万ドルから27%の減少となる。対照的に、公的投資は前年から50%以上増加し、量子技術への投資全体のほぼ3分の1を占めた。ドイツ、英国、韓国を中心に、量子技術への大幅な新投資が発表されており、公的資金投資額はこれまでのところ420億ドル前後となっている。更に、本報告書は、量子技術開発に一貫した需要があることを示しており、欧州連合(EU)内の機関の科学者が量子関連の出版論文で最も貢献している点がそれを裏付けている。欧州委員会(European Commission)は2023年10月、量子コンピューティングを4つの重要技術の一つと位置付けており、このことは将来、更なる措置が実施される可能性を残している。 HPC Wire “McKinsey Report: Europe Leads in Public Funding for Quantum Tech” (6/26/24)
電池利用の一般的な目的は、アービトラージとグリッド安定化
エネルギー情報局(Energy Information Administration: EIA)が最近発表した情報によれば、「電池を使って、電力価格が低い時間帯に貯めた電力を同価格が高い時間帯へ移動させている」と報告する電力ユーティリティ機関が増加している。これは、「アービトラージ(arbitrage)(裁定取引)」と呼ばれる戦略である。2023年末時点で、米国内のユーティリティ機関は、「575の電池(集合的に1万5,184メガワット(MW))を運用した」と報告している。EIAは、ユーティリティ機関からの報告を基に、米国の電池能力は3倍以上に増加し、2028年末までに3万5,953MWが追加されると予測している。ユーティリティ機関は、アービトラージの他、「アンシラリー・サービス(ancillary service)(副次的サービス)」と呼ばれるサービスを用いてグリッドの安定性を向上させるためにも電池を利用している。 Energy Information Administration “Utilities report batteries are most commonly used for arbitrage and grid stability” (6/25/24)
商務省、インテグリス社との予備的規約覚書を発表
6月26日、商務省(Department of Commerce: DOC)は、先端チップメーカー向けに先端マテリアル及びプロセス・ソリューションを提供する主要サプライヤーのインテグリス社(Entegris)との間で、拘束力のない予備的規約覚書(preliminary memorandum of terms: PMT)を交わしたと発表した。CHIPS・科学法(CHIPS and Science Act)の下、最高7,500万ドルの連邦インセンティブを提供することが提案されている。提案されている投資により、重要な半導体サプライチェーン及び先端チップ生産のための製造マテリアルが国内回帰し、数年間で約600名の直接製造雇用と、2030年までに約500名の建設雇用が創出される見通しである。インテグリス社は、半導体及びその他のハイテク産業向けに先端マテリアル及びプロセス・ソリューションを提供する大手サプライヤーで、特に同社が発明した「フロント・オープニング・ユニファイド・ポッド(Front Opening Unified Pods)」(半導体ウェハーの保管や輸送を確実に保護する特殊容器)で知られる。同社はコロラド州コロラド・スプリングスに最先端の製造センターを建設する予定。 Department of Commerce “Biden-Harris Administration Announces Preliminary Terms with Entegris to Onshore Supply Chain Materials for Leading-Edge Chip Production” (6/26/24)
エネルギー省、スマートグリッドのセキュリティと対応力強化に240万ドル
エネルギー省(Department of Energy)の電力局(Office of Electricity: OE)は6月27日、先端の送配電の通信及び制御技術の研究開発実証に焦点を当てたプロジェクト(240万ドル)をサザン・カンパニー・サービス社(Southern Company Services)が先導すると発表した。プロジェクトは、送配電システムのセキュリティを強化し、特に重要な情報のフローにおける混乱の予防、検知、対応に力を入れる。グリッド通信の需要と情報セキュリティのリスクが高まる中、グリッドの通信システム及び統合セキュリティを高度化することは重要となっている。こうした高度化においては、デジタル・ツインが主要な役割を担い、ユーティリティ機関は弱点を理解し、問題を早急に検知し、それらに効果的に対処できるようになる。プロジェクトの名称は、「セキュアで対応力のあるスマート・グリッド・サイバー・フィジカル・システム開発のための認知デジタル・ツイン(Cognitive Digital Twin for the Development of Secure and Resilient Smart Grid Cyber-Physical Systems)」で、同プロジェクトには、バージニア工科大学(Virginia Polytechnic Institute and State University)のパワー・アンド・エネルギー・センター(Virginia Tech Power and Energy Center)、GEリサーチ社(GE Research)などが参加する。 Department of Energy “Smart Grid Security and Resilience Project to Receive $2.4M from DOE” (6/27/24)
NSF、研究能力と競争力の変革を目的としたネットワークに3,500万ドルを提供
米国科学財団(National Science Foundation: NSF)は、「競争的研究を促進するための確立されたプログラム STEMエクセレンス研究インフラ改良のための研究インキュベータ(Established Program to Stimulate Competitive Research (EPSCoR) Research Incubators for STEM Excellence Research Infrastructure Improvement: E-RISE RII)」を通じて、研究競争力を押し上げ、学術機関と非学術機関の間のパートナーシップを構築し、労働力開発機会を創出するため、3,500万ドルを提供する。E-RISE RIIは、EPSCoRのプログラム目標を進展させることを狙いとした新たなプログラムで、管轄内の重要な研究優先事項で協力する多様で持続可能な研究チームのネットワークを開発及び実践することに取り組む。メイン大学(University of Maine)が主導する「メイン州の森林経済と持続可能性と技術のエコシステムを強化するイノベーションの加速(Enhancing Maine Forest Economy, Sustainability, and Technology (Maine-FOREST) Ecosystem To Accelerate Innovation)」プロジェクトなど、5件のプロジェクトが受益する。 National Science Foundation “NSF awards $35M for networks to transform research capacity and competitiveness” (6/27/24)
NSF、多様かつ包含的なAI研究コミュニティの創出を支援
米国科学財団(National Science Foundation: NSF)は、人工知能(AI)研究コミュニティ内に多様性と包含性を育成することを目的とした「拡大AI(ExpandAI)」の新たなアワード受益機関を発表した。NSFは、国土安全保障省(Department of Homeland Security)や農務省(Department of Agriculture)、国防総省(Department of Defense)、米国標準技術局(National Institute of Standards and Technology:NIST)と協力し、少数派向け学術機関や歴史的に黒人の多い大学でAIの研究及び強化の強化を狙いとした7件の革新的プロジェクトにグラントを提供し、社会的に少数派の層に力添えし、包含性を推進し、AI分野の進展につなげる。受益プロジェクトには、テキサスA&M国際大学(Texas A&M International University: TAMIU)の「物理学ベースの工学AI研究所(Physics-Based AI Institute for Engineering)」、ボウイ州立大学(Bowie State University)の「大学構内での利用に基づくAI研究と学習指導の拡大(Expanding Use-Inspired AI Research and Instruction Across Campus)」などがある。 National Science Foundation “Creating a diverse and inclusive AI research community is the goal of new NSF awards” (6/25/24)
NYSERDA、陸上ベースの大型再生可能エネルギーを募集
ニューヨーク州エネルギー研究開発オーソリティ(New York State Energy Research and Development Authority: NYSERDA)は6月20日、陸上ベースの大型クリーン・エネルギー・プロジェクトの新たな募集を発表した。同州は、2030年までに再生可能エネルギーの割合が70%に到達することを目指す。NYSERDAは、ソーラー、陸上ベースの風力、水力発電プロジェクトの入札を受け付ける他、地熱プロジェクトや一部の水素燃料電池も検討する。最終的な選出数やプロジェクトの規模は、入札とこれまでの州の公募の下で受益したプロジェクトの状況によって最終的に決定されるという。 Utility Dive “NYSERDA opens latest solicitation for large-scale, land-based renewable energy” (6/24/24)