Category:

レポート

米国イノベーションの鍵は官民連携にあったとする報告書発表

ブレイクスルー研究所(Breakthrough Institute)は、米国イノベーションの歴史を考察し、革新的技術開発の鍵は官民連携にあったとする報告書「優良技術はどこから来るのか?-米国イノベーションにおけるケーススタディ(Where Good Technologies Come From: Case Studies in American Innovation)」の改訂版を発表した。報告書は、iPhoneや画期的な癌治療などを取り上げ、これらの技術の誕生につながった官民連携をケーススタディとしてまとめている。連邦政府は新しい科学的発見や技術進展に十分な資金提供を行うだけでなく、早期の利用者となることで新業界の誕生に貢献してきたと分析している。その他にも、「官民連携が頓挫すると、米国の経済的リーダシップも失われる」とし、その例として、「一時は風力や太陽熱技術の世界的リーダーとして活躍した米国だが、国内で官民連携が滞っている間に、デンマークやドイツ、日本が新興分野の投資を増大させて台頭してきた」と警鐘を鳴らしている。 BREAKTHROUGH INSTITUTE “Where Good Technologies Come From: Case Studies in American Innovation” (12/13/10)

中国が研究開発投資額で日本を抜く見込み

バテル記念研究所(Battelle Memorial Institute)の発表によれば、中国の研究開発費は2011年に1,537億ドルに達する見込みで、日本の1,441億ドルを上回り、米国に次いで世界2位の研究開発投資国となるという。ただし米国の研究開発費は圧倒的で全世界の合計の3分の1を占めている。中国は研究開発投資を長年に亘って増加し続けており、2009年に不況の影響で米国やその他の先進国が研究開発投資を削減した時も、中国は同投資を増加し続けた。2010年の米国の研究開発投資は3,958億ドルで、2011年は予想される連邦研究開発投資の減少を受け2.4%増と緩やかな伸びが予測されている。また、中国は代替エネルギーや生命科学、先端材料といった特定の先端分野に力を入れている一方、米国と日本は研究開発投資の多くを自動車業界などの伝統的分野に費やしている。 The WALL STREET JOURNAL “China Surpasses Japan in R&D as Powers Shift” (12/14/10)

エネルギー省、重要原料戦略書を発表

エネルギー省は12月15日、クリーンエネルギー経済における希土類金属およびその他の原料の役割を分析した戦略報告書、「重要原料戦略(Critical Materials Strategy)」を発表した。報告書は、風力タービン、電気自動車、ソーラーセル、エネルギー効率照明の4つの技術に使用される原料を中心に取り上げている。14の元素・原料を分析し、クリーンエネルギー技術への重要性とサプライ・リスクに基づき、5つの希土類金属(ジスプロシウム、ネオジム、テルビウムなど)とインジウムが最も重要と位置づけている。エネルギー省は今後、この報告書を基に国立研究所やその他の連邦省庁、議会、国際パートナーと協力し、重要原料に関する総合的な研究アジェンダの開発および、これらの重要原料を含む製品の需要供給に積極的に対処する情報収集能力の強化に取り組む。2011年末までに報告書の改訂版が発表される予定である。 EERE News “The Department of Energy Releases Strategy on Critical Materials” (12/15/10)

連邦IT事業改革に向けた計画書発表

長い間、連邦政府による情報技術(IT)事業の多くは、必要以上にコストや時間がかかり、技術が導入された時には既に時代遅れとなっていることが多いことが指摘されていた。こうしたことから、大統領府では38件のIT事業の見直しを行い、その結果、12件の事業で引き渡しが迅速化され(引き渡しまでの平均時間がこれまでの2~3年から8ヶ月に短縮)、15件の事業で規模縮小あるいは廃止が決定して合計30億ドルの予算削減に成功したと発表している。大統領府はさらに、政府によるITの調達・管理方法を抜本的に変える「連邦IT管理改革に向けた25点の導入計画(25 Point Implementation Plan to Reform Federal IT Management)」も発表しており、本導入計画では、①成果の見られないIT事業について、今後18ヶ月の間に少なくとも3分の1以上を改善あるいは廃止すること、②クラウド・サービスの利用を優先する「クラウド・ファースト」方針に移行すること、などがハイライトとなっている。 The White House “Saving Money on Government IT” (12/10/10)

世界競争力評議会連盟(GFCC)が2010年の指針を発表

世界競争力評議会連盟(Global Federation of Competitiveness Councils:GFCC)は12月9日、ワシントンDCで行われた第一回年次会議で、2010年競争力指針(2010 Competitiveness Principles)を発表した。指針はグローバルな市場で競争するために各国が実践すべき枠組みをまとめたものである。報告書は、イノベーションや優れた知的財産法、経済成長のための自由貿易に重点を置いており、GFCCおよび約35の加盟国によって承認された。2010年の指針では、グローバルな競争経済において最も重要な要素として、有能な労働力、信頼性のあるインフラストラ、研究開発への安定した資金提供などが挙げられている。 GFCC News Center “Global Federation of Competitiveness Councils Releases Its 2010 Set of Principles” (12/09/10)

PCAST、医療ITに関する報告書を発表

大統領科学技術諮問委員会(President’s Council of Advisors on Science and Technology:PCAST)は12月8日、「米国民の医療ケア向上に向け、医療ITの可能性を全面実現 ~今後の方策~(Realizing the Full Potential of Health Information Technology to Improve Healthcare for Americans: The Path Forward)」を発表した。同報告書は、「ITは、医療ケアの質を向上させるとともに経費を削減し、米国における医療を大きく改革する可能性を秘めているが、その可能性を全面的に実現するためには、医療機関同士におけるデータ交換を促進する優れた情報共有インフラの開発および導入が必要である」としている。そして、このようなインフラの構築と、十分なプライバシー保護をしつつ適切な医療情報の共有を行うために必要な技術は既に実証されているが、利益性のある事業ではないため、連邦政府がその開発を促進する必要があると提言している。 Office of Science and Technology Policy “President’s Council of Advisors on Science and Technology Releases Report on Health Information Technology” (12/08/10)

国際学力テストで米国の学生は他国に遅れ

2009年に行われた経済協力開発機構(Organisation for Economic Co-operation and Development:OECD)による生徒の学習到達度調査(Programme for International Student Assessment:PISA)の結果が12月7日に発表された。それによれば米国の15歳の生徒は読解力(34カ国中14位)と科学(同17位)は平均的で、数学(同25位)では平均以下という結果であった。これらは韓国やフィンランド、シンガポール、中国(香港、上海)といった最高得点国と大きな開きがあり、「調査結果は明らかに米国にとり警鐘である」と、教育省(Department of Education)のアーン・ダンカン長官(Arne Duncan)は述べた。 USA TODAY “In ranking, U.S. students trail global leaders” (12/07/10)

クリーンエッジ社、州別クリーンエネルギー順位を発表

クリーンエッジ社(Clean Edge)がまとめた「米国クリーンエネルギー・リーダーシップ指数(U.S. Clean Energy Leadership Index)」が12月7日に発表された。これは、米国50州におけるクリーンエネルギーの技術や政策、資本について包括的分析を行ったもので、指数に基づき順位が発表されている。それによれば1位は圧倒的な高得点(91.6)のカリフォルニア州で、次いでオレゴン州(68.6)、マサチューセッツ州(67.6)となっている。また特記される点として、①技術と資本の分野ではカリフォルニア州が1位であるものの、政策の分野ではワシントン州が1位であること、②ユーティリティ規模のクリーン発電を行っているのはアイオワ州で、2009年における州内発電の14%が風力によるものであること(大規模なクリーンエネルギー源から10%以上の発電を行っている州は他にない)、などが挙げられている。 CLEAN EDGE “California, Oregon, and Massachusetts Lead List of Top 10 Clean-Energy States” (12/07/10)

2010-11年版バイオエネルギー企業上位50社発表

オンライン・バイオエネルギー・ニュースサービスのバイオフューエルズ・ダイジェスト(Biofuels Digest)が12月7日に発表した2010-11年版の「最もホットなバイオエネルギー企業上位50社(50 Hottest Companies in Bioenergy)」によれば、フロリダ州の再生可能燃料および化学開発会社のアミリス(Amyris)社が1位(昨年3位)となった。2位はソラザイム社(Solazyme、同1位)、3位はPOET社(同2位)となっている。同報告は、バイオエネルギー開発におけるイノベーションと成果を評価したもので、75名の国際選考委員の投票(50%)と読者投票(50%)に基づいて算出された。上位50社のうち37社が米国企業であり、また、15社がセルロース系エタノールの開発企業(昨年は19社)、5社が藻をベースとしたエネルギーソリューションの開発企業(同7社)、16社がドロップイン燃料の生産企業(同15社)、13社が再生可能化学生産技術開発企業となっている。 BiofuelsDigest “The 50 Hottest Companies in Bioenergy for 2010-11” (12/07/10)

米国の科学的生産性が低下し続けているとの報告書発表

国立科学財団(National Science Foundation:NSF)のが作成した報告書「米国大学における科学出版(U.S. Academic Scientific Publishing)」(11月19日出版)によれば、1988年から2001年の間に研究資金やその他のインプットは劇的に増加したのに対して、発表された研究論文数は減少していることが判明した。この状況について報告書は、「2001年に100件の出版物を作り出したのと同じリソースで、1990年には129件の出版物が発表された」と分析している。生産性が低下した理由については、研究がさらに複雑化したこと、より包括的な論文が作成されるようになったこと、共同研究の増加によってコスト高になったことなど様々な点が考えられるが、決定的な原因については明らかになっていない。 SCIENTIFIC AMERICAN “Diminishing returns?: U.S. Science Productivity Continues to Drop” (12/06/10)