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レポート

大学や非営利組織の科学・工学活動への連邦支援はほとんど伸びず

国立科学財団(National Science Foundation: NSF)が発表した統計報告によれば、大学や非営利組織向けの連邦政府による科学・工学支援は、2008会計年度に284億ドル(1,316機関)に達したという。これは現在ドル(current dollars)で比較すると前年比0.9%の増加となるが、2005年を基準とする実質ドル(constant 2005 dollars)で見ると1.4%の減少となる。同様に、2004年度から2008年度までを見ると、現在ドルでは4.0%増であるが、実質ドルでは7.5%減となる。また、2008年度における連邦政府の学術系科学・工学支援のうち、60%は厚生省(Department of Health and Human Services:DHHS)が占め、DHHSとNSF(15%)、国防総省(10%)の3機関で合計86%に達する。一方、2008年度に連邦科学・工学支援を最も受益したのは、ジョンズ・ホプキンス大学(Johns Hopkins University、11億ドル)であった。2008年度の受益機関上位20大学は2007年度の上位20大学と同じであった。 NSF “Federal Obligations for Science and Engineering to Universities and Colleges Show Little Growth” (February 2012)

カリフォルニア大学バークレー校のIP、過去20年間で146件の起業に貢献

カリフォルニア大学バークレー校(University of California, Berkeley)では、同大学発の知的財産権を基に過去20年間で146件の起業が行われているという。特に、化学者のリチャード・マチース教授(Richard Mathies)はこれまでに15件の起業に関わっており、そのうち5件は同教授の研究室内で実施された画期的研究に直接基づいている。また、キロン社(Chiron Corp.、その後ノバルティス社(Novartis)が買収)や、ナノシス社(Nanosys Inc.)は、ペイドン・ヤング教授(Peidong Yang、化学)の研究室から誕生した。こうした中、カリフォルニア大学バークレー校は、これまでに多くのライセンス手数料も得ている。 San Francisco Business Times “U.C. Berkeley intellectual property has started 146 companies in 20 years” (2/2/12)

「米国民の気候変動に関する考え方に最も影響するのは政治的指導者」との研究報告

オハイオ州立大学(Ohio State University)のクレイグ・ジェンキンス社会学教授(J. Craig Jenkins)らが行った調査結果によれば、米国民の気候変動に関する考え方に最も影響を及ぼすのは、極度の天気事象の発生や科学者による研究結果ではなく、国の政治的指導者であるという。同教授らは「米国気候変動脅威指数(U.S. Climate Change Threat Index)」を考案し、2002年から2010年までの間に気候変動問題に関する世論がどのように変わったかについて調査を行った。それによれば、議会の民主・共和両党が気候変動問題について深刻であるとの考えに合意していた2006年から2007年には国民の気候変動に対する懸念度も上昇したが、その後本件が党派的争いになり、気候変動に否定的な立場が多数の政治家から表明されるようになるにつれ、国民の懸念も低下していったという。 newswise “Political Leaders Play Key Role in How Worried Americans are by Climate Change” (2/6/12)

モハベ砂漠の軍事施設で7,000メガワットの太陽光発電の可能性あり

国防総省(Department of Defense)の軍事基地・環境局(Office of Installations and Environment)の報告によれば、カリフォルニア州モハベ砂漠にある4つの軍事基地で、7件の原子力発電所分に相当する7,000メガワットの太陽光発電の可能性があるという。これは、同局がコンサルタント会社のICFインターナショナル社(ICF International)と共同で1年に亘り、カリフォルニア州(7件)やネバダ州(2件)の軍事基地において調査を行った結果である。そのうち96%の表面地帯は軍事利用目的や絶滅の危機にある動植物、その他の要因により、太陽光発電が不可能であるが、それ以外の地域においては大規模な太陽光発電(カリフォルニア州内の基地で消費される電力の30倍以上)が可能であるという。 SERDP-ESTCP “DoD Study Finds 7,000 Megawatts of Solar Energy Potential on DoD Installations in Mojave Desert” (1/26/12)

NRC、NASAの今後5年間の技術開発優先分野16件を提示

米国研究評議会(National Research Council: NRC)は、米航空宇宙局(National Aeronautics and Space Administration: NASA)が今後5年間に開発努力の重点を置くべき技術として16件の優先技術及び関連技術課題を示した報告書を発表した。これらの技術は、NASAによる技術ロードマップ草案の一部として外部の技術関係者からのインプットを受けて選出されたもので、①人間の宇宙飛行における放射線の軽減、②ガイダンス・ナビゲーション・制御、③発電及び輸送のための原子力システム、④太陽光発電などが挙げられている。また、これらの技術は、NASA全体の主要な3つのミッションに基づいて分類されている。報告書は更に、完成に近い技術の飛行実証に重点を置くことや、既存のプログラム予算の10%を新興技術の発展や改良に充当することを勧告している。 National Academies “Report Identifies 16 Highest Priorities to Guide NASA’s Technology Development Efforts for Next Five Years” (2/1/12)

大統領府、「酸性雨プログラムは成功」と発表

大統領府科学技術政策局(Office of Science and Technology Policy:OSTP)は、議会へ提出した報告書で、酸性雨の原因となる汚染物質を削減する連邦プログラムにより、生態系や人間の健康は改善されたと報告した。この中で、1990年大気汚染防止法修正条項(1990 Clean Air Act Amendments)で創設された酸性雨プログラム(Acid Rain Program)により、二酸化硫黄と酸化窒素は当初の目標以上に削減されたとしている。更に、酸性雨プログラムの費用は当初の予測を大きく下回り、コスト効率が高かったという。人間の健康にもたらす恩恵は、年間1,700億から4,300億ドルに達すると試算されているが、一部の生態系の回復には、汚染物質の更なる削減が必要であると報告書はまとめている。 American Institute of Biological Sciences “White House Declares Acid Rain Program a Success” (1/30/12)

大学基金の投資リターンは19%増、しかし今後も懸念は続く模様

米国大学実務者協会(National Association of College and University Business Officers)とコモンファンド研究所(Commonfund Institute)が行った大学基金投資リターンに関する年間調査結果によれば、景気低迷が続いているにもかかわらず、大学基金は2011年度も成長し、19%増の投資リターンを上げたという。これは朗報であるが、悪いニュースは、大学基金がまだ不況以前の水準から伸びていないこと、そして2012年度は環境の悪化が予想されていることである。特に、今回の調査では2011年度データとして2010年7月からは2011年6月までのものが利用されたが、欧州の債務危機が悪化し、米国の経済不振が市場の不安定な変動性をもたらしたのはその後であり、これが2012年度の運用状況に影響を及ぼす可能性が指摘されている。 The Chronicle “Endowment Returns Rise to 19%, but Trouble May Lie Ahead” (1/31/12)

連邦委員会、核燃料廃棄物の恒久貯蔵に関する戦略の早期確立を要請

オバマ大統領が創設した「米国原子力の未来に関するブルーリボン委員会(Blue Ribbon Commission on America’s Nuclear Future)は1月26日、2年に及ぶ審議を経て報告書を発表し、「米国は、国内の核燃料廃棄物の恒久処理施設を少なくとも1つ確立するために、早急に戦略を立てるべきである」と要請した。現在、約65万トンの使用済み核燃料が全国75カ所の原子炉に貯蔵されている。従来、核廃棄物処理施設の候補としてネバダ州ユッカマウンテンが挙げられ、長年議論が続いていたが、オバマ大統領はこの建設計画を断念することを決定している。ブルーリボン委員会は、この大統領の決定については言及していない。報告書は、核廃棄物管理の責を負う独立機関の新設も勧告している。 The Hill “Federal commission urges permanent nuclear waste storage strategy” (1/26/12)

「米国の若者はイノベーションが米国経済や日常生活に及ぼす影響を認識」との調査結果

1月25日に発表された「レメルソン-MIT発明指数(Lemelson-MIT Invention Index)」によれば、米国の若者は日常生活や米国経済における発明やイノベーションの重要性を認識している一方、多くが、発明分野のキャリア追求を阻害する要因があると考えていることが分かった。16歳から25歳を対象に行われたこの調査では、回答者の40%が「スマートフォンやタブレットといった新技術なしの生活は考えられない」と述べ、47%が「発明の欠落は米経済に損害をもたらす」と考えている一方、60%の回答者が「科学、技術、工学、数学分野の教育やキャリアに進むことを阻害する要因が存在する」と考えている。そしてその阻害要因として、「発明は学校で十分な注目を与えられていない」「現在の教育では発明分野へ進む準備ができない」といった回答が示されている。 Lemelson-MIT “YOUNG AMERICANS RECOGNIZE THE IMPACT OF INNOVATION ON U.S. ECONOMY AND PERSONAL LIVES ACCORDING TO NEW SURVEY” (1/25/12)

GAO、連邦政府間におけるSTEMプログラムの重複に関する報告書を発表

政府説明責任局(GAO)は議会の要請を受け、①2010年度にSTEM教育プログラムに資金提供を行った連邦機関数及びプログラム数、②これらのSTEM教育プログラムのうち、同様の目的やターゲット層、内容を持っているプログラムの内容、③STEM教育プログラムの効果測定方法などについて調査を行い、その結果を、報告書「複数の政府間における重複プログラムをより良く管理するための戦略計画が必要とされている(Strategic Planning Needed to Better Manage Overlapping Programs across Multiple Agencies)」として取りまとめた。それによれば、2010年度に実施されたSTEM教育プログラムのうち83%が少なくともその他の1つ以上のプログラムと類似(overlap)する部分が認められたという。GAOは、「プログラムが類似しているとはいっても、サービス内容やターゲット層が異なる場合もあり、必ずしも重複(duplicative)しているとはいえないが、戦略的計画を策定することにより、これらのプログラムをより良い形で調整する必要性がある」と述べている。そして、大統領府科学技術政策局(Office of Science and Technology Policy:OSTP)が主導役となり、政府全体のSTEM教育戦略計画を策定するよう勧告している。 GAO “Strategic Planning Needed to Better Manage Overlapping Programs across Multiple Agencies” (1/20/12)